- ヨセ 総合スレ
203 :名無し名人[]:2018/08/23(木) 13:24:44.90 ID:B/3L3lYj - 自分は囲碁はほとんど見る専門ですが、ヨセの理論、
特に「先手ヨセ・逆ヨセの価値は後手ヨセの2倍」になる根拠が 知りたかったのですが、あまり納得のいく議論が見当たりませんでした。 そこで5-6あたりの「手番の価値」の考え方からはじめて、 いろいろ考察したものを、以降に記述させていただきます。 ご意見や、参考になりそうな資料等、ご存じでしたらご教授ください。 長文になること、あらかじめお詫びします。
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204 :名無し名人[]:2018/08/23(木) 13:25:59.25 ID:B/3L3lYj - ○ 手番の価値とは
後手ヨセのみを考え、お互いに大きい順に打った際に、先番側が打った目数と 後番側が打った目数の差。 例えば、残りの後手ヨセの目数が 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1 の場合 先番 10 + 8 + 6 + 4 + 2 = 30 後番 9 + 7 + 5 + 3 + 1 = 25 -> 手番の価値は 30 - 25 = 5 残る後手ヨセの最大がn目のとき、手番の価値は 最大 n(n目のヨセが奇数個、残りが見合い) 最小 0(すべてのヨセが見合い) 平均的には 2 / n (証明は後述) となる。 要するに、手番の価値とは、現在の局面でパスをした場合に失う目数になる。 (現局面互角、 手番の価値5目なら、パスをすると5目負けになる)
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205 :名無し名人[]:2018/08/23(木) 13:26:47.64 ID:B/3L3lYj - ○ 手番の価値の平均は n / 2 (最大後手ヨセの半分)
最大後手ヨセが n目 の際の手番の価値を V(n) とすると (1) n目のヨセが奇数個の場合 手番の価値 V(n) = n - V(n-1) (n目のヨセを先番が1つ多く打った後、後番がn-1目に先着) (2) n目のヨセが偶数個の場合 手番の価値 V(n) = V(n-1) (n目のヨセを同数打ち合った後、先番がn-1目に先着) 各目数のヨセの個数の奇数・偶数となる確率が等しいと仮定すると、 平均の手番の価値 V(n) = (1) + (2) / 2 = n / 2 となる ただし、これはあくまで平均なので、ずれる場合もある。
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206 :名無し名人[]:2018/08/23(木) 13:27:21.63 ID:B/3L3lYj - ○ 先手ヨセ、逆ヨセ2倍の法則は、手番の価値 = n / 2 を前提としている
逆ヨセは、手番を譲って相手の先手ヨセを一つ消すことになるので、 手番の価値 < 逆ヨセの目数 の場合に得をすることができる。 これは手番の価値が n / 2 の場合、「逆ヨセの価値は後手ヨセの2倍」と同じことになる。 また、先手ヨセ側の立場で考えると、手番の価値 >= 先手ヨセの目数である場合は、 例え逆ヨセを打たれたとしても損はしないので 手番の価値 = 先手ヨセの目数 の タイミングまでに打てばよい。これは手番の価値が n / 2 の場合、 「先手ヨセの価値は後手ヨセの2倍」と同じことになる。 よって、先手ヨセ、逆ヨセ2倍の法則(以下2倍法)は、手番の価値が平均値である、 n / 2 になっている状況で、適切に機能する。逆に、平均からズレている場合は、 2倍法ではうまくいかない場合がある。
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207 :名無し名人[]:2018/08/23(木) 13:27:56.55 ID:B/3L3lYj - ○ 先手ヨセの手抜きに関する考察
先手ヨセを打った場合と、逆ヨセを打たれた場合の出入りを、(先手)ヨセの目数とする。 先手ヨセを受けてもらった場合と、手を抜かれて続けて打った場合の出入りを、権利の目数とする。 通常、先手ヨセと呼ばれるのは、ヨセの目数 =< 権利の目数 となっている場合である。 先手ヨセを受けずに手抜くという行為は、権利の目数分を放棄して、手番を強引に手に入れる、 ことに対応する。つまり、権利の目数 < 手番の価値 の場合に、 先手ヨセを受けずに手抜いて得をすることができる。 ここでも2倍法は、手番の価値が n / 2 であることを想定しており、 想定が正しい状況では、権利がギリギリ(ヨセの目数 = 権利の目数)の先手ヨセでも、 2倍法のタイミングで打つことで、手番の価値 = 権利の目数となり、 権利の大きさを意識せずともよい。 しかし、手番の価値が平均より高い状況では、2倍法のタイミングでは 権利の目数 > 手番の価値 とならずに手を抜かれて損をする状況があり得るので、 権利の大きさを考慮する必要がある。
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208 :名無し名人[]:2018/08/23(木) 13:29:21.68 ID:B/3L3lYj - ○ 手番の価値が n / 2 からズレるのはどのような状況か
まんべんなく各目数のヨセがある場合、手番の価値は n / 2 付近を推移するが、 大きなヨセの手止まりがあるような場合には、 手番の価値は平均から大きくズレて手番毎に乱高下する 例えば残りのヨセが 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1 の場合、 手番の価値は、5 -> 5 -> 4 -> 4 -> 3 -> 3 … のように推移する 一方残りのヨセが、10, 10, 9, 9, 2以下多数、のような場合、 手番の価値は、1 -> 9 -> 1 -> 8 -> 1 -> 1 … のように推移する まんべんなくヨセがある場合は、2倍法で粛々と寄せればよいが、 大きな手止まりが見えているような場合は、戦略の修正が必要となる。
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209 :名無し名人[]:2018/08/23(木) 13:30:20.43 ID:B/3L3lYj - ○ 手番の価値が低い場合の戦略
具体的には、大きなヨセが見合いになっているため、次の後手ヨセを 急がなくてもよい状況、従って打ち場所の自由度が高い状況に対応する。 ・先手ヨセ -> 多少権利が弱くても受けてもらいやすいので、ばんばん打つ ・後手ヨセ -> 相手は見合いとなるヨセを打たざるを得ないので、後手ヨセを しばらく打ってチャンスを待つのも一策。 ・逆ヨセ -> 逆ヨセを打って得をするチャンス。ただし、手番の価値が低い状況 を相手に譲ることになるので、逆ヨセを打ち返されないように、先手ヨセをあらかじめ 打ってしまうことを考える ○ 手番の価値が高い場合の戦略 具体的には、見合いとなっている大きなヨセを先に打たれて、対抗できる 大きさのヨセを打たされる状況。素直に大きなヨセを打つのが吉。 ・先手ヨセ -> 権利が普段より強くないと、手抜かれて損をする危険があるので気をつける。 ・逆ヨセ -> 2倍法では損をするので、手番の価値 < 逆ヨセの目数になっていることをきちんと確認する。
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210 :名無し名人[]:2018/08/23(木) 13:47:25.13 ID:B/3L3lYj - 204-209
長文失礼しました。以上です。 参考にした資料は、大体以下になります。 ・二宮勘輔氏の論文 「囲碁ヨセ計算における近似法」etc. ・備忘録 「逆ヨセについて」 timeleap.blog.shinobi.jp ・その他一般的な囲碁の入門書(手元にあった古い物) 王銘宛先生の「絶対計算」は未読です。このスレでもよく名前が出てきますし、 他でも名前をよく見かけるので、名著なんだと思いますが、私の場合 見る専であまり実戦的な技術(具体的な手順等)には興味がなくて、 理論的な背景が知りたいだけなのですが、それでも「絶対計算」は おもしろいでしょうか?
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