- コロンビア 2.5
404 :名無しさん@お腹いっぱい。[]:2010/05/14(金) 06:38:33 ID:pLD5bSZI - モックスの意外な健闘:コロンビア緑の党の躍進 / W・ジョン・グリーン
コロンビアで緑の党のアンタナス・モックス人気が驚くほど高まっている。これはラテンアメリカ専門家の間でさえ広まっている紋切り型、 すなわち、救い難いまでに暴力にとらわれいみじくも「模造民主主義」と言われる国のイメージからはかけ離れている。コロンビアの 民主主義は、矛盾は抱えているものの現実のものであることをモックスと緑の党は示している。モックス人気が突然沸き立ったことは 驚きではない。むしろ、コロンビアの社会進化における二つの主要政治潮流間にずっと以前から存在した闘い----大衆を動員した運動と 民主的楽観主義が繰り返し大統領・政府に挑戦してきた歴史----の新たな一章なのである。大統領側は現在アレバロ・ウリベが 代表しており、暴力や脅迫に精通している。懸っているのはウリベがどのように歴史に記憶されるかだけではなく、ウリベ政府の 厳しい現実の中でホワイトハウスが立場を変え、オバマが上院議員だったときには反対していた米=コロンビア自由貿易合意を 支持するかどうかでもある(米国政府はそうしたがっているようである)。 それにしても、今や新しい流れが起きている。二期にわたりボゴタ市長として人気を博したモックスは数学者、哲学者、ボゴタ国立大学の 元学長である。リトアニア系移民の子どもで派手好きの変わり者、学生集会では注意を引くために尻を丸出しにして見せたこともある人物。 市長としてはタイツにケープ姿で「超市民」を気取り、サーカスのテントで像に乗って結婚を披露した。戦争に引き裂かれたコロンビアで、 彼は平和主義の趣旨を掲げている。
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405 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/05/14(金) 06:41:13 ID:pLD5bSZI - モックスはボゴタの進歩的な元市長エンリケ・ペニャロサ及びルイス・エデュアルド・ガルソンと組んだ。二人は緑の党から共同で
大統領予備選挙に出馬し、勝者を支持する約束になっている。緑の党の人気上昇はまさにめざましい。当初目標は予備選挙で 50万票だったが、182万2856人が緑の党に投票した。これには緑の党自身が驚いている。党の大統領候補を選ぶ3者レースで党員は モックスを選んだ。定評ある『セマナ』誌でコラムニストのダニエル・コロネルは、緑の党/モックスの政府は「これまで知っていた政府とは まったく違うものになるだろう」と書いている。ホルヘ・タデオ・ロサノ大学のホセ・フェルナンド・イササ学長は、最近の政府(すなわち アレバロ・ウリベ現大統領の政府)とは違い、モックスの政府は政敵を迫害しないだろうと述べている。 2002年、コロンビア最大の武装ゲリラFARCの誘拐をはじめとする治安不安に怒った市民により選ばれたウリベ大統領は20年近く続いた 度重なる和平交渉を終わらせた。いずれにせよ和平交渉は左派政治家と強硬右派、中道派の大量殺害の中で挫折していたのだが。 実際のところ、1940年代後半から、コロンビアでは改革と弾圧が何度も繰り替えされ、政治経済的な変化の試みは暴力的な巻き返しを 引き起こしてきた。暴力はその時々の邪魔者に対処する由緒あるコロンビア式方法となっていた。60年にわたるコロンビアの政治的苦境を ウリベの攻撃的方法が解決する可能性はそもそもほとんど常にゼロに近かったが、それにもかかわらず、強硬派のやり方に対する信頼が 消え去るまでには8年もかかったことになる。
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406 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/05/14(金) 06:42:12 ID:pLD5bSZI - コロンビア最高裁が予想外の気骨を見せてウリベの3選出馬を禁じたあと、ウリベが後継者として公認したのはウリベ政権の元国防相で
好戦派のフアン・マヌエル・サントスであった。サントスはウリベの「民主的治安」政策----ELNとFARCという主要なゲリラ運動に対する 強硬な非妥協的、交渉無用の方針を特徴の一つとしていた----の代理人である。現在の政策によりコロンビアは永続的戦時体制に 置かれることになった。この戦略が現在も相当のコロンビア人に強く支持されていることは胃底できないし、4月上旬までサントスの勝利は 確実視されていた。しかしながら、ウリベ政権時代のスキャンダルと濫用が次第に問題視され(とりわけ政府と軍が準軍組織に関与していたこと)、 最終的にそのツケが回ってきた。 とりわけ3月の議会選挙で緑の党が上院の5議席を獲得した現在、大統領選挙は突如として方向転換の可能性を含むものの様相を帯びてきた。 その直後にモックスはやはり人気の元市長(コロンビア第二の都市メデジンの元市長)セルジオ・ファハルドを副大統領候補とした。フファルドも やはり数学者で元々は研究者だった。汚職繁体と市民の責任を強調するといういささか曖昧な二人の政策は驚いたことにふたを開けてみると 大人気だった。政策は成長重視でビジネス界から大きな支持を得ており、モックスはゲリラが誘拐した人質を解放しないかぎりゲリラとは 交渉しないとの立場をとっている。彼は明白に「反=政治家」候補であり、「反ウリベ」の旗振り役として人気を博したのも確かである。隣国を 爆破することについて意見を聞かれたとき(2008年にウリベはエクアドルのFARCキャンプを攻撃していた)、モックスは自分ならばコロンビア憲法と 国際条約を遵守すると述べた。モックス支持者はモックスがパーキンソン病の初期段階にあることを自ら明かしたことさえ彼の強みに変え、 本当にふるえているのはウリベ側であってしかも恐怖にふるえていると冗談にした。4月上旬、モックスは大統領候補の人気度をはかる調査で 躍進し2番手につけた。これらの調査では保守党候補ノエミ・サニンは脇へ追いやられた。4月の最終週に行われた世論調査でモックスは1番手に 躍り出、決戦でサントスに勝つ可能性も出てきた。モックスは5月30日の第一次投票で過半数の得票を得るかもしれないとさえ主張した。
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407 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/05/14(金) 06:43:32 ID:pLD5bSZI - これに対してモックスに対立する側は治安問題への恐れを強調する。この方略はまず4月上旬に大統領府から始まった。
ウリベ大統領が、モックス市長(ウリベが大統領に選出されたときにボゴタ市長だった)は2002年にウリベが大統領に就任した 際のモックスの治安対策が脆弱だったため、FARCの原始的な迫撃砲による攻撃を受けることになったと騒ぎ立てたのである。 それから数週間後、ウリベは「足の動かない馬」にコロンビア国民を守る仕事ができるわけがないと、モックスのパーキンソン病を ほとんどあからさまに仄めかして述べた。ウリベの信奉者で自称----無根拠だとしても----大統領候補の元農業相アンドレス・ フェリペ・アリアスも同様の主張を繰り返し、FARCを「パントマイムと向日葵で打倒することはできない」とからかった。向日葵は むろん緑の党のシンボルで、ボゴタ市長だったモックスは交通違反者たちに責任ある運転を促すためにパントマイムを使ったことがある。 誘拐した捕虜を解放しない限りゲリラとは交渉しないと繰り返し主張し、ウリベ政権が達成した「治安の進歩」を維持すると約束してきた モックスは、以前、ウリベがモックスのボゴタ市長としての治安対策を賞賛し、賞を授けたことさえあったことを指摘する(実際、ウリベに とって不都合なことにこれを証明するビデオはあまた存在する)。 進歩的左派勢力は、復活の準備は整い、勝つことさえできると考えている。進歩勢力は、昨年のオバマの選挙キャンペーンと同様、 新たなメディアの役割を理解していることを示した。モックスとファハルドはフェイスブックとツイッターで大人気であり、都市部と若者の票を 相当見込むことができる。二人は一日に1万人単位で新たな「友人」を作っており、2カ月ほど前に200人だった友人は4月29日には45万人に 達している。モックス人気はラテンアメリカにおける中道左派政治に新たな希望をもたらし、また国内的にはウリベ政権時代に対する重大な ノーを突きつけ、最近の政策との決別を体現している。とはいえ、勝利が容易なわけではなかろう。モックスは農村部および大西洋岸の支持を 得る必要があるが、これらの地域では数十年にわたって準軍組織が住民を「浄化」してきた経緯があり、左派寄りの有権者と候補は 継続的な脅しにさらされているため、モックスの挑戦は困難を強いられるからである。
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408 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/05/14(金) 06:45:02 ID:pLD5bSZI - 緑の党の主張の中心にあるのは政治道徳の回復という永遠のテーマである。これはコロンビアでもっとも有名な大統領選と響きあう。
社会正義と「分配」正義を主張し、1946年の大統領選で「共和国の道徳と民主主義の復興」を掲げて殉教したホルヘ・エリエセル・ ガイタンである。彼は自由党有権者の票を分断してその選挙には負けたが、もし殺されていなかったら1950年の選挙では大統領に 選出されていたはずだと歴史家たちは言う。1948年にガイタンが暗殺されたことが、1960年代半ばまで続き、ある意味では現在まで続く、 「ラ・ビオレンシア」(暴力)時代をもたらすことになった大きな原因であると多くの人は考えている。そうしたことから、コロンビア人は、 モックスのように元気のよい候補は大統領に選出される前に殺される可能性が高いことをよく知っている。 モックスを中心とする左派=中道連合の勝利----今やその可能性は高くなってきた ----は元気の出るビジョンであるが、同時に恐怖の 種も含んでいる。コロンビアがずっと引きずってきた悲惨な問題と危険はなくなっていないのだから、暴力的反応を引き起こす可能性が あるからである。 W. John Greenは米国における著名なコロンビア専門家で、ワシントンにある西半球問題委員会の上級研究員で、本記事は西半球委員会で 最初に発表された。 著書に Gaitanismo, Left, Liberalism and Popular Mobilization in Colombia (Gainesville: University of Florida Press, 2003)がある。 原文:http://www.counterpunch.org/green05072010.html http://trans-aid.jp/viewer/?id=10464&lang=ja
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