- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
88 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/29(土) 07:38:16.28 ID:Lh+lR3Ss - 「はっ……そのう、壊滅した街には絶望が渦巻いて、もうそこには何も残っていないと思われた時にたった一つだけ残っていたもの……」と馬淵。
「古い貪理の言い伝えです。江戸時代からの……ただの迷信です。その時に、最後の希望が現れるだろうという言い伝えが残っています。そんなものがいるわけがない」と権。 「そして貪理にとってはまだその希望が残されていて、それを頼りに貪理を再開するのだともうすでに都市伝説になってきています」 「それは?」と犬田は言った。 「一つ目の希望は朴です。彼が拳銃で戦う姿はもう何百万回も繰り返し再生されています。まさしく現代のヒーローです。 彼は生きています。やがては傷が癒えて教主の座にもどると信じられています。 そしてもう一人のヒーロー、最後の希望はチャイナマンです。名前こそ人海戦隊ですがただ一人で十人以上の学会の特攻隊と戦い、傷一つ負わずに立ち去った姿を見た人数はかなりいます。 おそらくこれだけ携帯やスマホがあふれている時代、必ず一人や二人はこいつを撮影したでしょう。 しかし、こいつが我々学会につかまったら最後、教主の仇を撃つ者はいなくなってしまう。だから絶対ネットに映像をアップしてはならないし、彼の事はネットでも世間でも語ってはならないと言うお触れが出ていいるらしいです」
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89 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/29(土) 07:40:40.51 ID:Lh+lR3Ss - 「バカバカしい、ナンセンスだ。そんな物に怯えはしないぞ」
唐突に犬田は大声を出した。みなびっくりした。 「貪理の信者か、なら、奈良県民か? 貪理市民か?」 「そうは言えないでしょう、祭りには全国から信者が集まってきます」と馬淵。 「では東京かもしれないと言う訳だな」 「可能性はあります。しかし、やつはたった一人です。奪ったウージーもほとんど弾が残っていない状態のはずです。 恐れるには足りません」と権。それを見て、媚びへつらうとはこの事だなと馬淵は思った。 「だが、もうすでに伝説が生まれてしまったと言うのだ。こいつは叩きつぶさなければならん。 ぐずぐずとここで会議を開いたり次の作戦の準備に時間をかけたりしている間に、伝説は一人歩きを始めるだろう。 それは、現実のチャイナマンがここ、品野町にきてわしの首を取るなどと言うことはあり得ないが、人々はそれを期待し始めるだろう。そうなってからそれを打ち消す事は……」 「は……」 「出来ないだろう。人間と言う物はそういう出来事を期待する物なのだ。 それに当局はどう出てくると思う? あれほどの事件で、しかも生き証人まで出してしまった。当然彼らはしゃべるだろうし、そうなればこちらは立場が危うくなる」
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90 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/29(土) 07:46:10.01 ID:Lh+lR3Ss - 馬淵は犬田の意見とも権の意見とも正反対になることは承知で自分の意見を言った。
「は……ですから、ここ品野町を固めるほうが先決だと思います。チャイナマンの素顔は分からないのです。次回はわざわざチャイナマンのあの、 安いお面をわざわざつける事もありません。奴の手元に武器はまだ残っており、素顔は割れていない。いつなんどきでもどこにでも来る事が出来ます。そして貪理であると言う我々の推測が正しければ、 あれで終わりだとは奴は夢にも思っていないでしょう。今この瞬間にこの本部の前の道に立っていたとしても我々には手の打ちようがありません」 「だからこその品川なのだ。品川には幸福の錬金術の総本部があり、関連施設がある。そこを行動隊に扮した親衛隊が襲う」 馬淵は、自分自身も生華学会の親衛隊に属しているのだが、この複雑な組織の絡み合いにくらくらしてきた。この宗教戦争はもう単純には終わりそうもなかった。 「権田、装甲車も兵も好きなだけ使え、小川降法は生かしたまま捕らえられればベストだが、無理なら殺してかまわん」 「ははっ、奴らの総本部には武装したごろつき集団が数十名おるようですから装甲車の機関砲で切り刻んでしまいましょう。装甲車は三台、兵二百を投入いたします。実行は明日、正午」 第一部 完 第二部に続く (4月より再開予定)
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91 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/29(土) 20:56:30.54 ID:Lh+lR3Ss - 番外編 第二血の日曜日の翌日 月曜日の夕方。
大村パン本社。 「あなた。おねがいだからやめて」 大村の妻は言った。 「そんな、いきなり……」 「綾子さんから聞いたわ、相手は戦車や装甲車まで持ってるって言うんでしょう」 「あいつ、余計なこと吹きやがって」 大村は言ったが、一面は事実だった。敵である生華学会の親衛隊は装甲車を使っている。その中にはまじで大砲を積んでるものや対戦車ミサイルを積んでいる奴もあって、そうした奴は「装甲車」のカテゴリーに入るのかどうかも疑問だ。 一応、キャタピラーがついている奴が戦車だ、と言うことになっているからそういうのも「装甲車」と言う事になっている。 だが、現実問題として警察がどうやっても勝てないだろう。 ニューナンブを振りかざして「逮捕するぞ」とか言ったとしても無駄だ。 「あなた、もうジャムおじさんと呼ばれていたのは遠い昔の事なのよ」 「うるさい」 「これから乗ろうとしているのも、アンパンマン号と呼ばれていた訳分からない車じゃないのよ、ベンツなのよ」 「俺が無免許だとでも言うのか? ほら、ここにゴールド免許がある。昔の特攻隊だった俺はもういない」 「行動隊だったら大差ないじゃない、警察につかまったら誰がパンを焼くのよ」 妻は痛いところを突いてきた。行動隊はテロリストだから警察にばれたら社長だろうが一発で逮捕だ。
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92 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/29(土) 20:58:11.20 ID:Lh+lR3Ss - 「俺はな、かくかくしかじかで行動隊に入ったんだ」
「それは知っているけど、テログループは駄目よ」 「しかしな、俺がリーダーなんだし、涙田は明日ミッションがあるから寝ないといかん」 その涙田は、社内で美雪にブローニングハイパワーを突きつけられていた。 「レッツ、セックス」 「わわっ」 「美雪、男女の仲に飛び道具は反則よ」と女子社員の一人が言った。 「そんなんだから、出入り業者に男を掴みさらわれるのよ!」と綾子。 「ちっ、命拾いをしたな」かちっとハンマーを下げ、ゆうゆうと美雪は去って行った。酒の匂いがした。
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