- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞ!!
990 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/09(日) 10:14:00.49 ID:CW66BTd/ - 風が舞う。踏み絵を呼び掛けるスピーカーの声。今は何時代なのか分からないが、ここ品野町では当たり前の光景だ。
「それと、もう一つは、これが最大の理由だが、俺は子供が好きで、殺すような作戦はどうしても乗り気になれなかった。 飯田と言う大幹部は馬鹿で、大きな建物さえ爆破すればいいと思っている」 もう一度街を見渡すと、今度は「全てのクリスマスツリーを焼き払え、クリスマスは絶滅せよ」と言う看板が見えた。 彼ら生華学会は仏教こそが正しい宗教だと言う考えに凝り固まってしまい国の宗教は仏教と教えていた。 貪理は、彼らを邪魔する存在だった。関西における最大の敵だ。 「成功しますかね」 「多分ね、思わぬ邪魔が入ったりしない限りは成功するだろう。壊滅的打撃を受けて貪理は当面立ち直れないだろうし、当面とは五年程度と想定している。貪理川の橋と送電鉄塔の復旧はその程度の工期はかかる。 JRの復旧は数カ月だし、水道は一日もかからず元に戻る。死者は多分数千だろう」 あっさりと馬淵は言った。
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991 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/09(日) 10:56:41.10 ID:CW66BTd/ - 貪理市壊滅作戦決行2日前(金曜日)。午前九時。
権田こと権は生華学会記念音楽ホールの第三リハーサル室にいた。無論音楽のリハーサルのためではなく 貪理市壊滅計画の総仕上げのためだ。適当な広さがありある程度の期間押さえられて出入りが目立たない場所がここしかなかったのである。 室内には大型の地図が広げられて爆破の手筈が確認された。 「爆破は日曜午後二時きっかりです。ハイ!」 『死神博士』は右手を高く掲げ「ハイル・ヒトラー式敬礼」をした。これは正確にはローマ式敬礼と言いナチスの忌まわしい記憶と 同一視されている敬礼だったが学会内では「先生」に対してだけ内々に使われる最高の敬礼であった。
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992 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/09(日) 19:56:08.41 ID:CW66BTd/ - 「つまり、その瞬間には奴らは消えていなくなる訳だな?」権は言った。
やつらとは誰の事なのか、『死神博士』にはとっさに分りかねた。 彼の本名は馬淵孝太郎と言い三十二歳でバリバリの学会員であり、作戦参謀である。全ての学会の敵と戦う覚悟はできていた。彼の知識の限り全力も上げていた。 まあ、やつらとは多分貪理教の教主と大幹部たちの事であろう、馬淵はそう見当をつけた。そうなると厄介だった。 「はっ! そ、そのう……」 「なんだ?」 「建物は吹っ飛びます、それは確かです」 「爆発物が発見され処理されることはあるまいな」少し違う方へ権は話を持って行く。 「発見は、どうか分りません。ただ、今まで発見されていないものが日曜までに急に見つかると言う事はないと思います。 それに実は爆発物処理班は奈良県警全体に一つしかありません。奈良は広いですから大きな警察署に爆発物処理の講習を受けた警察官が配置されているところはあると思いますが、 爆発物を処理する大きな、液体窒素の装置などは一セットしかないのが実情なんです。隣の大阪府警には複数の爆発物処理班が存在しており関空など重要施設の警備にあたっていますが、奈良は手薄なんです。 従ってどんなに頑張ってもこれだけの爆発物を日曜に処理することは無理です。しかし、教主らが来なければ話は別です」 「なんだと?」
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993 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/09(日) 19:58:01.78 ID:CW66BTd/ - 「貪理は予知能力があると豪語しています。真実は違うと思いますが、阪神淡路大震災の時も予知したと言ううわさを流しました。
今回も何らかの形で事前に察知されるとこれまでの努力が水の泡です」 「ばかな、貪理のあれははったりだ。我が学会の方が本当の「福運」を受けているぞ。阪神大震災の時も誰も学会員は死ななかったし、311の時も学会員は全員会館に 避難していて無事だったのに地域の非学会員は全滅した所が続出、これこそ仏罰、すべては日蓮さまのみ心によるものなのだ」 それも大うそであったが一々それをクールに指摘しても始まらないのであった。馬淵はうなづくしかなかった。 「それに、そういう場合はハゲどもが何とかしてくれるそうだ」と権田は言った。 「は?」 ハゲと言うのは僧侶を揶揄する言葉でこの場合は『日蓮宗教義派』を指す。 「分業制だ。現場ではハゲが働くことに決まった」 「と、言いますと?」と馬淵。目をぱちくりしている。 「特攻コマンドが現地に潜入済みだ。」 「し、しかし、スキンヘッドではえらく目立つのでは? 」 「いやいや、やつらハゲもそこまで向こう見ずではない。訓練した『終りの人』が特攻コマンドだ。もちろん彼らは戻ってこない。文字通りの特攻コマンドだ」 「え?」 「何か質問でも?」
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