トップページ > ロボットゲー > 2010年04月04日 > W5OckyCC

書き込み順位&時間帯一覧

6 位/410 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数148000000000000000000000022



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
代理投下
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6

書き込みレス一覧

第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
15 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:37:49 ID:W5OckyCC
レイ・ザ・バレルとプルツーはしばし足を止め放送に耳を傾けていた。
幸いと言っていいのかどうか、レイの知己であるクルーゼとシンの名は呼ばれなかった。
同じジョーカーであるアギーハの名は呼ばれていた。
張五飛、テッカマンランスと合わせてジョーカーはすでに三人死亡していることになる。

(ジョーカーと言えど決して有利な立場ではないということだな。だが今はそれよりも)

レイは気付かれないようにゆっくりR-GUNリヴァーレの体勢を整えながら、立ち尽くすデュラクシールを見る。
レイの知り合いは呼ばれていない。だがプルツーの家族の名は呼ばれてしまった。

「そんな……ジュドーが……死んだ?」

死んだ27人の内の一人がジュドー・アーシタだった。
人数が減ったのはともかく、このタイミングはまずいとレイは頭を巡らせる。

(まずいな……プルツーは大分不安定だ。今暴走される訳にはいかん)

ほんの少し湧いた共感を黙殺しプルツーの様子を観察するレイ。
ぶつぶつと何事か呟いているのでとりあえず慰めてみるか。

「プルツー……俺はこんな時何と言っていいかわからない。だが気持ちはわかる。家族を亡くすのは辛い事だ」
「……嘘だ。ジュドーが死んだなんて」
「残念だが、今の放送は真実だと思う。奴らが虚偽の放送をする理由がない」
「嘘だ!」

プルツーは叫び、デュラクシールの腕をレイに突き付けた。腕の中に光の剣が生まれる。

「知ったようなことを言うな! お前に私の気持ちがわかるものか!」
「わかるさ……」

ガンスレイヴをいつでも動かせるようにして、レイはゆっくりと口を開けた。

(ここが勝負どころだ……撃つなよ、プルツー)

「さっき話したラウ・ル・クルーゼという男はな……俺の認識では生きてはいないはずなんだ」
「なに……?」
「第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦、と言ってもわからないか? とにかくその戦いでラウは死んだはずだ。
ジェネシス――巨大なガンマ線レーザー砲に巻き込まれてな。誤認はあり得ない。俺もラウの機体が爆散する光景は記録で見た」
「だが、ラウという男はここにいる!」
「そうだ。俺もそれが不思議だった。シャドウミラーには死者を蘇生させる技術でもあるのかもしれない」
「なんだと……?」

言われてプルツーもはっとなった。ここにはプルツーが殺したはずのプルがいる。
ヴィンデルが言った、望むもの全てを与えるという言葉――それには死んだ人間を生き返らせることも含まれるのではないか?
連鎖的にそんな想像をし、そのためには生き延びたプルを殺さなければいけないと思いあたり顔を歪めた。
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
16 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:39:34 ID:W5OckyCC
「だからという訳ではないが、一人で抱え込むな。立場は俺もお前も同じだ。俺はお前に力を貸したいと思っている」
「力を貸す……今さら何をするっていうんだ。ジュドーが死んだのに……」
「だが、まだプルは生きている」

レイは守るべき対象はまだいるだろう、と思い出させるために力強く言った。
同時にレイは支給品の中からペンを取りだし、名簿の白紙部分に字を書き殴る。

「プル……」
「そうだ。ジュドーは間に合わなかったが、プルはまだ助けられる。まだ間に合うんだ」
「そうだ、プルは……プルだけは絶対死なせちゃいけないんだ……!」

プルツーの思考がレイよりプルに傾いて行ったのを見計らってレイは名簿を掲げた。
そこには

【これを読んでも声を出すな。俺たちは盗聴されているかもしれない。】

とあった。
プルツーははっとして何かに気付いたように首輪に手を当てた。
続けてレイは名簿にペンを走らせる。プルツーも自分の名簿とペンを取りだした。

【現状を打開するプランが一つある。お前やプル、俺やラウ、そしてジュドーをみなまとめて救う方法が】
【なんだって?】
【いいか、たとえ優勝しても奴らが約束を守る保証はない。最悪の場合勝ち残った瞬間に首輪を爆破されるかもしれない。
だから俺たちが目指すべきは、勝ち残りではなく反逆だ。仲間を集め、首輪をはずして奴らと戦うんだ】
【そんなことはわかっている! ジュドーを救うとはどういうことだ!?】
【奴らの技術を奪取するんだ。70人もの人間を拉致し、強力な機体を与え、死者を蘇生させるほどの技術だ。
きっとこの殺し合いも……全部なかったことにできるはずだ】
【なかったこと?】
【そうだ。いくらか犠牲が出たとしても、後から蘇生させることができれば元通りだろう】
【それは……そんなことは、おかしい。後から生き返らせるから、殺しても大丈夫だっていうのか!?】
【倫理的に抵抗があるか? だが他に方法はないぞ。お前とプル、そしてジュドーが三人揃って解放される道は】

プルツーはぐっと押し黙る。もうひと押しか。

【強制はできん。お前が奴らの口車に乗り、優勝して望みを叶えてもらうというのであればここで別れよう。
俺はラウを手にかけることなどできない。たとえ一人になっても奴らに戦いを挑む】

「レイ……」
「お前が本当にプルを守りたいと思うなら、俺は力を貸す。だが殺し合いに乗るというのなら……戦うしかないな」
「……」
「すまないが悩んでいられる時間はない。27人も死んだということは殺し合いに乗る人間が数多いということだ。
ラウを探すために俺は行くが、お前はどうする?」

ここで考える時間を与えてはいけない。今はレイを主催者打倒のための仲間として認識させることが最優先だ。
一分ほどすぎ、レイが焦り始めたところでプルツーは顔を上げた。
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
17 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:40:34 ID:W5OckyCC
「……私も行く」
「プルツー?」
「プルを……守る。守りたいんだ。だが私だけではまた間に合わないかもしれない。だからレイ……お前の力を」
「それ以上言うな。お前の気持ちはわかると言っただろう? さあ、プルを探しに行こう」
「いいのか? お前はラウを探さなくて」
「ラウならこんな状況でもうまく立ち回っていることだろう。それに何と言ってもラウは一軍の隊長だからな。
今ごろ何人も仲間を作って俺を逆に探してくれているかもしれない」
「隊長か……プルにはとても無理だな」
「だろう?だから先にプルを探すのさ」
「……ありがとう」

プルツーは弱々しく笑った。そこにはさきほどまでの警戒する硬い表情はない。
うまくいった、とレイは微笑んだ。表面上はプルツーに応えたように見えるが、もちろんそうではない。
レイは主催者打倒などこれっぽっちも考えてはいない。
ジュドーを失ったプルツーを引き付けるためには、亡くした者を取り戻せる、その一縷の希望に縋らせる必要があった。
プルの捜索に協力するという名目がある限りはプルツーはレイの敵にはならない。
彼女をうまく利用し、敵対者を撃破していく……感触は上々だ。

「しかし、これからどこへ行くんだ?」
「そうだな……プルツー、お前の能力でプルの居場所わからないのか?」
「無茶を言うな。さすがにこんな広い場所ではわからない」
「なら、やはり人の多い場所を手当たりしだいにあたるしかないな。
ここから近い施設は……東に向かって北上し基地に行くか、南下して要塞に向かうかどちらかだな」
「北か南か」
「まあとりあえずは東に向かおう。誰かと接触すればその後改めて考えればいい」
「わかった」

そのまましばらく二人は東に向かって飛ぶ。

「……プルツー」
「なんだ?」
「もし、方針を確認しておこう。これから先、好戦的な参加者と出会ったときはどうする?」
「倒すに決まっている! そんなに奴を放置していてはプルに危険が及ぶかもしれないからな」
「そうだな。ではそうでない友好的な者と会った時は情報交換を持ちかけよう」
「一緒に行動するのではないのか?」
「そいつが了承すればいいが、目的があるかもしれんからな。それに、別々に動いた方がプルと出会える確率は高くなる。
合流場所の伝言でも頼んでおけばいいだろう」
「わかった。といっても私達が知っている情報といえばさっきのアポロと、お前が戦ったという鬼みたいなやつくらいだぞ」
「貴重な情報さ。殺し合いに乗っている危険人物だからな」
「そうだな……むっ!? レイ、あれを見ろ!」

二人の前方に巨大な光の柱が立ち昇った。
つい数時間前にもみた光、アポロが放った強力な攻撃とまったくいっしょだ。

「どうやら戦闘が起こっているようだな。アポロに間違いないだろう」
「アポロめ……!」
「おいプルツー、待て!」
「危険人物は倒すと言っただろう! 今度こそあいつを!」
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
18 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:41:49 ID:W5OckyCC
止める間もなくプルツーはすっ飛んで行った。
見送るレイはさてどうするかと迷う。

(ここでアポロを倒しておくのは悪くない。アポロと交戦している何者かとも接触できるな。だが俺が前線に赴くことは避けたい……)

「プルツー、俺の機体はまだ再生中だ。アポロのような強力な機体とぶつかるには分が悪い。ここは任せてもいいか?」
「わかった! 巻き込まれないように退避していろ!」
「すまない。出来る限り援護はする」

信用の証だろうか、プルツーはさほど疑うことなくそういった。アポロに気を取られているのだろうか。

(どちらでもいいか。とにかくこれで俺は戦場を俯瞰できる立ち位置を得た。
プルツーが危うくなれば援護するし、勝ちそうならとどめをもらう。ノルマをこなしておくに越したことはないからな)

戦闘を確認できるくらいの距離で岩山に機体を隠すレイ。
そこにいるのはプルツーのデュラクシール、アポロのダンクーガ、そして見知らぬ機体が二機。

(あの頭部……Gタイプか。だが連合の物でもザフトの物でもないな……)

レイが見ているのはコズミックイラではなく未来世紀のガンダムだ。
その名をゴッドガンダム。宇宙最強の格闘家、キングオブハートのガンダム。
ゴッドガンダムは二回り以上大きいダンクーガと互角の戦いを演じていた。
ダンクーガの鉄拳をまともに受けず受け流し体勢を崩し、すかさず一撃を加えて離れる。
かと思えば一瞬で懐に飛び込み、目にも止まらない攻撃を繰り出しダンクーガを吹き飛ばす。
武器に頼らず機体の四肢で戦うガンダム。見ているだけでパイロットのとんでもない腕がわかる。

(キラ・ヤマト並み……いや、格闘戦では奴ですら足元に及ばんな。オーブにあのような動きをするパイロットがいると聞いたことがあるが)

そこにプルツーが飛び込んで行き、事態を把握しかねたか双方の動きが止まる。
その瞬間――

「何!?」

レイの見ている前でゴッドガンダムが爆発した。
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
19 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:42:58 ID:W5OckyCC



「総士……」

荒野の中、ゴッドガンダムとクストウェル・ブラキウムもまた放送を聞くために留まっていた。
そして呼ばれた死者の名前。知らない名前であろうともロムは怒りを抑えきれない。
こんな殺し合いですでに27人もの尊い命が失われた。そしてその中にはカノンの探し人もいたのだ。
竜宮島の仲間、皆城総士。そして別人であると思っていた羽佐間翔子。その二人の名があった。

「総士が死んだ……? それに、翔子も……」
「カノン……」

これでカノンの仲間と共に島に帰るという願いは叶わなくなった。
まだ他に三人いる。三人しかいない。一人はもう永遠に帰って来ないのだ。

「すまん、カノン。俺が不甲斐ないばかりに……」
「ろ、ロムが悪いわけじゃない……そ、それに、今の放送が本当かどうかだってわからないじゃないか!
私は信じない……総士が、し、死んだなんて!」
「だが、カノン……」

放送はおそらく真実だ、とロムは言おうとした。
カノンもそれはわかっているのだろう。だがあまりにもあっけなく告げられた宣告に納得できずにいる。
その気持ちを推し量りロムは口を噤む。無理に正論を説いたところで得るものはない。
カノン自身が現実を受け入れるまで、ロムは待ってやることしかできない。
しばらく二人とも無言でいたが、やがてロムは視線を険しくして彼方を睨む。

「獲物見つけたぁっ!」

その方向から空を割くように舞い降りてきたのは野生児アポロと超獣機神ダンクーガ。
落ちてくる勢いを利用し断空剣を振り下ろす。その先にいるのはいまだ呆然自失だったカノンのクストウェル・ブラキウム。

「させんっ!」
「なにっ!?」

断空剣がクストウェル・ブラキウムを真っ二つにする寸前、ゴッドガンダムの蹴りがダンクーガの手から断空剣を吹っ飛ばした。
アポロはまさかダンクーガよりかなり小さいはずの敵に防がれるとは予想もしておらず動揺した。
そこに一気にロムが距離を詰めてパンチとキックの連打を浴びせる。

「いててっ! こんにゃろ……!」

自慢の鉄拳を振り回すダンクーガだが、ゴッドガンダムは優雅な足さばきでひらりひらりとかわす。
そして的確にカウンターを打たれダンクーガはあえなく後退した。

「こいつ……やりやがる! へっ、上等だ!」
「待て! 俺たちは戦いに乗る気はない! 拳を収めろ!」
「ああ? ちっ、またお説教かよ。俺を止めたけりゃ力づくで来いってんだ!」

奇襲をあっさり防がれ手痛い反撃を喰らったアポロはすでに熱くなっており、是が非でもロムに仕返ししてやると息巻いた。
その愚直だがまっすぐな感情はロムにも届き戸惑わせる。



第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
20 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:44:33 ID:W5OckyCC
「なんだ……この邪気のない拳は!?」

ダンクーガの鉄拳をいなしながらもロムはアポロを悪人ではないと感じた。
テッカマンアックスに感じたような悪意や暗黒大将軍にあった信念が感じられない。
だが攻撃は紛れもなく本物であり、まともに当たればゴッドガンダムとてただでは済みそうもない。

「オラオラオラオラ!」
「くっ、聞く耳もたずか……ならば!」

キックをダッキングして避けて、ゴッドガンダムはダンクーガの軸足を蹴った。
ダンクーガの巨体が傾いて地面に叩きつけられる。

「ぐああああ!」
「殺しはせん、だが戦う力と意志は奪わせてもらう!」
「この……舐めんなああっ!」

ダンクーガが飛び起きてゴッドガンダムへと突進する。
だがゴッドガンダムは闘牛士のようにダンクーガの鼻先で舞い、そのたびにカウンターを入れていく。
その動きはロムの強さを知っているカノンでさえ一時の動揺を忘れて見入ってしまうほどだった。

「……ノン、カノン!」
「! え……?」
「カノン! 君は下がっていろ!」

気遣われているのだとカノンは思った。
たしかに総士と、それに翔子の名が呼ばれた動揺は大きい。
だが今ロムが闘っている敵は明らかにテッカマンアックスや暗黒大将軍ほど恐ろしくはない。
自分でも戦える、その思いがカノンの中で燃え上がった。

「わ、私も戦える!」
「駄目だ! 今の君には背中を預けることはできない!」

ロムは許さなかった。
友の死を受け入れず目先の戦いで悲しみを忘れようとしても、そんな気持ちで一体誰に勝てるというのか。
こと戦いにおいてロムは一切の妥協を見せなかった。

「戦いに逃げるな! 君の悲しみは君自身が抱えていくしかない。その気持ちを有耶無耶にしたままでは何も見えてはこない!」
「で、でも!」
「君の力が必要な時はいずれやって来る。だからここは俺に任せてくれ!」

そこでロムは言葉を切り、アポロとの戦いに集中した。
アポロもまたロムを差し置いてカノンを狙う気はないようで、一対一なら好都合だとますます勢いを増してロムに襲いかかる。
カノンは渋々、ロムの邪魔にならないように二人から距離を取る。

見ていればロムは勝つだろうというのはわかる。腕の差がありすぎる。
だがアポロはたまに驚くような動きでロムに迫る。その度にロムはうまく捌くもののカノンは冷や冷やしっぱなしだった。
自分でもあの攻撃は避けられる、でもその次の動きはどうだ?
アポロとの戦いをシミュレートし、自分はおそらく負けるだろうなと漠然と推測した。

(あいつ、がむしゃらだけど迷いがない……だから動きも速いんだ)
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
21 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:46:29 ID:W5OckyCC
今のカノンではロムはもちろんのことアポロにもついてはいけない。
全力を出し切れない者に背中は任せられないのは当然のことだった。

(でも……じゃあどうしろって言うんだ。総士が死んだなんて、認められるものか……!)

放送という楔はカノンの奥深くに打ち込まれた。
他のみんなはどうするだろう。真矢は悲しむだろう。甲洋はそれほど知っている訳ではないのでよくわからない。
だが一騎は間違いなく動揺する。それもカノンの比ではないほどに。
一騎と総士の関係は島の外から来たカノンにだってわかるくらいに深い。
幼馴染とか親友とかでくくれるようなものではない。
クロッシングを用いるという意味を除外しても、半身と呼べるものだったかもしれない。

(一騎……お前はどうするんだ? 総士が死んだって聞かされて、どう思うんだ?)

迷いは晴れない。
そのカノンの目前で何度目かわからないくらいに叩きのめされたアポロが吠える。

「くっそ……! ちっとも当たりやがらねえ!」
「動きが大雑把すぎる。それでは俺に一撃入れるなど不可能と知れ!」
「うるせえ! パンチが当たらねえってんならこうするまでだ!」

ダンクーガは大きくゴッドガンダムから距離を取り全身の砲門を前方に向ける。
プルツーとの戦いで繰り出した断空砲フォーメーションの構えだ。

「パンチが当たらねえんなら……避けられねえくらいにでかいのをぶっ放す! うおおおおおおおおおおっ!」
「こ……この力は!」

ロムの後ろにはカノンがいる。避けることは簡単だが、それではカノンに直撃するかもしれない。
一瞬で判断したロムは光が収束しきる前にダンクーガに向けて跳んだ。

「天よ地よ、火よ水よ……我に力を与えたまえ……!」
「吹っ飛べええええええええええええええっ!」
「とああああああっ!」

断空砲フォーメーションが発射される――その寸前。
分身しながら近づいたゴッドガンダムの右拳が光り、ダンクーガの腹を殴り付けた。
衝撃でダンクーガは上を向かされる。
断空砲フォーメーションは空に向けて発射された。
間近にいたゴッドガンダムもまた、その光の中に巻き込まれる。

「ろ……ロム!?」

断空砲フォーメーションの凄まじい光を呆然と見ていたカノンが我に返る。
膝をつくダンクーガ。

第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
22 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:48:25 ID:W5OckyCC
「……ここまでだ!」

そしてそのダンクーガの腕を捻り上げるゴッドガンダムの姿があった。

「ロム……!」
「くそっ、外したか!」
「機体から降りろ。この体勢では逃げられんぞ」
「んだとっ!」

ロムの言葉通り、ダンクーガが必死にあがこうとするがどこを押さえているのかゴッドガンダムをどかせられない。
だがゴッドガンダムも無傷ではなかった。ダンクーガを殴った右腕が余りの高熱に黒く焦げ付いている。
ゴッドガンダムはパイロットの動きを反映する機体だ。つまり、ゴッドガンダムが受けたダメージまでもパイロットにフィードバックしてしまう。
ロムの右腕もまたとてつもない痛みに襲われていた。指先を動かす事も出来ない。
だがロムは顔色一つ変えず、残る左腕でダンクーガを押さえに出た。

結果アポロは自由を奪われこうして地に這いつくばっている。
ダンクーガのエネルギーにはまだ余裕がある。しかしこの体勢から頭上のゴッドガンダムを攻撃する武器はない。

「武器はない……じゃあこうすりゃいいんだよ!」

だがアポロは元々武器に頼らず戦うタイプ。
そしてダンクーガにはある特殊な機能があった。

「な……!?」
「分離した!?」

ダンクーガの頭部がはじけ飛び、鳥になって飛ぶ。
分離・合体機能。このように敵に捕まったときの緊急回避手段として用いることもできる機能だ。
イーグルファイターは戦闘機形態のままくるりと旋回し、抜け殻となったダンクーガを掴んでいるゴッドガンダムに体当たりした。

「ぐあ……!」
「へへっ、どうだ!」

片腕の動かないロムはろくに防御できず吹き飛ぶ。そして空いたダンクーガの上にアポロは悠々と着地し、再度合体した。
ゴッドガンダムもまた立ち上がる。だが断空砲フォーメーションのダメージは大きく、動きはぎこちない。
カノンはもう見ていられず、強引にでも戦いに加わろうとクストウェル・ブラキウムを前進させる。

「ロム! 私も……」
「手を出すな! これは一対一の勝負だ!」

だがやはりロムによって制止された。

「そんなことを言ってる場合か!そのダメージでは!」
「己が一度始めた勝負ならば、不利になったといって助太刀を頼むわけにはいかん!」

それはロムの矜持だった。
相手がギャンドラーのような非道の輩ならともかく、アポロはきっかけはどうあれ戦いそのものは何の裏もなく向かってきた。
断空砲フォーメーションを撃った時もカノンを一緒に狙った訳ではない。ロムを狙った時たまたま後ろにカノンがいただけだ。
そうさせてしまったのはロム自身の未熟さと言える。だからこそ、ロムはアポロと正々堂々と戦い勝利しようとしている。

第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
23 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:50:34 ID:W5OckyCC
「俺の名はロム・ストール! お前の名は何と言う!?」
「アポロだ!」
「アポロか……ではアポロよ、仕切り直しだ!」
「言われるまでもねえ、勝つのは俺だ!」

互いの名前を交換してロムとアポロは再びぶつかり合う。
先ほど以上に激しさを増す激突にカノンは息を飲む。
片腕が動かないというのにゴッドガンダムはますます鋭い動きでダンクーガを翻弄し攻め立てる。
一方スピードではかなわないと見たダンクーガは装甲の厚さを活かし、ゴッドガンダムが攻撃した瞬間を狙い反撃する。
技量は遥かに届かなくとも、アポロの野性の勘はときおりロムの想像以上の瞬発力を見せる。
相打ち狙いだと見抜いたカノンは冷や汗をかく。一度でも直撃すればゴッドガンダムは動けなくなってもおかしくはない。

避けて、殴って、避けて、蹴って、避けて、蹴って、避けて、避けて、避けられずに受け流して……
気が遠くなるような攻防が続く。
いつまで続くんだ、とカノンが焦り出した時状況が動いた。

「「っ!?」」

ゴッドガンダムとダンクーガの中間に撃ち込まれた砲撃が大地を吹き飛ばす。
距離を取った二人の前に巨大な機体が舞い降りてきた。

「見つけたぞアポロ! 今度こそおまえを倒す!」
「てめえは……さっきのやつか!」

プルツーのデュラクシールがダンクーガに襲いかかる。
しかしその鼻先に疾風のように回り込んだゴッドガンダムの手があった。

「くっ、邪魔をするな! お前達もこいつに襲われたんだろう!?」
「……なるほど、君もこの少年に用があるということか」
「そうだ!こいつは危険だ、だから私が……!」
「済まないが、それは少し待ってもらいたい」

プルツーの言葉を遮るロム。

「君の事情も知らずに言うのも申し訳ないが、この場は俺に預けてくれないか?」
「何……?」
「このアポロという少年の拳には邪気がない」
「だからなんだ。助けろとでも言いたいのか?」
「いいや。俺が彼と拳で決着を付ける、そう言ってるんだ」

ロムの言葉にプルツーはたじろぐ。カノンも同じだった。
だがプルツーも最初の場所で主催者に大見えを切ったロムのことは覚えている。
そのロムの揺るぎない決意に圧倒され、デュラクシールはゴッドガンダムに道を譲った。

「さあアポロ、決着をつけるぞ」
「俺は別に全員まとめてでもいいんだがな。まあいいや、やってやるぜ!」

お互いにこれで終わりだという覚悟を決めて拳を握る。
ダンクーガが駆け出し、体ごとゴッドガンダムにぶつかっていく。


第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
24 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:53:08 ID:W5OckyCC
「おりゃああああ!」
「天空宙心拳、奥義……!」

ゴッドガンダムの全身が光り輝き、カノンとプルは思わず目を背ける。
ダンクーガの鉄拳が炸裂する寸前でゴッドガンダムが深く腰を落とし



――――ズドォォーーーーーーーン――――



吹き飛んだ。
カノンは確かに聞いた。太く重々しい音、この場に鳴るはずのない音を。
慌てて駆け寄ったゴッドガンダムは地に伏して、ピクリとも動かない。
ダンクーガは立ち尽くしている。

「な……なんだ?何がどうなってんだ?」
「アポロ、貴様……!」
「ま、待て! 今のは俺じゃねえ!」
「とぼけるな! 何が拳で決着を付けるだ!やはりお前は生きていてはいけない奴なんだ!」
「く、くそっ! 何がどうなってんだ!?」

襲いかかって来るデュラクシール。
アポロは何か異常な事態だと気付きつつもプルツーの猛攻の前ではその違和感を説明することができない。

ダンクーガの頭上を飛び越えてきた砲弾を、プルツーはダンクーガが放ったものだと勘違いした。
おりしもゴッドガンダムがハイパーモードに突入したときの光で視界が利かなかったときのことだ。
ゴッドガンダムの背中の放熱フィンが熱と光を全て後方に排出したからこそ、プルツーにはその砲弾がどこから来たのか判断がつかなかった。
頭の隅ではそれをおかしいと思う部分がある。しかしジュドーを失った悲しみはプルツーから冷静な思考を奪っていた。

アポロを放っておけばプルが危ない。それどころかジュドーを殺したのもアポロなのかもしれない……!

すべての原因がアポロにあると断じプルツーはアポロへと襲いかかる。
レイは後方、ロムは倒れ、もうプルツーを止める者はいなかった。
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
25 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:54:35 ID:W5OckyCC



「命中、っと。これでいいのかい?」
「まだだ……あの強き者は……まだ絶えてはいない……」

戦場から遠く離れた岩陰に潜む影が二つ。
一つはティンプ・シャローンのテキサスマック。
もう一つは剣狼を手にするメリオルエッセが一柱、ウンブラ。

ウンブラは放送を聞く片手間に地面に埋まっていたティンプを掘り起こした。さきほど戦ったロムを陥れるための布石になると思ったからだ。
予想以上に死者の数が多いことに驚きながらもウンブラは心地よくその流れに身を委ねる。
この場には負の感情が渦巻いている。その勢いはとどまる事を知らない――恍惚としているウンブラにティンプは『手を組まないか?』と声をかけた。

ウンブラは宇宙に上がろうとしていた。
だが最も近いシャトル施設には殺し合いに乗ったものが二人いる殿情報がティンプによりもたらされた。
排除することもできなくはないだろうが、二人となれば苦戦は必至だ。
そこにさきほどのロムが追いついてきてはたまらない、とウンブラは話だけ聞くことにした。

ティンプもまたゾラにはいないタイプの、そもそも人間ですらないウンブラとの距離の取り方に苦心しぎこちない情報交換をして。
そうこうしているうちにロムとアポロの戦闘を察知し、では手を組む条件としてロムを倒せとウンブラが言ったのが馴初めだった。
やることはティンプが最初にこの場でやった事と同じだ。揉み合っているところを狙いハイパワーライフルで狙撃する、ただそれだけ。
さほど抵抗もなくティンプは了承した。

この距離ならばハイパワーライフルの射程内だし、万一こっちの居場所がばれたとしてもまだあそこには動物みたいな機体が残っている。
まさか敵に背を向けてまで仲間の仇打ちに向かってきはしないだろう――とゾラのルールで考え、ティンプはあっさり引き金を引いた。
弾丸は狙い通りの弾道を飛び、目標に見事命中した。
だというのに相方は仕留めていないという。

「直撃の寸前……あの光輝の力で身を守った……まだ、生きている……」

煙が晴れれば、ウンブラの言葉通りゴッドガンダムはまだそこにいた。
本来なら腰から上はこっぱみじんになっているはずが、無いのは左腕だけだ。

(どうやらあの拳で砲弾を撃ち落としたって訳かい。とんでもねえ化け物だな)
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
26 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:55:21 ID:W5OckyCC
狙撃を一瞬で察知し、あまつさえ道具を使わず拳で迎撃する男。
まともに戦っていればどうなっていたことか。
だがとにかく戦闘力の大部分は奪えたに違いない。倒れたまま起き上がらないのだから。

「で、どうするんだ。とどめをさすかい?」
「無論……」

ウンブラは影のようにすすっと荒野を走っていく。
機体はどうするんだと言おうとしたティンプだが、どうでもいいかとハイパワーライフルを弄びながら戦場を観察するティンプ。
これであの場にいる者全てを倒せるかどうかは微妙だ。適当に間引いたら離脱するのがいいだろう。
しめたことに残っていた機体と後から来た機体が交戦し始めた。
残る一つは倒れたままのロムを庇う構えだ。

(星四ついただきだ。いや……あの変な嬢ちゃんに当たっちまえば五つか。運が良ければ当たらんだろ、悪く思うなよ)

ウンブラに当たってもまあ仕方ないか……というような気分でティンプはハイパワーライフルを構え、引き金を引く。
狙いはダンクーガと争うデュラクシール。


――――ズドォォーーーーーーーン――――


再度発射された砲弾はまっすぐにデュラクシールの背中に向かって飛ぶ。

「見つけたぞ、痴れ者がぁぁああああああっ!」

しかし炸裂する寸前巨大な剣が飛来し、ハイパワーライフルの弾丸を切り払った。
後を追うように現れたのは全身に傷を負った巨人だ。

「あ、あいつは……!」

ティンプにも見覚えがある姿。7時間ほど前、まさに今とまったく同じ状況でティンプが撃った相手。
ミケーネの武人暗黒大将軍が戦場に踊り込んできた。
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
27 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:57:18 ID:W5OckyCC



休息を取り補給をすべくG-5の基地を目指そうと動き出した暗黒大将軍の前に現れたのは、同じく修羅の道を歩む剣鬼だった。
ウォーダン・ユミルが駆るガンダムアストレイレッドフレーム。
出会い、二人は言葉もなく剣を抜いた。
この相手に言葉は不要、ただ剣で語るのみ。

「我が名はウォーダン……ウォーダン・ユミル! ヴィンデル・マウザーの剣なり!」
「俺は暗黒大将軍! ミケーネの将よ!」

暗黒大将軍がまず小手調べと竜巻を放てば、アストレイはガーベラストレートでその竜巻を一刀両断。
パスチャーキングがいななきアストレイが戦国時代の武者よろしく突撃、暗黒大将軍は受けて立つとばかりにダークサーベルを構える。

「はああああっ!」
「ぬおおおおっ!」

パスチャーキングの頭上を閃光の速さで刃が往復し、その度に馬は首を縮こまらせた。
そのまま数分、いや数十分と剣をぶつけ合う二人。

業を煮やした暗黒大将軍が覆いかぶさるように剣を振り下ろすと、アストレイの足がパスチャーキングの腹を蹴りその剣の下をくぐらせる。
駆け抜けざまにパスチャーキングは後ろ脚で蹴りを放つ。さしもの暗黒大将軍もまともに受けられないと後ろにジャンプする。
置き土産の竜巻を放てば、アストレイは怯まず竜巻の中に馬を走らせる。
ガーベラストレートが竜巻の中心を割き、暴風を剣身にまとわりつかせる。
暗黒大将軍の力を殺さず我がものとしてウォーダンは吠えた。

「受けよ、竜巻菊一文字・虚空斬波!!」
「む……おおお!?」

逆巻く風がガーベラストレートをコーティングする。
それ自体が風によって加速しているため、まさに雲耀の速さで放たれた一閃を暗黒大将軍はなんとかダークサーベルを盾に受け止める。
その瞬間風が解放され真空波となって暗黒大将軍に襲いかかった。
血風が舞い散り暗黒大将軍は後退する。

「押し込む!」
「させぬわ!」

一気に勝負に出ようとしたウォーダンを阻むべく暗黒大将軍の双眸が輝き破壊光線となって解き放たれる。
パスチャーキングが蹄を地に突き立て急減速。それはウォーダンの意に沿うものではなく、なればこそ動きに停滞が生まれる。
そこに喰らいつく暗黒大将軍のもう一つの剣。内蔵されたエネルギーは尽きてもセレブレイダーは剣の役目は失っていない。
アストレイの全長とほぼ同サイズの大剣を、ウォーダンは受け止めること叶わぬと見て刃を倒し流すべく専心する。
同時に足裏で馬腹を蹴り身を沈めさせた次の瞬間ガーベラストレートとセレブレイダーは火花を散らしつつ弾き離れた。
ここぞと間合いを取るウォーダン。その手はじわりと汗に濡れていた。

「さすがはミケーネ帝国七大軍団を率いる武人……なんという剣の冴えよ!」
「フフフ……貴様もやるではないか。この俺と剣でここまで渡り合うとはな!」



第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
28 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 00:59:38 ID:W5OckyCC
今まで戦ったどの相手とも違うタイプ。マジンガーとも、張五飛とも、ロム・ストールとも違う。
純粋な剣技でここまで暗黒大将軍と互角に戦った者はかつていなかった。
ごまかしようもなく腕の差で勝敗は決する。
互いに供はなく、邪魔する手合いもいない。体調も万全となれば引く理由がない。
暗黒大将軍はセレブレイダーを両手で構えた。

「だがここからが本番だ。貴様のその剣でどこまで耐えられるかな!?」
「セレブレイダー。なるほど、その剛剣を前にしてはガーベラでは少々役不足だな。ならば……!」

アストレイはガーベラストレートを収め、かわりに背中から棒を引っ張り出す。
あまりにも貧相なその獲物に暗黒大将軍は失笑した。

「何のつもりだ? そんなもので俺の剣を防げるというのか!」
「言うに及ばず……我が行く道はただ一つ、障害は剣によって切り払うのみ! 伸びろ、ザンバァァァッ!」
「な……なに!?」

棒から幾筋も光が飛び出し、一瞬後には見事な巨剣となって暗黒大将軍の前に現れる。
その長さ、大きさはセレブレイダーと比較しても見劣りしない。
さすがに片手では構えられずアストレイの両手でその柄を保持し、頭上でぶうんと旋回させるウォーダン。

「いざ! 斬馬の一撃、受けてみよ!」
「ふっ、よかろう! この俺の一刀こそが貴様を馬共々切り捨てる斬馬刀だと知るがいい!」
「チェストォォォォォッ!」
「でぇぇええええええい!」

同時に走り出し横にいる相手に向けて次々に剣戟を繰り出す。
ダイターンザンバーが岩山をバターのように斬り裂き、セレブレイダーが大地を豆腐のように断ち割る。
剣の嵐が通りすぎた道は一切合切が切り捨てられ平らになっていく。
だがその中心の二人、暗黒大将軍とウォーダンの身にはいまだにどちらの刃も届かない。

「はあっ!」
「甘いわ、そこっ!」
「見切った!」
「抜かせ!」

アストレイがパスチャーキングを走らせれば、暗黒大将軍は片手でダークサーベルを抜いてその鼻先を薙ぎ払う。
セレブレイダーがアストレイを頭から真っ二つにしようとすればダイターンザンバーが絡み剣の軌跡を変える。
破壊光線がパスチャーキングの足元を撃ち歩みを止めれば、瞬時に馬の背から飛びあがったアストレイが機体の全身を使ってザンバーを振り下ろす。
風をまとわせたセレブレイダーで掬いあげるようにウォーダンの斬撃を防いだと思えば、アストレイはひらりとパスチャーキングの鐙に腰を下ろす。
気がつけば暗黒大将軍は数刻前に張五飛と戦った場所まで戻ってきていた。

「ふ……フフフ……」
「どうした、何を笑う?」
「強い、強いな……! 貴様のその剣腕、あのゼンガー・ゾンボルトにすら劣らぬ!」
「ゼンガー? 知らん名だな」
「知らずともよい。だが奴は神をも断つ剣……貴様を切れば俺はまた一つ奴に劣らぬ強さを得ることができる!」
「誰と比べているのか知らんが、不愉快なことよ。貴様の前にいるのは俺だ、暗黒大将軍だ! ゼンガーとやらではない!」
「……そうだな、非礼を詫びよう。この返礼は剣によって……!」
「そうだ、来い! そしてこの俺の剣の錆になるが……」



第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
29 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 01:00:47 ID:W5OckyCC


――――ズドォォーーーーーーーン――――



暗黒大将軍の声は、突如響いた銃声によって断ち切られた。
敵を目の前にしているというのに暗黒大将軍はその音の方向に顔を向ける。
まるでウォーダンになど何の興味もなくなったかというように。

ウォーダンにもその銃声は聞こえていたが特に反応はしなかった。
ウォーダン達に向けられたものではないというのが音の拡散具合で分かったからだ。
だが暗黒大将軍は隙を見せた。やろうと思えばウォーダンは暗黒大将軍を仕留めることができたが、何故か身体は動かなかった。
何故ならその音を聞いた暗黒大将軍の横顔が、凄まじい怒りによって歪んでいたからだ。

「……ウォーダン・ユミルよ、勝負を預けさせてはくれんか」
「何?」
「今聞こえた銃声、間違いない! 俺とマジンガーの、草薙剣児との勝負を汚した卑劣漢よ!
奴が近くにいる……逃がすことはできん! 奴の血で草薙剣児の無念を購わせてやる!」
「…………」
「虫のいい話だとはわかっている。だがこの機を逃せば奴はまた行方をくらますだろう。今行かねばならんのだ……!」
「俺から逃げるわけではないのだな?」
「逃げる? 貴様、この俺が背中を見せて逃げるというのか!? ふざけるな!」
「……失言だったな。いいだろう、剣を収めよう。ただし条件がある」
「なに?」
「その卑怯者を切った後、改めて死合を所望する。そのため俺も同行させてもらう……どうだ?」
「俺の邪魔をする気か?」
「そうではない。俺も、武人の戦を汚す輩を見過ごす事は出来ん。だがお前がそいつを切るというなら俺は身届け人となろう」
「……よかろう。では奴を切った後、仕切り直して立ち合おうではないか」
「了解した」

暗黒大将軍とアストレイはお互い剣を収め、一路銃声が聞こえた方角へ向けて走り出す。
やがて戦場が見えてきた。
基地で得た情報からウォーダンは即座にそれらの機体の戦力を推察する。

(ゴッドガンダムとクストウェル・ブラキウム、ダンクーガに……そしてデュラクシールか。
デュラクシールとダンクーガが交戦している……ゴッドガンダムは負傷したか?)

倒れたままのゴッドガンダムを庇うようにクストウェル・ブラキウムが立ち、その視線の先に小さな点のような機体が一つ。
あれが暗黒大将軍のいう卑劣漢なのだろう、と当たりを付けた瞬間に、
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
30 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 01:01:43 ID:W5OckyCC


――――ズドォォーーーーーーーン――――



二度目の銃声が鳴り弾丸はまっすぐにデュラクシールの背中を狙って飛んでくる。

(仕合っている者の背を狙うとは……!)

その唾棄すべき行動にウォーダンの怒りが爆発し、パスチャーキングを走らせようとした刹那、

「見つけたぞ、痴れ者がぁぁああああああっ!」

暗黒大将軍の手からセレブレイダーが弾丸のように投げ放たれた。
投剣は砲弾を両断し、爆炎をまき散らす。
宙に舞った剣を駆け抜けざまに掴み取り、暗黒大将軍が狙撃手へ向けて突撃していった。

「俺の出る幕ではないな」

見送ったウォーダン。かといってこのまま暗黒大将軍が戻って来るまで傍観しているのも興が乗らない。
都合よく戦場には相手のいない者が一人いる。ゴッドガンダムを守るクストウェル・ブラキウムだ。

「フューリーが開発した近接格闘戦用オルゴン・エクストラクター搭載機……相手にとって不足はない!」

パスチャーキングを走らせ、ダイターンザンバーを構えるアストレイ。
気付いたクストウェル・ブラキウムが構えを取る。だが遅い。
このまま一刀両断だ――ウォーダンは確信した。

「……なにっ!?」

だがその確信はクストウェル・ブラキウムではなく倒れていたはずのゴッドガンダムによって打ち砕かれる
左腕がなく右腕も半分壊れかけているゴッドガンダムが、一瞬で飛び起きて右肘と右膝で挟み込むようにダイターンザンバーを白刃取りしていた。

「……無事か、カノン……?」
「ロム! 大丈夫なのか!?」
「ああ……俺は大丈夫、だ。それより……逃げるんだ。こいつ……とてつもなく、強い……!」

一刀を受けただけでロムはウォーダンの技量のほどを見抜いた。
盟友ブルー・ジェットに匹敵するほどの剣腕。数刻前に戦った暗黒大将軍に勝るとも劣らぬ剣の冴え。
とても本調子ではないカノンを気にしながら戦える相手ではない。
ロムとて満身創痍ではあったが、戦意だけは衰えさせずウォーダンを睨みつける。

「カノン……!」
「できない! 私だけ逃げるなんて!」
「なら……頼む、俺の代わりにあの二人を止めてくれ……! アポロとあの少女を……早く!」
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
31 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 01:02:49 ID:W5OckyCC
敵はアストレイだけではなく、狙撃をしてきた謎の敵もいる。
狙撃を全く感じ取れなかったカノンがいても、ロムの足を引っ張るだけだ。
なら今も戦っているアポロと少女を止めて、少なくとも敵対的ではない少女を味方に引き入れロムを援護する……それが最善とカノンは判断した。

「ロム……死ぬなよ! 私もすぐに戻る!」
「ああ、わかっている……」

クストウェル・ブラキウムが後退していく。ロムは警戒していたが、ウォーダンは動かなかった。
逃げる獲物になど興味はない。そんな者よりもっと素晴らしい敵が目の前にいるのだから。

「こうも立て続けに強者と死会えるとはな……僥倖とはまさにこのこと! 我はウォーダン、ウォーダン・ユミル! シャドウミラーの剣なり!」
「シャドウミラー!? 奴らの手の者か」
「強き武人よ、いざ尋常に……む!?」

ウォーダンがロムに切りかかろうとした瞬間、背筋をぞくりとする感覚が這いあがる。
同じ感覚をロムも感じたか、構えを崩し気配の出所を探るべくロムは気を集中させる。

「……いかん! カノン!」

ロムが探し当てた気――邪気の塊は、後退していくカノンのすぐそばだった。
クストウェル・ブラキウムの足元に、黒い渦のようなものが――人影がある。
人影は何か細い物を掲げる。
それは剣――ロムの愛刀、剣狼だ。


『――二段合身』


邪気がそう唱える。聞こえた訳ではなく感じた。ロムが散々身をもって成してきた行為。
閃光が走り、クストウェル・ブラキウムの横にそれは現れる。


パイル・フォーメイション。


「……バイカンフー……!」


呟くロムに応えるようにバイカンフーはクストウェル・ブラキウムめがけて拳を繰り出した。
不意を打たれクストウェル・ブラキウムは倒れる。
クストウェル・ブラキウムのコックピットにバイカンフーは剣狼を突きつけた。


――さあ、救えるものなら救ってみろ


と宣言するように。
前方のバイカンフー、後方のアストレイレッドフレーム。
ウンブラとウォーダン・ユミルという二人の強者に囲まれロムは悟る。

紛れもなくここが死地であると。
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
32 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 01:03:36 ID:W5OckyCC
【一日目 14:45】


【ロム・ストール 搭乗機体:ゴッドガンダム】
パイロット状況:疲労(中)、左腕にダメージ大
機体状況:装甲表面にかなりのダメージがあります。左腕が欠落、右腕破損(なんとか動く)
現在位置:F-4 荒野
第1行動方針:ウンブラ、ウォーダンに対処しつつカノンを助ける。アポロとプルツーの戦いを止めたい。
第2行動方針:カノンと行動しつつ、決闘の場所を目指す
第3行動方針:悪を挫き弱きを助ける
第3行動方針:真壁一騎、皆城総士、遠見真矢、春日井甲洋の保護
第3行動方針:19時の暗黒大将軍との再戦に備える(上と同じくらいの重要度なので3を並べてます)
最終行動方針:剣狼を取り戻しシャドウミラーに正義の鉄槌を与える】
※羽佐間翔子は同姓同名の別人だと考えています。


【カノン・メンフィス 搭乗機体:クストウェル・ブラキウム(スーパーロボット大戦J)】
パイロット状況:???
機体状況:装甲がへこんでいる以外良好
現在位置:F−4 荒野
第1行動方針:ロムと行動を共にし、強くなる。
第2行動方針:竜宮島の仲間と合流する
最終行動方針:仲間と一緒に竜宮島に帰還する】
※羽佐間翔子は同姓同名の別人だと考えています。
※カノンの状態はお任せします。


【ウォーダン・ユミル 搭乗機体:アストレイレッドフレーム(機動戦士ガンダムSEED ASTRAY)
パイロット状況:良好、気力充実
現在位置:F-4 荒野
機体状況:ビームコート装備、損傷軽微、ダイターンザンバー装備、パスチャーキングに騎乗
第一行動方針:ヴィンデルの命令に従う
第二行動方針:次の戦闘相手を求める
第3行動方針:ロムを倒す
第4行動方針:暗黒大将軍が仇を打った後で再戦する
最終行動方針:ヴィンデルの命令に従い、真なるメイガスの剣になる為にも優勝を目指す
備考1:ヴィンデルを主人と認識しています
備考2:放送を聞き逃しています。】
※G-5エリアの基地のデータベースには会場に支給された機体の情報が入ってます。放送ごとに追加機体の情報も追加されます。
※ダイターンザンバーは柄だけの状態でアストレイの背部に背負う形で収納されています。
第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
33 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 01:05:59 ID:W5OckyCC
【ウンブラ 搭乗機体:バイカンフーwith剣狼(マシンロボ クロノスの大逆襲)
パイロット状況:良好
機体状況:良好
現在位置:F-4 荒野
第1行動方針:この状況を利用してロムを殺す
第2行動方針:人間の性質に合わせ利用し負の感情を狩り集める(※)
第3行動方針:宇宙に上がり地上の負の感情の流れを観察する。
基地に殺し合いに乗る人間がいるなら別ルートを探す。
最終行動方針:狩り集めた負の感情を破滅の王に捧げる
(※)について
殺し合いに乗った人間→接触を避ける
強い人間→疑心暗鬼を撒くため、カノン、ロム、その他数人が危険であると情報を流す
それ以外→負の心を絞って殺す】


【プルツー 搭乗機体:デュラクシール(魔装機神〜THE LOAD OF ELEMENTAL)
パイロット状況:疲労(中)、強い怒り
機体状況:装甲各部位に損傷 戦闘に支障なし 肩パーツ(タオーステイル)がいくつか破損 EN・弾薬残り60%
現在位置:F-4 荒野
第一行動方針:アポロを倒す
第二行動方針:プルと合流し守る。レイはかなり信用しています。
第三行動方針:ゲームに乗らない参加者と協力。
最終行動方針:ゲームからの脱出、または打破。その後主催者の技術を奪いジュドーを……?
参戦時期:原作最終決戦直後】


【アポロ 搭乗機体:ダンクーガ(超獣機神ダンクーガ)
パイロット状況:疲労(小)
機体状況:装甲各部位に損傷 戦闘に支障なし EN60%
現在位置:F-4 荒野
第1行動方針:どうなってんだ!?
第2行動方針:ダンクーガの性能にご機嫌。誰だろうがぶっ倒す!
最終行動方針:ぜんぶ倒して、最終的にはヴィンデルって野郎もぶっ倒す!
備考:地図、名簿共に確認していません。そもそも気づいてもいません】



第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
34 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 01:06:41 ID:W5OckyCC




やべえやべえ、あのときの化け物がこっちに向かってきやがる!
どうも俺を殺す気満々って感じだ。今時復讐なんて流行らねえってのによ!
だがまあまだ三日たっちゃいねえ、無罪放免って訳には行くめえ。
じゃあどうする、あのウンブラって嬢ちゃんは向こうに行っちまったしこの場には俺一人しかいねえ。
せめてパスチャーキングがありゃ逃げることも……って、あのクソ馬そこでなにしてやがる! てめえの主人は俺だろうが!
何勝手に他のやつ乗せてんだ俺に許可を取れ……ってんなこと言ってる場合じゃねえ!
来た、来た、来た!
どうする俺、どうする!?ちくしょうやっとあのドマンジュウとお別れできたっていうのに!
ああ、俺はなんて不幸なんだ!?


【一日目 14:45】

【ティンプ・シャローン 搭乗機体:テキサスマック(PK)(真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ)
パイロット状況:良好
機体状況:良好 ハイパワーライフルの弾を5発消費
現在地:F-4 荒野
第1行動方針:暗黒大将軍に対処。逃げたい
第2行動方針:他の参加者の情報を集める
第3行動方針:可能な限り優勝は目指す
最終行動方針:生き残る



第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
35 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 01:08:16 ID:W5OckyCC




草薙剣児との戦いに横槍を入れた者をついに見つけた。
暗黒大将軍は迫りくる砲弾を見た瞬間、全ての怒りを爆発させた。

だから暗黒大将軍は気付いていない。
ウォーダンとの剣舞に興じる余り放送を聞き逃し、宿敵である剣鉄也の名が呼ばれたことを。
通りすぎた戦場の中心に、再戦を約束したロム・ストールがいたことを。
いまはただ怒りのままに剣を振るうのみ。
暗黒大将軍は止まらない。


【一日目 14:45】

【暗黒大将軍 支給機体:セレブレイダー(神魂合体ゴーダンナー!! SECOND SEASON)
パイロット状況:全身に大きなダメージ、激しい怒り
機体状況:良好、ENほぼ空、セレブレイドに変形中
現在位置:F-4 荒野
第一行動方針:ティンプ(名前は知らない)を八つ裂きにする
第二行動方針:剣鉄也を倒す
第三行動方針:ティンプを倒した後でウォーダンと決着を付ける
第四行動方針:ダイヤが現れたのなら決着を着ける
第五行動方針:余裕ができたらガンバスターを破壊する
最終行動方針:ミケーネ帝国の敵を全て排除する
備考1:セレブレイドは搭乗者無しでも使い手側の意思でプラズマドライブが機動できるようになってます
無論、搭乗者が普通に機体を使う事も可能です
備考2:放送を聞き逃したので剣鉄也が死亡したことを知りません
備考3:近くにロム達がいることに気付いていません】



第三次スパロボキャラバトルロワイアル6
36 :代理投下[sage]:2010/04/04(日) 01:09:04 ID:W5OckyCC



「どうするべきかな、これは……」

一方、戦場の後方からレイは全てを見ていた。

ロムとアポロの戦闘。そこにプルツーが介入する。
その隙を狙い何者かがロムを狙撃した。
プルツーはその攻撃をアポロによるものと勘違いしたか、アポロへと攻撃を仕掛けている。
再度の狙撃は乱入してきた第三者、驚くべきことに数時間前にこの場所でレイも交戦した暗黒大将軍によって防がれた。
暗黒大将軍はそのまま狙撃手へと向かっていき、共に現れたアストレイタイプのモビルスーツはロムへと攻撃を仕掛けた。
かと思えばロムの仲間のそばにまた新たな機体が出現し、ロムの仲間を攻撃。
ロムはその敵とアストレイタイプとに挟まれ身動きが取れない……というのが現在の状況だ。

ではここでレイはどう動くべきか。

当初の予定通りアポロを倒し、ロム達と協力して襲撃者を撃退するのか。
襲撃者に与して手強いのが明白であるロムをここで脱落させるのか。この場合はその後で他の襲撃者を退けなければならないが。
あるいはここから最大威力の砲撃を打ちこんで全員を亡き者とするか……まあ、これはおそらく無理だろうとレイは思っている。そんな安易な手で仕留められるほど容易い相手ではいない。

「ふむ……」
「暇そうだな、若造。ならワシと遊ばんか?」

不意に聞こえてきた声にレイは戦慄する。
レーダーには何も映っていない。幻聴か? いや違う。

「……ぐっ!?」

その証拠にR-GUNリヴァーレが激しく揺れる。なにか巨大な衝撃によって吹き飛ばされているのだ。
とっさにカメラを巡らせると、岩の上に一人の男が立っている。
下着一枚しか身につけていない壮年の男。平たく言えば変態としか表現できない男が。

「……な」
「戦を安全な場所から高みの見物とはな。気に入らん……気に入らんぞ! 貴様のような腑抜けはこの衝撃のアルベルトが叩き潰してくれる!」

(なんだこいつは!? 俺はいったい何をされたんだ!?)

安全を重視した結果レイは十傑集が一人との戦いの道を選んでしまった。
レイの常識をはるかに超越する超人。
向こうの戦場は誰もこちらに気付いていない。
プルツーも援軍に呼び戻す事は厳しい。
一対一の戦いが始まる。



※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。