- 手越君は天使だよね
391 :ユー&名無しネ[sage]:2009/10/01(木) 22:54:02 ID:ypdgl+ME0 - 【実力テスト 国語】
次の故事成語の正しい意味を、ア〜オの中から選びなさい @河童に油揚げ A河童の面に水 B発つ升 後を濁さず C能ある河童は爪を出しっぱなし D臥薪嘗胆 ア、負けた勝負の悔しさは絶対に忘れず いつかきっと勝てる日を信じて己を磨き続けること イ、何を言われても気にしない強いハートのこと ウ、できそうな気がするという時点ですぐにオレできる!と言ってしまう積極的な性格のこと また勝てる勝負は徹底的に、たとえ相手が子供であろうが目上であろうが 完膚なきまでにこてんぱんにすること エ、河童による河童のための油揚げ解放運動のこと オ、本当に綺麗好きな人は たとえ時間がかかっても 誰かが待ちきれなくなっていても 最後まで妥協することなく 去り際まで美しく整えておくということ 60点以下は お残りで河童の個人授業だからね
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- 手越君は天使だよね
392 :ユー&名無しネ[sage]:2009/10/01(木) 23:29:46 ID:ypdgl+ME0 - 【はなむけ】
彼岸花がところどころに群れて咲く暮れかけたあぜ道を たくさんの提灯をゆらゆらさせながら 花嫁行列がすすんでゆきます 升ちゃんのお姉さんが となり村の 庄屋さんのお家へ嫁いでゆくのだそうです ちょっと気が強くて 怒るとこわくって でもとびきり優しい 働きもの 早く嫁に行かないともらってくれるひとがなくなっちゃうよと 升ちゃんはいつも心配していましたが もう安心 となり村の庄屋の跡継ぎは なかなか立派な若者だって やれやれ これでやっとうるさいのがいなくなるよ おめでとうを言う河童に ちょっと照れながら升ちゃんはそんな憎まれ口をきいて嬉しそうに言ったものでした 赤い空の下をゆく花嫁行列はとってもきれいで しばらく 口をあんぐりあけたまま 見蕩れていた河童でしたが そうだ あらためておめでとうを言わなくちゃと 見送りの人々の中に升ちゃんの姿を探しました
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393 :ユー&名無しネ[sage]:2009/10/01(木) 23:31:32 ID:ypdgl+ME0 - ところが一番まん前で元気に手を振っているものとばかり思っていた升ちゃんがどこにもいません
薄暗がりの中、さんざん探し回った河童は 鎮守様の森の石段でぽつんと座っている升ちゃんを見つけました どうしたの?こんなとこで?お見送りしなかったの? 升ちゃんは 不機嫌そうに ぷいとあっちを向いたまま何も言いません 普段はにこにこ笑顔の升ちゃんですが いったんへそを曲げると 何が何でも口をきいてくれないのです ――頑固モノ!石頭! その石頭の横顔を見ているうちに河童はふと 升ちゃんの気持ちがひたひたとしみてきたような気がしました 升ちゃんはさびしいのです 「ねえちゃん」が よそのお家の人になってしまうのが そう気がついた河童は そっと升ちゃんの隣に座りました
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394 :ユー&名無しネ[sage]:2009/10/01(木) 23:33:39 ID:ypdgl+ME0 - 升ちゃんときたら きっと花嫁行列の出発のずいぶん前から 雲隠れしてしまったに違いありません
お別れも言ってないに決まってます 「升ちゃんって素直じゃないね」 河童に言われたくないと思ったかもしれませんが 升ちゃんは黙ったまんまです ふいに河童が升ちゃんの腕をつかんで立ち上がりました 升ちゃん!鎮守様を抜けて行けば まだ間に合うよ! お堂の屋根にのぼって 峠越えの行列にむかって 歌ってあげようよ 言うが早いか ひとまわりも大きな升ちゃんをひきずるようにひっぱります いやだ!も何も 言う暇がありません こういうときの河童の強引さといったら… 転びそうになりながらつられて升ちゃんも一緒に走り出しました
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- 手越君は天使だよね
395 :ユー&名無しネ[sage]:2009/10/01(木) 23:41:35 ID:ypdgl+ME0 - 二人はもうほとんど真っ暗になっている森を抜け、てっぺんのお堂のところに出て
そして まあ狐が見たら泡を吹いて青くなるところでしょうが その垂木に足をかけて やっとこさで屋根に上ってしまいました 目の前に見える峠を いくつものちょうちんがぽつぽつと 進んでゆくのが見えます あれだ! 河童がちいさく歌い始めましたが 升ちゃんはじっと行列をみつめたまんま もう!今だよ!今歌うんだよ! 黙っている升ちゃんの尻っぺたを後ろから思いっきり蹴り上げてやりますと 我にかえった升ちゃんがやっと歌い始めました 思いっきり大きな声ださないと聞こえないからねっ!河童がけしかけます 升ちゃんはだんだん大きな声になりました 升ちゃんの声はぴんと張りのある どこまでもまっすぐな声 いつだって その声をねえちゃんは誉めてくれました 升ちゃんは 思い切り歌います 河童もあわせて歌います 秋の山肌を吹きおろす風にきえてしまわないように 九十九折の峠をゆく 小さな籠に揺られてうつむいているねえちゃんに聞こえるように ねえちゃん ぜったい幸せになれ ぜったいに幸せになれよ
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