- ガチムチの六尺兄貴のガイドライン 55尺目 [無断転載禁止]©2ch.net
870 :水先案名無い人[sage]:2017/03/21(火) 23:19:26.99 ID:vnChKW7w0 - 「WBCやっかぁ」
ヤクルトユニを脱ぎ捨てると、メジャーリーガーを揃えたオランダ代表の4番に入った。2次ラウンドを突破してアメリカに入りプエルトリコと戦う。 既にプレイボールのコールを済まし、俺のバットは俺の愛撫を待つ。 プエルトリコを撃破すると、日米の勝者が待つ、決勝の舞台がそこにあった。 「俺のオランダ代表のWBCだぜ」声に出していう。 「男はやっぱ代表」 やおらバットケースから、ピカピカ状態の木製愛用バットを取り出す、手にグローブをつけ、逆手でグリップをこね回す、 「クルッ、クルッ」音が俺の野球中枢を更に刺激する。 「4番たまんねぇ」ネクストサークルで投手に合わせて、バットを素振りさせる。 「俺のWBCにゃあこれだよ」ヤクルトを吸い込む。 「スッ、スッ、スッ、スッ」顔から熱くなり、やがて頭の中が真っ白になる。 「野球、野球」「オランダのココ」 頃合いをみてバッターボックスに入る。俺は自分のこの格好が好きだ。 オランダ代表の証の王冠がはらで輝き、ピカピカのヘルメットを頭に、ボールめがけて、バットを振り、左手でグリップ握り、右手でヌルヌルとグリップを扱く。 バッターボックスの中のの俺は、世界一の伊達男になっていた。 「ちきしょう日本と決勝でやりテェよ」決勝が近付くと、いつもそう思った。ヤクルトをもう一度効かせ、先制ホームランに四球と2ベースを追加すると、世界一へ向かってまっしぐらだ。 「世界一になってやる」「世界一のほんまもんの男」 「うりゃ、そりゃ」「ズリュッ、ブチュッ」ボールをかっ飛ばしながら、クライマックスをめざす。 「延長たまんねぇよ」 プエルトリコ代表が、激しいタイブレークを無失点で凌いだ。やがて後攻となり、俺を悩ます。 -ボール来ないまま済ましてぇ- -もっと守りてぇ-相反する気持ちがせめぎあい、俺は崖っ淵に立つ。 「きたっ」俺は膝を直角に曲げ、プエルトリコ代表の攻撃に備える。死闘の幕が下りようとしていた。 「ロサリオ打ったー ! 」「三塁ランナータッチアップー!」 ファンミルが打たれて、白い球が外野に飛ばされる。 夢のような時間が終わり、目の前で喜ぶプエルトリコ代表を見せられて現実に戻る。
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