- 【やることなすこと】律子女史 2投目【ガター】
303 :投球者:名無しさん[sage]:2012/06/07(木) 19:13:19.95 ID:LMHidV1Y - 1 Telea ら[10] の手法を用いた画像修復の例: : : : : : : : : : : : : 6
2 天野ら[25] の手法を用いた画像修復の例: : : : : : : : : : : : : : 8 3 Xu ら[36] の手法を用いた画像修復の例: : : : : : : : : : : : : : : 9 4 Kawai ら[43] の手法を用いた画像修復の例: : : : : : : : : : : : : 10 5 Orii ら[44] の手法を用いた画像修復の例: : : : : : : : : : : : : : 11 6 画像修復の処理の流れ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 15 7 画像上の各領域: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 16 8 領域Ψ 内の画素に対する類似パターン位置の探索: : : : : : : : : 19 9 欠損領域内の各画素に対する類似パターン位置の探索方法: : : : 20 10 エネルギー算出における画素の関係: : : : : : : : : : : : : : : : : 21 11 粗密法による画像修復の反復処理: : : : : : : : : : : : : : : : : : 24 12 実験で用いた入力画像(1/3) : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 26 13 実験で用いた入力画像(2/3) : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 27 14 実験で用いた入力画像(3/3) : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 28 15 提案手法による修復におけるエネルギーと反復回数の関係(画像番 号:99) : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 29 16 粗密法の各段階における初期画像とエネルギー収束後の画像(画像 番号99) : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 30 17 エネルギーの推移と画像修復過程(画像番号99) : : : : : : : : : : 31 18 アンケート評価のための事前説明ページ: : : : : : : : : : : : : : 33 19 修復結果の採点ページ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 34 20 Criminisi ら[32] の手法が他手法よりも平均点が高く有意差がある 画像: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 36 21 Wexler ら[42] の手法が他手法よりも平均点が高く有意差がある画像36 22 Kawai ら[43] の手法が他手法よりも平均点が高く有意差がある画像37 23 提案手法が他手法よりも平均点が高く有意差がある画像: : : : : : 37 24 提案手法が従来手法に対して有意差があると認められた画像A(94) の比較: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 40 vii 25 提案手法が従来手法に対して有意差があると認められた画像B(99) の比較: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 41 26 従来手法が提案手法に対して有意差があると認められた画像C(07) の比較: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 42
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304 :投球者:名無しさん[sage]:2012/06/07(木) 19:14:21.82 ID:LMHidV1Y - 表目次
1 本実験での各種パラメータの設定: : : : : : : : : : : : : : : : : : 25 2 100 枚の画像に対する点数の平均点: : : : : : : : : : : : : : : : : 35 3 各手法が他の3 手法より平均点が高くかつ有意差が認められた画 像の枚数: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 35 4 画像A〜C の平均点: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 38 5 従来手法と提案手法による処理時間の比較: : : : : : : : : : : : : 39 viii 1. はじめに インターネットの普及に伴い,個人が日常的に撮影した写真や映像をホーム ページやブログに掲載することが一般的に行われている.このような目的で,過 去に撮影済みのアナログ写真をスキャナなどで電子化する際,アナログ写真の物 理的な損傷(キズ,よごれ等)によりそのままでの利用が難しい場合がある.ま た,デジタル写真や映像においては,利用意図に沿わない物体などが写っている ため,そのままでは利用しづらい場合も起こりうる.このような問題に対して, 写真についた傷や意図せず写りこんでしまった物体などの画像内の不要部分を取 り除き,取り除かれた領域(以下,欠損領域)を自動的に違和感なく修復するこ とで画像の利用価値を高める画像修復に関する研究が盛んに行われている. これら画像修復の手法は,欠損領域周辺の画素の輝度値を利用する手法と欠損 領域以外の領域全体(以下,データ領域) の情報を利用する手法に大別できる.前 者のアプローチとして,輝度値の連続性を考慮して欠損領域の周りから輝度値を 滑らかに補間する手法が古くから用いられてきた[1?21].これらの手法は,画素 の輝度値を欠損領域の境界から内側へ徐々に伝播させることで,写真に付いた引っ かき傷のような細い領域に対しては良好な修復画像を得ることができる.しかし, 大きな領域を修復した場合には細かいテクスチャが表現できず,不鮮明な画像が 生成されるという問題がある.このような問題を解決するために,近年では,後 者のアプローチを用いた以下のような手法が多数提案されている. ? 特徴空間を用いる手法[22?26] ? テクスチャを逐次合成する手法[27?39] ? テクスチャを全体で最適化する手法[40?44]
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305 :投球者:名無しさん[sage]:2012/06/07(木) 19:14:47.47 ID:LMHidV1Y - これらデータ領域の情報を用いる手法は,欠損領域とデータ領域のパターン類似
度に基づいてデータ領域のテクスチャを欠損領域内に再現することで画像修復を 行うため,細かいテクスチャを表現することが可能である. 特徴空間を用いる手法では,欠損領域を含む一つのウインドウ内に必ずデータ 領域を含まなければならないという原理的な制約から,一つのウインドウに収ま 1 らないような大きな欠損領域を持つ画像に対しては適用が難しい.これに対して, テクスチャの輝度値を用いる手法では,欠損領域が比較的大きい場合にも,細か いテクスチャを欠損領域内部に再現できる.しかし,テクスチャを逐次合成する 手法では,テクスチャを欠損領域の境界から内側に逐次的に合成するというアプ ローチを採るため,最終的に生成される画像の品質がテクスチャの合成順に大き く依存し,不連続なテクスチャが生じやすいという問題がある.これに対して, テクスチャを欠損領域全体で最適化し修復する手法は,結果がテクスチャの合成 順に依存せずに,欠損領域全体に対して最適な画像を生成できる.しかし,画像 内に存在するテクスチャパターンに限りがあるため,違和感のない修復に必要な パターンが画像内に存在しないことが多い.また,パターンの変形に比較的弱い SSD による評価尺度を用いて画像全体に対して類似パターンの探索を行うため, 計算コストが大きく,かつ不適切なパターンの対応を招き,修復画像がぼけてし まうという問題がある. 本論文では,このような問題を解決するために,テクスチャの全体最適化によ る手法[42, 43] を基礎とし,データ領域と欠損領域の間の明度変化と幾何学的な 変換を許容したパターン類似度によるエネルギー関数を新たに定義する.しかし, この明度変化と幾何学的な変換を許容する際には,探索空間のパラメータ追加に より計算量が大きく増加する.この計算量を抑えるために,エネルギー関数の最 小化において,画像内で近接するパターン間の位置関係を利用した探索を用いる ことで,高速かつ高品位に画像修復を行うアプローチを採る.明度変化と幾何学 的な変換を許容したパターン類似度を用いることで,修復に必要なパターンの不 足により生じるテクスチャの明度と幾何学的な構造の不自然な変化を抑止する. また,画像内で近接するパターン間の位置関係を利用した探索範囲の限定により, 計算コストを削減し,かつ不適切なパターンの対応付けによるぼけの発生を抑制 する. 以降,2 章では,画像修復に関する従来研究と本研究の位置づけについて述べ る.3 章では,明度変化と幾何学的な変換を考慮したエネルギー関数を,画像内 で類似しているパターン間の位置関係を利用して最小化することで画像修復を行 う手法を提案する.4 章では,様々な特徴を持つ画像に対して欠損領域の修復を 2 行い,従来手法との比較および主観的評価実験を行うことで,提案手法の有効性 を示す.最後に5 章で,本論文のまとめと今後の課題について述べる. 3
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306 :投球者:名無しさん[sage]:2012/06/07(木) 19:15:12.25 ID:LMHidV1Y - 2. 画像修復に関する従来研究および本研究の位置付け
と方針 現在,キズやよごれ等が入ってしまった写真,映画のフィルム,壁画等の修復 は,主に専門の技師によって手作業で行われている.しかし,大量の写真や映像の 修復を行うためには多くの労力がかかってしまうため,専門の技師によって行わ れてきた画像修復を自動化するための手法の開発が近年盛んになりつつある.本 章では,このような画像修復の自動化に関する従来研究を概観し,最後に本研究 の位置づけについて述べる.なお,修復領域の自動的な検出に関する研究[45?48] も近年盛んに行われているが,本研究では欠損領域の修復にのみ着目し,修復領 域はあらかじめ与えられるものとする. 2.1 画像修復に関する従来研究 画像修復に関する従来手法は,欠損領域周辺の画素の輝度値を利用する手法と データ領域全体の情報を利用する手法に大別できる.また,後者の手法は,欠損 領域とデータ領域のパターン間での類似度の指標として,テクスチャの輝度値を 用いる手法と特徴空間上の距離を用いる手法に大別できる.どの手法も現在まで に多くの研究がなされているが,どのような画像に対しても良好な結果を出力す る手法は無いと言える.そこで,以下では,欠損領域周辺の画素の輝度値を利用 する手法とデータ領域全体の情報を利用する手法についてそれぞれ順に特徴と問 題点を述べる. 2.1.1 欠損領域周辺の画素の輝度値を利用する画像修復 欠損領域周辺の画素の輝度値を利用する画像修復は,欠損領域内に欠損領域の 境界部分の輝度値が滑らかに続くことで違和感のない画像が生成されるという考 え方に基づき,欠損領域内の画素値を周辺から補間することで欠損領域の修復を 行う[1?21].このようなアプローチにおいて,多くの手法はエッジを保存するこ とに着目し修復を行っている. 4 前田ら[1] は,欠損領域の境界部にエッジが存在する場合には,エッジの方向 を保つよう連続的に欠損領域内部へエッジを延ばし,エッジがない場合には周り の画素値の平均値をとることで欠損領域の修復を行う手法を提案した.この手法 では欠損領域の境界部分から内側へ逐次的に画素を埋めていくため比較的大きな 欠損領域ではエッジがつながらないという問題がある.また,Masnou ら[2] は, 欠損領域に到達する複数のエッジをあらかじめ自動的に対応させ,エッジを直線 的に結ぶことで修復を行っているが,欠損領域境界でのエッジが複雑な場合には エッジを正しく対応付けることが難しく,また直線的に結ぶため曲線的なエッジ が欠損領域に続く画像では違和感が生じる.また,Oliveira ら[3] は,欠損領域 の画素を適切な重み付けをした近傍の画素の加重平均値で補間するという処理を 繰り返すことで修復を行う手法を提案した.Hadhoud ら[4] はこの手法を改良し, 加重平均値で補間する画素の位置を変えることにより高速で,かつエッジを保存 できる修復手法を提案した.しかし,これらの手法はエッジがぼけやすいという 問題がある.これらの手法に対して,以下のような基準を用いて反復処理でエッ ジを滑らかに接続することで画像修復する手法が提案されている. ? 偏微分方程式(Partial Differential Equation) を用いる手法[5?12] ? 総変動(Total Variation) を用いる手法[13?15] ? 弾性方程式を用いる手法[16] ? マンフォード・シャー関数を用いる手法[17] ? 確率モデルを用いる手法[18?20] ? オプティカルフローを用いる手法[21] これらの手法を用いることで,輝度値の連続性とエッジのつながりを考慮するこ とができ,引っかき傷やテロップのような小さな欠損領域に対しては図1 に示す ように良好な修復画像を得ることができる.しかし,原理的に細かいテクスチャ を表現することができず,大きな領域を修復した場合には不鮮明な画像が生成さ れるという問題がある.
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307 :投球者:名無しさん[sage]:2012/06/07(木) 19:15:40.85 ID:LMHidV1Y - 5
(a) 原画像(b) 黒い線を取り除いた修復画像 図1 Telea ら[10] の手法を用いた画像修復の例 2.1.2 データ領域全体の情報を利用する画像修復 データ領域全体の情報を利用する画像修復は,欠損領域とデータ領域間のパ ターン類似度に基づいてデータ領域のテクスチャを欠損領域に合成することで画 像修復を行う.このような手法にはフーリエ空間,ウェーブレット空間,固有空 間等の特徴空間上の距離を類似度の指標として用いる手法と,テクスチャの輝度 値をパターン類似度の指標として用いる手法がある. [特徴空間上の距離を類似度の指標として用いる手法] 特徴空間上の距離を類似度の指標として用いる手法は,欠損領域を含む一定範 囲の領域に対して特徴量を算出し,その領域での特徴量と最も近いデータ領域上 の特徴ベクトルを利用することで欠損領域を補間する手法である.このような手 法では,特徴量として周波数ベクトルや,画像から得られる固有ベクトルが従来 用いられてきた. 周波数ベクトルを用いる手法として,東海林[22] は,データ領域のフーリエ振 幅ベクトル情報を利用することで欠損領域を修復する手法を提案した.この手法 は,テクスチャ画像のフーリエ振幅スペクトルの位置不変性を仮定することで欠 損領域を修復するため,周期的なテクスチャパターンを持つ画像では良好な結果 を得られるが,そうでない場合は良好な結果を得ることが難しい.また,Hirani 6 ら[23] は,空間領域と周波数領域の両方を用いて欠損領域を修復する手法を提案 している.この手法ではユーザが修復に用いる領域を手動で指定する必要があり, 欠損領域の周りで多様なテクスチャを持つ場合には修復が難しい. これらの手法に対して,一般的な周波数ベクトルよりも画像特有の特徴量を用 いた方が良好な結果を得られるとの考えから,画像から得られる固有ベクトルを 用いる修復手法が提案されている.天野らは,データ領域から学習サンプルとし て複数のウインドウを切り出すことにより固有ベクトル群を生成し,生成された 固有ベクトルを結合することで欠損領域の補間を行うBPLP 法[24] およびBPLP 法を改良したkBPLP 法[25] を提案している.これらの手法では,自己相関性の 高い画像に対して,図2 に示すように欠損領域内に細かいテクスチャを再現し違 和感の少ない修復を行うことができる.また,文献[24] ではフーリエ基底を用い た結果との比較を行い,固有ベクトルを用いることの有効性を示している.井添 ら[26] は,画像のフラクタル性と局所性に着目し,画像から生成した固有ベクト ルを用いて修復を行うFID 法を提案している.この手法も,天野らの手法と同様 にデータ領域のテクスチャを用いて生成した固有ベクトルから修復を行うため, 欠損領域内の細かいテクスチャを再現することが可能である. このように,特徴空間での補間による修復手法は欠損領域内に細かいテクス チャを再現することが可能である.しかし,修復には欠損領域周辺の特徴量を用 いるため,画像中に欠損領域を含むウインドウをあてはめた時,そのウインドウ 内に必ずデータ領域を含まなければならないという原理的な制約がある.そのた め,一つのウインドウに収まらないような大きな欠損領域を持つ画像に対しては 適用が難しい. [テクスチャの輝度値を類似度の指標として用いる手法] テクスチャの輝度値を類似度の指標として用いる手法は,テクスチャを逐次的 に合成する手法とテクスチャを欠損領域全体で最適化する手法に大別できる.
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308 :投球者:名無しさん[sage]:2012/06/07(木) 19:17:02.40 ID:LMHidV1Y - 7
(a) 原画像(b) テロップを取り除いた修復画像 図2 天野ら[25] の手法を用いた画像修復の例 を逐次的に合成する手法であり,図3 に示すように,大きな欠損領域に対 しても細かいテクスチャを表現した修復が可能である. このアプローチによる画像修復は,一枚の小さなテクスチャから大きな 新しいテクスチャを生成するというテクスチャ合成に関する研究に関連が 深い.Efros ら[27] は,テクスチャ合成の分野で用いられてきたテクスチャ の合成手法を画像修復に対して適用した.また,Bertalmio ら[28] は,こ の手法を応用し,輝度値を滑らかに補間する手法[5] とテクスチャ合成の手 法[27] を組み合わせた手法を提案している.これらの手法は,欠損領域の 境界部分から欠損領域内部へと逐次的に合成を行い,一度合成された画素 値は書き換えないという方針から,短時間で修復が完了する反面,生成さ れる画像の品質が画像の合成順序に大きく依存し,テクスチャの不連続が 起こりやすい.そのため,より違和感の少ない画像を生成可能なテクスチャ の合成順の決定方法に関して,以下のような様々な基準を用いた手法が提 案されてきた[29?36]. { テクスチャの類似度[29] { inverse matte [30] { 決定済みの画素数[31] 8 (a) 原画像(b) 前景(象) を取り除いた修復画像 図3 Xu ら[36] の手法を用いた画像修復の例 { 決定済みの画素数とエッジの強さ[32?34] { 決定済みの画素数とエッジの強さと類似度[35] { テクスチャの希少度[36] しかし,これらの手法においても,やはり欠損領域の外部で複雑なパター ン構造を持つ画像に対しては,不連続なテクスチャが生じやすいという問 題がある. これに対して,エッジ部分のつながりをあらかじめ自動的または手動で指 定し,優先的にテクスチャを合成することでこの問題を回避する手法[37?39] も提案されている.しかし,テクスチャが複雑な場合には,修復に有効な エッジを正しく推定することが難しい. ? テクスチャの全体最適化による画像修復 テクスチャを逐次的に合成する手法は,不連続なテクスチャが生じやす いという問題があるため,テクスチャを欠損領域全体で最適化することで これを解決する手法[40?44] が提案されている.画像全体で最適化を行う手 法では,修復結果がテクスチャの合成順に依存せず,不連続なテクスチャが 生成されにくい特徴がある. Komodakis ら[40] は,Belief Propagation を応用したPriority-BP を用い 9 (a) 原画像(b) 前景(人物・バイク) を取り除いた修復画像 図4 Kawai ら[43] の手法を用いた画像修復の例 て目的関数を最適化し,欠損領域にラベル付けをすることで不連続なテク スチャを生じさせないような最適なテクスチャの合成順を決定する手法を 提案した.また,Allene ら[41] は,欠損領域を様々な形の断片に分割し,最 適となるテクスチャの組み合わせで合成を行う手法を提案した.この手法 では,定義した目的関数が最適となるようデータ領域のテクスチャを張り 合わせることで,欠損領域全体で不連続なテクスチャの少ない最適な画像 を生成できる.また,Wexler ら[42] は,欠損領域と欠損領域以外のパター ン類似度SSD を用いて画像の尤もらしさを表すエネルギー関数を定義し, これを欠損領域全体に対して最適となるよう各画素の値を求めることで画 像を修復する手法を提案した.しかし,これまで挙げた手法は,データ領 域のテクスチャをそのまま用いて修復するため,欠損領域に適した類似物 体がデータ領域に存在したとしても類似物体の明度や見え方の変化がある 場合はその変化に対応できず,不自然なテクスチャが生成される場合があ る. そのため,近年,データ領域のテクスチャを光学的,幾何学的に拡張 し,修復に利用できるテクスチャパターンの種類を増やすことで,より多く の画像に対して違和感のない修復が試みられている.
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309 :投球者:名無しさん[sage]:2012/06/07(木) 19:17:24.52 ID:LMHidV1Y - 11
2.2 本研究の位置付けと方針 前節までに概観したように,画像修復手法として既に多くの手法が提案され ている.欠損領域周辺の画素の輝度値を利用する手法では,小さな欠損領域に対 しては良好な結果を得られるが,細かいテクスチャを再現できない特徴から,大 きな欠損領域では不鮮明な画像が生成されやすく,適用できる画像が限られる. データ領域全体の情報を利用する手法の中で,特徴空間での補間による手法は, 画像の自己相関性が強くなければならないことや,一つのウインドウにデータ領 域と欠損領域の両方を含まなければならない制約のため,適用可能な画像が比較 的限定される.また,テクスチャを用いる手法において,逐次的に合成を行うア プローチは,どのような画像に対しても良好な結果が得られるような合成順を求 めることが困難である.これに対して,テクスチャを欠損領域全体で最適化する アプローチでは,細かいテクスチャを持ち,かつ不連続なテクスチャがない画像 を得ることができ,現時点で最も高品位な修復画像を得ることができる.しかし, 一般的に画像内には,対称性を持つ物体が多く存在し,また,カメラと物体の位 置関係により類似物体のスケール等の幾何学的な構造が異なる場合がある.さら に,照明条件や汚れ等によって画像内での類似物体の明度が異なる場合がある. そのため,欠損領域の周りで幾何学的な構造の変化や明度の変化が大きい画像に 対して修復を行った際には,そのままのテクスチャを用いて修復をすると,明度 や幾何学的な構造の不自然な変化が見られ違和感が生じる.また,従来手法では 画像全体で欠損領域とデータ領域間の類似パターンを探索しているため,計算コ ストが大きく,かつ不適切なパターンの対応を招き,修復画像がぼけてしまうと いう問題が残っている. 本論文では,テクスチャの全体最適化による画像修復手法における上記の問題 に対して,テクスチャの明度変化と幾何学的変換の両方を考慮することで,不連 続・不明瞭なテクスチャの生じにくい画像修復を実現する手法を提案する.本研 究では,テクスチャを欠損領域全体で最適化するWexler らの手法[42] を基礎に, 明度変化と幾何学的変換を許容したパターン類似度を用いることで,明度と幾何 学的な構造の不自然な変化を抑止し,違和感を軽減する.しかし,この明度変化 と幾何学的な変換を許容する際には,探索空間のパラメータ追加により計算量が 12 大きく増加する.この計算量を抑えるために,類似パターンの探索において,画 像内で近接するパターン間の相対的な位置関係を利用し,探索範囲を限定する. これによって,計算コストを削減しつつ,不適切なパターンの対応付けによるぼ けの発生を抑制する.
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310 :投球者:名無しさん[sage]:2012/06/07(木) 19:17:58.21 ID:LMHidV1Y - 13
3. テクスチャの幾何学的変換と類似パターン位置を 考慮したエネルギー最小化による画像修復 3.1 画像修復手法の概要 本論文では,従来からあるパターン類似度SSD によるエネルギー関数を,明度 変化と幾何学的な変換を考慮することで拡張し,そのエネルギー関数を画像内で 近接するパターン間の位置関係を利用して最小化することで画像修復を行う.提 案手法の流れを図6 に示す.本研究では,まず写真上の傷や不要な物といった修 復したい領域を画像上で手動により指定し(a),指定した領域外の画素に対する 類似パターンの位置を探索する(b).次に,何らかの方法を用いて欠損領域に初 期値となる画素値を与え(c),欠損領域内の各画素に対する類似パターン位置の 探索(d-I) と画素値の更新(d-II) を繰り返し行いエネルギー関数を最小化すること で,欠損領域の修復を行う. 以下,3.2 節で従来から用いられてきたパターン類似度SSD によるエネルギー 関数の定義について概説し,3.3 節で今回新たに用いるエネルギー関数を定義す る.また,3.4 節で提案するエネルギー関数の最小化手法について述べ,最後に, 3.5 節で処理全体で用いる粗密法による局所解の回避と処理の高速化について述 べる. 3.2 パターン類似度SSDによるエネルギー関数の定義 本節では,Wexler ら[42] が提案したパターン類似度SSD によるエネルギー関 数について概説する.パターン類似度を用いた画像修復手法では,図7 に示すよ うに,画像をユーザが指定した欠損領域Ω を含む領域Ω′ と,画像内のΩ′ 以外の データ領域Φ に分け,領域Ω′ 内の画像の尤もらしさをデータ領域Φ 内の画像パ ターンを用いて定義する.ここでは,画像内において一定サイズの正方ウインド ウW 内に一部でもΩ が含まれるウインドウの中心画素の集合をΩ′ とし,欠損領 域の尤もらしさに基づくエネルギーを,領域Ω′ 内の画素xi とデータ領域Φ 内の 14 1枚の画像を入力 (a)対象領域(欠損領域)の指定 (c)欠損領域の初期値の設定 (d-I)欠損領域内の各画素に対する 類似パターン位置の探索 エネルギーが 収束したか 1枚の画像を出力 はい いいえ (b)欠損領域外の画素に対する 類似パターン位置の探索 (d-II)欠損領域内の画素値の更新 図6 画像修復の処理の流れ
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