- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
187 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/04/27(日) 18:01:51.71 ID:mxJcAdW0 - 「あのお面は用意したか? あれをつければ正体が隠せるし奴らをびびらせることができる」
「はい、高かったですが用意できました」 「警察はいまだに犯人を捕まえていない。この街で一万人殺されたのに……だからお前らも無理に自首する必要はかけらもない」 「はい」 マスクが戻される。 「そうそう、これでお前の気が晴れるかどうか、分からんが私も怪我が治ったら逮捕されるらしい。殺人と銃刀法違反でだ。そう言う物なのだ」 「はっ」 「だから」 朴はせきこんだ。マスクが戻される。 「大丈夫ですか。教主様、もうこの辺で……」 手で合図があった。しぶしぶ看護師はマスクを取る。 「チャイナマンが最後の希望だと口では言いながら、そして死んだように見せかけておいて、決着は自分たちで付けるのだ。 チャイナマンのお面をつけて、あたかもチャイナマンがやったかのように見せて。 そうすれば誰も逮捕されない。誰かがやってくれるまで座って待っているなんて我々のやり方ではない。それに」 「もう……」 「いや、最後まで言わせてくれ。調査の結果、チャイナマンは、正確にはチャイナマンの面をつけた男は貪理とは関係がないらしいことが判明している」 「な?」 白東和は絶句した。彼は法被の件があったから多分自衛隊経験者の貪理教徒という説を取っていた。
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188 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/04/27(日) 18:40:15.75 ID:mxJcAdW0 - 「あの時、彼がなぜあんな事をしたのか分からないが、彼が私を救ってくれた。彼は恩人だ。幸福の錬金術のところでも戦ったらしいではないか。彼は戦っている。
今わしはここから一歩も動けないが、命令して犬田を殺させる事は出来る。それがわしの戦いだ」 「はっ」 「犬田と権は取り除かなければならん。彼らは放っておけば第三の悪事を働く。その前に殺す。 そうして世界を悪から救い出す。たとえその結果として殺されるか逮捕されても。出来るな?」 「は、必ず!」 マスクがまた戻された。朴は眠り始めた。
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189 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/04/27(日) 20:07:32.68 ID:mxJcAdW0 - 白は廊下に出た。副官の長居と言う男が待っていた。彼は妻と三人の子供を貪理の爆破で失っており何としても参加したいと言った男たちの一人であった。
「終わった。命令は受けた」 これで、彼らの行動は私的な敵打ちではなく貪理の行動になった。 「しかし、警察もせこいですのう、教主様を逮捕して刑務所に送るのか? それでは自分たちの職務怠慢はどうやって償うんじゃ」と長居。 かれは独特の方言なのかなんなのか良く分からない言葉を使ったがそれがよく似合っていた。 白は、父の事を思った。 父の着けてくれた東和と言う名前は特別な名前だった。東洋の平和の短縮形なのだ。読みも「とうわ」だった。 当然のようにいじめが待っていた。彼は耐えていたがそれには裏があり、実は少林寺拳法を習っていて相手を叩きのめすつもりだったのである。 しかし、彼の計画はいじめがひどくなるとかえって巧妙になって来た。これだけ我慢したんだからと叩きのめす相手のリストも増え復讐の方法もクラスの皆の前で、 正当防衛的に、そして相手が再起不能になるまでやる、というところまでいった。 彼がその計画を実行に移す前にいじめに気がついた母親が学校に連絡した。 その後、東和は父に暴力をふるうために少林寺を習わせたのではないと説教された。覚えている限りではそれぐらいしか説教された覚えがない。 白東和のその後はその名前に忠実に平和だった。貪理高校から東京音楽大学に入学し卒業してからは数年ヤマハ楽器に勤務、その後はピアノ調律師として生計を立てて来た。 ヤマハ時代に社内恋愛で結婚した妻との間に二人の子供がいる。もうじき孫が出来る筈だ。父の白もひ孫を待ち望んでいた。 その父も死んだ。ビデオで貴理子の死にざまも見た。みな教主の命を守るために必死だった。 今も貪理に行けば廃墟が広がっている。再建は意図的に行っていない。宗教団体としてここは死んだふりも必要だった。極秘裏に集めた軍資金と銃器はただ一つの目的のために使うのだ。 犬田と権を殺す。 「作戦会議だ、犬田の退院予定は?」 「週明け早々らしいですぞ」 二人は病院には似つかわしくない会話をしながら歩いて行った。寒い朝だった。
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