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告知天使と予告悪魔 ◆xNd06c4mKE SRPGバトルロワイアル企画スレ

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SRPGバトルロワイアル企画スレ
870 :告知天使と予告悪魔 ◆xNd06c4mKE [sage]:2007/05/05(土) 02:12:36 ID:EZqum6+i
「殺し合いをしろ――とかいきなり言われてもねぇ。どーしろっちゅうのよ?」

 ――と森の片隅で少女が途方に暮れながら歩いていた。
血のような赤い瞳、同じ色をした髪は後で束ね上げ、漆黒のボンデージに身を包む。
胸部も腰部も必要最低限しか隠しておらず、衣装の黒よりも肌色の方が多いんだが、
不思議といやらしさは感じない。
何故ならお世辞にも大きいとは言えない、むしろ隆起の確認できない幼児体型の胸が、
色気よりも健康美をこれでもかと主張していたからだ。
彼女の背中には小さな――掌よりも一回り大きい程度の――コウモリのような羽根、
腰からは脚線美と共にスラリと伸びた細い尻尾が生えていた。
そう、この少女は悪魔なのだ。名をエトナという。

「優勝しちゃってもいいんだけど、なーんか人の言いなりって嫌いなのよねー。
アタシってホラ、か弱い美少女だけど、何者にも縛られたくない悪魔だしさー。
どっかにアタシを縛ってくれるような色男は落ちてないかしらん♪」

 大勢の勇敢な美青年たちに守られるお姫様な自分を想像して「うわ、似合わねー」と
セルフ突っ込みを入れた。やっぱり悪魔は縛られるよりも、縛る方が似合ってる。
そう言えば一応は我が主であるラハール殿下はどうなったのだろう。
人前で派手に負けたから、どっかで怒り狂ってそうだ。見つけやすいだろうけど、
とばっちりも食いそうだから直ぐには合流しない方がいいかもしれない。
殿下なら放っといても死にはしないだろう。たぶん。

「相手を甘く見た殿下が吹っ飛ばされるのは毎度の事として、あの超魔王がねぇ……。
ヴォルマルフって言ったっけ? どんな裏技を使ったんだか、ちょっと興味あるかも」

 仮にも一時は魔界の覇権を狙った悪魔の一人として超魔王バールくらいは知っている。
というか以前、敬愛する前魔王クリチェフスコイの封印が解けかけていたので、
ラハールたちと無謀にも別次元へと再封印に向かったことがあるのだ。
結果は惨敗とすら言えない完敗。
調子に乗って持ち上げたところを踏み潰され、四桁しかないHPは満タンから一発でゼロ。
冗談抜きで千回ほど死ねるダメージを受けてペラッペラだ。
ちなみに他の連中は範囲攻撃でまとめでドン。五十回分くらいのダメージで済んだらしい。
あの時は魔界病院の偉大さをしみじみと噛み締めた。ホントよく助かったもんだ。
そんな規格外の超魔王を正攻法で一発ズガンできるような奴がいるわけがない。
いや理論上は不可能ではないとしても初見では無理、それだけは断言できる。
数日程度のやりこみでバールが倒せるかってんだ!
正攻法でないのなら、裏技の正体を突き止めれば勝機はあるはず。こっちも断言できる
その裏技の正体――例えば改造コーry
SRPGバトルロワイアル企画スレ
871 :告知天使と予告悪魔 ◆xNd06c4mKE [sage]:2007/05/05(土) 02:15:06 ID:EZqum6+i
「どーするにしろ、まずは適当に人間でも殺して装備品を整えないとね」

 エトナは悪魔である。人間に対して何の義務も責務もない。あるのは好奇心だけ。
魔界において、味方以外の人間とは金とアイテムとEXPを持ったカモにすぎない。
まあ話せば分かり奴も多かったりするが、面倒なので話しかけないのが普通だ。
どうせ人間はいくらでも沸いてくる。死んだらプリニーに転生する。その程度だ。
逆に狩られないように十分に気を付け、隙を見つけてキッチリ狩っていきたい。
なんといっても手元にある武器は『手斧』一つなのだから。
 槍の名手として知られるエトナはだが、実は斧や銃器も同じく大得意としている。
当然数々の技を会得はしているものの、手斧ではブーメランアクスが限界だろう。
プラズマ昇天撃など使ったら、衝撃で相手共々手斧まで木っ端微塵に間違いなしだ。

「お、カモ発見――って、あれフロンちゃんじゃない。結構あっさり見つかったわね」

 エトナは、何やら前方の木々の間に座り込み道具を調べている少女を見つけた。
腰まである金髪、頭の上の大きな青いリボン、フリルの付いた白い服に小さな羽根。
後姿だけだが見間違えるはずがない。愛マニアの見習い天使フロンだ。
エトナは彼女に気付かれないよう、ササッと木陰に隠れた。
友人ではあるし仲間でもある。でも誰だって会いたくない時ってあるだろう。それが今。
空気の読めない、いや全く読む気のない彼女にどれだけ痛い目に会わされてきた事か。
殺し合いの会場で空気を読まない行動など連発されたら、一体どんな大惨事になるか、
エトナにだって容易に想像が付く。きっと殺す気満々の相手に「神の愛について」とか
説くに違いない。正直言って付き合ってる余裕がない。

「出来れば極力関わりたくないんだけど……あの子、回復魔法が得意なのよねぇ。
やっぱRPGの基本は回復手段の確保だし。背に腹は変えられないか……」

 諦めたように大きな溜息を吐いてから、飛び去ろうとするフロンへと近付いていく。
声を掛けたくないなー、と躊躇している時、それは起こった。
SRPGバトルロワイアル企画スレ
872 :告知天使と予告悪魔 ◆xNd06c4mKE [sage]:2007/05/05(土) 02:15:41 ID:EZqum6+i
☆  ☆  ☆

 一方、こちらは愛マニアの見習い天使フロン。エトナが彼女を見つける数分前のこと。
早速とばかりに支給品の説明書をチェックしたフロンは鼻息荒く神に感謝していた。

「神様、見習い天使である私に『エクスカリバー』を授けてくださるなんて、
身に余る光栄です。これでラハールさんを苛めた巨悪を討てと仰るのですね。
この聖戦、必ずや御期待に答えて見せます」

 神(?)からエクスカリバーを授かったなら浮かれるのも無理ないかもしれないが、
キラキラと輝く瞳で天を見つめてブツブツと語る姿は危ない人にしか見えない。

「ところで神様、一つだけ宜しいでしょうか? エクスカリバーとは聖剣だと伝え聞いて
いたのですが――どう見ても『本』にしか見えません。私の修行不足なのでしょうか?」

 感謝の祈りを捧げながら支給品に対する疑問を天に投げかけた。
説明書には『エクスカリバー』と一文だけが書かれているが、どう見ても本だ。
なにか海よりも深い秘密でもあるのだろうか。
それとも聖剣というのは間違いで、実は聖本だったのだろうか。
本を手にして何度か振ってみと手にしっくりと来て、なかなか良い感じだ。
これで殴れば邪気を祓い、悪魔など一発で昇天させられそうな神々しさを感じる。

「分かりました。この本で争いに狂ってしまった人々の心を正しく導けと仰るのですね。
お任せください。人々に、いえ――あの神をも恐れぬ男に神の愛を説いてみせましょう」

 天から返事がなかったので、フロンは自分の中で都合良く解釈したようだ。
そして、もう一つの支給品である拡声器を取り出すと空へと舞い上がった。
右手に拡声器、左手にエクスカリバー。
彼女的には完全武装で、森の上から周辺に向かって呼びかけを始めた。

『えー、皆さん。私は天界よりの使者、天使フロンです。争っていはいけません。
既に争いを始めてしまった方は、速やかに戦闘を停止してください。
人類皆兄弟、平和的にいきましょう。皆で力を合わせれば乗り越えられない苦難など
ありません。友人――仲間を信じましょう。神は仰いました。汝の隣人を愛せよと。
愛を信じ、愛に生きれば必ずや奇跡と共に道は開けます。

(中略)

私達には神様がついておられるのです。さあ、手を取り合って巨悪に立ち向かいましょう。
邪悪な誘惑に負けてはなりません。神をも恐れぬ者には、いずれ神罰が下ります。
(中略)

えー、皆さん。私は天界よりの使者、天使フロンです…………』

 幼い天使は迷える子羊たちを導くために飛んでいく。
その行方は天国か地獄か、それとも――
SRPGバトルロワイアル企画スレ
873 :告知天使と予告悪魔 ◆xNd06c4mKE [sage]:2007/05/05(土) 02:20:45 ID:EZqum6+i
☆   ☆   ☆

 天使の飛び立った後。声を掛けそびれた悪魔が一人、ホッと胸を撫で下ろしていた。
あんな大声を出したら、すぐに血気盛んな人間に取り囲まれてしまうだろう。
飛べるとはいえ、弓でも魔法でも、この手斧でも簡単に撃墜でそうで危険の塊だ。

「危ない危ない。あの子を甘く見てたわ。綺麗に予想の斜め上を行くとは流石ねー」

 装備は欲しいが序盤から大乱戦なんて真っ平だ。人間だって凶悪な奴は大勢いる。
負けるとは思わないが、大人数を相手にすれば無傷では済まないだろう。
装備も仲間も自分を命を守る道具だというのに、自ら危険を招く必要性はない。

「こーいうのは長期戦になるだろうし、消耗は極力避けなきゃね。うんうん。
てーことで、フロンちゃん頑張ってね。バイバーイ。生きてたらまた会おうね」
 
 エトナはクルリと方向転換すると飛んでくフロンとは逆方向に駆け出した。
神の教えを説く天使のそばに、悪魔がいちゃ不味いだろうと自分に言い訳をして。
自業自得の危険に付き合うほど、深い友情もなければ愛情も持ち合わせていない。
もしもフロンが上手く手勢を増やしたなら、後から何食わぬ顔で加わればいいだけだ。
危険は人に任せて、利益は自分に任せてもらう。面白ければそれで良い。
そう、この少女は悪魔なのだ。

☆  ☆  ☆

『次 回 予 告』

ネットダイブ中の偶然から世界の命運を掛けた戦いに巻き込まれてしまったエトナ。
ターンビュランスの竜巻を利用した変身で、エトナは怪人を撃退することに成功した。
だが新たな刺客・首無し地蔵の猛攻に、未熟なエトナは成す術もなく倒されてしまう。
かつてない強敵、魔力を開放できずに焦るエトナの前に現れた謎の転校生。その彼か
ら助言を受け、ついにエトナはバニー・フォームに秘められた真の力を引き出す!

次回、超魔法少女戦記エトナ
第ニ話『首無し地蔵の弱点は首!? 決めろ、魂のクリティカルヒット!』

伝説の木の下で、ボクと握手!



「どっかでエトナさんの声が聞こえたような…………気のせいですね」
SRPGバトルロワイアル企画スレ
874 :告知天使と予告悪魔 ◆xNd06c4mKE [sage]:2007/05/05(土) 02:22:39 ID:EZqum6+i
【F-3・森/一日目・朝】
【エトナ@魔界戦記ディスガイア】
[状態]:健康、徒歩(西へ移動中)
[装備]:手斧@暁の女神
[道具]:支給品(道具・確認済み)
[思考]1:とりあえずフロンちゃんから離れよう。南無南無
   2:適当に弱そうな奴から装備を奪う。出来れば槍が良いが贅沢は敵だ。
   3:優勝でも主催者打倒でも人助けでも、面白そうなこと優先。
   4:ラハールや中ボスが気になるが、特に会いたいとは思っていない。
[備考]:次回予告は全く本編と関係ございません

【F-4・森(上空)/一日目・朝】
【フロン@魔界戦記ディスガイア】
[状態]:健康、飛行(ゆっくりと東へ移動中)
[装備]:エクスカリバー@紋章の謎
[道具]:拡声器
[思考]1:愛を説きつつ、人々の争いを止める
   2:協力者を集める
   3:ラハールさんやエトナさん達にも協力して貰う
   4:主催者を打倒、もしくは神の教えに帰依させる
[備考]:拡声器によって周囲のエリアに呼びかけが届いています


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