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名無しって、書けない?(庭)
【小説】欅坂米谷「不協和音は誰や?」 [無断転載禁止]©2ch.net

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【小説】欅坂米谷「不協和音は誰や?」 [無断転載禁止]©2ch.net
494 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 20:44:06.05 ID:vLqCUahma
平手は長濱へ睨み付ける攻撃をする。
対して長濱は平手をスリーピースで制する。

長濱「ごめん。三分だけ休ませて」

平手「いいよ。休みな」

一言だけ交わし、二人は背を向ける。
長濱は運転席に座り、目を閉じる。
平手は三日間座っていた三列目窓際の自分の席に腰を下ろし、窓の外を見る。
19人の仲間たちがバスを心配の眼差しを向けていた。

平手「虹花。上村、尾関。土生ちゃん、みーちゃん……。鈴本、菜々香。しーちゃん、愛佳。理佐、ぺーちゃん、葵、オダナナ……。あかねん、ゆっかー、ふーちゃん。こばゆい、ずーみん。よね!」

彼女たちと長濱は北欧へ行く選択をし揺るがない。
ただ一人だけ行く選択をしていない少女は揺れていた。

平手「さて、と……」

平手は今日までの三日間を振り返る。
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495 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 20:50:10.28 ID:vLqCUahma
山梨にある富士急ハイランドで初のワンマンライヴを二日間やった翌日に事件が起きた。
"事件"ではないのか、何て言えばいいだろう。
犯罪はしていないらしいから、"物語"とでも言っておこう。

平手「0……」

一日目。

物語が始まったのは一昨日の朝。
ライヴの翌日ということもありオフの予定だったのに、前の晩に急に泊りがけのロケの連絡が入った。

当日漢字欅20人を乗せたバスは東京を出発した。
誰も行く先を知らないことから、すでにドッキリを仕掛けられているものだと思っていた。

織田が個室へ入ると、大きな叫び声と物音がした。ふーちゃんが個室を覗くと腰を抜かした。
個室から出て来たのは血まみれの織田とナイフを持った黒ずくめだった。
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496 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 20:52:00.28 ID:vLqCUahma
黒ずくめから全員個室に入るように言われて、力と頭を使って入った。
しばらくして個室から出されると高速道路に入っていて、白ずくめが現れた。

白ずくめからの命令は「七不思議を解け」、ルールは"回答権三つ"というものだった。
その後に四方と中央通路に壁が飛び出して、右側と左側に二分化させられた。

米たちがいた右側は、冠番組で去年の秋にやった運動会のチームガチのメンバー10人。
私のいた左側は、チーム割と平和主義のメンバーで、ねるの代わりに運動会を欠席した私の9人。

前方で人質にとられた織田を助けるため、七不思議を解くことにした。
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497 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 20:57:48.12 ID:vLqCUahma
平手「1」

一つ目、最初の七不思議は平和チームに出された。
"@佐藤詩織の顔"について、一時間半かけて解いた。

ぺーちゃんが前の席、織田の座っていた席の下から一片のメモを見つけた。
それには、"この中に不協和音がいる"と書かれてあった。

平手「……2」

同時進行で、二つ目の七不思議がガチチームで出されていた。
"❷上村莉菜の指"について、解くのに二時間超かかったらしい。

ガチチームは黒ずくめと白ずくめが一人二役やっているのではないかとにらみ、次に黒ずくめか白ずくめが現れたら襲いかかりバスを降りる作戦を立てた。

一つ目、二つ目の七不思議を解いたことにより両チームの窓際を塞いでいた壁が消え、外の景色が見えるようになった。
茨城県から福島県に入り、さらに北へと向かった。
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498 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 21:05:29.62 ID:vLqCUahma
平手「3……」

三つ目の七不思議は平和チームに出された。
"B守屋茜の負けん気"について、三回目の回答権を使って解いた頃には日が暮れていた。

途中、先にガチチームが四つ目の七不思議を解いたらしく、個室のある後方の壁がなくなった。
おかげで個室に両チームが行けるようになったけど、ガチチームに会えない対策がされていた。

その後に、平和チームで三つ目の七不思議が解けて、個室の前にある謎の間の扉が開くようになった。
そこには人数分の数日分の水と食料があってみんなで分けた。
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499 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 21:08:41.08 ID:vLqCUahma
平手「4」

四つ目の七不思議はガチチームに出された。
"C菅井友香の本気"について、四時間で解いていた。

このバスは21人乗りということから黒ずくめと白ずくめが一人二役していると予想してバスを降りる作戦を実行する。
前方から様子見に来た黒ずくめを全員で襲いかかろうとするも、後方から白ずくめが入って来て作戦は中止となったようだ。

みーちゃんは犯人は運転手、黒ずくめ、白ずくめ、後続車の成人男性四人ということからずーみんのお兄ちゃんの数と同じで"今泉犯人説"を指摘した。
ずーみんは復帰の意気込みを言いながら否定していたとか。

バスは宮城、山形、新潟を経由して長野で高速道路を降りた。
着いたのは軽井沢にあるキャプテンゆっかーの別荘だった。

七不思議を解かされているのか、どうしてここを知っているのか、東京から出発して長野に来るまで遠回りをしたのは、目的、何もかもが分からなかった。

そこでもガチチームの子とは会えず、二分化されたまま。
人里離れた山奥で何が待ち受けているのか、不安を抱きながら眠った。
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500 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 21:14:15.48 ID:vLqCUahma
二日目。

地下にでも監禁され一生日の光を見ることはないと思っていたけど、何事もなく夜明けとともに目を覚ます。
日が少し昇った頃、再びバスに乗せられ出発する。

平手「……5……」

五つ目の七不思議はガチチームに出された。
"D渡辺梨加と渡邉理佐の関係"は五時間以上かけて解いていた。

軽井沢から出発したバスは、埼玉、東京、神奈川を通り静岡にまで来ていた。
遠回りの意味と目的地は分からず、織田を心配しながら、次の七不思議に備えていた。

平手「…………6」

六つ目の七不思議は割と平和主義チームで出された。
"E今泉佑唯の自信"を解くのに、六時間かかっても解けなかった。

難しすぎて解けそうにないと諦めかけた時に本人に聞くことを思いつき、似ていると言われている鈴本と入れ替わる作戦を立てる。
運転手が小休止するため人気のない滋賀のPAに降りた際に作戦を実行するも、最後の最後で入れ替わりに気づかれて失敗に終わる。

鈴本は今泉からヒントをもらい六つ目を解くことができ、私たちを二分化していた中央通路の壁が動き出す。
バスは本州・兵庫から淡路島へ走る。
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501 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 21:17:33.95 ID:vLqCUahma
淡路島を通り、四国・高知に入る。
中央通路の壁がなくってガチチームと再会でき、お互いの無事と情報を共有した。

平手「……。7」

七つ目、最後の七不思議が出て両チームで挑む。
"❼平手友梨奈の過去"を、夜七時からとりかかり最後の回答権で解いた。
とても信じられない答えだったけど、最後の一枚と思っていた前方の壁がなくなる。

前には織田の姿はなく、黒ずくめが控えていて、運転席はおなじみの壁に囲まれていた。
黒ずくめは「七不思議は七つではない」とか言って、後ろの個室へ消えてった。

愛媛の港でフェリーに乗り、夜の海峡を揺れる。
突然みいちゃんが全員死亡説を唱え、夢ならそれもありえるかもと思った。
現実は、このまま海外に売り飛ばされると震える子もいた。
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502 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 21:29:37.97 ID:vLqCUahma
三日目。

日付変わって今日、船が九州・大分の港に着きバスは三度走り出す。

平手「8…………」

八つ目の七不思議が出され、みんなはフルマラソンを走り終えたと思ってたのにゴールは50kmだと言われたような気持になる。
"❽長濱ねるの加入"を解く前に、米が名推理で"不協和音"を当てる。

この危なっかしい計画を立て行った"不協和音"は、織田奈那、齋藤冬優花、長濱ねるの三人。

"犯人"ではなく"不協和音"と言っていたのは、拉致監禁罪、脅迫罪、銃刀法、電波法、道路交通法の全てに触れていないからと言う。

最後の七不思議は難しく、ねる以外の『不協和音』フロントメンバー六人で答えにたどり着いた頃、空が明るみ始めていた 。
運転席を囲っていた壁がなくなり、運転手ねるの姿を目にする。

長崎空港に着き、"不協和音"の三人は全てを話す。
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503 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 21:35:27.37 ID:vLqCUahma
目的は、乃木さんのライバルにして国民的アイドルグループ"AKB48に勝つために北欧へ行く"というもの。

全員の故郷を経由して、七不思議を解かせ、極限状態に追い詰めたのにも理由があった。
それぞれ、海外に行くからしばらく故郷に帰れそうにない、お互いのことをもっと解り合う、どんな困難も立ち向かいチームの団結を強める、と言っていた。

そして今ねるの最後のお願いの一対一での「おしゃべり」をして、みんな洗脳のようなものや論破、言い負かされてイギリスに行くことを決意しバスを降りている。
外にはもう19人がいて、バスの中には私とねるの2人だけだ。

私にこいつを止められるのだろうか。止められたとして外にいる子たちを説得できるか、19人も。
止められなければ、みんな揃って仲良くイギリスに行くことになる。

それとも、私は――
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504 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 21:39:40.32 ID:vLqCUahma
時刻は午前六時前、長濱の言った三分が経過した。
長濱は運転席から立ち上がり、猿腕を上へ飛ばし背伸びする。
平手はサイレントマジョリティーモードのスイッチを入れる。

長濱「それじゃ、終わらそっか」

平手「上等だよ。英国のみじょか外交官ねる」

長濱「何その肩書!うける〜」

平手「私がお前を止める……!」

長濱「止められるかな。こないだまで中学生だったおこちゃまに」

平手「なめるなよ」

長濱「さっすが。じゃあ行くよ、平手友梨奈ぁああああぁ!!」

平手「来いよォ長濱ねるっ!」
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505 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 21:49:42.50 ID:vLqCUahma
長濱「ねるが二十人目で、てちがラスト……二十一人目になる!」

平手「21人目はお前だ。昔も、今も」

長濱「……何?どういう意味で言ってる?」

平手「後で分かる。私たち坂組は登り続けなければ輝けない」

長濱「その通り。でももうあの坂の頂にいる。登り切ったら後はもう下るしかない」

平手「もう登り切った気でいるのかよ。だとしたらとんだ思い違いだな」

長濱「まだ坂の途中だって?アッハ、冗談!平坦だと思っとった道はほんの少し傾斜してただけのあの坂はねるたちには緩やか過ぎた」

平手「だから険しい坂に挑む?」

長濱「輝けなければ、AKBに勝つことはできない。乃木坂さんはもうダメだ。あそこはもう下り坂。寮に男性を連れ込んだり……もちろんそんな子たちはほんの数人だけど、AKBに勝てるわけない」

平手「失礼だろ。乃木さんもまだまだ坂を登り成長を続けている。でもAKBには勝てないだろうな、AKBのが強すぎて」
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506 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 21:57:06.52 ID:vLqCUahma
長濱「虚しい。そんなグループの妹分で終わるなんて……。だから勝つためには行くしかないんだよ」

平手「お前の言い分は今までの戦いを見て、よーく解った」

長濱「解ってくれたの?」

平手「私の答えはもう決まってる」

長濱「もう行くしかなくないよね!ね?」

平手「やってくれたな、本当に。最初に織田とふーちゃんを仲間にしたのが大きかったか」

長濱「へへへ」

一番年下ではあるが、一番難攻不落と思われていた平手が否定的ではない。
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507 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 22:00:28.32 ID:vLqCUahma
平手「お前がタイムリープして何十回かやり直していることは分かってる」

長濱「教えなきゃフェアじゃないから、そのために八つ目の七不思議だよ」

平手「単純に二十回くらいはやり直して今にいるのか?」

長濱「46回目。ちゃんと数えてたよ」

平手「そんなにやっていたのっ!?」

長濱「意外とゆっかねんにてこずって、ゆいちゃんずに苦戦させられて初めからやり直し〜だったかな〜」

平手「初めからってどこからだっ?」

長濱「う〜ん、それは秘密」

平手「……」

――ねるのそれは分単位で遡れるわけではなく、ある地点まで戻るもの。
  最初からというのは最後の戦いの最初なのか、それともこの危なっかしい計画の最初のことを指しているのか分からない。
  後者だとしたらバスを何千kmも運転して、私たちと戦っていたことになる。なんて執念なんだ。
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508 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 22:04:08.70 ID:vLqCUahma
平手「私が勝ったら、一人国に残る……」

長濱「え、一人だけ日本に残るってこと?みんな行くんだよ?ほら!」

長濱はバスの外で見守っている19人を指差し、平手がそれに目をやる。
外からは中の様子が見れないが、一同は心配してバスに視線を向けている。

平手「まだ話の途中だ。一人だけ国に残したい子がいる」

長濱「ん?それっててちはイギリスに行くってこと!?」

平手「ここまで来られちゃ行かないわけにはね……悔しいけど」

長濱「イエーイ!!一二三四五六七八九十〜!!!」

長濱は喜びの舞を平手へ求めるも、応えず結果長濱が一人で踊った。
滑った感じになり、恥ずかしさを咳払いでごまかして話を戻す。
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509 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 22:08:11.62 ID:vLqCUahma
長濱「で、誰その一人って?やっぱ葵ちゃん?それとも〜……」

平手「ねる」

長濱「…………は?え、待って。寝る?」

平手「お前だよ!長濱ねるッ!!」

長濱「ねる……私だっ!」

平手「……その様子、あとずーみんやよねとのやり取りを見て分かった。私とは初めてやるんだよな」

長濱「バレちゃったか」

平手「お前もうタイムリープするな。これは私とねるの一回きりの真剣勝負、人生と同じでやり直しなんかないんだから。いいな?」

長濱「……。いいいよ」

平手「"い"が一こ多いし、その間は何だよ!どうせやり直しても今の私が気づかないとか思ってんだろ?」
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510 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 22:14:28.32 ID:vLqCUahma
長濱「もしかして、人の心を読む機能を備えとる?」

平手「ないよ!でも、私も自分の"不思議"でねるのそれを止めさせてもらう!」

長濱「できるの!?」

平手「たぶん……」

長濱「何それっ!」

平手は自信なくはったりをかまし、長濱に笑われる。
相手にバレていることも分かった上で話を続ける。

平手「これは乱数ジェネレーター?で導き出した結果だから。もしやり直したら別の方法でお前のイギリス行きを何としてでも止める。止められなくても私は絶対に行かない!」

長濱「へ〜?ちなみに、乱数の範囲はどれくらいにしとる?」

平手「そうだな……。ねるが46回やり直したって言ってたから、それに合わせて46までとしとく」

長濱「ところで、自覚してるの?七つ目の七不思議の」

平手「信じれるわけないじゃん、自分がAIか何かだなんて……。でも、何かおかしいと思ってたことにも説明がつくから何とも……」

長濱「なるほど――いいよ。もう時間を遡らない。神様に誓う」

平手「信じるよ」
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511 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 22:29:30.64 ID:vLqCUahma
長濱「てちは行くわけだから二十人目で、ねるがニ十一人目って?もしねるが負けたら行けないから?」

平手「そういうこと」

長濱「この危なっかしい計画の言い出しっぺはこのねるなんだよ?」

平手「みんな揃って同じ意見だけじゃおかしいだろ?お前が行くのは私に勝ってからだ」

長濱「最後はねるがイギリスに行けるか試されるんだね」

平手「行きたいなら、私を抹殺してから行けよ」

長濱「ここで21人で行けなかったら生きてる価値ない。殺すつもりで行くよ」

平手「始めようか」

長い前座が終わり、平手ではなく長濱の渡英をかけた最後の戦いが始まる。
平手は喉と腰と気持ちを整える。長濱はクイズ大会の早押しの時のように意識を研ぎ澄ませる。
長濱の不思議の時間遡行は、平手の不思議によって封じられ一度きりの真剣勝負となる。
長濱が勝った場合は仲良く21人で海を渡り、平手が勝った場合は長濱1人を日本に残す。
どちらが勝っても平手が渡英することに変わりはない。
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512 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 22:36:25.17 ID:vLqCUahma
長濱「それで、論点は何にする?今までは行くか行かないで言い合ってたけど、てちはどっちにしたって行くんだもんね?」

平手「これはお前が行けるかどうかの試験のようなものだからな」

長濱「だよね。お題は?」

平手「ひらがなけやき」

長濱「けやき坂46。いいねえ――」

長濱は予想通りの論点となり、得意気に承諾する。
平手も長濱の土俵ということを知った上で妹分での勝負を挑む。
そのことに長濱が気がつき再び気を引き締める。

長濱「けやき坂があるから、ねるは日本に留まるべきってことでしょ?」

平手「その必要がなければまた論破すればいい」

長濱「OK。先手てちどうぞ」
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513 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:13:05.05 ID:vLqCUahma
平手「お前がいなくなったら誰ががなちゃんを統率する?お前がやらなきゃならないんだよ」

長濱「その逆。ひらがなはねるが……漢字がいるからこそ著しく成長を妨げられている」

平手「それは後輩の宿命だよな」

長濱「乃木坂さんの2期生だってずっとその苦悩と戦って日の光を浴びたのはほんの数人」

平手「あの人と、他何人か」

長濱「さらに3期生まで入って来てヒィーチャーされて、間世代の2期生がかわいそう」

平手「つまりあれか。今度入ってくるがなちゃん2期は実質3期生で、今のがなちゃんは実質2期生と」

長濱「上には漢字、下には若い後輩。間に挟まれたひらがなは今よりもやばくなる」

平手「十分恵まれてると思うけど」
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514 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:19:05.48 ID:vLqCUahma
長濱「AKBに勝つために漢字は世界に行けばひらがなはもっと成長できてる。お互いにWin-Winでしょ?」

平手「でも、その引っ張っていく人がいなくなったらダメだって言ってんの!」

長濱「だからその逆なんだって!漢字も上に誰もいなかったから、自由に飛び立てたんだよ」

平手「じゃあ聞くけど、あの子たちはサイレントマジョリティーを超えられるか?」

長濱「そ、それは……っ」

平手「無理か?」

長濱「いや、ジョリティーはズルいよ!」

平手「そんなの関係ない。自由とか成長とかどうでもいいけど、残されたあの子たちだけじゃうちらのデビュー曲すら超えられなければ話になんない」

長濱「いや待って!あの子たちの潜在能力はすごいんだから!」

平手「出たよ。ねるの必殺技の"持ち上げ芸"」
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515 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:24:57.06 ID:vLqCUahma
長濱「持ち上げ芸?何?」

平手「冠番組でお前ががなちゃんを紹介するときに、芸能界を覆す面白さ〜とかなんとか言ってたよね?あれは面白かったよ」

長濱「あれは、その違くて……やっぱバラエティーだったから……」

平手「ああ、やっぱりバラエティーだったんだ。じゃあ実際は違うんだ」

長濱「当たらずとも遠からず、だよ!!」

平手「いい加減だな、ただ投げやりでやってたのか。お前そういうとこあるよな」

長濱「うっ……」

平手「何度でも言う。お前がいないとダメなんだよ、ひらがなは」

長濱を諭す平手が一歩リードする。
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516 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:29:15.35 ID:vLqCUahma
平手「持ち上げ芸もそうだけど、お前ひらがなを蔑ろにしていないか?むしろ一人だった時の、あの時のお前はなんだったんだよ」

長濱「あの時のねるは……上京してきたのに、一人きりで……ひらがなに全力を注いできていただけ……」

平手「それがなんだよ?漢字と兼任となった途端……いや最近のお前は明らかに変わった、悪い意味で」

長濱「ねるがいるからこそ邪魔になってしまってるの!だからひらがなにはあまり干渉しなかった……」

平手「それは違うな。お前ががなちゃんに積極的に干渉しなかったのはずっと漢字にいたかったから、なんじゃないか?」

長濱「……否定はせん。何が起こるか分からない中、いつか兼任ではなくひらがな専任になってしまうことを恐れていた。だから敬遠してた」

平手「アンダーになりたくなかったんだよな。現実的に選抜との差はすごいものがあるから」

長濱「そう、アンダーのグループ……。そんなひらがなのことが大嫌いだったんだよぉ!!!」

平手「ねる……」
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517 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:37:09.99 ID:vLqCUahma
長濱「選抜落ちしたくないからひらがなを避けた。あの子たちもそれに気づいたのかあまりねるに懐かなかった」

平手「心に壁があるのは見て分かってた。ねるの心も鋭いあの子たちに分かってたんだと思う」

長濱「そんなことを感じさせていたねるにはリーダーは向いてない。一番下っ端の転校生が一番合ってるんだよ……」

平手「そうかもしれない。けど、お前はまだ与えられた役割を全うしきってない!!」

長濱「先生に、運営に、唯一与えられたけやき坂46」

平手「ひらがな2期生が来月入ってくる。その子たちの教育も、何もかも芽実たちに押し付けるの?」

長濱「…………」

ラスボスを前に弱体化した長濱はついに何も言えなくなった。
反撃の糸口を探すも、見当たらない。
長濱にはけやき坂を作ってしまった責任がある。
ひらがなの木の幹は長濱であり、その枝に12枚の葉がついている。
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518 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:42:42.65 ID:vLqCUahma
平手「兼任しているとはいえ、ねるとひらがなは運命共同体なんだよ」

長濱「ぅうう私もイギリス行きたーい!!」

平手「転校生なら尚のこと、まだお前は来るべきじゃない」

長濱「"まだ"……?またなの?私を置いていくの!?」

平手「うん」

長濱「うっ……。置いてかないでよぉ……」

平手「乗れるだけでいいじゃん」

長濱「っ……そう、だね……」

涙する長濱のその返事は敗北を意味した。
長濱は知っていた。自分が欅坂に入れなかった未来を。
退屈な高校生活をただ送る日々に耐えられない。
バスに遅れ、ハンデを負いってでも乗れたことこそが全てである。
そのために神から与えられた不思議だから、それ以上を望んではいけない。
乗り遅れる、それが長濱の運命だ。
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519 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:45:16.18 ID:vLqCUahma
長濱「まだ皆には黙ってて。話す時間もないし」

平手「分かったよ。離陸してから私から話すよ」

長濱「ありがとう、てち……」

平手「礼を言うのはこっちだよ。このまま乃木さんの後をついて行っていたら私たちは傷つかなかっただろうけど……いろいろありがとう、ねる」

長濱「AKBに勝つ、なんて夢を見ることは時には孤独にもなるよ?誰もいない道を進むの?」

平手「"この世界は群れていても始まらない"からな」

緊張の糸が解け二人は笑い合う。
平手は長濱から二枚の券を取り、その内の一枚を細かく破り捨てる。
紙屑が舞い散る中、長濱はふと思う。

――この紙吹雪が老朽化しないとして、偶然元の一枚の券に戻ることは永遠にない。
  ということは、私は北欧に行く運命ではないんだ……今は。
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520 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:47:29.78 ID:vLqCUahma
平手「イギリス着いたらどうすればいい?」

長濱「向こうに着いたらどこで何するかはオダナナとふーちゃんに託してあるから」

平手「そっか。ねるが行かないって知ったらみんな騒ぎだして飛行機落ちないか心配だな……」

長濱「違いないね」

平手「ひらがなを任せたよ」

長濱「一本の欅から色づいていくように、この国で少しずつ馴染んでいけたらいいかな」

平手「国民的アイドルになるって大変だよね。AKBはほんとすごいよ」

長濱「あ!てちも呼び捨てに!」

平手「まあ、ライバルだしね」
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521 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:48:53.13 ID:vLqCUahma
長濱「ひらがな2期生も入ってくるし、現実的な話AKBに勝てなくてもせめてSKEには勝つよ!」

平手「十分すぎる。やってくれ」

長濱「いつかきっと欅がAKB、けやきがSKEに勝ったら抱き合って喜んで涙流したいね?」

平手「Wで勝ったらな」

二人は手を繋いでバスから降りて、外に21人全員が揃った。
46時間の長旅をした黒いバスは空っぽになる。
一同は長濱の愛車『ブラックねるちゃん号』を見て笑う。
一しきり笑った後、センターが一言言う。

平手「行こう」

平手を先頭に、『二人セゾン』のウォーキングフォーメーションで颯爽と空港へ歩き出す。
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522 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:52:00.76 ID:vLqCUahma
7:00

搭乗時間となり名前の順で飛行機へ乗り込む。
途中、渡辺が空港内のどこかにキャリーバッグを置き忘れるという一波乱あったが、事なきを得た。
突然一人の少女が内腿を抑えて言う。

長濱「トイレ!突然の尿意が!」

土生「入るまで間に合う?」

長濱「いや、間に合わんから国で!」

長沢「じゃあ先入ってる」

原田「迷子になんないでね」

平手「葵じゃないんだから〜」

原田「〜〜っ!」

最年少平手の発言に近くにいたメンバーの爆笑を誘う。
年下に言われ原田は頬を膨らませるも怒らない。
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523 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:52:51.93 ID:vLqCUahma
守屋「早くしろよー」

米谷「一緒に行こか?」

長濱「先に行ってて。後で合流するから、ごめんね」

渡辺「ん〜飛行機怖いー」

渡邉「ほら、行くよ」

長濱の発言の真意に気づいたメンバーがただ一人いた。
彼女は渡辺と渡邉を先に行かせ、長濱と二人きりなる。
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524 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:53:12.32 ID:vLqCUahma
米谷「なんでやねん……ねる」

長濱「あー、やっぱりよねはスーパー優しいね」

米谷「……ひらがな、か?」

長濱「ご名答〜」

米谷「てちに負けたんか?」

長濱「逆転サヨナラホームラン打たれちゃった」

米谷「ほんまに後でちゃんと来るんやな?」

長濱「できることなら2ndくらいには。SKEを倒してからね」

米谷「約束やで」

長濱「"いつかどこかで合流しよう"」

米谷「最後に、さっき仲良くなれへん言うてほんまにごめんな……」

長濱「あっはは、また謝っとるっ!いいよ〜」

二人は熱い指切りを交わし、笑い合う。
指を解き別れは告げずに別れた後、二人は誰にも気づかれないように涙をこぼす。
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525 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:54:14.96 ID:vLqCUahma
純正漢字欅二十名全員が搭乗を完了した。
座席は全員固まってはいないが、孤立したメンバーはいなく誰かの近くには座っていた。
平手と米谷以外のメンバーは長濱もどこかに乗っているだろうとも思わず、全員乗っているものと疑いすらしていなかった。

石森「あっちって人とか治安とか大丈夫かな?」

今泉「大丈夫だよ!だって、世界には愛しかないんだから!」

上村「いつもの自信もさることながら、相変わらず根拠がないじゃない!」

尾関「どうにかなるだろう!」

織田「由依は……いや、欅は私の生きる希望!」

小池「オダナナ、ふーちゃん。不協和音を買って出てくれておおきにな」

小林「ねるがいなかったら私たちはどうなっていたんだろう」

齋藤「まあいなかったら私たちも幾百のアイドルの一つに成り下がっていただろうね。たぶんだけど」

佐藤「イギリスってさ〜サイレントマジョリティーがいっぱいいそうなイメージがあるんだよね〜!」

志田「実際に欅はイギリスをモチーフにしてるからな」

菅井「乃木さんはフランスだっけ?」
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526 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:55:35.64 ID:vLqCUahma
鈴本「あ!つっちーにお礼言うの忘れてたー!」

長沢「機内食まだかな」

土生「あとサワビにもだよ!」

原田「土田さんと澤部さんの二人に怒られるセゾン〜!」

平手「私的には活躍してこっちまで名前を轟かせたいと思ってる」

守屋「便りしなくても、よい便りを届けられるようにしようよ!」

米谷「頼りにしてんで〜?」

渡辺「たより〜フフフフフ」

渡邉「はーい、よくできました」

待ち受けているのは国にいた頃より、過酷なものになるのは間違いない。
しかし、未知な世界に対して不安より好奇心を強く抱く。皆がいるから怖くない。
このメンバーでならどこへだって行ける。何だってできる。
少女たちは夢を見て、夢で終わらせない。
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527 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:57:13.41 ID:vLqCUahma
フライトの時刻となり、飛行機は滑走路を走る。
機体が浮き、46度の角度で上昇していく。
窓の外を眺めていた平手は意を決して、立ち上がり仲間の方に振り向く。

平手「みんなあのねっ!……って寝てるし?」

仲間たちは長旅に疲れ、すでの夢の中にいた。
CAに立ち上がったことを注意され、謝ってから席に着く。

――話すのは起きてからでもいいか。私も寝る。
  昨日眠れなかったから、十二時間くらい寝そうだな。
  起きたらもう向こうに着いてるかも。

平手「待っていて、世界――」

直後に平手はスリープモードに入る。
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528 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:58:14.65 ID:vLqCUahma
展望デッキに空の旅客機を一人眺めている少女がいた。
風で乱れる長い髪を耳にかける仕草をする。

長濱「大好きだよっ。みんな、大好きっ」

少女は飛び立つ機体に向かって呟いた。
一昨日の9時から始まった46時間のとてつもなく長い旅を終え、物思いに耽る。
そして、飛行機を背にし歩き始め、自分に言い聞かせるように物語に終わりを告げる。

長濱「またバスに乗り遅れる」


-END-
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529 :名無しって、書けない?(庭)[]:2017/08/30(水) 23:59:23.19 ID:vLqCUahma
この物語はフィクションです。
実際の人物、団体とは関係ありません。


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