- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞ!!
986 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/08(土) 07:33:48.21 ID:vwLs/L4K - 実際には、馬淵は貪理市の弱点、本当の弱点を知っていた。
中華料理屋でそれを考えながら馬淵は、春菜を見た。 春菜と言う指揮官は彼よりも年下で序列も下であった。指揮官が参謀よりも下という奇妙な関係だが彼女に馬淵は教えた。 「実は、貪理の弱点は別にある」 「それは何です? どうしてそれを爆破しないんですか?」 馬淵は、酸っぱい顔で言った。 「ラーメンが伸びるぞ」 「あひ……ふは……」 「本当は、市内の保育園幼稚園小学校中学校、全てを大々的に爆破したらいい、もちろん、授業のある平日にね」 そう言って、彼はチャーハンマーボー掛けを一口食べた。
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987 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/08(土) 07:35:15.41 ID:vwLs/L4K - 「でも、それは子供の大虐殺にはなっても、貪理の撃滅と言う意味では今一つではないでしょうか? 貪理教の子供が多いだろうと言う事は分かります。それは圧倒的に多いだろうと思いますが、今活動している大人はどうするんですか」
「それは別に放置でいい、それはいいんだ。 貪理市は大パニックになる。 あそこは代々貪理の重職と言う家が多い。そうした家は全て後継ぎを失ってしまう。そうでない家も昔からの貪理だ。そうした家もまた後継ぎを失う。街じゅうが悲しみと絶望のどん底に陥るだろう。 しばらくすると、貪理は自然消滅的に下火になって行く自分たちに気がつくだろう。次世代を担う子供がごっそり殺されるという事でな。 もちろん、全国にはまだまだ貪理教は、爆破の当日にはいる。全国に信者がいるんだから当然だ。 しかし、かれらはやがて子供が殺される貪理に居続ける事はないと考えるようになって行く。子供を殺すと言うのはそう言う狙いがあるんだ。もちろん、そう思わせるためには嘘でもこれからも殺し続けるぞと言う脅しも必要になってくる。 そこらは考える必要があるが。自分が殺される、ではなく、自分の子供が殺されるかも、と思わせるのがポイントだ」 「なるほど」 「もちろん、貪理もあらゆる対策を打ってくるだろうが、しかし、貪理市で大量に子供を殺しておけばどういう対策を打とうが子供が生き返る訳はないから、子供大虐殺の記憶がよみがえってくるばかりで逆効果だ」 「それは……」
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988 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/08(土) 19:54:05.61 ID:vwLs/L4K - 「一方、貪理市ではどこの家庭でも号泣、学校は廃墟、これは立て直そうにも立て直しようがない。校舎は直せるがここでも子供が生き返る訳はないと言う事になってくる。
そうこうしているうちに、あの貪理で貪理立ち退き運動すら起こるかもしれん」 「まさか」 「それは、貪理教以外の遺族は絶対そう言う心境になるだろう。悪いのは生華学会なのに貪理教が悪いかのような錯覚を抱く。彼らは貪理がいたから学校が爆破されたのだと考え、貪理に恨みを抱くようになる」 会計は馬淵のおごりだった。この「神遊園」は彼らの行きつけの中華で、今日は馬淵がおごりの番なのだった。 二人は並んで生華学会の街、品野町のメインストリートを流れて行った。風は寒いが陽光は暖かい。 町では「すべてのクリスマスツリーを切りはらえ」の旗がはためいていた。なるほど生華学会は仏教だからクリスマスはNGに違いなかった。 品野町は宗教の街だが、それは仏教系でありサンタは敵なのだった。
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989 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/03/08(土) 19:59:38.26 ID:vwLs/L4K - 「近藤、サンタさんのクリスマスプレゼントはどこから来るか知っているか?」
「北極にある秘密のおもちゃ工場からです」春菜は答えた。 「しかしその原料はなんだと思う」 「さあ?」 「それは未来から届けられる、大人になった時に、 ああ、失ってしまったなあと思った物は過去のおもちゃ工場に転送されてクリスマスプレゼントに加工されるんだ」 「哲学ですか」 「そうかも……」 ふと見ると街角焚書コーナーがあった。聖書や経典が燃やされていた。コーランも燃やされていた。 すべての異教はみな生華学会にとっては仏敵、人は殺しつくし本は焼き尽くさなければならないものなのだ。 馬淵はそれを見ながらやや考えて言った。 「俺は子供こそが未来を開くカギであると考えている。それは多分正しいだろう。 だから人間は子供を作るのだろうし、サンタクロースと言う子供にプレゼントを与える架空の存在があたかも実在するかのようにふるまう。 だから子供を奪ってしまえば現在はあっても未来はないと言う事になる」 「ではなぜそれを作戦に盛り込まなかったんですか」 「一つは、貪理祭りは日曜日であった。学校や幼稚園、保育園は休みで、爆破しても無意味だった」 「ふむふむ」
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