- ストーリーを教えてもらうスレ part68
363 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/08/09(日) 10:02:18.23 ID:mPehhAfq0 - >>356の続きです。
パレア達は神々に会うべく、各地の神殿を巡ることにした。 まずはイリオーモの南東にある火の神殿。 その扉に触れんとするといずこからともなく声がした。 「今こそ我等四柱神が力を貸すとき…人の子よ、我がもとまで来るがよい…」 精霊たちの攻撃をいなしつつ神殿の奥までたどり着いたパレア達の前に、ついに火神アペが姿を現した。 アペはキトナに迫る危機を既に知っていた。おそらく、他の神々も。 しかし「我等の力を扱うのは並大抵の強さではできぬ」と、その力を見定めるべくアペはパレア達に戦いを挑んできた。 激しい戦いの末にパレア達はアペに打ち勝ち、彼らの力を認めたアペは自身の力を秘めた「炎神のバッヂ」を託し、姿を消した。 アビシニアにある風の神殿。その奥で風神レラと対面したパレア達は、力を示すためにここでも戦う事となる。 「我が風に打ち勝てぬようでは、この力を扱うことはできぬ!」 そして見事力を示したパレア達にレラは 「見事!だがその力に溺れればお前たちの憎む地球の者共と同等の悪なる者に堕することも覚えておくがよい」と釘を刺した上で 自身の力を秘めた「風神の首飾り」を託した。 フェリス・カテュス城の南にある水の神殿。そこに祀られる水神ワッカも事態を把握していた。 「しかしこの強い力、そう簡単に貸せるものではありません。それだけの資格があるという事を、私と戦うことで示してください」 見事勝利したパレア達にワッカは「これほどの方々なら、私の力も使いこなせるでしょう」と「水神の指輪」を託した。 地神モシルの祀られる「地の神殿」のあるシャムル街道へは、シャムル行きの船が使えないので チッキがミッケの村まで逃げるのに使ったという抜け道を通ることにした。 「キトナの民の外なる敵にも内なる敵(=欲)にも屈せぬ強さ、心だけでなく肉体にも宿っているということを見せてみよ」 そしてパレア達の強さを知ったモシルは彼女たちに「地神のベルト」を託し、再び姿を消した。 かくして四柱神の力を得たパレア達はフェリス・カテュス城へと戻った。 城の科学者「グンド」からも「この力があれば今すぐにでも宇宙船を動かせるだろう」との報告があったが 女王は「人の手に余るほどの大きな力故にそう何度も使えるものではないでしょう、 一度地球に向かったら事が済むまで後戻りはできないと考えるべきです」とパレア達に心の準備を促した。 パレア達はしっかり準備を整え、そして遂に地球に向けて旅立つことにした。 侵略をやめるよう、地球の王に直談判するために…。
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364 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/08/09(日) 10:09:32.06 ID:mPehhAfq0 - 宇宙。
パレア達は空の上から見る惑星キトナ、そして輝く星々の美しさに心奪われていた。 そして一行がしばしの星空の旅を楽しんでいると、ついに地球の姿が見えてきた。 …だがそれは水と緑の美しいキトナとは対照的に、毒々しく濁りきった海と赤茶けた大地が広がる とても生き物が住んでいるとは思えない無残な姿だった。 地球に降り立った一行は宇宙船に積んであった地球の兵士の服(顔も含めて全身が隠れる便利な代物)に着替え、 とりあえず近くの町らしき場所を調べることにした。 どうやらパレア達が着いたのは新宿のメインストリートのようだ。 だが人影はまばらで活気が感じられず、その誰もが陰鬱な表情を浮かべていた。 腹を空かせた兵士、殺気立った兵士、性的暴行を受けたと思しき女性、殺人願望むき出しの男性、 飲み水を独り占めする女性、人間の死体を貪り食う男性(!)…。 そんな通りをパレア達が少し歩いていると、遠く─新宿アルタビル前─に人だかりがあった。 一行が「何が始まるのだろう」と近づいてみると、どうやら地球政府最高責任者「バルス大統領」の演説が始まるらしい。 そしてオーロラビジョンに一人の男性の姿が映し出された。 「(あれが地球の王様…)」パレア達は大統領の言葉に耳を傾けた。
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365 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/08/09(日) 10:10:41.67 ID:mPehhAfq0 - 大統領はまず最初に「落胆と焦燥をもって迎えられるであろう報せ」として、あのヴィクトルの訃報を告げた。
大統領はこれを「惑星キトナに巣食う邪悪な敵「キトナ人」による凶行」としてキトナの民をテロリストと断定、 彼らの掃滅失くして人類の未来に希望は無いと論じた。 「(な、なんてことを…この人無茶苦茶言ってるわ!こんな人が王様の場所にいるの…!?)」大統領の言葉に言い分に困惑するパレア。 さらに続けて大統領は「キトナ人の中でも最も恐るべき妖魔」としてパレアの名を挙げ、彼女をヴィクトル殺害犯として糾弾した。 そして「いずれパレアは地球に攻め込んでくる。奴を地獄に落とさねば人類全てが皆殺しの憂き目にあう」として彼女の首に賞金を懸けると宣言した。 「地球に平和を!人類に未来を!!キトナに文明を!!!猫の化け物に死を!!!!」 「おーっ!!」大統領の叫びに人々は一斉に掛け声で応じた。 「やめて!!」 その余りにも異様な光景に、ついにパレアが堪えきれずに叫んだ。 一斉に静まり返り、彼女のほうを凝視する群衆。 「いくら地球のためだからって、キトナの人々にも命があるのよ!共に生きようって思わないの!?」 みるみるうちに人々の表情が殺気立っていき、ついにパレア達を捕えようと兵士たちが出動した。 返り討ちにするものの次々と追手が現れ、これではきりがない。 とそのとき、 「左へ…」パレアの脳裏に声が響いた。「左のマンホール…穴の中へ…」 声に従いマンホールを見つけた一行は下水道へと逃げ込み、何とか追っ手を撒くことに成功した。 「でもあの声は一体?」しばし歩くと、パレア達の耳にギターの音色…聞き覚えのある曲が聞こえてきた。 「セッター!」 しかしキトナにいたはずの彼が一体いつの間についてきたのか、 それよりなにより何故パレア達を助けてくれるのか… パレアは彼に問うが、セッターはそれには答えず、黙ってパレアに一枚の地図を手渡した。 その地図は中東・アフガンの荒野の真ん中を指していた。 「この星や俺達の事を知りたければその地図に書かれている場所に来い。 そこにある廃ドームに全ての真実が眠っている。 すぐに来いとは言わない、だが必ず来い。 お前達が地球と戦うために知っておかなければならない事実がある」 そしてパレア達はセッターに導かれて下水道の外に脱出し、宇宙船に戻った。 セッターの言葉に戸惑いを感じていたパレア達だったが、意を決し宇宙船でアフガンの廃ドームへと向かった。
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366 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/08/09(日) 10:13:55.03 ID:mPehhAfq0 - …そしてドームの中。 パレアは薄暗い建物の奥から、何か─ピアノの音色─が聞こえてくるのに気付いた。
それはセッターが弾いていたのと同じ、物悲しい曲だった。 パレアがピアノを弾いている女性に歩み寄ると、それに気付いた彼女は 「あなたがセッターの言っていた、パレアというキトナ人の少女なのですね」と尋ねた。 彼女は「ジャンガリアン」と名乗った。かつてこの地で医師を務めていたという。 そしてパレアの「どうして私を知っているの?」という問いに 「セッターが教えてくれたのです。彼は私と共にこの星の過ちを正そうとした盟友ですから…」と答えた。 ジャンガリアンは席を立ち、「この星の真実について教えましょう」とパレアを地下の書庫へと案内し、そこで語り始めた。 以下、その内容。
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367 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/08/09(日) 10:22:16.79 ID:mPehhAfq0 - この星、地球で生まれた知的生命体「地球人」は、欲望を主軸とした存在として誕生し、
その社会では少数の力ある者が全てを支配し、それ以外の者たちはことごとく、ただ支配者のために働くだけの存在として定義された。 時には支配される者のうちの誰かが支配する者を葬り、その支配を砕くこともあったが、 それはただ支配する者が変わったのみで、支配する仕組みそのものが改められることはなかった。 強者が弱者を支配するというその仕組みにあっては支配される者が不幸であることはもとより、 支配する側も常に己をそれに相応しい姿に保とうとし、かつ支配する者同士で相争わねばならぬという不幸を背負わねばならなかった。 しかし支配を奪う力のない者はその欲望を発現させうることがなく、それ故に世界にまき散らされた不幸の総量は今よりははるかに少なかった。 しかし今から400年前、欲望と悲劇を拡大させるきっかけとなる出来事が起こってしまう。 それが「産業革命」。 機械という大いなる力の誕生とともに、これまでの「人は生まれによって貴賤が定められる」という慣習は払底され、新たな社会「資本主義」が誕生する。 「資本主義」…表向きは華やかで平和、人々が支えあっているようでも、その実誰もが誰もを敵として、時に利用し、時に陥れ、その戦いの勝者が支配者となる社会。 そして、勝者になるチャンスが構成員全員にあるという、万人の欲望を発現させ、肥大化させる最悪の社会。 資本主義社会の勝者になる条件。それはより多くの人を踏み台にすると同時に、より多くのものを自然から奪い、人間のみが都合よく利用できるようにすること。 それがより進むことは「進歩」または「発展」といった美名で語られ、尊ばれた。
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368 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/08/09(日) 10:22:59.14 ID:mPehhAfq0 - とはいえ、人間の全てがそういった資本主義社会に賛成していたわけではなかった。
行き過ぎたそれが自然を、そして人をも滅ぼすという事に気付き、そうした人たちが資本主義の対案として生み出したのが「共産主義」だった。 自然から採る量は必要最低限に抑えられ、働けるものは働けぬ者のために働き、出来上がった物は全ての人に等しく分け与えられる社会。 しかし、「必要最低限の量」は政を行う者が欲望をもって望む量になり、そのために過去の階級支配が甦ってしまい、 さらに、働けぬ者にも等しく分け与えられる仕組みのために誰も働かなくなり、そのために必要最低限な衣食さえ確保できなくなり、人々は生きていけなくなった。 こうして共産主義は立ち行かなくなり、資本主義に呑まれていった。 共産主義だけではなく、それまでにも何度も人々は欲望の危険性を知りそれを抑えるために様々なものを発明した。 国家…宗教…裁判…民主政治…三権分立…人権思想…学校教育…科学…報道… しかしどれもこれも全て欲望のために利用され、あまつさえ新たな欲望を喚起するものにしかならなかった。 そして今からおよそ100年ほど前。遂に人間が破滅へと向かうトリガーが引かれた。
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369 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/08/09(日) 10:28:31.22 ID:mPehhAfq0 - それが「同時多発テロ事件」だった。
資本主義を最も邁進する国・アメリカは資本主義を「人が自由と可能性を持って生きられる社会」と定義し、 それを世界全土に定着させる=アメリカ流の欲望美化主義で全世界を染めるという考え方を「グローバリズム」と称して強権的に推し進めていた。 それに抵抗する人々がアメリカの資本主義の象徴といえる建物「世界貿易センタービル」と 軍事の最高機関「ペンタゴン」に空を飛ぶ乗り物である機械「飛行機」で突撃し、建物を粉々に破壊したという事件。 (反米イスラム原理主義のテロリストが「自然を愛し地球の未来を考える平和主義者」扱いとはこれもうわかんねえな この世界では違うのかも知れないけど、いずれにせよやってる事は人殺しだし…) アメリカはこの行為を「正義を滅ぼす悪魔の行為」であるとし、 そしてアメリカを始めとする資本主義国の大多数の人々は、資本主義に賛同しない人たちを「異端者」「エゴイスト」として迫害・処刑、果ては大量虐殺の対象とするようになった。 もはや誰よりも強い国となっているアメリカの果てしない侵略行為を止められる者はおらず、そして遂にアメリカは全世界を支配するようになった。 (中国やロシアは?もしかして共産主義もろとも雲散霧消したのか?) そして反対者というタガさえも外れた人間たちが欲望のままに物の豊かさを求めていった結果 資源は枯渇し生態系も取り返しのつかないレベルにまで破壊され、 結果人々は生きるために必要な食べ物さえ得られなくなり、全世界で餓死者が続出&カニバリズムが横行。 人口は激減し、そのまま地球人は全滅するかと思われた。 しかしそんなある日、地球人は惑星キトナを発見してしまう。 その豊かな自然から出る資源を採り、地球を甦らせるという計画の下、地球軍はキトナへの侵略をスタートした。 …と、ここまでがジャンガリアンの話であった。
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370 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/08/09(日) 10:31:36.17 ID:mPehhAfq0 - 「…そんな…信じられない…間違いに気づき、軌道修正するチャンスはいつでもあったはずなのに…
どうして、どうしてこんなになっちゃってもまだわからないの…」 愕然とするパレアにジャンガリアンが答えた。 「確かに軌道修正が地球人の間で試みられたことも何度かありました。 しかしそれはいつも発展の、成長のさせ方にミスがあったからやり方を変えようというものでしかありませんでした。 発展そのものが間違いであることは、あなた方には容易に理解出来うるでしょう。 しかし地球人は欲望で生きる者。常に発展を求めなければ生きられないサガを携えてこの世に生まれてきてしまった者なのです。 私も昔は人が欲を捨てられることを期待し、そのための活動をしていました。 医者であった私は醜い欲望の争い…戦争の犠牲になった人々の病苦を治し彼等の声を聴くことで、 そしてミュージシャンであったセッターは犠牲者たちの声を歌に変えて世界に伝えていくことで人の過ちを改めようとしました。 しかし欲に塗れた人間たちはそんな私たちを、国に従わない『エゴイスト』と断定しました。」
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371 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/08/09(日) 10:34:09.12 ID:mPehhAfq0 - 「エゴイストって…それじゃ、国が絶対的に正しいみたいじゃない!!」
「そのとおり。国とて間違いを犯します。それを正す者が存在することは、どの人にとっても必要なことのはず。 しかし欲望に支配された人間は、諫言と中傷を区別しません。自分を無条件全肯定しない者が敵にしか見えないのです。 さらに、『愛すること、大事に思うこと、協力し合うこと』と『服従し、同じ色に染まり、反論しないこと』を混同するのです。 私たちはそれにも抗して訴え続けましたが、このアフガンの地…アメリカの凶刃の最初の標的であるこの地に追い詰められました。 そして私たちの拠点であったこのドームに閉じ込められる形となり、仲間たちは次々餓死していきました。 そして、最後には私とセッターも…」 「えっ!?じ、じゃあ、あなたは…」 「はい。私とセッターは亡霊です。キトナから渡ってきた魔力により、魂をとどめているのです。 …というのも、そこまでして、あなたがたキトナ人にお願いしたいことがあるからです。」 「お願い…?」 「地球を…滅ぼして下さい。」
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372 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/08/09(日) 10:58:56.35 ID:mPehhAfq0 - 「!?!?!?」
予想外の言葉にどう反応していいか分からないパレア。 ジャンガリアン曰く、もはや地球が甦る望みなど無く、放っておいてもほどなく滅びはやってくるという。 しかし、それが来るのはキトナの資源が奪い尽くした…すなわちキトナが滅んだ後なのだという。 それを防ぐにはキトナの民の「魔法」の力にて先んじて地球を滅ぼす必要がある、と。 具体的には、 地球の6つの政治区域…北アメリカ、ラテンアメリカ、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニアにそれぞれいる6人の支配者を全滅させる必要があるという。 ただし北米の大統領府は厳重にロックされており、その鍵となっているのが他の5人のDNAであるため 先に彼等を倒して体の一部を回収する必要があるという。 (しかし、トップを倒して結局それで何故地球が滅ぶのか具体的な言及がないのが気になる…権力争いで自滅させるという事か?) …かくして、キトナを守りキトナの民が生きていくために地球を滅ぼすという過酷な決断を迫られたパレア達一行は、ひとまず宇宙船に戻ることにした。 【続く】
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373 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/08/09(日) 11:01:09.68 ID:mPehhAfq0 - ※>>370-371は要約する自信が無かったので作中の会話をほぼそのまま載せてあることをご了承下さい。
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374 :CartoonKittenPlanet[sage]:2015/08/09(日) 11:09:43.07 ID:mPehhAfq0 - >>372にミス発見。
× キトナの資源が奪い尽くした ○ キトナの資源が奪い尽くされた でした。訂正します
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