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名無しさん@お腹いっぱい。
【南京】東中野裁判5【新路口事件】

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【南京】東中野裁判5【新路口事件】
852 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2011/12/22(木) 13:20:48.39 ID:Ntegg50u0
【佐藤論文の検証】

佐藤氏は、「軍事的必要原則」は「完全には否定されていない」と主張します。その根拠として、フォングラーン氏や
竹本氏の所説を挙げています。両氏は共に、重大な軍事的必要が生じた場合に、戦争法規の遵守義務から解放される
ことを認めていますが、その具体的な論理が如何なるものかは解りません。佐藤論文の中の『「必要」に関する誠実な
信念や確実な証拠が存在する場合には、この原則の援用や適用を容認している』という記述から察するに、法規の遵守
義務からの解放を認める状況を非常に限定させようとするもののようです。

フォングラーン氏らの説のように「軍事的必要原則」を支持する学説もありますが、反対に、藤田久一氏や筒井若水氏
などはこれを否定する学説を唱えています。
【南京】東中野裁判5【新路口事件】
853 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2011/12/22(木) 13:21:48.22 ID:Ntegg50u0
また、ドイツ流の戦数論を批判しつつ、戦数とは別のより狭い特別の軍事必要(Military Necessity)概念を認め、その
場合にのみ戦争法侵犯を肯定する見解もある(たとえば、O`Brien,W.V.,"Legitimate Military Necessity in Nuclear War,"
World Polity U[1960],P48参照)。 しかし、この軍事必要概念も戦数と実際上区別し難く、結局戦数論と選ぶところが
なくなってしまうと思われる。そもそも、戦争法、人道法の諸規定は軍事必要により多くの行動がすでに許容される武力
紛争という緊急状態においてなお遵守が要請されるものであるから、それらの規定は予め軍事必要を考慮に入れたうえ
作成されている。したがって、条約規定中、とくに、「緊急な軍事上の必要がある場合」とか「軍事上の理由のため必要と
されるとき」といった条項が挿人されている場合を除き、戦数や軍事必要を理由にそれらを破ることは許されない。
藤田久一『国際人道法』p65

jus in belloの逸脱は、別に、戦時復仇としてもなされるが、復仇が相手側の客観的な戦時法違反行為への対応として
なされ、少なくとも、相当性の限界があるのに対し、この場合は、いわば、主観的な必要・緊急事由のみからなされ、
合理的限界も示されてない。もともと、戦時法は、軍事的必要と人道確保の必要とのバランスの上に成り立っており、
戦争法規には、最初から必要事由が組み込まれているとみれば、とりたててこれを認めるまでもない。緊急事由は、
自衛権、緊急行為として、別途用意されているとみることも可能である。これが行き着くところ、戦時法そのものが否定
される結果になりえることも、正当な概念・慣行として、否認される事由になる。これまで援用されたケースが、単に
違法を糊塗するためのものであったとみられる。(2度の大戦の諸例)ことからも、これを独立の逸脱事由とみるべき
ではない、との立場が説得性をもつ。
筒井若水『国際関係法辞典』p488

このように、「軍事的必要原則」を明確に否定しています。
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【南京】東中野裁判5【新路口事件】
854 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2011/12/22(木) 13:22:56.45 ID:Ntegg50u0
「軍事的必要原則」を肯定する説と、否定する説が、国際法学上存在していることが確認できたわけですが、では、
どちらが有力な説として扱われているのでしょうか?この問題について、藤田久一氏は、次のように分析します。

このいわば戦数否定論は、ユス・コーゲンス的色彩の濃い人道法の性質に照らしても、またジュネーブ条約の規定や
米英の軍事提要の動向(The Law of Land Warfare,FM27-10[1956] sec3.; The Law of War on land,The War Office
[1958],sec.633) からみても正当であるといえよう。
藤田久一『国際人道法』p65

「戦数」や「軍事的必要原則」が否定されるという見解は、実際の”戦時国際法・主要各国の軍事提要など国際法上の
動向”と一致するということです。つまり、実際に発効されている条約や、各国の戦時国際法理解を示す軍事提要から、
戦数否定論は「正当」だと結論付けられるわけです。

ところで、佐藤和男氏の文章を読むと、「完全には否認されていない」や「今日でも存在しているのである」という
記述に気が付きます。
「完全に否定されていない」や「今日でも存在しているのである」というような表現からすると、大勢として否定されて
いること、今日の存在は僅少なものであることを読み取ることができます。 つまり 、佐藤和男氏自身の記述からも、
「軍事的必要原則」は、戦時国際法学の趨勢としては、否定される方向にあることが読み取れます。
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以上のように、佐藤論文からは「軍事的必要原則」を認める学説が存在することが解りましたが、戦時国際法学としては
否定的に見られていることを考慮すれば、それは「完全に否定されていない」という程度のことを証明したにすぎません。
『「軍事的必要」原則が国際法上認められている』という主張の根拠としては、だいぶ薄弱なものだと言わざるを得ない
でしょう。


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