- 【HONDA】S660 Part172【MR OPEN】
946 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 03:34:43.03 ID:s14lA/gJ - >>913
ビートの発進はさらに遅いらしい
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- 【HONDA】S660 Part173【MR OPEN】
17 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 10:49:39.06 ID:s14lA/gJ - こうして“ゆるすぽ”の方向性は固まっていきましたが、2011年夏、プロジェクトには最大の危機が訪れます。
“ゆるすぽ”の開発計画が凍結されてしまったのです。 「気軽に運転できて速さはそこそこという“ゆるすぽ”では、社内の理解が得られなかった。軽のスポーツカー といえども、ガチでやりきったクルマじゃなければ、Hondaらしくないという判断からです。開発計画が凍結され たとなると、そのままではチームは解散です。でも、スポーツカーをつくりたいという強い思いがありましたから 、みんなで部屋に籠もり、どうしたらHondaらしさを保てるのかを考えて、コンセプトを練り直したんです」。 そこで生まれたのが“ガチスポ”、すなわち、本物のスポーツカーというコンセプト。軽のスポーツとしてもっと尖 った、際立ったキャラクターを持つクルマで、スポーツカー好きを唸らせるような性能を目指したものです。 「マイクロスポーツカーの本質を研ぎ澄ましたらこの“ガチスポ”に辿りつきました。けれども、誰もが寄りつかな いようなクルマではなく、とてもフレンドリーなクルマに仕上がっているし、気軽さも忘れていない。“ガチスポ”と いいながらも、実は“ゆるすぽ”の世界観を持っているんですよ。“ガチスポ”とは、ガチなスポーツカーというより は、ガチでつくったスポーツカーなんです。魂をこめてクルマをつくるというガチさでいいんじゃないかって。もちろ ん、スポーツカーが好きな世代にも『やるじゃん!』といわれるようなクルマにしようとは思いましたけどね」。 「乗って楽しい」を支えるのがサスペンションやステアリング、ブレーキといったシャシーです。「走る」「曲がる」「止 まる」というクルマの基本性能はシャシーで決まります。担当エンジニアはスポーツカーのS660にどんな性能を与 えたかったのでしょうか? 「目標は、日本で運転して一番楽しいクルマです。コーナーでスッとノーズが入り、ピタッと路面に吸い付くようにロ ールし、グッと踏ん張り、ガツンとコーナーの出口から立ち上がる、“スッ、ピタッ、グッ、ガツン”。でも、これがサー キットをかっ飛ばしたときにしか発揮できないのでは意味がない。通勤途中の一般道で毎日感じられるようなクル マにしたかった。もちろん、サーキットでもこんな感じは出ます。それが、懐深さというところです。『S2000に勝つ』 という高い志で挑みました」
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18 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 10:50:08.91 ID:s14lA/gJ - スポーツカーといえば、大排気量のエンジンを積み、数百馬力のパワーで猛スピードで走るイメージがある。そこをなぜあえて、
660cc制限のある軽自動車にしたのだろうか。実は椋本さんには苦い経験があった。入社直後、子どものころにホンダのCMを 見て憧れていたS2000を中古で買った。240馬力以上を発する超高性能スポーツカーだが、完全には乗りこなせなかったという。 「乗ってみて分かったんですが、これは失敗したなと思いました。やっぱり19歳の身の丈には合ってなかったんです。その教訓 で、自分たちにとって身近で思いっきり乗りこなせる車があるといいと思ってました。高校生のころは、学校までバイクのスーパ ーカブで通学していたんですが、あれが面白かったんですよ。元の排気量が小さいからエンジン全開にできるし、マシンを振り 回す感覚があるんです。エンジンは死にそうな音がするし、ステップもガリガリ削られる。『遅いんだけど楽しい』という感覚がずっ と身にしみついてたんで、そういう車があってもいいというのが、発想の原点ですね」 2011年3月の開発スタートから、4年越しで完成したS660。運転手の背後にエンジンがあるため、後席はない。当然、2人乗りだ。 トランクはボンネットの中の狭いスペースだけで、ホロを収納すればいっぱいになってしまう。それでい て販売価格は約200万円と、軽自動車にしては高めだ。 現在、国産乗用車はミニバンやワゴンといった多くの荷物が積める車が売れ筋だが、なぜ対極を行くような車にしたのだろうか。 「S660に込めたのは『車って楽しい』というところなんです。そこが僕は尖ればいいと思っていて、確かに、全部100点の車ができ ればいいんですけど、当然、バーターの世界なんでどこかが尖ればどこかが引っ込む。じゃあ、この車でどこを尖らせるかとい うと、一つはスタイリングで、パッと見のカッコ良さ。もう一つは乗る楽しさです。その二つを徹底的に尖らせてやろうと思ったんで す。引っ込む部分が居住性だったり、快適性だったりするけど、それはそれでいいんです。今回はカッコ良さと、楽しさという2つが 尖ればいいと思っています」 マーケティングを意識せずに「自動車の楽しさを提案する」というコンセプトが背景にあったことが、この特異な車の開発に至ったよ うだ。 S660の最高出力は軽自動車の自主規制によって64馬力に留まっている。そのため、「輸出用モデルとして130馬力近くに改造した 「S1000」をホンダは準備中……」という憶測記事も、巷の自動車雑誌には書かれている。実際にそうした予定があるのか聞いてみ ると、椋本さんは苦笑しながらこう言った。 「数字には特に興味ないんです。公道試乗会を開催したところ、それまで『もっとパワーを欲しい』と言っていた方も、『これがベスト だな』と意見を変えていました。多分、64馬力でも全開にできないです。まずはこの64頭の馬をきっちり手なずけて、楽しんでいた だければなと(笑)。S660は、サーキットに持ち込まないと楽しめない車じゃなくて、家からコンビニ行くだけでも楽しい車なんです。 街中を気軽にどれだけ楽しめるかというのもポイントだと思います。一度乗っていただければ、この車のコンセプトである『日本の 一般道を、とにかく気持ちよく走る』を、ご理解いただけると思っています」
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19 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 10:50:38.01 ID:s14lA/gJ - S660の走りの特徴は「運転技量を問わずに“らしさ”を味わえるミッドシップ」である。「ホンダの入門スポーツカーですから、
いつ、だれが、どこで乗っても楽しいクルマを目指したんです。むずかしいことを考えずに走ってほしい」と語る。 ミッドシップは基本的にフロント荷重が軽く、ブレーキングできっちり荷重移動しないとターンインは鈍くなりがち。 だからフロントエンジンに慣れきって、ミッドシップ特有のコツを理解していないと「ミッドシップって意外とタルい」と勘違いされる可能性がある。 実際、そういうミッドシップは多い。ところが、S660は特別に意識せずとも軽快にターンインして、本格的にヨーが発生すれば、自分を中心として曲がる。 ごく普通のクルマ好きがイメージするミッドシップそのものの走りを、技量や経験を問わずに味わうことができるのだ。 S660のスペックを見る限り、すべてが教科書どおり。45:55というドンピシャの前後重量配分には感心するが、奇をてらった部分は見当たらない。 ただ、四輪ブレーキ制御を回頭方向にも作動させるアジャイルハンドリングアシストと、64psの軽としては過剰?なハイグリップタイヤ(アドバンネオバ) だけは、ちょっとだけ目を引く。「アジャイルハンドリングアシストの採用には議論がありました。後輪駆動ですから踏んで曲がっていける人には必要ないんです。 ただ、はじめて後輪駆動に乗るような人が楽しむための、“お助けマン”として価値があるという判断をしました。 これは、たとえばコーナーの奥で予想外に曲がり込んでいたときに、タイヤが悲鳴を上げる寸前に介入するイメージです。交差点や低速のコーナリングでは、 ほとんど効いていません」と説明する。 アドバンネオバの採用については「初期段階でどのくらいの性能のタイヤが必要かをシミュレーションし、ダイナミックコンセプトに合致するタイヤサイズと タイヤ特性を定めました。そしてネオバという結論になりました」と説明する。ミッドシップはリヤの安定性がキモですから、シャシーかよくてもタイヤがダメでは どうにもなりません。S660のまるで絵に描いたようにミッドシップらしい走りにはネオバの恩恵もあろうが、それ以外に目立った飛び道具はない。 「解決方法は泥臭いものでした。トライ&エラーの繰り返し。目立つスペックで商品力を出すことはできませんから、はじめに描いた理想と、あるべき姿を妥協なく 追い求めたんです」 軽でオープン、ミッドシップの三重苦を抱えるS660では、そのあるべき姿を実現することがもっともむずかしい。「とにかく部品が入り きらないんですよ、なにもかも」45:55という重量配分も、最初にはじきだされるべき数値だ。そして、S660は低重心で、運転席のお尻と重心がピタリと一致している。 「重量配分と重心位置がずれると、この人間を中心に曲がっていくフィーリングは出ません」 あらゆる部品がミリ単位のせめぎ合いで詰め込まれるS660だが、もっとも苦労したうちのひとつが燃料タンクらしい。S660の燃料タンクはシート背後にベタッと 低く搭載されるが、重量物を中心付近に低く搭載するにはここしかない。ただ、最初はわずか9Lしか容量がとれなかった。でも燃料タンクはここにあるべき。 周囲にある部品の担当者同士が徹底的に話し合って、妥協しなかった。まるで、ジクソーパズルのようなパッケージングで最終的に25Lまで拡大、あるべき航続距離を確保した。 こうやって理想の重量配分や低重心にして、ボディをしっかりさせてサスペンションを理想的に動かせるようになると、無理に固める必要がなくなるんです。 だから、S660は意識しなくてフロントにスーッと荷重が乗るんです」また、こうしてフロントに俊敏な味付けを施させたのも、リアがどっしり安定していてこそ…である。 リヤの絶大な安定感のキモとして、リヤロワアームを支持するサブフレームを挙げた。このサブフレームは、とても軽の部品とは思えないゴツいアルミ鋳造の逸品だ。 一般的なブレス品とは比較にならない剛性を誇るだけでなく、理想のジオメトリーを実現すべく、ピポットが微妙に前傾しているが、これもブレス品では実現不可能だっただろう。 S660のこだわりを書き出したら本の一冊は軽く書けそうなくらいだが、このサブフレームを見れば、S660のクルマとなり…が分かる。S660の技術に特別なものはなく、すべてが教科書 どおりの理想を実現している。でも、そこがS660のもっともスゴイところである。
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20 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 10:51:01.96 ID:s14lA/gJ - 痛快ハンドリングマシンをメーカー自ら標榜するS660、どの自動車雑誌を見ても、やはりというかシャシー性能に関しては大絶賛の嵐だ。
しかし、それって本当に本当?誰もが褒めると疑いたくなってしまう面倒な考えを持つ私はハンドリング分野では理論派であるがゆえに辛口評価で 夙に有名な「サスペンションの匠」国政九郎氏にアポを取った。狙いはずばり、これを聞くためだ。「S660のサスって、本当にみんなが言うほどいいんですか?」 ミッドシップ車はエンジンを運転席の背後に載せる。このレイアウトはフロントエンジン車と比べてクルマの前部が軽いという大きな特徴がある。まずはこの 基本レイアウトがクルマにどのような特性を与えるのかを、あらためて国政さんに聞いてみた。「フロントエンジンのクルマだったら、前輪は重いエンジンと ミッションを支えているので、舵に使えるグリップ力の限界が早くきてしまう。それに対してミッドシップは前輪の負担が少ないので、より舵にグリップを使えますよね。 タイヤ本来の限界が同じでも、ミッドシップ車の方が、車両の向きを変えたり、途中でちょっと足したり引いたりっていう自由度があるんです。 だから思った通り気持ちよく走らせられる、ということになりますよね。」そんなS660のシャシーだが、まずフロントサスペンションについて見ていこう。 アームのレイアウトはごくオーソドックスだという。ただ、ステアリングラックを前輪の前側に配置して、前側で操舵するというレイアウトはやや少数派だ。 これに関して国政さんは「理由は開発者に聞かないとわからないけど…、運転席のステアリングの位置から、前にシャフトを伸ばしていったときに、前輪の後ろ側に ラックを配置すると、急激にどこかで角度を変えて落とさないといけないですよね。そうするとフィーリングが悪くなりやすい。でも、このクルマはラックを前側に 配置することで無理のないレイアウトになているとは思います」 またステアリングフィールに対しても国政さんは「舵感もしっかりしているし、舵のゆらぎがないですよ。ステアフィールは非常にいいですね。わかりやすいニュートラル感 もあって直進時には安心して走れます」という。現代のクルマにはこの「N感」が不十分なモデルも少なくないという。「N感」がスポイルされる原因にはいろいろあるが、 ひとつは、ステアリングのラックをピニオンに押し付けているスプリングが強すぎることによる。それはサスペンションからの細かい振動をステアリングに伝わり にくくするためなのだが、一方でステアリングの動きは渋くなり中立付近の軽さがなくなってしまう。 また、電動パワーステアリングも、特にアシストのトルクが弱いとやはり不自然なフィーリングを生み出す原因になる。S660の場合はフロントが軽く、負担が少ない こともあって、スプリングをあまり強く設定する必要がないこと、ひとクラス上のフィットと同じ電動パワステを使っていてアシスト力の余裕もあることが、好ましいハンドリング に貢献しているのかも知れない。 そして、リフトに上げたS660を見た国政さんは、あることに気付いた。「ロアアームの取り付け位置が、全体的にかなり高いですね。これくらい高いクルマはあまりない」 これはロールセンターを高く設定し、重心に近づけることで、ロールを抑えることを狙ったものだと推測される。 「グラッとロールしないようにしているんでしょうね。もともと重量配分がよくて、よく曲がるクルマなんだから、曲がり過ぎてスナップオーバーを出したりしないように 安定性を出しているんでしょう」 S660のフロントサスペンションは、特別新しい技術を使っているわけではない。定石どおりの作り方をしつつ、安定性を重視しているといえるだろう。この安定性 というのがミッドシップ車にとって重要なキーワードなのだ。
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21 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 10:51:27.51 ID:s14lA/gJ - 次にリアサスペンション。まず、全体のレイアウトを見た印象を国政さんに語ってもらった。「まず、駆動力と横力と回転力、ブレーキをかけたときにかかる力ですね。
それをどのアーム、どのリンクが受け持つかっていうのが非常にわかりやすくレイアウトされてて、無理がないっていう感じです」 そして、S660のサスペンションに関してよくいわれるのがアームの長さだ。この利点を解説してもらった。「挙動変化が少ないというメリットが大きいです。 アームが長ければ、伸びきったときと縮んだときでアームの角度変化が少なくなりますよね。そのぶんロールセンターの高さの変化も少ないので、あるところから ポンと急激にロールしたり、あるところで急激に止まったりっていうことが起こらずに、全体的におだやかに動いてくれる。ミッドシップだとリアが流れたらアウトなんで 、いかにおだやかにクルマを動かすか、グリップを安定させるかが大切なんです」 ここでひとつ気にしてほしいことがある。ミッドシップ車は、クルマの向きが変わるのが非常に速いため、リヤタイヤが流れたらコントロールが非常に難しいのだ。 「ミッドシップ車でリヤをカッコよく流そうなんてとんでもない話です。ミッドシップ車は、リヤはいつでも安定していて、流れるなんてことは絶対にないっていうように レイアウトされてるんですよ。だからそれを流すなんていう発想は持たない方がいい。前輪が少しキーッときたらそれが限界です。前輪で旋回速度を決めて走っていれば、 後輪は余力があるのであまり気に掛けなくていい、そういう運転をすればいいんです。それがミッドシップの理想です」 そして、国政さんがS660のシャシーを見たときに、軽自動車ながらよくやってるな、と感じた箇所が、リヤのサブフレームだという。サスペンションアームを取り付けて 入力をささえるアルミ部材だ。「最初に見たときは、ここはひとつ大きいキモだと思いましたね。ずいぶん頑丈そうで、横剛性もあって、リアをちゃんと支えられそうに 見えますね。サスペンションは車体ともしっかり結合させないとダメですからね。」 さらに、このサブフレームで国政さんが指摘したのは、ガッチリとしたサブフレームの胴体部分そのものにアームが取り付けられている点だ。というのは他の車種では サブフレームの端の張り出した半島のような部分にアームの取り付け部分が設けられているケースも少なくないからだ。その点でS660のサスペンション取り付け部はかなり 剛性が高いと推測される。そして左右のサスペンション取り付け部はサブフレームによってほとんどまっすぐダイレクトに結ばれている。「剛性的にも非常に有利ですね。 力を受けるサブフレームの設計として正しいですよね。」と国政さんは評価する。 この高い剛性、そしてマイルドな動きを実現するリヤサスペンションこそ、ミッドシップのセオリーをよくわかった、理想を追求し、妥協の少ない作りになっているという。 ここでもまたキーワードは安定性だ。リヤをどっしり安定させることを目指してリヤサスペンションも作られているのだ。
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22 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 10:52:04.24 ID:s14lA/gJ - 「オープンカーはボディ剛性が低い」と一般的には言われている。たしかにルーフをカットしているぶん、どうしてもモノコックの剛性は低くなりやすい。
ただ昔のオープンカーとは違い、現代のクルマの場合は、剛性が不足しているならば補強することで必要な強度を確保して製品化されるので、極端 に剛性が低いということはない。とはいえ、補強のぶんだけ重くなるので、運動性能の面では若干不利になることは否めない。 そこでS660では、補強して重くなるまえに、つまりモノコックの段階で必要な強度を確保しておくことを目指した。必要な強度とは、単にボディがカタい ということではない。S660はドライバー最優先のコンセプトでつくられたモデルなので、サスペンションの動きを正確にドライバーに伝えドライバーが 安心してスポーティな走りをできるような「しっかりしたボディ」こそが、求められた性能だった。だからボディの設計図には「直線もしくはなめらかな曲線」 でシンプルな線を描く「一線入魂」が、いつしか開発陣のコンセンサスになっていた。美しいラインでつくれば、クルマは最適強度・最適バランスになる という理想を追求したのだ。何度もボディの試作を繰り返し、その度に開発陣がみんなで試乗し、ディスカッションを繰り返したという。「ここでボディを ちゃんとつくっておかないとスポーツカーにならない」という思いが強かったのだろう。 ホンダにはかつてビートという軽自動車のミッドシップスポーツカーがあった。他のメーカーならともかく、ホンダにはそのノウハウがあるはずだが、さす がにあれから20年以上も経っているので、その間にボディメイクに関する技術は進歩しており、また、衝突安全性や歩行者保護などの安全性の要件も 異なるのであまり参考にはしなかったという。それよりも、現在、ホンダが持ちうる技術を最大限活かすことを開発陣は考えた。 とくに力を入れたのが、前後サスペンションの入力があるストラット部と、Aピラーからルーフレール部分、そしてBピラーの強化だ。それぞれに最適な形状、 厚みを持った部材を使い、重量と剛性を高次元でバランスさせた。前後ピラーに関しては、車体が横転した場合でも乗員の頭部が路面に接することがない よう、変形しにくい形状・構造としている。さらに、フロア・サイドシルに関しては高張力剛板を採用しているが、センタートンネルを二重構造とし、その上部を 閉断面とすることで、ねじり剛性を高めている。サイドシルは最外側部をボディ外板(ロッカーパネル)を兼ねる形状とし、断面を大きく取ることで強度を高めた。 また、ボディ全体の剛性バランスを最適化するために、フロントサイドフレーム、リアサイドフレームを直線的な形状として、さらにドア内部のサイドイパクト ビームはただのパイプではなく両者を繋ぐようなフレーム構造となっている。ドアを剛性材として使っているのだ。これは、ヒンジやドアロック機構の強度や ドアとフェンダーのクリアランスまで、ボディ剛性を考慮して決められていることを意味する。 こうしてモノコックの時点で剛性を確保したボディは、補強が必要な部分に関しても、いたってシンプルな直線的な形状の補強バーが追加されるのみだ。 それでいて、静的ねじり剛性では、S2000を上回っているという。ねじり剛性の向上はコーナリング時の初期応答性や安定性、しっかり感の向上をもたらし、 S660のスポーツカーとしての性能を確実に高め、オープンカーらしからぬ走りのよさを実現した。
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23 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 10:52:30.65 ID:s14lA/gJ - エンジンは、N-WGNで大幅な改良が実施されたS07A型がベースだが、ミッドシップ搭載に合わせた配管類のレイアウトや冷却性能確保、
信頼性向上、ターボのレスポンスアップ策などマイクロスポーツの資質を満たすための変更が随所に盛り込まれている。 S660用では、アクセル操作にリニアに応答する爽快な加速レスポンスを得るためにターボチャージャーの変更が実施された。 ターボエンジンではアクセルを踏んでから過給圧が上がり、ドライバーが望むパワーが得られるまでにわずかな遅れ(ターボラグ)が 出てしまい、これが大きいとリニア感が失われてしまう。そこで、出力レベルは同等をキープしつつ、アクセル操作とリンクした過給圧の 立ち上がり特性を重視した選定が行われた。 このターボは三菱重工製で、型式はTD015型と思われる。従来のN系よりコンプレッサーのインペラ(羽根)を小径に変更したタイプで、 これによってインペラの回転慣性モーメントが減少し、従来型よりインペラの回転上昇が早くなっている。単に小型化するだけでは、 レスポンスがよくなってもトレードオフでトルクや出力の最大値が低下してしまうが、三菱重工では2L前後のエンジンでも採用している ワイドレンジのインペラデザインを軽自動車用にも採用していて、レスポンスと出力特性の両立ができている。 また、ミッドシップでは熱対策も重要になるが、三菱製ターボはターボのシャフトを支持するセンターハウジングのオイルや水冷部の 性能が優れており、厳しい環境での耐久性能の高さも採用の決め手となっている。 また、ターボは単に既存品を使うのではなく、ホンダのスペックに合わせてあり、とくに吸気のコンプレッサーハウジングは肉厚を最適な 状態まで減少させて、ターボ単体で12%のダイエットに成功している。 エンジン本体はMT仕様で許容回転数である7700rpmに引き上げ、シフトミスでのオーバーレブに対しても故障しにくくするため強化バルブスプリング を採用している。シリンダーヘッドのナトリウム封入排気バルブやツインインジェクターは継続採用で、燃焼室温度の低下によるノッキング限界向上や 均質な混合気を素早くつくることで、高い燃焼効率を得ている。オイルパンは高いコーナリングGでのオイルの偏りで起こるオイルポンプ性能低下を防ぐ ため、中央部の床を深くした形状にして油圧が途切れないようにしている。エンジンマウントが装着されるチェーンケースはトラクション性能の増加や スポーツカーとしての耐久性を持たせるために強化品としている。
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24 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 10:56:40.22 ID:s14lA/gJ - 従来のターボチャージャーですと、ウェイストゲートが開いたときに逃がされる高音の排気ガスがハウジングの壁面に当たるようになっていたんです。
しかしこれですと壁面の一部にヒートスポットができて熱による歪みが発生します。そこでS660用では高音の排気ガスがハウジングの中央部に 向かうようにウェイストゲートの開き方向を設計変更したのです。 これはS660用エンジン開発スタッフが施した熱対策、というより熱量のトータルコントロールの一例に過ぎない。 リヤエンジンを搭載することでエンジン本体も、ターボーチャージャーも、それにエンジンルーム内の全ての部品が高温に悩まされたという。 そこで従来のやり方であれば、各部門が自分の担当部分の熱上昇だけを抑えればいいや、という考えから安易に遮熱版を追加したり、 数を増やしたり大型化したりする。しかしそれでは遮熱板の反対側の熱問題は解決に至らないし、遮熱板が追加されることでさらに熱だまりがひどくなり 重量も増していくという悪循環に陥る。そこでエンジンルーム内の部品を扱う開発スタッフに対して「遮熱板はつけないでくれ。エンジンルーム全体で熱対策はなんとかするから」と宣言。 実際に、Bピラー部にうまく溶け込んだ左右ダクトを設けて右側はエギゾースト回りのスポットクーラーとして使用。 さらにボディ下面には、なんと燃料タンクを凹ませてまで空気流路を設けてNACAダクトからエンジンルームへ十分な冷気を導入することに成功している。 さらにもうひとつNACAダクトを設けて、熱を帯びる駆動系にも気を使った。 そして、冷却するためには空気を入れるだけではだめで、抜くことも行わなくてはいけない。そのため、テールライトの間にあるグリル部からは相当な量の空気が排出されるようになっている。 また、エンジンフードのコブの間にもスリットが開いている。「あのスリットの形状や本数についても地道に試験して決定しました。穴の面積や本数を変えられるような試作品を作って、 走っては温度チェックを繰り返して、ようやく行き着いたのがあの形なのです。」 ターボチャージャー本体でも耐熱性を上げて、ウェイストゲートからの排気にも気を使って、エンジン本体はもちろん、 そのほか補機類も含めたすべての熱量をトータルでコントロールしていきました。 S07Aエンジンというのは、実はそれが出た時点でもっとニュースになっていいほど「突き詰めた」エンジンであった。しかし、だからこそ、S660にS07Aを搭載するにあたって ホンダの開発スタッフは知っていた。このエンジンはスポーツカーに搭載するために生まれてきたような素性を持っているのだから、彼らがやるべきことは いかにS07Aが本来のポテンシャルを削ぐことなくリヤミットシップに配置してやるかということだと。 そのために徹底した熱コントロールがなされ、S07Aの性能が完全に発揮できる素性ができたからこそ、専用設計ターボチャージャーを活かしたS660ならではのエンジン特性を生み出すことができたのだ。
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25 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 10:57:51.24 ID:s14lA/gJ - シャープなフロントマスクとロー&ワイドなプロポーションがS660の特徴。全体的なフォルムとしては、ミッドシップ・2シーター
でありながらフロントタイヤをできるだけ前方に配置したディメンションと、リアのキャノピー風リッドを備えたことでFRクーペの ような印象を受けるが、ドアの下にビルトインされたエアインテークがミッドシップカーであることを主張している。 ボディパネルはすべて専用設計。ただし軽量化を目指したとはいえ、バンパー以外に樹脂パネルは使われていない。衝突安 全性能、歩行者保護などの要件を備えるべく、スチールパネルを採用した。フロントフードの見切り位置をドアのプレスライン に合わせたり、前後フェンダーにアウトレット/インテークダクトを設置するなど、パネルの多くは複雑な造形をしているが技術 力の高さで商品化を果たした。 フロントマスクは最近のホンダテイストで、薄型のヘッドライトが特徴。スポーツカーらしい低いノーズを実現するために、ツリ目 や三角形ではなく、薄型を採用。水平基調のグリルデザインと相まって、シャープではあるものの、どちらかというと親しみやす く優しい顔つきといえるかもしれない。 リアにまわり込んでみると、迫力のワイド感と踏ん張り感のあるテールビューが目に入る。規格寸法を最大限有効活用する軽自 動車の世界では、、リアバンパーは限りなくスクエアに近い形状に設計され、タイヤはコーナー部に追いやられるのが通例。しか し、S660ではエンジンの後ろに荷室を設けなかったため、デザインの自由度が無限大に広がった。 横長のテールランプは相対的に中心に寄っているような視覚的効果を生み存在感を高めているほか、エクステリアデザイナーが 「撫でたくなるテール」と呼んだ微妙な傾斜角をもつバンパーコーナー部の造形により、軽自動車らしからぬスタイリッシュな仕上 がりになった。エキゾーストパイプがセンター出しというところもS660ならではのアイコンといえるだろう。 車高の低さはエアロダイナミクスの面でも有利だが、さらにS660はタルガトップを採用したことで、オープン時の空気抵抗の増大を 最小限に抑えることができるようになった。ルーフの面積が小さいため、オープン/クローズの空気抵抗の差が小さいのだ。 また、通常、オープンカーではキャビンの後方で走行風を巻き込み乱気流を発生させるなどして空気抵抗を増大させるが、エンジン フードをキャノピーカウル形状にすることで、これを軽減している。タルガトップは本来は転倒時の乗員保護と軽量化のために採用 された構造であったが、空気抵抗の低減にもひと役買っているというわけだ。 ミッドシップのスポーツカーということで、ボディ各部にダクトが設けられているのもS660の特徴だ。スポーツイメージを高めるという 意味合いはもちろんあるが、目に見えるダクト類はほとんど機能している。重量配分を適正化するべくラジエターをフロントに配置 しているため、フロントグリルはもちろんラジエター冷却用に使われており、フロントフェンダー後方のアウトレットも機能している。 リアフェンダー前のインテークダクトはエンジンルームおよびインタークーラーを冷やすためのもので、さらにエンジンルームの熱気 を抜くためにエンジンフードにもアウトレットダクトを設けている。 さすがに、「本格派ではなく本気のスポーツカー」と開発スタッフが自負するだけのことはある。
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- 【HONDA】S660 Part173【MR OPEN】
26 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 10:58:30.81 ID:s14lA/gJ - S660の全長および全幅は、当然ながら軽自動車枠いっぱいの3395mm×1475mm。“S”の開祖であるS500は登録車だったが、軽自動車
であるS660の方が、全長で95mm、全幅で75mm大きいという逆転現象が起きている。全高1180mmは、ダイハツ・コペンよりも100mm低く、 国産車最低。ホイールベースはコペンより55mm長く、2285mmを確保している。重心高は460mmと、水平対向エンジンを積むスバルBRZ/ トヨタ86と同数値だ。 エンジン搭載位置は後車軸の直前で、“痛快ハンドリングマシン”というコンセプトを最大限に実現するため、リヤミッドシップというレイアウ トを選択することに迷いはなかったそうだ。シリンダーの傾斜角はFF系と同じ。すなわち、前にあったエンジンを平行移動で後ろにもってき た。ラジエターはフロントグリルの裏に直立して配置。重量物のバッテリーは、フロアトンネルの前端に搭載。前後重量配分は、45:55だ。 燃料タンクはキャビンとエンジンルームの間に搭載。重量物であることから、ヨー慣性低減と重心高低減のため可能なかぎり車体中央 の低めに配置した。またガソリン残量で重量が変わる部品であり、なるべく重心に近いところに置きたい。容量は25Lと大きくはないが、モー ド燃費から類推すると、23Lまで使うとして、400kmぐらいは走れそうだ。 では、乗り込んでみよう。身長181cmの著者では、ドアハンドルが低く感じる。しかもノブが小さいので、操作性はあまりよくないが、ここはデ ザインを重視したとのこと。運転席ヒップポイント地上高は335mm。コペンやBRZ/86の400mmと比べても、際立って低い。それだけ乗車時の 膝の屈曲角は大きくなるが、サイドシルの幅が実測130mmと狭く、地上高も約360mmと低いため、乗降性はスポーツカーとしては良い方だ。 サイドのタンブルが強いため、著者の体格でもルーフが気になることはない。 タンブルの強いデザインを成立させるため、シートが中央に寄せられておりカップルディスタンスは実測で約600mmと横方向にはタイト。対照 的に前後の寸法は十分に取られている。特に、足元が広いのが印象的だ。フロントにエンジンがない自由度を最大限に活かし、ドライバーに 自然な運転姿勢を取らせることにこだわった結果だ。クラッチペダル基準でシートスライドを合わせると、著者でも最後端から4ノッチ前に出せ る。頭上は座高92cmの著者がヘッドレストに頭をつけると、ロールバーが頭に微妙に触れる。もっとも、運転中はヘッドレストから頭が離れる ので、身長185cmまでなら、なんとか乗れそうだ。 ステアリング基準でシートスライドを合わせても、ペダルが近くて足首が窮屈ということはない。ヒール位置はドライバー中心からほぼ均等。ぺ ダルの間隔も適度に取られており、ヒール&トーもスムーズに行える。フットレストはS2000並みに立派なものを装備。シートクッションの幅も、 S2000と同じとのこと。ステアリングホイールもドライバーに正対している。ステアリングとシフトノブの位置関係は、初代NSXとほぼ同じ。肘の 関節角を変えずに、肩を中心とした円運動で持ち替えられるように配置されている。ひとことで言えば「ドライバーに与えられたスペースは、登 録車のスポーツカーと変わらない」ということだ。 これを成立させるために、涙ぐましい努力をしたのが内装設計。空調のブロワモーターやエバボレーターを納めたユニットは、他車と共有する ケースが多いが、幅方向をフットレストに攻められたため、コンパクト化したものを専用設計。シフトレバーの操作位置とデザインを高次元で両 立させるため、奥に追い込んだ。センターパネルには、ヒーターコントロールユニットとオプションのオーディオ操作パネルを一本化して配置し、 オーディオ本体と空調ダクトを「まるでテトリスのように組み合わせて押し込んだ」そうだ。 ステアリングホイール径はΦ350mmと、ホンダの市販車としては最小径。ステアリングが小径になれば問題となるのがメーターの視認性だが、 この点も及第。大径タコメーターを中央に配置し、ホンダ軽初のデジタル式スピードーメーターをその内側に納め、スペースを有効活用。走行 中に確認したい情報を左側に、停車時に見ておけばよい情報を右側に集めることで、走行中に進行方向から視線が外れないように配慮されて いる。
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27 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 11:00:15.55 ID:s14lA/gJ - S660の原案を会社に提出した当時、世の中には魅力的なスポーツカー、とりわけ高性能エンジンを先鋭的なデザインのボディに積んだ
『スーパースポーツカー』が数多く存在していた。しかしそれらイタリアやドイツなどのクルマたちは新車で手軽に買えるものではないこと を非常に不満に思っていたという。「すごくて、でも買えないクルマというのは実は世間に数多いんですよね。ならば自分は、すごくて買え るクルマを作ろうと思いましたね」。 ミッドシップの軽スポーツカーを作るにあたって、比較対象とした車両はありましたか? 「ビートやエリーゼを含め複数存在しました。ただ、それらに対して数値を基準に勝つとか負けるということを測るためではなく、感覚の部分 で良し悪しを開発チームの間で確認・共有するという目的というところが大きかったですね」。 「ビートはよく曲がってすごく面白い。でも20年前くらいのクルマだなと感じるところもあった。今の目で見るとノイズや振動とかも目立つな、と。 ただ、誤解して頂きたくないのは、ビートを否定しているわけではないんです。こうしたプリミティブなところが面白いと思える自分がありつつ、現 代の基準に慣れたドライバーが毎日使うクルマとして考えると受け入れてもらうのは相当厳しいだろうな、と。なにしろパワステがないクルマは ほぼ初めてでしたし、駐車するとき重いんですよ」。 ビートは20年以上前の基準で作られたがゆえに現在の目では、ノイズ的要素も「込み」で楽しみとなっている。そして現在生産されているクルマ でありながらもあえて快適性を排除して、理解しやすいスポーツ性をアピールしているのがエリーゼ。これら2台はいずれも好事家から非常に 愛されている。ホンダが新たにミッドシップスポーツカーを作るにあたっては、この2台に似たワイルトな方向性で進めた方がイメージ作りとして はラクではなかっただろうか。 「S660を買ったお客さんに話を聞くと、初めてスポーツカーを買ったという方が意外と多いんですよ。一人でも多くの方にスポーツカーを楽しんで 欲しいという想いを込めて創ったクルマなのでとても嬉しいことなんです。ではそういう人が、ルックスに惹かれて試乗しにいって、ノイジーだった りして、重いステアリングで駐車はしづらくてとなった場合はどうでしょう。たぶん買うという決断までいかないんじゃないでしょうか」。 こうして現代のユーザーに対する配慮をする一方で、しかしS660は乗り込んでみると、昨今の「スポーティ」をうたうクルマにありがちな少々ハード な乗り心地や、まるでカートのようにクイックなともすれば敏感すぎるハンドリングには仕上げていない。そうしたセッティングの方が、初心者にも わかりやすい、記号としてのスポーツカー像を与えやすいように思えるが。そうした疑問に対しての 椋本氏の回答はこうだ。 「このクルマのシャシーはいい素材を使って、滲み出てくるような奥深い味付けを目指すことにしたのです。ですからわかりやすい辛口の味付け は自然と避けていくことになりました。あくまでも正攻法で作っていくという形です」。
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28 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 11:01:09.80 ID:s14lA/gJ - S660ではS2000のねじり剛性を超えるボディを与えたり、取り付けのためのサブフレームも含めて大容量のサスペンション機構を投入したり、エン
ジンもコストの掛かる許容回転数上昇といった改良を行っていますよね。 「ええ、たとえばエンジンでいえば、手をくわえることでお金も当然かかるんですけど『ただ流用したエンジンにしたくない』というエンジニアの熱い想い でこの仕様にしました」。 なるほど、しかし身もふたもないところを言ってしまえば、速度制限のある公道を走ることが前提で、しかも軽規格であることを思えば、これほどまで に徹底的につくり込む必要があったのかな、とも思えます。 「もちろん、悩みどころです。あれもこれもと欲張って500万円になりましたとなったら、それはないな、と。ですから価格のことは常に考えましたが、や っぱりチャチなものは欲しくないですから」 「一方で、クルマ好きが憧れる欧州のスーパースポーツはボディやエンジン、ブレーキにサスペンションなどに究極のメカニズムを採用しています。 それを買ったオーナーは、そのスペックを全部使い切るということは少ないかも知れません。でもこの『使い切れないものを持つ』という楽しみも確実に あるんですよね」。 「当然それは性能が悪いものでは意味がない。もしかしたらプロドライバーにしかわからないかもしれないけど、実際に限界領域で使った際にはプロ が絶賛するものではなくてはいけないのです。そうした、本物だけが持つ実力を背景に持ちながら公道を走るカッコよさ。それこそが私たちがスーパー スポーツに憧れる要素なのです。ですからそんな、憧れの根幹部分を削るような内容にするわけにはいきませんので、S660の開発で手を抜くことはで きませんでした」。
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29 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 11:02:07.65 ID:s14lA/gJ - S660のLPL代行を務めた安積氏は開発する若いスタッフを集め、一番最初に「スポーツカーを作るということは大変なことだ」と伝えたという。
「私も長い経験の中でいくつかスポーツカーの開発に関わってきましたが、そこで思ったのは『スポーツカーとは高い理想と膨らむ欲の塊である』ということなんです。 このジャンルではすべての面において妥協はなくもっともっとと理想が高まり欲も広がっていきます。たとえば社内においても『ホンダのスポーツカーはこうあるべきだ』 という意見を社員それぞれが持っていて、そのプレッシャーはかなり大きいから、社内の中でも中途半端なものは認めてもらえない。また、スポーツカーを期待する お客さんていうのはさらに高い満足度を望んでいて、たとえばコストや生産性の都合で生じたちょっとしたほころびが見えただけで許してもらえないんです。」 「さらに、開発過程でも自分たちが『もっとパワーを上げたい』 『もっとシャシー性能を上げたい』と、今以上の性能向上を盛り込んでいってしまうことで価格は高く 開発難易度は上がっていくという負のスパイラルにも落ち込んでしまう。そして膨れ上がった新車のコストは高騰し、商品力と価格設定のギャップから、 開発を断念することもありえる。これらすべてに対峙しながら開発しなくてはならない。だから普通の気持ちではスポーツカーなんて作れないんだよ、 ということを解ってもらうために言ったんです。」 ベテランならコストや開発課題を考えてやらなかったかもしれないけれど、若いスタッフから出てきたことで採用したアイデアなどはあるのでしょうか? 「たとえばボディでいえば、開発の終盤でクロスメンバーをフロアに追加しているんです。それはもうボディ開発としてはほとんど出来上がっている状態での話で 、我々が乗ってももう十分だろうと思えるレベルに来ている状態だったのですが、それでも若手の開発者たちは『もっとやりたい、つくり込みたい。そのためにこのメンバーが必要だ』 と言うんですね。でもそれを実現するためにはフロアの金型を作り直す必要があるから、コストも日程もかかるんです」 実際に、そのメンバーを追加することでシャシー性能は上がるものでしたか? 「それはまあ、専門職が乗ってみると有る無しでの違いは明確でした。ただし、普通のお客さんが使うような局面で違いがわかるかどうかは微妙なところです。ですから莫大な 追加コストを考えればやるかやらないか、かなり悩みました。私としては、今の開発段階を判断して十分なレベルに達している、だからここからの設計変更に関しては 消極的なことを伝えました。それで引き下がれば想いの強さはそんなものかな、と思うですが、やっぱり彼らは引き下がらないですからね。」 「他にも終盤になって、ほぼ仕様が確定したところで『もっとステアリングまわりの剛性を上げたい』とか『サスペンションのダンパー性能を上げたい』とか『メーターやディスプレイの内容 を変えたい』とかすべて熱く語るんですよ。全てコストは上がる話でしたが、最後は彼らの熱意に負けて採用することになりました(笑)」 他にもボティ下面に追加されたブレースなどについても、コストや車重、そして生産する工場の工数を考えると安積さん側からすれば「ない状態でも十分ならば、つけない選択肢も ありだ」という話はしたという。しかし装着した方が車両の価値が高まるという結果を前にして、若い開発陣はそれを逃がすはずもなく、ブレースは量産車に装着されることになった。
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30 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 11:02:44.67 ID:s14lA/gJ - 八千代工業に吹いていたのは逆風ばかりではなかった、2011年東京モーターショーに突如お目見えした「EV-STER」に、
誰もがビート復活を予感したはずだ。電気で走る次世代のスモールスポーツのコンセプトモデルとアナウンスされたが、 エンジンが載る可能性を全否定していなかった。そして、13年の東京モーターショーには、「S660コンセプト」がお披露目 された。この時点で発売に関する情報は一切報道されていないが、すでに水面下ではどこでつくるかの議論が始まって いた。「2年ほど前になるでしょうか。ホンダさんかヤチヨかという話題が聞こえてくるようになりました」と語るのはSSPLの 山田宗良さん。S660の生産受託というニュースは、さぞかし嬉しかったに違いない。「正直、最初に耳にしたときは複雑な 思いでした。新型車の開発は非常に機密性が高く、情報の扱いが難しい。公式に発表があるまでは二転三転することだ ってあり得るのです。昨年4月、ホンダさんから正式にS660の生産は八千代工業四日市製作所で行うと発表があるまでは 手放しに喜ぶことはできませんでした」 少量生産のノウハウ、ミッドシップバンやビートの生産実績などから、S660を八千代工業がつくるのは自然な流れでは ないだろうか。「市場からの大きな期待、ホンダの本格スポーツカーの1台として注目度が高い。ヤチヨとしても絶対に失敗 できないプロジェクトです。そうした空気を社員全員が感じ取っていたのでしょう。プレッシャーがいつの間にかヤル気に変 わっていたのを肌で感じられました」 それでもS660をヤチヨでつくれるようになるまでには、開発段階での部品や工数の精査、効率の高い生産ラインの設計、 金型や専用ロボットを減らすといったコストの低減など解決すべき問題は山積していた。「つくる手間を車両価格に転嫁は できません。それでもボディ剛性の高さや精度、安全性など、品質にかかわる要件を犠牲にするわけにはいきません。 そういう状況から導き出された答えが『人の手による作業領域を拡げた生産ライン』であり、フロアのプレス工程の大幅な 効率化を可能にした『ワンショット成形技術』です。少しでも価格を抑えながらも、長く愛用していただけるクルマをつくりたい。 そして、一日でも早くオーナーのもとに届けたいという思いで取り組んでいます」 かつてビートの生産を行っていたとはいえ、ミッドシップオープン2シーターという特殊なクルマづくりは容易ではない。しかも、 S660は同クラスのオープンスポーツを凌ぐ曲げ剛性、ねじり剛性を実現しなければならない。シャシー性能の高さや痛快な ハンドリングの目標はとても高いところにあった。そのこだわりが「一線入魂ボディ」の採用だ。 「ボディ骨格を寸分の狂いなく図面通りにつくれるかが溶接の難しいところです」とは溶接課の篠田明彦さん。ここ八千代工業 で20年以上溶接に携わってきたスペシャリストだ。S660を手がけることが決まったことで溶接課全体のモチベーションが上が り、いいものをつくろうという空気が感じられたという。「現在のラインが完成するまでに半年以上費やしましたね。S660の場合 、人の手による作業の割合が多い。それでも無闇に工数を増やせない。作業の正確さが求められるため、人材の育成には多 くの時間を費やしました。また、専用ロボットとの導入との融合もS660ならではの工程です。精度を高めるのに不可欠な治具、 とくにボディ内側にセットする治具の開発には大変苦労しました」特別な技術と作業を要するのはどの工程でも同じようだ。 「試作の段階で組みづらい点など、ホンダの栃木研究所の力も借りて改良を重ねました。鈴鹿製作所の方にもいろいろ相談さ せていただきました」と、組立課・高山宣一さん。同課では昨年3月には習熟度の向上を目的にクルマを1台導入。バラしては 組み立て、またバラすという作業を繰り返しトレーニング。作業効率と精度を高めたという。 「ロールトップは初めてでしたから水漏れがないか心配でした。アクティやバモスと違ってノーズが長いので、フロントガラスを 正確に装着するため専用の治具をつかって2名で作業するなど、気密性を高めるためにさまざまな工夫を凝らしました」と、組 立課にも数々の苦労があったことがうかがえた。 八千代工業四日市製作所には、量販車種の組立工場とは違った空気が流れ、オレンジの帽子が控えめながら誇らしげに見えた。
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31 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 11:03:01.91 ID:s14lA/gJ - 組立工程を終えると、完成検査ラインを通る。検査とはいえ、S660の生産に対して意外なほど変更点が多かったラインともいえる。
まず、これまでの車種には存在していなかったシティブレーキアクティブシステムのセンサーチェック用の幕が用意されている。 また、トーを調整するアライメント検査においても、これまではフロントだけで済んでいたが、S660では前後の調整が必要になって いる上、ターゲットとなる数値もシビアなのだという。それ以外の燈火類や雨漏りといったチェックについては、法規で定まっている 部分も多く、それほど変わりはない。一番の違いは最終確認のセクションだ。これまで一本だったラインを2本とし、片方をS660専用 としている。しかも、S660のラインは流れるスピードもゆっくり。これは検査項目が多いことへの対応というが、いかにも丁寧に生産さ れていることが実感できる。まさしく、四日市製作所の、S660に対する思いを象徴しているかのような最終確認工程であった。 実際に製造に携わるスタッフからは「このクルマはヤチヨでしかつくれない」、「S660は俺たちに任せろ」とかなりポジティブな声が聞か れる。現場の士気は相当に高まっているようだが、生産現場のリーダーに話をうかがった。 「私の役割は、S660を四日市製作所で生産すると決まってから、どのようにつくるかを設計者の意図を理解しながら、またこちらの要望 も入れていくことにありました。また、初期の段階から塗装工程以降は既存のラインに流すことを大前提として、どうすれば混流生産が 可能になるかを考えてきたのです」 かつてNSXやS2000は専用工場があったほどで、この2台は鈴鹿製作所に移管してからも専用ラインで組立をしていた。しかし、S660の ターゲット価格を実現するには、混流生産は必須条件といえるもので、製造コストとスポーツカーのクオリティを両立するために尽力した ことは間違いない。 「八千代工業のスタッフはみんなクルマ好きです。混流生産ということで組立ラインのスタッフは全員がS660を目にすることになりますが、 最初に流れた時に自然と『カッコいい』と声が上がったことは印象深く覚えています。一方で、溶接ラインでは熟練工による手づくりの部分 も多いのが特徴ですが、やはりスポーツカーをつくるということで全体にモチベーションが上がっているのは実感します」 S660は本格スポーツカーだ。それゆえ、こだわりの強いオーナーが多いことだろう。そうした思いに応える、「買って良かった」と思える クルマづくりが八千代工業のプライド。そして、そうした声が届くほど、彼らのつくる喜びも増すはずだ。
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32 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 11:13:48.39 ID:s14lA/gJ - オレはモデューロの開発アドバイザーをしているので、他の人より少しだけ早くS660に触れることができた、ファーストコンタクトは、
黄色いナンバーが付いていなければ軽自動車であることを感じさせない仕上がりで、純粋に「ホンダらしいスポーツカーだな」と感じた。 ちなみにオレの考えるホンダらしさは、なんといっても「スポーツ」だ。走ってナンボ、走って楽しくなくちゃダメである。そういう意味ではここ数年、 ホンダは苦しい状況が続いてきたけど、2015年は新型NSX、新型シビック・タイプRとともにホンダスピリット復活の年になったと言えるかも知れない。 7700rpmまで回る64psの660ccターボに軽自動車初採用となる6速MTの組み合わせ。絶対性能でみると速くはないが、回して楽しいパワートレインだ。 もっとも驚いたのはハンドリングだな。テストでニュルより過酷といわれるホンダ・鷹栖テストコースはもちろん、国内の主要サーキットも走ったが、 フロントの接地感はNSX-Rと同じくFRのようにシッカリしたもの。それでいながらミッドシップらしい動きをするので走りのレベルもポテンシャルも非常に高い。 初心者でもコントロールしやすい安定志向のセットアップだが、ビートのように終始アンダーステアではなく、ミッドシップらしさを感じさせるセットになっている。 それにスポーツモデルなのに、軽自動車なのに質感が高いのにも驚いた。これまでのホンダ車なら、モデューロによってさらに質感を上げる、 さらにしなやかな乗り味にするといった考えを盛り込んできたが、S660はノーマルですでにそのレベルに到達している。 ではモデューロでは何を目指したのか?「味付け」はベースの性能や潜在能力によって大きく変わる。S660ははノーマルでも高いレベルなので、 アイテムを一つ交換するだけでクルマは大きく変わる。コンセプトは、ノーマルのよさを活かしつつ、より走りにこだわる人のためにストライクゾーンの ど真ん中にしたことだ。ノーマルとの違いは、数値でどうこうではなく初心者には快適性と安心感、上級者には懐の深さを感じさせる仕上がりになっている。 ちなみに鷹栖のテストコースでS660モデューロのテストをしているとき、研究所のテストドライバーが乗るS2000と並走したことがあったが、上りは離されるけど、 下りは追い付けるくらいのポテンシャルがあった。とくに中高速の下りコーナーは絶品なので、ワインディングで出会ったら注意した方がいいかも知れない(笑)。 S660はノーマルもモデューロも軽の先入観を捨てたほうがいい。土屋圭市、このオレをその気にさせる、元気なホンダが戻ってきた。
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956 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 12:04:50.84 ID:s14lA/gJ - 電子制御をオフにしても素性の良さがわかりますね
https://www.youtube.com/watch?v=foKnCG-i3Ag
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960 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 13:19:43.49 ID:s14lA/gJ - オープンで一日風に吹かれて走っていると体がふわふわして次の日まで残る。二日ふわふわ
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962 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 13:26:34.15 ID:s14lA/gJ - >>961
ピカチュウに毛が生えているのはおかしい。表面はツルツルで感触はぷにぷにしているもんだと思っていた。
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971 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 18:58:57.59 ID:s14lA/gJ - 買い物してレシート見たら令和1年と書いてあった。新時代がきた( ゚д゚ )
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973 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 19:29:27.97 ID:s14lA/gJ - すずめちゃん
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976 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 20:00:44.83 ID:s14lA/gJ - 戦闘機のパイロットはイメージトレーニングを訓練でやっているそうだ。
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977 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 20:20:12.75 ID:s14lA/gJ - 思ったけど、幌をたたんで収納ケースに入れるとなんかキツキツじゃねw
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981 :阻止押さえられちゃいました[sage]:2019/05/14(火) 21:00:12.54 ID:s14lA/gJ - なんか普通のモデューロもふつうにカッコいいな
あのリアバンパーも好きだし、フェイスキットと込みで交換したくなってきたわ
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