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150 :水先案名無い人[sage]:2016/11/23(水) 18:09:19.58 ID:7419ZO0B0 - 元服後、小生は武将として戦地を渡り歩いた。
学業、武芸共に国内で五指に入る優秀な成績を誇る小生には、徳川家はのみならずポルトガル王家からの誘いが殺到していたが、全て断わった。 青春は十分満喫した。 泰平の世の中というぬるい世界に浸かっているのにはこれ以上耐えられない。 小生は己の心に宿る抜き身の日本刀のようなギラついた男の魂を磨きたいのだ。 日々、生死を賭けたギリギリの世界に身を投じ、己の野生と本能を頼りに生を掴み取るような過酷な環境が欲しい。 そんな幻想に取り憑かれた小生は、元服翌日には故郷を離れていた。 1614年 大坂城。 小生は徳川家と戦争状態になった豊臣家に仕官した。 牢人の集まる城で飛び入りで志願した当初は相手方の武将も「田舎侍は要らぬ」と否定的だったものの、目の前で衣服を脱いで小生の武器である 鍛えぬいた体躯を見せるや否や、態度が急変し「是非豊臣家のために尽くして欲しい」と逆に哀願された事は今でも鮮明に覚えている。 派遣された牢人の小隊は、まるで水滸伝の梁山泊のような荒くれ者の巣窟で、入隊当初はトラブルが耐えなかったが、 小生が次々と輝かしい戦果を挙げていく内に侮蔑の目線は尊敬の眼差しに変わり、いつしか「田舎侍」ではなく「軍神」と呼ばれるようになっていった。 しかし、そんな生活も半年が過ぎる頃には嫌気が差してきた。 血と硝煙の刺激的な匂いに包まれたシビアな日々は確かに男を磨くに相応しい戦いの場だ。 だが、講話という大義名分を振りかざし、内堀まで埋めてしまい約定を次々と反故にする徳川家康や、 戦場の恐怖から逃れる為に秀頼殿を溺愛し、現場をかき回す淀殿のやり方を見るにつけ、 豊臣家は長くないと思い始めてきたのだ。 そろそろ潮時か… 大野治長殿襲撃の知らせを聴きながら酒を肴に孤独を癒している最中、事件は起きた。 徳川軍のゲリラに砦を襲撃されたのだ、 小生は手元にあった槍を持ち、部隊の救出に馳せ参じたが時既に遅し。 完璧に不意を突かれた砦は既に陥落し、小生はそのまま生け捕りにされてしまった。
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