- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
293 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/05/29(木) 07:04:11.04 ID:NRfkXogz - チャイナマンが犬田を襲ったと言うニュースを涙田が知ったのは午後三時だった。
ええっと言う感じだった。ベンツのラジオはそれ以上詳しくは説明してくれなかった。 会社に帰ると、例によって綾子が説明してくれた。 「襲撃者の数は十名、武器はヘッケラーコッホのMP5Kらしいわ」 涙田は綾子がチャイナマンと言わず襲撃者と言った事に気がついた。MP5Kは知っていた。特殊部隊仕様の全長の短い銃である。 もちろんこれを含めて短機関銃は銃砲店では売っていない。特殊な裏ルートで手に入れたに違いない。 「ラジオではチャイナマンだと」 「彼は一人しかいないわ、それにこれは相当素人くさいわ。武器のチョイスも含めて」 「はあ……」 MP5Kは9ミリ弾を使用する短機関銃だ。相手が防弾の車に乗っている事ぐらい予想できる事態だから適当な装備かどうかは疑問だ。 むしろ手に入るならバズーカなどの対戦車兵器があるとベストだ。もちろん、護衛との銃撃戦が予想されるから十人全員対戦車兵器では王手をかける前にやられてしまう。 しかし、そんな細部はともかく、襲撃者は誰なのか? 今回の事件はお面さえあれば誰でもチャイナマンになれることをはっきりと示した。カンのいい一部の人間(たとえば綾子)はこれがチャイナマンではない、あるいは少なくとも真実のチャイナマンではない可能性があると言う事に気が付いているだろう。 しかし、現実的には大部分の人間がチャイナマンが来たと思っている。 はっきり違うぞと言えるのは涙田一人だしそんな事を言える訳がない。 ……まあ、なんにせよ、これで学会の崩壊も一段と進むだろう その涙田の見通しは甘かった。彼はすぐにそれを思い知らされることになる。
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