- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
206 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/05/02(金) 07:00:45.79 ID:KkKUxOYo - 11月 旅行シーズン外れの一日 土曜日
朝早く、涙田は武器と幸福の錬金術の本部員のブレザーを大型バックに入れて出発した。 大村が予言したように、途中で身体検査される事はなかった。 幸福の錬金術の浅草秘密基地は、はなやしきの近くにあり、化学工場に偽装していた。 そこに例の装甲現金輸送車が二台とも止まっていた。後で聞いた話ではこの車は幸福の錬金術では重宝していると言う事であった。 小川ら幹部は固まって何か話していたが聞こえない。また涙田にしても盗み聞きする必要はなかった。 棚橋や中崎が近寄ってきて挨拶してきた。 「例のお面は」と中崎が言った。 「今回は必要ないよ」 「そうだと良いがな」と棚橋。
|
- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
207 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/05/02(金) 07:03:03.71 ID:KkKUxOYo - 行動隊の水村が来た。彼は作業服姿だがウージーを手にしている。
「まあ、仕掛けてはこないだろう」と水村も言う。それから段取りの説明に入った。 「装甲車の前後を戦闘員のマイクロバスで固める。先頭のテクニカル(ピックアップトラックに機関銃やロケット砲をつけた攻撃車両)三台は 行動隊が担当するが、涙田は装甲車の助手席に乗るようにとの取り決めになった」 「は?」 「一応、保険としての意味も兼ねて、戦闘の実績のあるお前を総裁がじきじきにご指名なんだ。俺も一名を選ぶとなればお前だと推薦しておいた。そんな訳だからよろしくな」 「はあ……」 「それで、涙田さん、新品のG3A1があります。50連発のドラムマガジンつきですよ! 予備マガジン一個、LAWも三本用意しました」と中崎。 「ほう……」 「どっちも持って帰ってもらっていいと、許可が出ている。この事態ではいつ何時共闘しなければならないか分からない」と棚橋は言った。 共闘(きょうとう)と言うのは共に戦うと言う意味で、実社会ではあまり使わない用語だが「ともにたたかおうぜ」は会話文では長いからこの言葉は使われた。
|
- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
208 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/05/02(金) 17:22:02.55 ID:KkKUxOYo - 「それはそうですが、ようかんとかではなく武器ですよ」
「あの時、臨時のチームを率いていた近藤と言うサブリーダーは部下を連れて帰ってしまったがあんたは違った。やってきて戦ってくれた。 今度そうなった時、手元に武器があるかないかで話は変わってくるだろう。今日のようにこちらが準備している時は来ないで、準備していない時に奴らは来る。この間それをいやと言うほど思い知らされた訳だしな」 「幸福の錬金術は武器も本部員も警察に渡さなかったとか」 「当然だろう。そんな事をして見ろ、翌日に奴らは来るぞ」 「それはないでしょう」 「いやいや、もちろんあの作戦だけで見ると戦術的に何かを達成したかと言うと何もしていない訳だし、遺棄死体は七十を超えてた。失敗だ。 だから、もう一回来て当然なんだ。失敗しましたんでもうこれからは平和にやって行きますなんて事、生華学会に出来る訳がない。 兵隊はいくらでも集められる。武器も買えば整えられる。 装甲車は高いし密輸だから時間も多少かかるだろうが一回やった事は二回出来る」 棚橋は一介の倉庫係にしては鋭い分析を吐いてから、こう続けた。
|
- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
209 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/05/02(金) 18:04:42.43 ID:KkKUxOYo - 「こちらの情報網では、やつらがチャイナマンに怯えているさまが捉えられている」
「そうですか」 「それはそうさ、一瞬で形勢が逆転したんだからな。当然責任転嫁という部分もあるだろう。撤退を命令したのは誰かは知らんが、 そいつは犬田に報告する時でっち上げであれ何であれ正当な理由が必要だろう」 誰かが近づいて来たので涙田はそちらを見た。名前は知らないがこの前のマイクの男だ。今回はマイクを持ってはいない。男は言った。 「一号装甲車に乗ってくれるか」 「了解、あの、目立たないようにブレザー着ても良いですか」 「いいよ、あれはあんたに上げたものだし、目立つとまずい」マイクの男はこの間の事は根に持っていない様子だった。幸福の錬金術の人たちは涙田=チャイナマンを仲間と認めていた。
|