- ストーリーを教えてもらうスレ part68
382 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/09/02(水) 00:13:57.70 ID:JhAjpYgz0 - >>378の続き行きます。今回でラストです。
執務室への通路を遮る地水火風4つのバリアを解除し、迷路のような通路を抜けて、パレア達はついにバルス大統領と対面した。 地球の資源を際限なく食い潰し、今度はキトナからの収奪を目論む大統領に対しパレアは 「同じペースでキトナを食い潰せばキトナも地球のように不毛の星になる。そうなったら同じ事よ。これじゃ破滅を先延ばしにしているだけだわ。」と語る。 しかし大統領は「ならば別の星を探すまでだ」と自信たっぷりに答える。 「たとえ宇宙が無限大だとしてもあなた達地球人の欲望はもっと無限大なように見えるわ。 いつか、増え続ける欲望が新しい星を見つけるペースを上回ったら…その時こそ滅亡よ! はっきり言わせてもらうわ。もうこれ以上、物の豊かさを求めないで!」 しかし大統領はもはや聞く耳を持たなかった。今更後に引けるはずなど無かったのだ。 そして「君達の手にかかった五人の弔いもかねて、君達をここで処刑する」と、ある人物を呼んだ。 それは、キトナで死んだはずのヴィクトル大佐…いや、正確にはそのクローン(以下ヴィクトル2)だった。 人の命までも思うがままに操るその行為を「人が神を越えた証」と大統領はうそぶき、さっそくヴィクトル2にパレア達を倒すよう命じる。 が次の瞬間、ヴィクトル2は大統領に向けて引き金を引いた。 「な、ぜ…」 血の海の中で息絶えた大統領に「自分では何もせんくせに偉そうに命令ばかりしおって。力がある私こそ大統領の座にふさわしい」と冷たく言い放つヴィクトル2。 仕える主をもためらいなく殺すヴィクトル2に唖然とするパレア。そんな彼女にヴィクトル2は「オリジナルの仇」とばかりに戦いを挑む。 遺伝子レベルで肉体を強化されたヴィクトル2であったが、パレア達は苦戦の末これを撃退する。 「何故だ…我等ほどの文明すらない野蛮な貴様らが、何故、どうやって、そんな力を…!?」 パレアは語る。「私達には神様がいる。自然のあらゆるものに宿る、神様たちが。 私達は自然と共に生きているから、自然が、神様が、私達に力を貸してくれる…」と。 万物に宿る神々。それは地球人たちが「非科学的である」として切り捨てていったであろう存在。 「そんな前近代の遺物なんかに、高度に発達した文明が敗れたというのか…!?」 ヴィクトル2は「もっと肉体を強化して、次こそ貴様らを倒す」と退却しようとするが、そこに意外な人物が現れた。
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383 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/09/02(水) 00:16:49.17 ID:JhAjpYgz0 - 「貴様は…ルーミ!?どういうことだ、何故貴様が我々に牙を剥く、我らの道具に過ぎぬ貴様が!!」
なんと彼女…ルーミは、キトナの民と地球人の遺伝子を基に作り上げられた生体兵器だというのだ。 キトナに送り込むためのスパイとして、そしてキトナの民の持つ「魔法」の力を地球側の手中に収めるための実験体として。 ルーミはそれに対し「私は私の意思によってキトナを守ることを選んだ」と答えた。 それに対しヴィクトル2は「道具が主人に盾突くか!」と激怒、戦いを挑んだ。 しかし手傷を負っていたせいか、ルーミの力が勝っていた故か、ヴィクトル2はルーミによって難なく倒され、オリジナルと同じ末路を辿った。 そしてルーミはパレア達に語り始めた。 自分が地球人によって作られた存在であること、地球からのスパイとしてキトナを訪れたということ、 しかしキトナの自然や人々の心の美しさに触れるうちにキトナこそ守るべき存在だと悟ったこと、 そして地球人でもキトナの民でもない中途半端な自らの身の上を恥じて今まで正体を明かさなかったことを…。 しかしパレアはルーミのキトナへの思いを信じ、彼女を仲間として受け入れることにした。 ところが次の瞬間、辺りに激しい揺れと、そして邪悪な気配が広がった。 ルーミが口走る。「…闇王!!ついに現れましたね…!」 しかし闇王は400年前に倒されたはず。 だがルーミが言うには「闇王は滅びの象徴であり、一つの闇王が滅ぶことによってまた宇宙の別のどこかに新たな闇王が誕生する」という。 そしてそれがここ…地球だったというのだ。 なおも続く激しい揺れ。これ以上は建物が持ちそうにないと、一行は急いで大統領府を出ることにした。
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384 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/09/02(水) 00:20:08.52 ID:JhAjpYgz0 - 400年前に滅ぼしたはずの闇王。それが復活し地球に現れ、またもキトナの民の脅威となったという事実。
「なら地球が荒廃したのは闇王を倒したキトナの民のせいなの?」と戸惑うパレア達。 するとそこに「そんなこたあねえ」という一言が。振り返るとそこにはセッターとジャンガリアンの姿があった。 ジャンガリアン曰く、「たとえ闇王が現れたとしても、人々がその闇に染まらない正しい心を持っているならば自らの手で退けることができるのです。400年前のキトナの民のように」と。 そして「地球が闇王に冒されたのは地球人自身にその素地があったからです。その限りなき欲望が自らの内に秘めた欲求の目覚めとして闇王を受け入れてしまったのです」と。 産業革命が起こったのも400年前。(つまりこの作品の地球は22世紀頃?)それも闇王の出現によって地球人の欲望が急加速していったせいだというのだ。 それも地球人がそうと気づかないごく自然な形で…。 しかしもちろん全ての地球人が黙って闇王を受け入れたわけではなかった。 無論彼らはそれが「闇王」だと気付いたわけではないが、 人間の奥底にある欲望を察し、おののき、そしてそれを阻止しようと活動したのだという。 その一例として、セッターはパレア達に一冊の漫画を差し出した。 そこに描かれていた物語は、こうだった。 【地球人を宇宙の癌だと判断した異星人が、地球人を滅亡させるために攻めてくる。】 【だがその異星人は、地球人の善良な少年少女たちによって撃退される。】 【そして主人公の少年が最後に叫んだ。「自分の罪は自分で償う、宇宙からのお節介なんていらない」と…】 そしてセッターは言った。 「地球人たちの中にも、現状に絶望しつつも自らの手でやり直すことができると信じていた者たちがいた。だからこそこれが描かれたんだ。 だが結局踏みとどまるどころか、ますます悪の道に猪突猛進してこの有様だ」と。
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385 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/09/02(水) 00:22:32.69 ID:JhAjpYgz0 - 闇王は今や地球自身となり、地球の全ての命と同化し、そして地球の最南端─南極─に自身のテリトリーを築いているという。
そこに向かい闇王を討つことで、全てが終わるというのだ。 それはすなわち地球も、地球で生まれた生命全ても、一切が無に帰するということ。 だがそれは地球人の犯した過ちをこれ以上キトナに広めるのを防ぐために必要なことなのだという。 そしてそれができるのはパレア達、キトナの民だけなのだと。 …パレア達は皆黙ってうなずき、闇王の待つ南極へと向かった──。 闇王の作りだした異空間。行く手を阻む闇王のしもべどもを退けつつ、長い回廊をひたすら歩き続ける一行。 そして遂にその最奥部へとたどり着く。 …そこは何も見えない、真の真っ暗闇だった。おそらく自分が目を開けているのか、瞑っているのかも分からなくなるほどの。 だが確かにそこに存在する闇王を一行は気配で探り、最後の戦いを挑んだ。 そして、ついにパレア達は闇王を討ち果たした──
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386 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/09/02(水) 00:25:40.39 ID:JhAjpYgz0 - ──アフガンの廃ドーム。より一層激しい揺れの中でセッターとジャンガリアンが演奏を続けていた。
全てが終わり、彼らももうすぐこの世から消える。しかし彼らの表情に恐れや憂いは一切なかった。 彼らが抱いていたもの…それは長い悪夢から解放されるという安堵、そしてキトナの人々への感謝の念、それだけであった。 一方その頃、宇宙に飛び立ったパレア達は船の窓越しに崩壊していく地球の様子を見守っていた。 すると突然、ルーミが苦しそうにうめき声を上げ始めた。そう、彼女はキトナの民と地球人を掛け合わせて作られた存在。 彼女も地球と一緒に消えてしまうのか…? そして次の瞬間、地球は宇宙から姿を消した── …一行が地球の最期を看取ったその直後、パレアはルーミが小さな子猫─赤ん坊─の姿になっていることに気が付いた。 ルーミの体から地球人の部分のみが消え、その結果彼女自身は純粋なキトナの民となり、一からその人生をやり直せるのだ。 ようやく長い戦いを終えた一行。しかしその表情に喜びや安堵は無かった。 キトナに巣食っていた地球人達も皆没したものの、彼らの残した侵略と言う名の爪痕や そしてキトナを守るためとはいえ一つの星を滅ぼしてしまったことに対するやりきれない思いはこれからも残り続けるのだ。 「どこかで… どこかで、過ちに気付き、道を正していれば… 地球は、滅びの道を歩むことはなかった… …私は忘れない。あの、悲しみに満ちた大地を…」 【完】
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387 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/09/02(水) 00:30:35.91 ID:JhAjpYgz0 - 以上です。ご覧下さった方、ありがとうございました。
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