- 完璧な虚無主義者で読書人の一人暮らし
137 :774号室の住人さん[sage]:2019/01/12(土) 01:01:31.80 ID:QKDHPsUZ - >>136に付け足し。
一茶が 「こじきにならずに五十歳の春を迎えることができてありがたい」と感じたのは、 もちろん、自分がこじきに身を落とす可能性があったから――少なくとも 一時期その可能性を感じたから――にほかならない。 一茶は俳諧師。今でいうところのレッスン・プロである。俳句指導をして 生活費を得ていた。実入りは不安定で、明日をも知れぬ人生である。 一茶の句が、雇用が不安定な現代の日本人の心に響くものがあっても 不思議ではない。 一茶の句には、そういう一般人、凡人の心情を反映したものが少なくない。 芭蕉にもそういう句はあるが、もっと淡いか、もっと微妙で、ストレートに 共感を誘うようなところが少ない。 与謝蕪村の句となれば、言語による美の極致ではあっても、蕪村個人の感慨を うかがわせるものはまずない。 そういう次第で、一茶の人気が高いのも無理はないのである。
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