トップページ > 創作怪談 > 2022年08月12日 > q8qGuyOz

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名無し百物語
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156 :名無し百物語[]:2022/08/12(金) 12:03:41.69 ID:q8qGuyOz
自分が高校生だった時の話です。
いつも部活帰りの夜に自転車で自宅まで帰る途中に、必ず通る路地裏の狭い道があってカーブがあってカーブミラーもついている道でした。
車は通れない道です。
いつものようにその道を通っていると、カーブミラーにおばあちゃんが写っており、そのおばあちゃんがその角の家の門の前に立っていることが分かりました。
カーブを曲がる時ミラーで見た通り、おばあちゃんがやはり家の門の前に立っていました。
ただおばあちゃんは下を向いて微動だにしてませんでした。
いつもならこの時間にこの道にそもそも人も自転車も通らないような、街頭もない暗い道です。
不自然だな、と思って足早に通り過ぎました。
次の日もまた同じように、その道を通るとやはりおばあちゃんが門の前に立っていましたが今度は同じく下を向いて手に鎌を持っていました。
それから三日か、四日後にまた夜にその道を通るとおばあちゃんは門の中のドアの前に鎌を持って立っていました。カーブミラーでは誰にもいないように見えたので驚いて「わっ!」っと声を出しながら通り過ぎました。
その時は友人も一緒に通ったので友人に「おばあちゃん門の中にいたよね。なんでいつもこの時間に外にいるんだろうね?」と聞くと友人は見てないよ、と言いました。
それから一週間ほど、その道を通ることがなかったのですが、また通ると角の家に喪中の紙が貼られていました。
誰かが亡くなったんだな、と分かると同時に、もしかしたらあのおばあちゃんは死神だったのではないかと考えるようになりました。
鎌を持ったおばあちゃんは、それから見ていません。


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