- 会社の負債800万を風俗店員になって返済した話
401 :名無しさん@引く手あまた[]:2020/03/26(木) 07:39:36.26 ID:EWya23ey0 - 信濃路のチューハイの威力は凄まじかった。
翌日の頭痛も半端なかったが、悪酔いもかなりのものだ。メニューは学食レベルだが24時間やってる便利な店だ。鶯谷は「鶯谷苑」も有名だが実は他にもいい店がいっぱいある。 中華の激安店「美叙飯店」や南口の立ち飲み「ささのや」、そして富士そばや日高屋もある。吉原に比べれば大都会なのだ。 この頃には一之輔と仕事終わりに酒を飲むことが増えた。 市之助は自分と同じくらいの給料だったが、なかなか難しい立ち位置であった。仕事もできるし皆からの信頼も厚くまあまあの期間を働いていた。 彼なら役職に就いてもいいのだと思うがなにせ上が詰まってる。誰かが辞めたり飛ばないとお鉢が回ってこないのだ。 これは吉原全体に言えることだが、上が詰まってる。どんなに頑張っても上が詰まってる以上どうにもならない。 皆が店長の失脚を望んでいるのだ。
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- 会社の負債800万を風俗店員になって返済した話
402 :名無しさん@引く手あまた[]:2020/03/26(木) 07:39:54.14 ID:EWya23ey0 - 吉原に集まってくる連中のほとんどが山師だ。ギャンブル好きが多いのも仕方ないことなのだろう。
そんな連中だからそれぞれに思惑がある。店の中の序列以上に金が優先される。上に行けば行くほど自分の上の人間がいなくなることを望んでるのだ。つまり一枚岩でやってる店などないということなのだ。 しかし三三の店は少し違った。なんとなく根本的に目的意識を共有してるというか統率が取れてる感じがしたのだ。 一之輔は酔っていた。普段から酒を飲んでもくどくならないのと、全部おごりだったから飲みに付き合うようになったのだがその日は違った。 もちろん話の中心は「新店」の事だ。 もし、新店が三三の手中に収まれば、三三を中心に「鯉八」と「小痴楽」がそれぞれの店長。一之輔はたぶん鯉八と新店立ち上げに行き役職に就くだろう。 悪いことなど何もない。むしろいいことずくめだ。 しかし一之輔は今ではないという。 まず分ける人員がいないということ。現在の6人体制に+1人で力を付けてからの方が良いと言う。共倒れする可能性があるからだ。意外だった。 話が長くなりそうなのでこちらから話を変えてみた。
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- 会社の負債800万を風俗店員になって返済した話
403 :名無しさん@引く手あまた[]:2020/03/26(木) 07:40:07.29 ID:EWya23ey0 - 「なんで三三と仕事してるのか??」
一之輔は長い沈黙の後、話始めた。 予測はしていたが、一之輔と三三は八王子の巨大バイク同好会からの知り合いだという。元会社の同僚なんて聞いてたがそれよりずっと前から知り合いだった。 三三の父親は吉原の某有名店の社長だったという。日本中が好景気に沸き吉原の街も人が多すぎて吉原の中にタクシーが入ってこれなかったらしい。今のオレンジ通りは客で肩がぶつかり進めないほどだったという。 そんな吉原でたたき上げで社長まで上り詰めたのが三三の父親「柳家小さん」である。 都内に自社ビルを持ち、山手線の内側に一軒家の豪邸を持ってたらしい。吉原では知らぬものがいない成り上がり伝説の男だったそうだ。 当時、三三は金に困ることもなく、新車の川崎のバイクで走っていた。一方、一之輔は盗難車のCBXだったらしい。 その父親が、ある事件で店を失い手持ちの不動産をすべて手放し文無しになって早くに亡くなってしまった。 ぼっちゃんだった頃から貧乏になって落ちぶれるまですべてを一緒に過ごしてきたのが一之輔なのだ。 そして「事件」の糸を引いていたのが小三治だという。
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