- 形成外科(美容抜き)3
269 :卵の名無しさん[sage]:2011/09/21(水) 00:55:46.19 ID:M/8Ev/Y00 - >>268
(傷治し心得の条) @「皮膚潰瘍とは読んで字の如く皮膚組織が障害欠損した状態」 A「その状態ではいくら手を加えようと関連細胞は刻々障害されている」 B「修復>破壊に傾けば治癒に向かい、修復<破壊のままなら増悪する」 C「壊死組織の介在と感染が局所管理実務上の二大大敵(それと乾燥ね♪)」 D「局所管理の目的とは即ち、壊死組織の除去と感染の制御によって良好な肉芽を挙げること」 E「壊死組織除去の方法=外科的surgical、化学的chemical(drug-induced)、機械的(mechanical)」 F「感染制御の方法=洗浄(Solution to polution is dilution.)、抗生剤、消毒薬!(笑)」 G「EFいずれの方法も、”ある程度の”細胞組織障害性は免れないことは承知のうえで、それに 勝るベネフィットが期待できるために行っているに過ぎない」 H「例えば外科的デブリードマンを、全く正常細胞を破壊しないように遂行可能な外科医がこの世に存在するだろうか?(笑)」 I「だからと言って、外科的デブリの効用を否定する医者が存在するだろうか?(笑)」 J「軟膏や消毒も全く同じ事」 K「要するにrisk - benefit balanceが大事で、治癒の方向に傾ければ良いんですよ」 L「そこの匙加減を最適化することこそが専門家の面目」 M「完全無欠、オールマイティーな方法は現時点では存在しない」 何でも善悪二元論で片付けようとするから臨床の実際にそぐわない困ったことになる。夏井さんのはね、夢見る書生論なの。 野球で言えば完全試合しか勝ちと認めない、と言っているのと同じ。まぁ随時完全試合が出来る世の中が来ることを私めも 祈ってはいますが、現実問題として臨床の現場じゃ、どんなに苦戦しようとも患者助けないといけないの。 それに確信犯的にやってるとしたら、まー明らかにそうなんだろうけど(笑)、随分と腹黒い書生さんですな、と皆さん仰って いるわけですよ。
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271 :卵の名無しさん[sage]:2011/09/21(水) 01:11:27.51 ID:M/8Ev/Y00 - (補足)
壊死組織含め異物の介在と感染が、何故に創治癒遷延に繋がるかというところが一般の方には ややギャップがあるかもしれないので補足しておきます。 創傷治癒過程とは炎症反応を基盤(胎児創治癒等の特殊環境はこの際無視します)としますが、 一言で言えば、壊死組織や感染の存在は、その炎症反応を遷延化(慢性化)させるからですね。 創傷治癒過程で炎症反応が伴うのはしゃーない。ならば滞りなく速やかに各フェーズをお進み戴いて、 あるステージが長々と続くことを避けるのが即ち我々のやっている創傷管理なんです。 創部乾燥については夏井さんも仰ってる通りですね。修復機構=生体反応ですから、創治癒に 関わる各種細胞やサイトカインの活動を可及的至適条件に近づけたいわけです。細胞培養の 条件と同じですね。ちなみに創を乾燥させると痂皮(かさぶた)が出来ますが、これは治癒状態 でも何でもありません。修復が障害された結果生じる残骸にしかすぎません。
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272 :卵の名無しさん[sage]:2011/09/21(水) 01:42:42.19 ID:M/8Ev/Y00 - >>270
ゲー便、いやゲーベンを、例えばSDBあたりの新鮮熱傷にいきなり使うのはNGですね。 ましてや、擦過創や採皮創なんかの全く〜殆ど壊死組織が介在しない創に使用するのは このクリームの使用法からは全く外れていますし、少なくとも形成外科・皮膚科医には そんな使い方をする人はいません(笑) 夏井さんのHPのゲーベン実験に使われている創は、 明らかに分層採皮層なわけですが(笑)、これなんかも非常に恣意的ですね。 ゲーベン(サルファジアジン酸銀塩)の一般的な使い方は、もう既にコッテリ壊死組織があって、 しかも感染が危惧されるような創に対して、感染を可及的制御しつつ壊死組織の自己融解を 促進することによって、以後の外科的デブリードマン→(VAC等による良好な肉芽の挙上)→ 植皮や皮弁による上皮化ないしは被覆、までを速やかに行えるように「準備する」ための薬です。 つまりは、組織障害性なんて、あって当然なの(笑)
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274 :卵の名無しさん[sage]:2011/09/21(水) 02:21:57.77 ID:M/8Ev/Y00 - >>273
貴方のような理解の早い方ばかりなら、こちらも非常にやり易いのですが(笑) 私も、特に一般の方の誤解(信者さんのクリアカットに過ぎる理解)が改善されることを 祈っています。 なお、上記のことは私なりにかな〜り簡潔化したものですので、間違いや訂正や より良い説明などありましたら専門家諸氏のご意見をお願い致します。
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279 :卵の名無しさん[]:2011/09/21(水) 11:09:06.11 ID:M/8Ev/Y00 - >>277
少なくとも形成外科医・皮膚科医がそういう使い方をすることはまずないのでご安心下さい(笑) お爺さん開業医あたりが使っててタマげた記憶は、ないではないですが・・・極めて勉強不足な ごくごく一部の連中だけです。 だいたいゲーベンをSDB程度の新鮮熱傷に使用しているのは、殆どの場合形成外科医不在の 病院の救急外来で専門外の熱傷を診ざるを得ない他科当直医や、あるいは何でも診ざるを得ない 他科開業医なので。形成スレで批判を展開するのは的外れかと。 まぁお前らの啓蒙が足りんからだ、と言われればその通りかもしれませんが、我々も可能な限り 啓蒙する努力はしている場合が殆どですよ。ただ熱傷等の新鮮外傷全例を管理することも現実的 ではないですし、なかにはいくら言っても聞く耳を持たない方もいらっしゃるので。 夏井さん信者の方々も、「聞く耳を持たない」ということに関しては、他科医をとやかく言えたガラでも ないかと(笑)
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280 :卵の名無しさん[sage]:2011/09/21(水) 11:20:07.34 ID:M/8Ev/Y00 - >>278
直近の過去ログをもう一度よく読まれることをお願い致します。もうすぐ再建に呼ばれるので 重複レスはしませんが(笑)
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281 :卵の名無しさん[sage]:2011/09/21(水) 12:11:22.01 ID:M/8Ev/Y00 - 呼ばれましたので逝って来ます・・・(笑)
>>277さん、ゲーベンは感染制御能もありますが、主たる使用目的は「壊死組織の除去を容易にする」ことです。 そのあたり誤解されているかと。抗生剤をいくら全身投与しても、感染制御には寄与しても壊死組織はそのままです(笑) だから壊死組織が介在しない擦過創やら、あるいはいまだ壊死領域が明確ではない新鮮熱傷には使用しないんです。 こういう創は、平たく言えば「半殺し」状態の組織を可及的にリリーフすることがまず目標となりますので、感染制御の ための洗浄(場合によっては抗生剤投与)と創治癒促進のための湿潤環境保持が治療の基本原理になります。 たとえば重症糖尿病なんかの重大な創治癒阻害因子がない限り、ラップやワセリンだけでも治るわけです。 何度も同じことを言うようですが、「そんなのは常識」なんですよ。
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283 :卵の名無しさん[]:2011/09/21(水) 17:46:29.05 ID:M/8Ev/Y00 - >>282
>壊死組織の除去だったら、機械的に取れば済むだけの話し 一般の方にはもっともな疑問かと思いますが、壊死組織・半殺しの組織・健常組織の 境界(demarcation)は常に明瞭ではありません。ゲーベンはですね、壊死組織の除去を 「容易にする」ために使用する、つまり、我々の業界用語ではdemarcationをつけるために 使用するわけです。 既にdemarcationがついた小範囲の壊死組織なら外科的にデブリをするのは簡単ですが、 ゴチゴチに固着した壊死組織、しかも広範囲・深深度となると、それを外科的に切除するには 場合によっては全身麻酔を要しますし、何より、いきなりデブリをやる方が余程正常組織を 破壊します。 何事も程度問題なんです。TPOに応じて使い分ける、ということですね。 >実際は、そんな選別もせずに、いきなり塗りたくっているのが現状でしょう。 >軟膏や消毒の呪縛からなかなか抜け出せられないのは分かるけどね。 なぜこういう誤った思い込みに囚われるようになったのか、私にはさっぱり分かりませんが、 最初に批判ありき、では真実は見えませんし、誰も幸せにはなりませんよ。 実際はTPOに応じて使い分けている医者が普通ですし、自分が使用する軟膏や消毒類の メリット・デメリットくらい、みんな秤にかけて調整しています。
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287 :卵の名無しさん[sage]:2011/09/21(水) 20:54:06.64 ID:M/8Ev/Y00 - >>284 >>286
その患児の状況が不詳なので何とも言えませんが、例え不適切な使用例であったとしても N=1で「これが実態w」と強弁する貴方がたの思考回路は如何なものでしょうか?(笑) 「ある日本人が殺人事件を起こした。よって日本人は殺人者の集まりなのが実態w」 って言ってるのと同じです。 まぁ当該医療機関が伏字なので、本当に形成外科医がマネージメントしたケースなのかも 怪しいもんですが(笑) そもそも、その症例でゲーベン使用が不適切だという理由を、明確に指摘してから批判して 戴かないことには、評論のしようがありませんね。単に「前近代的」なんていう煽り言葉をいきなり 出してきても議論になりません。乳幼児の広範囲熱傷で、モタモタ治療して期を逸し、瘢痕(拘縮)で もはやどうしようもない醜状や機能障害を残したり、場合によっては生命の危機に晒されたりするケースは 珍しくないですよ。「こんな小さい子に手術なんて」とか言ってる間に急変する、それが乳幼児熱傷の 恐ろしさです。乳幼児に限らず、広範囲熱傷の生体に及ぼすリスクがどれほど過大なものか、お分かりですか??? 最初から医療機関にケチをつけたいだけの方が、夏井さんに乗っかってメシの種にしてるわけでしょうか? ネタは何だって構わない、ってわけですね?(笑)
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