- 【小説】スナック眞緒物語【けやき坂応援】
711 :名無しって、書けない?(東京都)[]:2019/11/04(月) 21:24:42.42 ID:1pYm39e90 - ひよひよワールド(その20)
恐怖の対象だった半グレ集団は叩きのめされて惨めな状態となっている。 なんて強い人なの!こんな人が現実にいるの! 汗一つかかず、その男の端正な顔は何事もなかったように冷ややかだったが、どこか悲しげでもあった。 やだ、私、なぜどきどきしているの? さっきまで恐怖のあまり蒼ざめていた美穂の顔は火照っている。 ひよたんはバトルからは目を背けていたが、「ダイローリー、ありがとう」と言いながら、踊り場から下に降りてきた。
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- 【小説】スナック眞緒物語【けやき坂応援】
712 :名無しって、書けない?(東京都)[]:2019/11/04(月) 21:25:19.00 ID:1pYm39e90 - ひよたんに駆け寄りながら、「こんなとこからは早く抜け出してお家に帰ろ」と美穂は言う。
「私はダイローリーが捕まらないように、一緒に逃げなきゃ。美穂ちゃんのほうこそはやく避難してね」 「私たちを助けてくれたことによる正当防衛だから、その人は捕まらないよ。私が警察で証言してもいい」 「ううん、ダメなの。美穂ちゃんは1階から早く出て行ってね。私たちは屋上から逃げるから」 「いや、ひよたんが一緒じゃないと帰れない」 「必ず美穂ちゃんの元に戻ってくる。約束する」
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713 :名無しって、書けない?(東京都)[]:2019/11/04(月) 21:25:36.75 ID:1pYm39e90 - 美穂はしぶしぶ引き下がる。
倒れている半グレ集団の間を抜けて、下り階段まで来て、美穂は振り返ると、ひよたんは手を振って見送ってくれていた。(続く)
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714 :名無しって、書けない?(東京都)[]:2019/11/04(月) 21:27:47.95 ID:1pYm39e90 - ひよひよワールド(その21)
玄関の外で待っていた母親は、戻って来た美穂を抱きしめた。 「私もひよたんも大丈夫。ひよたんは今はとても強い人と一緒だから心配ないと思う」 「暖かい飲みものを出すから、何があったのか話して」と母親はダイニングに連れて行く。 テレビの画面が美穂の目に入った。 「6人を殺害した大道寺修一が逃亡中」という字幕とともにその犯人の顔が映りだされている。 美穂は慄然として、「お母さん、今すぐ、車で警察に連れて行って!事情は車の中で話す」と言う。
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715 :名無しって、書けない?(東京都)[]:2019/11/04(月) 21:28:19.80 ID:1pYm39e90 - 埼玉県警の捜査本部は騒然としている。
「私、たった今、その逃亡犯と会っていました。私の友だちがいま一緒にいます。 お願いです、早く捕まえて、身の安全を確保してください」 話を聞く担当の二人の刑事に昨日の出来事を洗いざらい美穂は話す。 その話を聞いた刑事はすぐにスーパーに向かうように怒号を飛ばし、捜査本部の中はさらに騒然となる。
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716 :名無しって、書けない?(東京都)[]:2019/11/04(月) 21:28:31.80 ID:1pYm39e90 - 大道寺がなぜ犯行をするのに至ったのかを美穂は刑事に尋ねる。
「4年前、大道寺の当時中学生だった妹は強姦されたあげく殺されました。 その下手人の祖父がいわく付きの人間で事件をもみ消そうとしました。 それに感づいた大道寺の両親が真相を明らかにしようとしたら暴力団に殺害されました」(続く)
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