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朝読み夕読みは鹿児島の伝統
◆◇【広域】 鹿児島県鹿児島市スレ31◇◆

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◆◇【広域】 鹿児島県鹿児島市スレ31◇◆
339 :朝読み夕読みは鹿児島の伝統[sage]:2022/08/23(火) 16:46:28.42 ID:WCyBTvdD
夏休み3日目の夕読み

今は昔、陸奥前司橘則光と云ふ人有りけり。
兵の家に非ねども、心極めて太くて、思量賢く、身の力なども極めて強かりける。
見目なども吉く、世の思えなども有りければ、人に所置かれてぞ有りける。
而るに、其の人未だ若かりける時、前の一条院の天皇の御代に衞府の藏人にて有りけるに、
内の宿所より忍びで女の許へ行きけるに、夜漸く深更くる程に、太刀許を提けて、歩みて、
小舎人童一人許を具して、御門より出でて大宮を下りに行きければ、
大垣の邊に人數た立てる氣色の見えければ、則光極めて恐しと思ひながら過ぐる程に、
八日九日計の月の西の山の葉近く成りたれば、
西の大垣の邊は景にて人の立てるも慥かにも見えぬに、大垣の方より音計して、
「彼の過ぐる人罷止まれ。君達の御しますぞ。否過ぐさじ」と云ひければ、
則光、「然ればこそ」と思へど、□返るべき樣も無ければ、疾く歩み過ぐるを、
「然ては罷りなむや」と云ひて走り懸かりて來たる者有り。
則光突伏して見るに、弓景は見えず、太刀きらきらとして見えければ
、「弓に非ざりけり」と心安く思ひて、掻伏して逃ぐるを、追ひ次きて走り來たれば、
「頭打ち破られぬ」と思えて、俄かに傍樣に急ぎて寄りたれば、
追ふ者走り早まりて、否止まり敢へずして、我が前に出で來たるを、過ぐし立てて、
太刀を抜きて打ちければ、頭を中より打ち破りつれば、仰に倒れぬ。
「吉く打ちつ」と思ふ程に、亦、「彼れは何がはしたる事ぞ」と云ひて、
走り懸かりて來たる者有り。然れば、太刀をも否指し敢へず、
脇に挾みて逃ぐるを、「けやけき奴かな」と云ひて走り懸かりて來たる者の、
初めの者よりは走疾く思えければ、「此れをも有りつる樣には爲られじ」と思ひて、
俄かに忿り突居たれば、走り早まりたる者、我れに蹴蹟きて倒れたるに、
違へて立ち上りて、起し立てず頭を打ち破りてけり。
「今は此くなめり」と思ふ程に、今一人有りければ、
「けやけき奴かな。然てはえ罷らじ」と云ひて、走り懸かりてとく來ければ、
「此の度我れは錯たれなむと爲る。
佛神助け給へ」と、太刀を鉾の樣に取り成して、
走り早まりたる者に俄かに立ち向ひければ、腹を合はせて走り當りぬ。
彼れも太刀を持ちて切らむとしけれども、餘り近くて、衣だに切られで、
鉾の樣に持ちたる太刀なれば、受けられて中より通しけるを、
太刀の を返しければ仰樣に倒れにけるを、太刀を引き抜きて切りければ、
彼れが太刀抜きたりける方の肱を、肩より打ち落してけり。
然て、走り去りて、「亦や人や有る」と聞きけれども、音も無かりければ、
走り廻りて、中の御門に入りて柱に掻副ひて立ちて、
「小舎人童何にしつらむ」と待ちたるに、童、大宮の上を泣く泣く行きけるを呼びければ、
走り來たりけり。其れより宿所に遣して、「着替を取りて來」と云ひて遣しつ。
本着たりつる表の衣・指貫に血の付きたるを、童に深く隠させて、
童が口吉く固めて、太刀の柄に血の付きたりけるなど吉く洗ひ拈めて、
表の衣・指貫など着替へて、然氣無くて宿所に入り臥しにけり。
終夜ら、「此の事若し我がしたる事とや聞えむずらむ」と、胸騒ぎ思ふ程に、
夜暁けぬれば、云ひ騒ぎける樣、「大宮大炊の御門の邊に、大いなる男三人を、
幾程も隔てず切り伏せたる、極めて仕ひたる太刀かな」と、
「互に切りて死にたるかと思ひて吉く見れば、同じ刀の仕ひ樣なり。
「敵のしたる事にや。然れど盗人と思しき樣にしたるなり」と云ひののしりて、
殿上人共、「去來行きて見む」など云ひて、皆行くに、
則光をも、「去來々々」と倡ひ將て行けば、「行かじ」と思へども、
行かぬも亦心得ぬ樣なれば、澁々にて具して行きぬ。
車に乘り泛れて遣り寄せて見れば、實に未だ何にも爲で置きたりけり。
其れを、歳三十計の男の鬘髯なるが、無文の袴に紺の洗曝の襖に、
欸冬の衣の糸吉く曝されたるを着て、猪の逆頬の尻鞘したる太刀帯して、
鹿の皮の沓履きたる有り。脇を掻き指を差して、此向き彼向きて物を云ふを、
「何の男にか有らむ」と思ふ程に、車の共なる雜色共の云はく、
「彼の男の、敵を切り殺したるとなむ申す」と云ひければ、則光糸喜しと聞くに、
車に乘れる殿上人共、「彼の男召し寄せよ。子細を問はむ」と云ひて呼ばすれば、
召し將て來たり。
◆◇【広域】 鹿児島県鹿児島市スレ31◇◆
340 :朝読み夕読みは鹿児島の伝統[sage]:2022/08/23(火) 16:49:20.41 ID:WCyBTvdD
今は昔、七月許に、大和國より多くの馬共瓜を負せ列ねて、
下衆共多く京へ上りけるに、宇治の北に、成らぬ柿の木と云ふ木有り、
其の木の下の木影に、此の下衆共皆留まり居て、瓜の籠共をも皆馬より下しなどして、
息み居て冷みける程に、私に此の下衆共の具したりける瓜共の有りけるを
、少々取り出でて切り食ひなどしけるに、其の邊に有りける者にや有らむ、
年極じく老いたる翁の、帷に中を結ひて、平足駄を履きて、杖を突きて出で來て、
此の瓜食ふ下衆共の傍に居て、力弱氣に扇打仕ひて、此の瓜食ふをまもらひ居たり。
暫く許護りて、翁の云はく、「其の瓜一つ我れに食はせ給へ。喉乾きて術無し」と。
瓜の下衆共の云はく、「此の瓜は皆己れ等が私物には非ず。
糸惜しさに一つをも進るべけれども、人の京に遣す物なれば、
否食ふまじきなり」と。翁の云はく、「情座さざりける主達かな。
年老いたる者をば『哀れ』と云ふこそ吉きことなれ。然はれ、何に得させ給ふ。
然らば翁、瓜を作りて食はむ」と云へば、
此の下衆共、戯言を云ふなめりと、可咲しと思ひて咲ひ合ひたるに、
翁、傍に木の端の有るを取りて、居たる傍の地を堀りつつ、畠の樣に成しつ。
其の後に此の下衆共、「何態を此れは爲るぞ」と見れば、
此の食ひ散らしたる瓜の核共を取り集めて、此の習したる地に植ゑつ。
其の後、程も無く、其の種、瓜にて二葉にて生ひ出でたり。
此の下衆共、此れを見て、奇異しと思ひて見る程、其の二葉の瓜、
只生ひに生ひて這ひ絡りぬ。只繁りに繁りて、花榮きて瓜成りぬ。
其の瓜、只大きに成りて、皆微妙き瓜に熟しぬ。
其の時に、此の下衆共此れを見て、「此れは神などにや有らむ」と恐ぢて思ふ程に、
翁、此の瓜を取りて食ひて、此の下衆共に云はく、
「主達の食はせざりつる瓜は、此く瓜作り出だして食ふ」と云ひて、
下衆共にも皆食はす。
瓜多かりければ、道行く者共をも呼びつつ食はすれば、喜びて食ひけり。
食ひ畢つれば、翁、「今は罷りなむ」と云ひて立ち去りぬ。行方を知らず。
其の後、下衆共、「馬に瓜を負せて行かむ」とて見るに、
籠は有りて、其の内の瓜一つも無し。
其の時に、下衆共手を打ちて奇異しがること限無し。
「早う、翁の籠の瓜を取り出だしけるを、
我れ等が目を暗まして見せざりけるなりけり」と知りて、
嫉がりけれども、翁行きけむ方を知らずして、更に甲斐無くて、
皆大和に返りてけり。道行きける者共、此れを見て、且は奇しみ、且は咲ひけり。
下衆共、瓜を惜しまずして、二つ三つにても翁に食はせたらましかば、
皆は取られざらまし。惜しみけるを翁も みて、此くもしたるなめり。
亦、變化の者などにてもや有りけむ。
其の後、其の翁を遂に誰人と知らで止みにけりとなむ、語り傳へたるとなり。


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