- 連続ドラマ小説「二ホンちゃん」45クール目
290 :マンセー名無しさん[sage]:2012/03/09(金) 23:40:05.66 ID:gfs0LMX+ - 「極悪非道足ジュース」
社交ダンス部にいてもタイヘイ池の集りにいても全く目立たない 人がいます。それは誰かといいますと。 「誰・・・・・・だったかしら」 「ええと、タイヘイ池でしかも社交ダンス部に出ているクラスの 人?誰だったかな」 ニホンちゃんとメヒコ君が真剣にです。そうある人に問われて首 を傾げさせています。 「社交ダンス部も二十人に一気に増えたからね。これまでのわた しにアメリー君にロシアノビッチ君に加えてチューゴ君にメヒコ 君にオージー君にインドネシアちゃん。ああ、カンコ君もだった わよね」 「他にいないかな」 そのある人はニホンちゃんにさらに尋ねます。 「タイヘイ池で社交ダンス部のメンバー。ほら、誰かいたと思う けれど」 「ええと?誰だったかしら」 ニホンちゃんは本気で思い出せません。それはメヒコ君も同じで した。 首を捻りながらです。ニホンちゃんに言いました。 「イン堂・・・・・・じゃないよね」 だって。イン堂君ってイン堂池じゃない。確かに社交ダンス部に いるけれどタイヘイ池にはお家が面してないわよ」 「エーペックに入りたいって言ってたけれどね」 「タイヘイ池じゃないからね。けれどそれ言ったらブジリー君と アル君も違うわよね」 「二人はタイセイ池だからね」 だからこの二人も違います。
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- 連続ドラマ小説「二ホンちゃん」45クール目
291 :マンセー名無しさん[sage]:2012/03/09(金) 23:48:12.38 ID:gfs0LMX+ - こうお話していって二人は余計にわからなくなりました。社交ダ
ンス部のメンバーもタイヘイ池のメンバーもざっと考えてみまし たがそれでもです。 「わたしがさっき挙げた人で皆よね」 「そうだと思うけれど。僕も」 メヒコ君も同じ見方でした。そしてです。 ニホンちゃんとメヒコ君はその尋ねてきた人にです。こう答えま した。 「その他には誰もいないと思うけれど」 「そう思うよ。ところで君ちょっと見ない人だよね」 メヒコ君は尋ねてきたその人に問い返しました。本当にはじめて 見たといった顔で。 「うちのクラスじゃないわよね」 「そうよね。誰なの?」 ニホンちゃんもその人に尋ねます。 「本当に誰なのか知らないけれど。それでもわたし達のことは知 ってるみたいだけれど」 「誰なのかな、本当に」 「・・・・・・僕のこと知らないのかな」 「御免なさい、本当に誰かは」 「知らないけれど」 「・・・・・・じゃあいいよ」 その人は二人の真剣に首を傾げさせる態度に何かを諦めた感じに なってです。そうしてでした。 そのお話はいいとしたのです。そして二人にあらためてこう言っ たのです。 「じゃあ。タイヘイ池にいる社交ダンス部のメンバーはそれだけ だね」 凄く脱力した感じの言葉でした。
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292 :マンセー名無しさん[sage]:2012/03/09(金) 23:57:22.56 ID:gfs0LMX+ - 「ううんと。とりあえずわたし達の知ってる限りではこれだけの
メンバーだと思うわ」 「他にはいないと思うよ」 ニホンちゃんもメヒコ君もこう答えました。こうして二人への質 問は終わったのです。 けれど後に残ったその人はがっくりと肩を落としてそのうえでと ぼとぼとお家に帰りました。そしてあるお家ではこんなぼやきが 出ていました。 「誰からも名前も顔も知ってもらえる。そんな人になれるのは何 時の日なのかなあ」 「そんな日は絶対に来ませんわ。安心することですわ」 尊敬する、よりによってそれがフランソワーズちゃんというかな り奇特な人を見る目の持ち主ケベックちゃんがです。実の兄であ るカナディアン君にとても冷たく告げていました。 「お兄様が目立てるなんて。それこそオゴポゴやビッグフットの 方がずっと目立てましてよ」 「それどっちも人間じゃないじゃない」 「それどころかどういった生き物なのかもわかっていませんわね」 「何なのかなあ、どっちも」 目立てないことの他にもです。カナディアン君の悩みはあります。 それはこうした生き物達が実際にどんな生き物なのかということ です。 そしてこの生き物達をお話に出してです。カナディアン君はケベ ックちゃんにまた言われたのです。 「とにかく。お兄様は地味だからお兄様でしてよ」 「それ、全然褒めてないよね」 このことだけはわかることでした。残念ながら。
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