- 【三十一谷人】福沢諭吉について(その7)
969 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2011/12/03(土) 19:27:15.12 ID:ahvwqxj20 - >>968
『福澤諭吉事典』の「社説の執筆」(194-195頁)には、 以下のように書いてあります。(執筆は都倉武之准教授) ↓ ---- 社説のほとんどは無署名であり、いず れが福沢の執筆であるかは判断しがた い。しかし、『時事新報』では、「社」の 主義、すなわち福沢が主唱する独立不羈 の立場を共有する「社中」の主義の一貫 性が重視され、いずれの社説も福沢が添 削することを通例とした。元記者たちの 回想によれば、社説には大きく分けて、 @福沢が独自に全文を執筆したもの、A 福沢が論旨を口述して社説記者にまとめ させ、それを福沢が添削したもの、B記 者が独自に起草し、福沢の校閲を経て発 表されたもの、の三種類があったと考え られ、当初は@が大方を占めたと考えら れる。Aを担当した者には、中上川彦次 郎、高橋義雄、渡辺治、石河幹明、菊池 武徳、北川礼弼(れいすけ)、堀江帰一などが知られ るが、その他にも多数の社説記者が在籍 していた。Bについては社説記者ではな い記者が起草したもの、国内外の福沢の 知友などから寄せられる原稿もあった。 (中略) なお、社説の表記を詳細に検討し、執 筆者を推定しようとする試みも近年行わ れている。 ---- 『福澤諭吉事典』(慶應義塾大学出版会、2010年、194-195頁) この記述では、全ての社説に福沢が関与していて、 「福沢がまったく関与していない社説」(平山さんの 『真実』ではカテゴリーWに相当するもの)が まったく存在しないことになってしまいます。 平山さんの「2011年7月5日付都倉武之氏宛書簡」でも、都倉さんが (別の論文「時事新報論説研究をめぐる諸問題」において) カテゴリーWの社説を想定していないことに対して、同意できない 旨の感想を表明しています。 http://blechmusik.xii.jp/d/hirayama/tokura_2011/#text_body また、最後の「執筆者を推定しようとする試み」という記載は、 井田さんの『歴史とテクスト』や、平山さんの『真実』で行われて いる「時事新報論説」執筆者再認定作業のことを指すようです。 しかし、参考文献には井田さんや平山さんの名前は挙がっておらず、 石河幹明『福澤諭吉伝』第三巻の名前だけが挙がっています。
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