- 【世界一の】鈴木桂治【足技】
351 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2016/04/07(木) 14:31:38.01 ID:FlevGFfD - 「五輪は人を変える」と、いまは亡き恩師の斉藤仁先生がよく口にしていた。2度の五輪を経験した私は、柔道家として世に出ることができ、
身を立てることができた。多くの方々とご縁をいただき、いまも活動の幅が広がり続けている。五輪の畳の下に、人生を変える鉱脈が 眠っているのは確かだ。 代表に選ばれた瞬間から、周囲の見る目も変わる。マスコミなど好意を持って接してくれる方々だけならいい。現実には選手を“金脈”に見立て、 よからぬ算段を秘めて近寄ってくる人も少なからずいる。それに躍らされず、自身を高く保つのも五輪代表の大切な務めだと思う。「五輪の魔物」と の格闘は、すでに始まっている。 これも魔物の横槍(よこやり)だろう。男子100キロ級世界王者の羽賀龍之介(旭化成)が、リオデジャネイロ五輪代表の最終選考会となる 全日本選抜体重別選手権を前に、左膝を負傷した。井上康生日本男子監督や強化担当コーチの私は、大会を欠場した羽賀をそのまま代表 に推した。全日本柔道連盟の強化委員会からも異論はなく、100キロ級の代表に就いている。 羽賀からけがの一報を受けたとき、「出ろ」とは言えなかった。われわれはロンドン五輪後の就任当初から「井上体制はリオで金メダルを取るための 体制だ」と、方針を鮮明にしてきた。「最終選考会」の顔を立てるため、羽賀に無理を強いることは選択肢になり得ない。井上監督から「欠場」への 考えを聞かれたときも、私は間を置かず「監督と一緒です」と伝えている。 それ以前から、羽賀への懸念がなかったわけではない。〈スピードスケート五輪金メダリスト、清水宏保さんの指導を仰ぎ、下半身強化に励んでいる〉 との記事を読んだのは3月初めだった。着想自体は二重丸として、その環境が気にかかった。 報道陣に囲まれ、多くの視線にさらされる中で実のある鍛錬が積めたのか。代表になる前の段で「代表気分」に毒されてはいなかったか。 マスコミの後押しはありがたいが、選手が誤ってそれに乗せられてしまうと主客転倒になる。 この先1カ月、治療とリハビリに専念する羽賀には「復帰の過程を撮らせてくれ」というマスコミからの依頼が来るだろう。日の丸の重み を分かっているなら、すべてを遮断することだ。金メダルを取るために何が必要か、一人で心を整理することだ。勝利への欲を研ぎ澄ますことだ。 いつか自身の肩書を名乗るとき、「リオ五輪代表の羽賀」でよしとするのか、「金メダリストの羽賀」と日本柔道の面目を施すのか。羽賀には 改めて問いたい。お前の目標は何だ−と。 魔物に揺らぐ程度の答えなら、代表には選んでいない。 【鈴木桂治 柔のすゝめ】「五輪の魔物」との格闘 http://www.sankei.com/sports/news/160407/spo1604070006-n1.html
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