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政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M
おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10

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おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
217 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/05/06(火) 16:06:32.38 ID:PSuNQ1jW
 「おお、良くやったぞ」
 「すごい、大手柄じゃないか」
 「この前の失敗を帳消しにして余りある成果だ」
 皆に褒めそやされて二人は喜んだ。
 小川の診察をしていた梅原はるかと言う若い女医が戻って来た。お医者さん鞄から薬袋を出す。
 「今は眠ってるわ。あきれた、こいつ、かなり精神を病んでいるようね。精神科の薬がドカドカ」
 「それは、東京へ連れ戻るのに支障は出そうか」と馬淵は言った。
 「支障と言うほどではありません。ただ、定期的な投薬が切れた場合どうなるか分からないという不安があります。
私か誰か医師がついて服薬を管理した方がいいでしょう。どう利用するにせよ殺すのでない限り狂われたら困るのでは」
 若い女医は少し考えて付け加えた。
 「これ以上」
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218 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/05/06(火) 16:09:42.91 ID:PSuNQ1jW
 「そんなにひどいのか、はるか?」と安藤が言った。
 「そう、私は精神科が専門ではないので分からない部分もありますけどもう元の、教祖様として活躍していたころの状態には戻らないでしょう。そのころはチャネリングと
言ってたみたいですけどそれは妄想とか幻聴とかと紙一重の世界なのでしょう。どうもそう言う「症状」を抑えようとしていた節がありますね」
 「その、偽者と言う可能性はないか? どうも変だぞ。我々が聞いている小川の状態と今の小川の実態には差がありすぎる」と鰻原。
 「そうだな、偽者かもしれん」馬淵も不安になって来た。
 「薬袋には小川後方の名前があります。後方は降法の本名です」と春菜が冷静に指摘した。
 「そう、考えてみれば、向こうは本物のトラックが来たものと考えていたはずだから偽者を押し込むと言うのは矛盾しているな」
 「トラックにいる私たちが偽物だと見破ったのではないでしょうか、それで、時間を稼ぐため偽者を送り込んだのかもしれません」と春菜が言った。
 「いや、それなら警察にこいつら偽物だと言う方が早くないか」
 「それにあらかじめ偽者を用意しておくと言うのも良く考えると矛盾しているな」
 「そうか、いやしかし……それじゃ小川の実態ってこんなのだったのか」
 みな唖然とした。
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219 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/05/06(火) 16:42:17.09 ID:PSuNQ1jW
 「そう言えばもう一つまずい事がある」馬淵は角野卓造の事を話した。
 「それのどこがまずいんだ」と鰻原。
 「いや、角野卓造は別にどうでもいいが、警官の頭の中に「近藤春菜」と言う名前が残ったと言う事なんだ」と馬淵。
彼自身の名前もさらした訳だから彼もまずい訳だが、それは気にしていないところが馬淵らしい。
 「角野卓造はまずかったな」
 「警官の頭の中で角野卓造が来たと言うように記憶違いが起こってくれればいいんだが」
 「いっそのこと、角野卓造と改名したらどうか」
 「それではなんの解決にもならんだろう」
 「いや、中途半端に角野卓造だからいけないんだ。いっそマイケル・ムーアと改名したらどうか」
 みな色々言った。
 春菜は泣きながら部屋を出て行った。
 「みんな、言い過ぎだぞ!」
 馬淵はそう言って春菜を追った。
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220 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/05/06(火) 20:17:21.73 ID:PSuNQ1jW
 使われていない荒れ果てたホテルの中庭で、春菜は泣いていた。
 馬淵は近づいて声をかけた。
 「近藤……」
 「来ないで!」
 「……」
 「どうせ私は醜いんだ、どうせ私は太っている。どうせ私は結婚できないんだ!」
 「それは全部違う」
 「えっ!」
 「近藤より醜い人間はいくらでもいる」
 「えっ」
 「これまで一杯醜い人間は見て来た。だけど、近藤は醜くない。少なくとも最も醜い人間じゃない」
 「は、はあ……」この人は私を慰めてくれているのかどうなのか、春菜は戸惑ったが涙は止まった。
 「近藤より太っている人間もいる」
 「は、はい……」
 春菜は馬淵にそう言われると、そう言う気がするから不思議であった。
 「東京に帰ろう、一緒に」
 馬淵は両手を差しのべた。春菜はその腕の中に飛び込むとまた泣いた。
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221 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/05/06(火) 20:25:15.56 ID:PSuNQ1jW
 「がっぷり四つに見えるな」と安藤は遠くから言った。
 「それは禁句よ」はるかがその横で静かに言う。
 「東京だな」と鰻原は言った。
 こうして土曜日の大作戦はささやかな奇跡とともに終わった。


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