- 第三次スパロボキャラバトルロワイアル5
692 :求める強さは誰がために ◇PfOe5YLrtI 代理[sage]:2010/03/23(火) 00:01:50 ID:yyILfiSi -
沈痛な表情を見せるバニングと万丈。 情報交換の最中にも、一度同じ表情を見せたことがあった。 ドモンはそこから、彼らの忠告の意味を察する。 「……先に俺から補給を行う。……シーブック」 一応油断はするなと、そんな意味合いをこめた目配せをして、ドモンは装置をキングゲイナーに接続する。 しばしの沈黙。 やがて……ドモンが口を開いた。 「……ジャミル」 ドモンの発した一言。 その一言は、隣で見ていたシーブックにもトラップの正体を理解させるのに十分だった。 「ま……まさか!?」 「待てシーブック、見るんじゃない!」 ドモンの制止も聞かず、シーブックはデスティニーを補給装置に接続させる。 接続と同時に、流れ込んでくるエネルギーと、そして情報。 モニターに映し出されたファイルを展開し―― 「ジャミル……さん……ッ!」 そこには、少し前まで彼を導いてくれた男の無惨な姿が映し出された。 この補給装置に仕込まれていたトラップ。 それは、ジャミル・ニートの死体の写真。シン・アスカと、スレードゲルミルの情報。 探しニュータイプと称したエルピー・プルとプルツーの情報もあったが、シーブックにはそこまで気を回す 余裕などなかった。
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693 :求める強さは誰がために ◇PfOe5YLrtI 代理[sage]:2010/03/23(火) 00:02:47 ID:yyILfiSi - 補給を終えた後、4人はそれぞれ機体から降り、直接話し合う場を設けていた。
「さっき、あんた達がジャミルとシンの名前に反応したのは、この情報を知っていたからか」 「この街に来て最初に、ここで補給を受けたからね……大丈夫か、シーブック」 「ええ……なんとか……」 なんとか、落ち着いた。少しだけ、頭が冷えてきた。ただ冷えたといってもマシにはなったという程度で。 代わりに襲ってきたのは、自分自身の無力さへの憤り。 そして、ジャミルを殺したというシン・アスカへの怒り。 「くそっ……やっぱりあいつ……」 「落ち着け。この情報が正しいと決まったわけじゃない」 「何言ってるんです……!これが嘘だとでも!?」 バニングの言葉に、シーブックは声を荒立たせる。そこには若干の苛立ちを含んでいた。 「どうもな……この情報、引っかかる点がある」 「な、何が!?」 「出来過ぎている……証拠が都合よく揃いすぎている。作為的と思えるほどに、だ」 バニングの意見を補佐するように、万丈が続いた。 「これを仕掛けた人物は、随分と冷徹で頭が回るようだ。 感情を先走らせるタイプなら、こうまで証拠を揃えられないように思う」 そう言って、万丈はジャミルの写真に目を向ける。 確かに、よくもこんな写真を撮影できたものだ。補給装置にトラップを仕掛けるという行動にしても。 「さて、ここで問題となるのはシン・アスカの情報だけど。 危険性が存分に書かれている。……何故そこまでわかるんだ、と思えるほどに」 シンの情報を一瞥してから、万丈はドモンに視線を移す。 「ドモン、直接シン・アスカとぶつかり合ったという君に聞きたい。この情報を見て……どう感じた? 特に、シンに関する情報について、だ」 質問を振られたドモンは、しばらく間をおいた上で、自分の感じるままに述べた。 「……違和感があるな。酷く悪し様に、誇張されているように感じる…… 何らかの恨みか、あるいは悪意すら感じるほどにな」 「なっ……!?」 万丈達の意見を肯定するかのようなドモンの返答に、シーブックは言葉を失う。 「……ありがとう、ドモン。まあ、全てを結論付けるには早いとは思うんだけどね…… 僕には、まるでこれを仕込んだ者が、シン・アスカを陥れようとしているかのように思えてならない」 「あいつの肩を持とうって言うのか!?」 シーブックの声が上がる。そこに含まれた苛立ちは、さらに色濃くなっていた。 「そうではない。この情報の全てを鵜呑みにするのは危険だと言っている」 極端な思考に走りかけるシーブックを、バニングが制止する。 しかし、一旦昂らせた感情は止まらない。 「けど!僕は見たんだ、あいつが躊躇もなく、人を殺したところを!!」 「落ち着け。お前の言い分もわかる、だが……」 その後の言葉を言おうとして――バニングはシーブックに睨まれる。 「あんた達に何がわかるって言うんだッ!!」
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694 :求める強さは誰がために ◇PfOe5YLrtI 代理[sage]:2010/03/23(火) 00:05:26 ID:yyILfiSi -
シーブックの怒声が、その場に響いた。 場が静まり返る。 その沈黙に、シーブックの理性が「ああ、やってしまった」と感じた。 バニングも万丈も、何かを言い返す様子はない。 恐らく、シーブックの心情を察したが故のことだろう。 それがわかるからこそ、余計にばつが悪くなり。 「シーブック……」 「……ッ!」 落ち着かせるようなドモンの声が、今の自分にはひどく辛くて。 気付けば、シーブックはその場から駆け出していた。 「おい、シーブック!?……すまない、すぐに戻ってくる!」 それを追って、ドモンも走っていった。 そして、後にはバニングと万丈だけが残される。 「……嫌われたもんだな」 飛び出していく二人を見ながら、バニングは溜息をつく。 出会った時から薄々感じていたが、シーブックはどうもバニングにあまりいい印象を抱いていないようだった。 理由は、バニングが連邦軍の軍人であることに起因していた。ただし、その悪印象はシャドウミラーである可能性を 疑っているからではなく、肩書きそのものに不信感のようなものを感じているようだった。 どうやらシーブックの時代、連邦軍はさらなる腐敗の一途を辿っているらしい。 一年戦争以後、連邦の腐敗が目に見えて酷くなっていたのは確かだ。しかしそれが改善されることもなく、 未来の世界ではさらに悪化しているとなれば、バニングとしてはやりきれない気分だった。 「……ご感想は?」 「気を詰めすぎているな。無理もないが」 万丈の質問に返答する。 自分達と違って、彼は民間人だ。ほんの少し前まで、戦いとは無縁の一介の高校生でしかなかった。 そんな彼に、今の状況に適応して冷静でいることなど本来無茶もいいところだ。 「とはいえ、あの程度で済んでいるのだから大したもんですよ」 「ああ。本人の肝が据わっているのもあるだろうが…… 多分、彼をいい方向に導いた大人と出会うことができたようだな」 「それが、ジャミル・ニートですか」 「あのドモン・カッシュもだ」 彼が逃げ出した理由は、直前の表情からも想像はつく。 やらかしてしまったことが恥ずかしくなったのだろう。素直にすぐ謝れないのは、若さ故か。 だが、自覚があるなら話は早い。道を大きく誤らせさえしなければ、さほど問題はないだろう。 「まあ……彼については、長い目で見守ってやればいい。 むしろ……心配なのは、ドモン・カッシュのほうかもしれん」 「彼が?」 バニングはシーブック以上に、彼を導くドモンにこそ、どこか危うさを感じていた。 「気負いすぎているように思う。 シーブックの手前、自分がやらねばという意識に駆り立てられているというか、な。 あの気負いが、致命的なミスへと導くことにならなければいいが」
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695 :求める強さは誰がために ◇PfOe5YLrtI 代理[sage]:2010/03/23(火) 00:07:32 ID:yyILfiSi - そう言って、晴れ渡った空を見上げる。
考えすぎかもしれない。事実、ドモンはシーブックをよく導いているではないか。 ただ単に、神経質になりすぎているだけだろうか? 若い連中の細かい粗が気になって、取り沙汰しているだけなのかもしれない。 そうだとしたら嫌な歳の取り方をしたものだと、自嘲的に苦笑し…… 彼ら同様に青臭さの抜けきらない、二人の教え子のことを思い出す。 コウ・ウラキに、チャック・キース。まだまだ手のかかるヒヨッ子どもだ。 だが試作2号機奪還の任務の中で、彼らは一歩ずつ確実に成長している。実力的にも、そして人間的にも。 特にウラキには、並々ならぬ資質を感じていた。 機体性能を引き出すことにかけてはアムロ・レイ以上かもしれない……パープルトン女史も評していたか。 それは……様々な機体の集うこのバトルロワイアルでは、恐らく大きな強みとなるだろう。 (ウラキ……今お前はどこにいる?) 自分同様、この殺し合いに参加させられた部下を気にかける。 まだまだ未熟だが、その適応力の高さがあれば、どんな機体であろうとやっていけると思いたい。 そう、こんなところで死んでいい男ではない。あいつはいずれ自分も追い越していくだろう。 さらにはあのアナベル・ガトーにも比肩するほどになる……そんな確信めいたものがあった。 だが、まだまだ精神面では青い。その甘さが、誰かに付け入られる隙を作るかもしれない。 この殺し合いの中で小賢しい姦計に利用され、陥れられてないかだけが心配だ。 (無事でいろよ……ウラキ) ◆◇◆◇◆ 自分の無力さから来る不安は、ジャミルの亡骸の写真を目にした時を境に苛立ちへと変化していた。 込みあがってくる怒りは、殺したと思われるシン・アスカに向けられる。 その怒りはジャミルを殺されたことも勿論だが、一方でただ単に自分の中に蓄積したストレスを 八つ当たり同然にぶつけていたという感情が含まれていたことは、否定できない。 だから、バニング達にそれを正論で阻まれた時、その矛先を彼らに向けてしまった。 彼らの言葉に、ドモンも同意を示したこともまたショックで。 結果、行き場を失った怒りを見境なしに当り散らすという醜態を演じてしまった。 そこまで頭ではわかっていたくせに、感情を抑えきれない自分の脆弱な理性が、尚更腹立たしかった。
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696 :求める強さは誰がために ◇PfOe5YLrtI 代理[sage]:2010/03/23(火) 00:08:48 ID:yyILfiSi -
「シーブック……」 ドモンが後ろから声をかけてくる。 「……わかってますよ。今の僕なんかよりも、あの人達のほうがずっと冷静だってこと」 なんとも情けなく悔しい話だが、自分が怒りや憎しみで視野が狭くなっていることはわかる。 今の自分に比べれば、彼らの客観的な状況判断のほうがずっと適切と言えよう。 そして目の前の事態への対処で手一杯だった自分と違い、直接しのぎを削り意志をぶつけ合ったドモンも、 シンのことは自分などより遥かによく見えていたことだろう。 「すみません。しばらく一人にさせて貰えますか」 自分が気を遣われていることが、かえって辛かった。 「……そうか。わかった」 そう言って、ドモンはシーブックに背を向ける。 「俺はテッサ達を迎えに行く。一向に来る気配がない……何かあったのかもしれん」 そういえば――自分のことでいっぱいで、すっかり頭から抜け落ちていた。 合図を上げてもうかなりの時間になるのに、ジャイアントロボはいつまで経ってもやって来ない。 「そ、それじゃ、僕も……」 「いや、お前はここにいろ。今は、気持ちの整理することが必要だ。 だが、決して見失うな。ジャミルに託されたものと、お前が戦う理由を」 それだけ言い残して、ドモンはその場から去っていった。 そして、シーブックはその場に一人残される。 僕はどうすればいい? ジャミルさんの仇を討つために、シンに復讐を挑むのか? そんなことをして、あの人は喜ばないだろう。 ドモンさんも言っていた、護るための強さを持てと。 僕の戦うべき敵は何だ? 本当に戦うべき敵……それは、この殺し合いを主催するシャドウミラーのはずだ。 それはわかっているはずなのに、目の前に事態に簡単に翻弄されて、ドツボに嵌っていく。 理屈では判っていても、感情が暴走する。何をやっているんだ? 僕は、どこへ行こうとしているんだ? その時だった。 誰かが自分を呼ぶ声が、聞こえた。 そんな気がした。
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697 :求める強さは誰がために ◇PfOe5YLrtI 代理[sage]:2010/03/23(火) 00:09:55 ID:yyILfiSi -
「――ッ!?」 声に導かれるかのように、北の方角に目を向ける。 何が見えるわけでもない。ただ、この方角から何かを感じただけ。 知らない声だ。 そのはずなのに、何故かシーブックは、その声を知っているような錯覚に襲われた。 ――あなたなら、きっと感じ取れると思うから…… イルイの言葉が、脳裏に蘇る。 耳をすませて――そして。 名前が、口から漏れた。 「トビア――――?」 ◇ ◇ 赤い巨人の脚を切り裂いた時、僕は取り返しの付かないミスを犯したことを察した。 そう、自分の直感が告げてきた。 あの脚の中から感じたものは、悪魔だった。 これと同じものを、前にも感じたことがある。 そうだ。 クラックス・ドゥガチとの、最後の戦いの時だ。 ディビニダドがその機体に、同じ悪魔を仕込んでいた。 その悪魔を呼び起こした僕は、死ぬ運命から逃げられなくなったことを悟る。
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698 :求める強さは誰がために ◇PfOe5YLrtI 代理[sage]:2010/03/23(火) 00:11:21 ID:yyILfiSi -
多分それは、一瞬にさえも満たないごく短い時間での出来事だったのだろう。 でもそれが自分の命の最後の時間だと考えると、思いのほか長いように思えた。 まるでこの世の全てがスローモーションになったかのような……いや、違うな。 この一瞬だけ、刻が止まった。 そして、見えた。 自分が今まで関わってきた、全ての人達の顔が、次々と浮かんでは消えていく。 その流れはまさしく走馬灯の輝き。 浮かび上がる皆の顔に、感想を抱く余裕すら与えず。 でも。だけど。 キンケドゥさん。 ベラ艦長。 彼らの顔が浮かんだ時は、さすがに何も感じずにはいられなかった。 ましてや……一人は自分同様、この殺し合いに巻き込まれてもいる。 キンケドゥさん。どうか、死なないで。 あなたを待っている女性のためにも。 そして。 最後に浮かんだのは、一人の少女の顔。 ベルナデッド、ごめん―― ◇ ◇ 「誰だよ……トビア、って……」 自問自答する。 トビア・アロナクス。参加者名簿の中に記されてあった、一つの名前。 自分の口にしたその名を、シーブックは知らない。 知るはずがない。それは本来、彼が10年先の未来で出会うはずの人間の名なのだから。
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699 :求める強さは誰がために ◇PfOe5YLrtI 代理[sage]:2010/03/23(火) 00:12:44 ID:yyILfiSi - だが何故だか、理解できた。
イルイの言っていた、自分を探していたという人が、彼だということに。 そして、後から襲ってくる、言いようのない気持ちの悪さ。 命が、消えた。 つまり彼が死んだんだと……なんとなく、そう理解できた。 (何なんだよ……この嫌な気持ちは……くそっ!) 悔しさやら悲しさやら、いろんなものがこみ上げてくる。ジャミルの時と同じだった。 その気持ちの正体すらもわからぬまま。 もしも、それが何であるか判った時……その時は自分の答えも出せるのだろうか? 僕は……強くなれるのだろうか? シーブックはただ立ち尽くし、声のした方角を眺め続けていた。 イルイとの接触が、トビア・アロナクスの死が。 シーブックの開花しつつあるニュータイプとしての素質に、何らかのきっかけを与えた。 それが、この戦いの中で彼に何をもたらすことになるのかは、まだ誰にもわからない。 ◆◇◆◇◆ 「イルイ……!とにかく、街で休ませなきゃ!」 全身を汗だくにして気を失ったイルイを担ぎ、ダイヤは街へと歩き出す。 イルイは衰弱しきっていた。ワープ能力を使用した反動だろう。 ――ダイヤを護るために、倒れた。 一刻も早く、ドモンとシーブックのもとまで急がなければ。 「ドモンさんたちがまだいればいいけど……」 そう口にして、自分が酷く弱気になっていることを自覚する。 もし、いなかったらどうする? 足手まといの自分達を置いて、戦場へと向かってしまっていたら? (くそっ……何を考えてるんだ、俺は!) 自分の思考が弱気に傾いて、あらぬ方向に転がりかけるのを慌てて繋ぎとめる。 彼らしくもない思考だ。いや、それだけの絶望が彼に押し寄せていただけの話である。
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700 :求める強さは誰がために ◇PfOe5YLrtI 代理[sage]:2010/03/23(火) 00:14:46 ID:yyILfiSi -
「テッサさん……無事でいてくれよ」 振り返り、死地に飛び込んでいった人のことを想う。 いや……わかっている。 シュランという男に向かっていく時のあの人は、死を覚悟していた。 ――ダイヤ達を逃がすために、命を捨てる覚悟を決めた。 「畜生……」 再び街へと向けて、走り出す。 「畜生……ッ」 悔しさに口から漏れる言葉は、震えていた。 頬を、何かが流れていく。 また、何もできなかった。 剣児さんも、五飛さんも、テッサさんも。 みんな自分を守って、いなくなってしまう。 そして、イルイまでもが自分のために、倒れた。 ――焦ることはない、ダイヤ。その心を失わない限り、いずれお前は強くなれる。 いずれじゃ、駄目なんだ。 必要なのは、今なんだ。 今じゃなきゃ駄目なんだよ、ドモンさん――!
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701 :求める強さは誰がために ◇PfOe5YLrtI 代理[sage]:2010/03/23(火) 00:16:52 ID:yyILfiSi -
◆◇◆◇◆ 全ては、自分のせいだ。 私が倒れたことで、ドミノが崩れるかのように全て狂ってしまった。 もし自分が倒れなければ……シュランという殺人鬼に捕まることもなかったかもしれない。 ダイヤに背負われたイルイは、ほんの僅かに残る意識の中で自らを責めていた。 身体に力が入らない。指一本すら動かす力も残っていない。 これが、自分の力……サイコドライバーの能力を使った代償だ。 イルイの持つ力もまた、このバトルロワイアルの中では大幅に制限されていた。 首輪の効力か、それとも別の力による干渉が行われているのか。 彼女の超能力は効力が極端に弱まったのみならず、使用の際に多大な負担がかかるようになってしまっていた。 それこそ、少女の幼い身体では到底耐え切れない……命すら削らせるほどの、凄まじい負担を。 しかもそれを、この短時間のうちに『二度も』使用してしまった。 一度目は、B-4の平原に7人が集まっていた時のことだ。 7人揃っての情報交換は、結構な長丁場となった。当然、その間彼女達はこのB-4に留まり続けることになる。 長時間その場に滞在したことで――彼女は、その地にあった何かに触れた。 それはB-4の地にほんの僅かに残っていた、誰かの思念。 その思念が……7人の中にいた、ある一人の人物を捜し求めていたことを感じ取る。 ある人物――それは、シーブック・アノー。 残留思念の正体――それは、トビア・アロナクス。 イルイ本人すらも知りえない話だが、トビアのスタート地点は奇しくもあのB-4平原だったのだ。 そこから彼はまず街へと向かい、トレーズ・クシュリナーダと出会うことになるが……それは別の話。 守られているだけの彼女は、何か役に立ちたいと思った。 そこでイルイは自分の能力を使い、その思念の正体を探る。 そしてシーブックが出発する直前に、イルイは彼を探す者の存在を伝えた。 その情報はイルイ自身にも不明瞭極まりない、あまりにも曖昧なものだ。 だがそれでも、伝えなければいけないと思った。 伝え終わり、彼の乗るデスティニーが飛び立ったのを見届けて、イルイは倒れた。 残留思念を感じ取ることに力を使ったイルイは、極度に消耗してしまっていた。 これが、彼女の倒れた真の理由。 そして、彼女達を襲った悲劇の始まりでもあった。 そして、二度目は言うまでもなく、レーベンから逃げるためのワープだ。 二度に渡る超能力の使用で、既にイルイの体力は限界に達していた。 これ以上力を使い続ければ、命に関わる。最悪の場合、死に至る可能性すらある。 使用したイルイ自身、それを痛感していた。
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704 :求める強さは誰がために ◇PfOe5YLrtI 代理[sage]:2010/03/23(火) 01:05:01 ID:yyILfiSi - これで終了ですね
代理投下乙です いやあ、これは濃い内容でした!! 今までのロワで起きた事件や生まれた関係を上手く捌いてると思います 導こうとするドモンやこれからどうなる若者達やいぶし銀コンビがもうw GJです!
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