- 体験した怖い話 作り話を語り合うスレ
227 :名無し百物語[]:2023/06/03(土) 21:35:00.58 ID:YRrdetbS - >>226
[つづき] 石膏像はバラバラに割れました。 割れた断面を見てみると、石膏の中に骨のようなものがあります。 そこにいた子たちは怖くなって、壊したことを先生に言いました。 クラブの先生は、それを理科の先生に見せて調べてもらいました。 理科の先生が調べたところ、それは犬の頭骨だったそうです。 骨に石膏を塗りつけて固めて、表面を削って形を整えて毛並みなども表現していました。 両方の眼窩には、きれいなビー玉が詰めてあったそうです。 作者の男の子についての情報は残っていましたが、かなり前のことなので今さらどうこう言うこともない。 その理科の先生は、石じじいの科学知識の顧問のような人物でした。 彼がじじいに言うには: 「あれは、中に犬の骨が入っとったけど、まわりは石膏で固めて、それを削って形を作っとったんで。骨は石膏像の芯みたいなもんよ。」 「考えてみんさい。鼻や頬の形や、まぶた、耳の形は骨には残っとらんので。それをあの子は、きれいに削り出して、ほんものみたいに写実的に作ったんぞ。これはなかなかできん。」 「あの子には才能があったんよ。骨なんか中に入れんでも同じようなええもんができたろうのう。」 「もしかしたら、その犬は、あの子にとって大事なもんやったんかもしれん。飼うとった犬やったかもしれん。生きとった時の姿をようおぼえておったんかのう・・・。」 愛するものとの、そのような別れかたもあったのかもしれません。
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