- 体験した怖い話 作り話を語り合うスレ
178 :名無し百物語[sage]:2022/10/13(木) 14:56:20.97 ID:d+8d2cer - 石じじいの話です。
じじいの村の近くには、四国遍路の札所がいくつかありました。その近くではないのですが、高知の西部の足摺岬にも札所があります。 「足摺:あしずり」の語源は定かではありませんが、「むかし船で沖合に漕ぎ出す時に、肉親とわかれるのが悲しくて『あしずり=足摺り』をする」という説があります。 高知には、昔、観音菩薩のいる南方浄土に行くために足摺岬から船出をする補陀落渡海がありました。修行者(僧侶)の船出の時には、その弟子たちが悲しんで「足摺り」をしたという。 また、この岬は、もともと「さだのみさき=蹉蛇の岬」と呼ばれていて、それが「あしずり」と読まれるようになったのだとか。 さて、ここからが本文: 足摺岬の近くに、「絶望の岸壁」というものがあったそうです。それは、海に面して切り立った断崖で、そこに、細い道が通っている。 その道が岩を穿って作られた完全に人工のものだったのか、自然の段差を利用したものかは不明だったと。 そこは危険な道でしたが、近道だったので昔は使われることがありました。 しかし、その山側に道路ができてからは使われなくなりました。 ある時から、そこを通ると必ず海に落ちて通行人が死ぬ:という噂がたったからです。 ある遍路が落ちて死んでから、そのような現象が起きるようになったらしいのです。 最初は、落ちるのはまれでしたが、だんだん落ちる頻度が多くなって、最後には通ろうとする者みんなが落ちるようになったそうです。 複数人で通ろうとして、他の人がみな落ちて自分だけが帰ってきた人によると、他の人はまるで自分から飛び込むように落ちていったということです。 どうも、事故ではなく、そこを通ると自らが崖から飛び込むらしい。 その現象のきっかけとなった遍路の墜落死の原因はわかりませんでしたが、誰かに突き落とされたのではないか?という噂もありました。 その遍路の呪いかとも思われるのですが、因縁話としてはちょっと陳腐です。あとから作られた話かもしれません。 その後、使われなくなった崖の道は大部分が崩落して、じじいが話してくれたときには、もうほとんど残っていなかったようです。 じじいは、岩石を採集しに行った時に、その残っている道を見たことがあったそうです。 道には、落ちた人が持っていたであろう荷物?が残っていたそうです。
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