- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
303 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/01(日) 08:59:36.64 ID:dW8zDe1l - だが、春菜が一番気に入り、馬淵もまた非常に心を惹かれたのは何の飾りもない安っぽいステンレスの指輪だった。
「これかい、これはステンレスなんだ、普通の指輪を仕入れる事が出来ないほど金に詰まっていた時にプラチナだとか銀だとか嘘言ってだまそうと思って 用意したんだが思いとどまった。そんな時があったと言う事を忘れないようにと並べるだけは並べておいたんだが、これまでこれを欲しいなんて言った客は誰もいなかった」 「そうかぁ」 「売ってる方が言うのもなんだがこんなのがいいのかい、飾りもない、きれいに磨いてはあるがステンレスだぜ。」 「錆びないところがいいよ、強いしな」 「私も飾りがないのが好き」 「これ、ペアであるかい? 」馬淵は言った。 「あるよ、ほら」 「いくらだ」 「馬淵さん?」春菜はうれしそうな戸惑いを見せた。 「五千円でいい」チャン・リーは言った。ステンレスの指輪で五千円は高いのか安いのか、これも馬淵には謎だった。 ステンレスの指輪は冬の陽光の中でキラキラ光った。馬淵はステンレスは錆びる事はなく硬くて強いから永遠を象徴しているのだと春菜に言い聞かせるように言った。
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304 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/01(日) 09:00:54.42 ID:dW8zDe1l - 春菜は品野町に帰ってから、はるからに指輪を見せびらかした。
それは測ったように彼女の指にぴったりだった。馬淵は馬淵で指輪をさっそくはめてアピールした。 おまえらデートに行っていたのかと皆突っ込んだが巡航ミサイルを買ったと言う話を聞いてみなびっくりした。 お台場でミサイルの買い付けに成功する奴は生華学会広しと言えどそうそうはおらず、土曜日の件と言い、やはりこのカップルは只者ではないと皆感心した。 涙田は美雪とコンビニの前でデートしていた。もうすでにワンカップ大関が二つ片付いていた。 寒くはないがこれは酒がまわってきているからだ。 「もう一軒行こう」 「もう一軒コンビニ?」 「行こうよ、ねえ」 「しかたないな」
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305 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/01(日) 09:02:56.15 ID:dW8zDe1l - コンビニや酒屋の自販機の前で飲むのが一番安い飲み方で、彼女は良くこれをする。
今はまだ涙田が付いているからいいが誰もいないと凍死の危険性がある危険な飲み方だった。 実はワンカップ大関はまだ上等なお酒なのだった。これにしている理由は蓋を取れば電子レンジで燗できるからだ。日本酒で一番安い銘柄は関西のコンビニでは鬼ころしという愛知県の酒造会社が出している紙パックの百円の奴(2014年1月現在)が主流だが、 同じく愛知県の酒造メーカーの焼酎の紙パック「ええなも」もありこれも捨てがたい。(これも百円) ああ、こんな生活にどっぷりでいいのかと思う涙田だったが、生華学会は大ダメージを受けた事は行動隊の情報ルートからも確認できた。 犬田は入院が長引く可能性があると涙田は綾子から聞いていた。犬田の息子は警察病院の入院同意書にサインしたが取り調べ等を行わないようにと言う申し入れを弁護士同伴で行った。 実際には犬田は薬でちょっとぼんやりした状態で聴取したくてもできなかった。また仮にしたとしても法廷で使えないだろう。 もちろん犬田が投薬されているのは自白薬ではない。良くドラマである自白薬と言う奴は都合よくデフォルメされている。 確かに自白させやすくする薬はあるがそれを用いたインタビューには特別なテクニックが必要になってくる。 それでも特別な薬物の影響下にあると人間は誘導された事を何でもしゃべってしまうと言う事は知られており、やってもいない犯罪でも自白してしまう。だからどんなに衝撃的な日本征服計画を犬田がしゃべろうともそれは証拠として使えなかった。 (作者注、ある種の薬物を投与すればどんな犯罪でも自白させる事が出来ると言うのはほぼ真実のようである。警察の取り調べで自白薬が広く使われる事がないのはこう言うことが原因だと思われる。しゃべらせられるが法廷でそれが維持出来ないのだ) ああ、それにしても、執筆時期がばれてしまうな
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306 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/01(日) 17:27:30.16 ID:dW8zDe1l - 権は検査結果は良かったが、一応水曜まで保護観察と言う事になっている。
行動隊は権が黒幕的存在らしいと言う所まで掴んでいた。綾子の情報網もそれを掴んでいた。 だから、涙田はのんびり酒に浸るカップル生活を満喫できるのだった。 もう近所のコンビニには顔を覚えられている。大村パンの同僚は一日でも早く結婚してくれ、そして美雪の寿退職をと望んでいる。 普通ならそれは心暖まるストーリーだがこれは不良パーツの引きとりに近い話だ。人間ハードオフだ。
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307 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/01(日) 17:28:13.45 ID:dW8zDe1l - 彼女を放り込む病院はもう、あてがあった。
新いずみ病院と言う和泉市にある精神病院である。彼の実家のある河内長野市からなら車ですぐだ。チャリではきつすぎる。電車はちょっと接続が悪い。 ただ、ここはアルコールを専門としていて、大阪南部ではここしか女性が入院できるアルコール専門の病院は無い。 「さあ、行こう」美雪は幾分ろれつの回らない声で言った。最近は飲む物の主流がハードリカーなので酔いが回るのが早い。 美雪のパンツを洗わなければならないこともあった。失禁したからだ。仕事中意識が混濁した美雪をアパートまでベンツで運んで担ぎあげ、パンツを脱がせて手洗いする時の水の冷たさなんて、 ヒーローが体験する物じゃないと思った。 それでも、彼女を支えて行かない訳にはいかないだろう。そう涙田は思った。 二軒目のコンビニでの酒も苦い酒だった。
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