- 【世界】囲碁・国際棋戦統一スレ part71【囲碁】
641 :名無し名人[sage]:2014/04/24(木) 13:11:40.07 ID:rPRUTBo3 - >>640
「ところで、先生に一筆、北京の芳沢大使の許へお願ひ申して、芳沢大使から少年の親御に修業を勧誘して頂いたら、どんなものかと存じますが――」 「それはたやすいことぢや、ぢやがの、連れてきて果してものになるかな」 芳沢大使は、木堂の女婿である。 「ものになるどころぢやありません。このまゝすく/\と伸びて行けば、どこまで行くものか見当がつきません。世の中に所謂天才少年といふのはいくらもありますが、こんなのはちよつと類がないといへませう」 「ふん、なるほど、するとぢやな、その少年が貴公らの予想通りに伸びて行くとすれば、将来は名人になれるかも知れんちふのぢやな」 「ほんたうに、なれるかも知れません」 「よし、それはよく分つた。しかし、そこでぢやな、もしその少年がめき/\と育ちよつたら、結局将来は貴公等がやられる時代がくるのぢやないか。日本の棋界が中国の少年に抑へられたとあつてはどんなものかな。貴公等はどう思ふ」 「いゝえ、芸道に国境はございません。世界のどの国の人が名人上手になつたところで、私らは大いに歓迎したいと思つてゐます。」 「えゝ覚悟ぢや。技芸に携る人は常にその精神を持つちよらにやいかん。それでこそ、芸の道は発達するのぢや」 かういつて、木堂は莞爾とした。 「はい」
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