- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
401 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/24(火) 07:32:56.72 ID:eLz+90FI - 警視庁では、対策本部長、倉田警視が窓から国会方面を眺めていた。
装甲車が動いていた。機関砲が火を噴けばここも危ないが、今はこの臨時指揮所を放棄するつもりはない。 「本部長、向こうの責任者を名乗る男から電話が入っています。対策本部長を名指しですがどうしますか」と部下の一人が言う。 マニュアルでは、このような場合、説得の係、ネゴシエーターが出る事が原則だった。 だが、今は違った。ネゴシエーターの第一責任者、本田と言う男は警視庁の通信指令室の機材に小細工した張本人と見なされていた。 無線が一時不通になった。彼は逃走したが、まだ学会の隠れ工作員はいるものと考えられていた。倉田のような下位の者が本部長なのもそう言う意味もあった。 彼の上位にあるものは生華学会で行方不明だった。 彼の上には他にも警視正や副総監など多数の上席者がいたがいざとなると、倉田に本部長の座が回ってきたのだった。 「後でかけなおす、電話番号を言え、どうせ逆探知しているから今さら隠そうとしても無駄だ、お互いに手間を省こう、そう言ってやれ」 「はっ」 「本部長、機動隊からです」
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402 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/24(火) 07:36:05.03 ID:eLz+90FI - 「本部長、機動隊からです」
機動隊は勇敢に戦っていた。死者負傷者続出。弾薬が不足。そう短い報告があった。 「すぐ手配する」 倉田はまた国会議事堂の方向に目を戻した。 もちろん、彼の立ち位置から、すなわち警視庁の庁舎から全てを俯瞰する事など出来はしない。 だが……考えることは出来た。それが彼の任務だった。 ……交渉の潮時だろう。すでに負傷者の手当てでは国会図書館に 臨時の救難センターを設置、敵味方なく手当てしている。交渉の余地はある。 「向こうの責任者の電話番号は? かけてみよう」 「はっ、しかしふざけた名前を名乗っていまして」 「田中、お前の感想はいいから、何と言って来たかを言え」 「死神博士だと名乗っています」 「断わっておくが、死神博士は本名じゃないからな」 「そんな事ぐらいは分かってる。要件に入ろう、警視庁の倉田だ。階級は警視だ」
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403 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/24(火) 17:13:24.25 ID:eLz+90FI - 「本日、チャイナマンを名乗るテロリストをリーダーとするテロリスト・グループが東京各所を襲撃、ミサイル攻撃を行い壊滅的打撃を与えた。閣僚は全員死亡、最高裁判官も全員死亡したとの情報が入っている。
わが栄光ある生華学会は親衛隊を始めとする傘下部隊を動員し現在治安を回復するための超法規的行動に従事中である」 盗人猛々しいとはこの事だ。倉田は思った。 テロリストもここまで開き直ると死神博士を名乗る資格がある物なのか? いっそ生華学会をやめてショッカーと改名してはどうか。 「現在我々は国会議事堂を始めとする国家の中枢を支配下に置いている。警察は妨害をやめ治安維持の活動に協力するようにせよ、 報告によると先ほど避難しようとしていた高校生の集団に向けて警察が発砲、先導していた白衣の女性看護師が負傷したとの事だが事実か?」 「確認させる」 小さいが仕掛けて来た。大筋では事実だ。装甲車を狙った弾がそれたらしい。国会議事堂からの民間人の避難は終わっていないが、これでまた時間がかかってしまう。それは意図していないと言う大義名分をかかげながら人質を取り続けられると言う事を意味する。 西側の赤坂見附の方は、ずいぶん民兵と思われる生華学会の要員が入っている。彼らはあからさまに武器を見せないと言う戦術に出ていた。ここでは警察も強くは出ていなかった。 東は、ここ警視庁の正面だ。スナイパーの活動は封じられた格好になる。テロリストに正面攻撃をかける事は出来ない。北側、最高裁判所の方角は警察が確保していたが国会図書館は中立地帯になっていた。 どちらもそこからは攻撃せずというのが暗黙の了解になっていて、事実先ほどまで数名国会図書館に残っていた武装兵は退去した。 だから残されたのは南側と言う事になる。困った事に生華学会側もこの南側から民間人・非武装の国会スタッフを避難させていた。 ここから押し込むのは避難終了後と言う話になってくる。また避難が終了しなければ民間人の被害が防げない。
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404 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/24(火) 17:17:01.81 ID:eLz+90FI - 「では、こちらのこれからの段取りを伝える。現在、国会議事堂内には、あー何だ? 某県の……「子供収容所」?……」
「はあ? もう一度繰り返せ、子供を収容していると言ったのか」 「失礼、固有名詞だった。「子供収容所」と言う施設の幼い子供と、そのスタッフ、 それから都立桜花高校の三年生と引率の先生を保護している。これらの民間人は」 げっぷが聞こえた。倉田は顔をしかめたが、マイクの向こうで女の声が「お水」と言っているのが聞こえたので怒りをこらえて待つ事にした。 「失礼」 「お前げっぷが出るほど何かをたらふく食ってるのか?」倉田はまた思わず怒りがこみ上げて来た。 「い、いや、その……はい」正直なテロリストだ。 「何を食ってたんだ」 「……カロリーメート、ビフテキ味」全く正直なテロリストだ。 「何い貴様!」 激高する倉田を部下があわてて止めた。 「本部長!」 「怒りはこらえて下さい」 倉田は電話に戻った。 「今の背後の女はなんだ、彼女か」 「うっ」 「図星か! お前、たらふくビフテキ味のカロリーメートを食って彼女を連れてテロか、それで死神博士を名乗るとは! 天国の天本英世さんに土下座して謝れ」 それから死神博士はこてんぱんに倉田に怒鳴り上げられながら、要点、以下の項目を伝えた。
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405 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/24(火) 17:19:57.03 ID:eLz+90FI - * 狙撃は一時中止する。国会議事堂からも射撃しない。また国会議事堂前の装甲車からも射撃しない。射撃しないことを示すため装甲車は車体、砲塔(機関砲)を議事堂側に向ける。
* 時間は未定であるが、光明党の呼びかけで臨時の特別対策国会が開かれる予定である。そのために続々と光明党を始めとする国会議員が来るはずである。彼らを通すようにせよ。 また、国会議事堂の職員にも職場復帰を呼び掛ける。それら職員の安全は保障する。 * 当該国会が開会される前に、国会の議論の中立を保証するため生華学会は国会議事堂の建物から退去する。ただし、つぎの例外は除く 1 光明党の国会議員 2 NHKの国会中継のカメラクルー、なお、このカメラクルーの中には幸福の錬金術を始め他の宗教の信者も参加する予定であり、これらの要員は全員非武装とする。。 * 保護している民間人全員を、後で国会議事堂前に出す。もうじき、正午前がめどだが権田大幹部が来てそこでNHKで生中継で今回の事件について演説する予定である。その放送が終了したら全民間人を解放する予定である。 そのようにするのは人員の差し繰りのためでもあり、権田大幹部が狙撃されないためと言う意味合いもある。
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