- iOS 14.xを語るスレ Part4
468 :iOS[sage]:2020/08/06(木) 16:22:08.48 ID:w79rs9lC - iStock
――立花先生はどんな研究をされているのですか。 立花 専門は気象学です。気象学、おもしろいですよ! ――先生にとって気象学のどんなところがおもしろいのですか。 立花 いつもと違う、めったにないことが起きると、誰もが興味を持つと思います。特に僕は科学者なので、普通でない事が起きると、どうしてそうなったのか知りたくなります。わからないことが起こったら、わかりたいと思う気持ちが人より強いんだと思います。ですから、異常気象が起こるとなぜ起きたのか理由を考えたくなります。 特に、地球の反対側で起きた現象が日本の気象にも影響を及ぼすとか、その異常気象の原因が思いもよらないところにあることを発見することは楽しいですね。 ――2010年の記録的な日本の猛暑もどこか遠いところの影響だとニュースで見て驚いた事があります。確かヨーロッパも猛暑だったのですよね。 立花 2010年の猛暑については様々な原因がありますが、僕も、当時修士課程の大学院生だった大富さんと一緒にその原因の一つについて論文を書きました。 2010年の猛暑の原因のひとつは、カリブ海を含む大西洋の海水の温度が高かったからです。なぜ海水の温度が高かったかというと、シベリア、ヨーロッパ付近でその前の冬が寒かったためです。 ――寒い冬だったから、次の夏に海水の温度が高くなった、とは、どういうことでしょうか? 立花 冬、寒い時は北風が吹きます。大西洋の上に強い北風が吹き、赤道付近にまでいってまた戻ってきます。すると海も赤道付近の温かい水が北へ流れます。アフリカ周辺の温かい海水が大西洋に流れ込み、大西洋の海水の温度が上がったのです。 水は冷めにくく温まりにくいので(空気はすぐ冷える)、海の水もいったん温まるとしばらく温かいままで、夏まで持ち越して、水温が温かいままだったのです。 立花 少し専門的な話になりますが、入道雲は暖かい海からよくできます。水温が温かかった大西洋の上にはたくさんの入道雲ができました。入道雲の中の上昇気流がどんどん上がり、対流圏界面(対流圏の上端)にぶつかり、北に流れます。 その気流の温度が下がって空気が降りてききます。下降気流は高気圧になり(雲が押しつぶされて消え、天気がよくなる)、晴れ渡ってヨーロッパが猛暑になったのです。 ――そういうことですか。ヨーロッパが猛暑になるのはわかりましたが、でもどうして日本まで猛暑になったのですか。 立花 その理由は、偏西風(西から東に吹いている風)が高気圧の発生により蛇行し始め、ヨーロッパからの熱い空気が日本にも運ばれてきたことが原因です。 ――そういうことだったんですね! ということは、2010年の日本の猛暑の原因は、その前の冬のヨーロッパ周辺が寒かったことが始まりなのですね。普通では考え付かないことだと思いますが、どうして発見されたのですか。 立花 まず、仮説を立てます。もしかしてこうなんじゃないかな、と思う事を調べていきます。インスピレーションもありますが、子どもの頃から好奇心が旺盛で、なにか起きると、なぜ起きたかということを考える癖があります。そういうこともあって、ひらめくのかもしれません。 人がやらないこと、思いつかない事をなんとかして思いつきたいと思っているし、よく言われている事じゃない事がなにかないか、といつも考えています。
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