- 【隔離スレ】 刑法の勉強法 02 【避難所】
160 :元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE []:2014/07/14(月) 20:19:34.45 ID:n/8ANymt - 刑法各論講義案 第2講 遺棄と不保護
1 問題の所在 こ 刑法典第30章には、遺棄の罪として、単純遺棄罪(217条)、保護責任者遺棄罪(218条)、およびこれらの結果的加重犯である遺棄致死傷罪(219条) が規定されています。 論点としては、@保護法益は何か、A「遺棄」の概念、とくに217条の遺棄と218条の遺棄は同じなのか、異なるのか、B保護責任の発生根拠、 C遺棄致死罪と殺人罪の区別、が挙げられます。 2 保護法益 @生命・身体の安全であるという説(通説=団藤・大塚・中森・前田・山中) @)条文が傷害罪・堕胎罪よりも後に置かれていること A)致「傷」罪も219条で処罰されること B)基本犯の法定刑が軽いこと(217条は1年以下の懲役) A生命の安全であるとする説(平野・大谷・西田) @)身体まで含めると処罰範囲が広範・不明確になること A)218条の不保護罪に「『生存』に必要な保護」という文言があること 私見は、「生存」に必要な保護をしなかったとき、という文言は決定的であると考え、A説を支持します。 【続く】
|
- 【隔離スレ】 刑法の勉強法 02 【避難所】
161 :元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE []:2014/07/14(月) 20:26:22.76 ID:n/8ANymt - 刑法各論講義案 第2講 遺棄と不保護(2)
3 遺棄の概念 「遺棄」というときは、 @要扶助者をその従来の場所から生命に危険な他の場所に移転させる行為(移置) A要扶助者を生命に危険な場所に置いたまま立ち去る行為(作為による置き去り)および 要扶助者
|
- 【隔離スレ】 刑法の勉強法 02 【避難所】
162 :元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE []:2014/07/14(月) 21:08:15.59 ID:n/8ANymt - 刑法各論講義案 第2講 遺棄と不保護(2)
3 遺棄の概念 「遺棄」というときは、 @要扶助者をその従来の場所から生命に危険な他の場所に移転させる行為(移置) A要扶助者を生命に危険な場所に置いたまま立ち去る行為(作為による置き去り)および 要扶助者が生命に危険な場所に行くのを放置する行為(不作為による置き去り) B要扶助者が保護者に接近するのを妨げる行為(接近の遮断) が問題となります。 学説においては、 @遺棄を広狭二義に分け、217条の遺棄は狭義の遺棄としての「移置」をいい、広義の 遺棄は「移置」のほかに「置き去り」と「接近の遮断」を含み、218条の遺棄は広義の 遺棄をいうという通説・判例(昭和34年7月24日) A217条の遺棄は「移置」および「接近の遮断」のみを含むのに対し、218条はそれ以外の 不作為による「置き去り」を含むと解する説(大塚) B217条、218条いずれの遺棄も「移置」と解する説(大谷・西田) とが対立しています。 私見は、以下の理由によりB説を支持します。 @218条は遺棄と不保護を区別して規定しているから、遺棄のなかに不保護にあたる不作為 による遺棄を含ませる@説は妥当でないこと。 A217条と218条はいずれも「遺棄」と規定するにすぎず、両者を異なったものとして 把握する各説は妥当でないこと。 したがって、218条が「遺棄」を「不保護」と区別して規定しているのは、作為による遺棄 すなわち被遺棄者を場所的に移転し、生命に危険を生じさせる「移置」のみを遺棄とし、それ 以外の場所的離隔を伴う行為は「不保護」に含ませる趣旨と解されます。 【続く】
|