トップページ > 創作怪談 > 2021年08月07日 > lxoZLqxq

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名無し百物語
すげぇ怖かった話を貼るスレ

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すげぇ怖かった話を貼るスレ
9 :名無し百物語[]:2021/08/07(土) 05:14:31.99 ID:lxoZLqxq
これは俺が小学2年生の時に見た夢の話だ。


夢の中で俺は公民館みたいなところにいた。
時刻は夕暮れ時で、辺りを見回しても誰も見なかったかのように思う。
公民館の敷地内には小学校の校庭のようにだだっ広い広場があり、館内を歩き回っていた俺はふと広場の真ん中あたりで何かが行われているのを見かけた。

遠目でよくわからなかったのだが、ぽつんと一つドラム缶みたいなものがあり、その周りを大人が囲んで何か作業をしていた。どうにも大人たちは、ドラム缶の前にある黒いものに何かをたたきつけては、その黒いものの破片?をドラム缶に投げ入れているようなのだ。


そこで、俺は目を覚ました。まだ部屋の外は暗く、朝までは時間がありそうだった。俺はつい今しがたまで見ていた夢の内容に頭を捻りつつ、「すぐにまた寝ればこの続きがみられるかもしれない」などと考えてまた目を閉じた。

思えば、そんなこと考えなければよかったのかもしれない。この先に起こったことは、あれから十数年たった今でもふとした瞬間に思い出してしまうのだから。


 つづく
すげぇ怖かった話を貼るスレ
10 :名無し百物語[]:2021/08/07(土) 05:42:14.03 ID:lxoZLqxq
 つづき

気が付くと、俺は先ほどと同じ公民館と思しき建物の中にいた。
時刻は相変わらず夕暮れ時らしい。が、位置が先ほどとは違い、広場が見えない場所に立っていた。

俺は先ほど見た光景が無性に気になっていた。どこに行ったら見えるのだろう?
そんな時、ふと誰に教わるわけでもなくこう思いついた。「そうだ、あの広場はトイレからは近い場所にあった・・・少なくとも前の場所より。」
建物内を移動し、トイレまでたどり着いた。ここまで広場を見ることは出来なかった。だが、小便器の上には窓がある。そこから広場が見渡せるはずだ。

トイレには電気がついており、ちょうど中には誰もいなかった。
俺は迷うことなく真ん中あたりの小便器まで進んでいき、ジッパーを下げ、(尿意は不思議となかったので)小便をするふりをして窓から広場を覗いてみた。
相変わらず、ドラム缶の前で大人たちが何かをやっている。先ほどは遠目でよくわからなかったが、ここからならよく見ることが出来―――!?

理解はしたが、理解ができない。そんな光景だった。
大人たちが手にしていたのは斧だか鉈だか、そういうものだった。そして、彼らが行っていたことは・・・倒れ伏した人間を解体する行為だった。
無造作に手にした武器をふるっては、遺体を解体し、そのパーツをドラム缶に投げ込んでいたのだ。
どうすれば、どうすれば、どうすれば!!?俺は固まったまま、その光景を食い入るように見ているしかなかった。

だが。その時。
自分の横に。
誰かが立つ気配を、感じた。

 もちょっとつづく 
すげぇ怖かった話を貼るスレ
11 :名無し百物語[]:2021/08/07(土) 06:01:30.54 ID:lxoZLqxq
 つづき

男だ。男が、自分の右横の便器に立っているのが分かった。
俺は、咄嗟に視線を下に下げた。男の立っている小便器の前には、窓がない。つまり、彼の位置ならば広場で何が行われているのか察することはできないはずだ。
何故かはわからないが、「自分があの光景を知ったことを大人たちに知られるとまずい」ことは理解していた。
このまま、何も見なかったふりをして立ち去る。そうするべきだ。

小便を切るふりをして、ズボンのジッパーを上げ、即、離脱―――!
しようとした時、男がぼそっと呟いた。呟いただけの声量なのに、不思議とその声は耳によく残った。

見たよな? と。

ぎくり、と立ち止まる俺に、男は視線をこちらに向け言い放つ。
「見たろ。見たよな。見た、見た、ミタミタミタ―――」
男は腕を伸ばし、俺を捕まえようとする・・・が、一瞬早く俺はその手をかいくぐり、トイレから逃げ出した。

そこからは。男から逃げるので精いっぱいで、気が付いたら目が覚めていた。
心臓はばくばくと、つい今まで全力疾走していたかのように鼓動を刻み、体中にじっとりと汗をかいていた。

大抵の場合、夢はすぐ忘れてしまうものだ。だが、この夢だけは、何故か忘れることができない。
それと同時に思い起こしてしまうのだ。男の、自分に向けたある一言を。


「見たよな?」


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