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◆UcWYLVG7BA
やがて来たる日々 未来を両手に掴め ◆UcWYLVG7BA
第三次スパロボキャラバトルロワイアル5

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第三次スパロボキャラバトルロワイアル5
101 : ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/18(木) 21:35:55 ID:v0WAzHr1
少し、荒れ気味ですが、期限が迫ってきているので予約した分を投下します
第三次スパロボキャラバトルロワイアル5
102 :やがて来たる日々 未来を両手に掴め ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/18(木) 21:37:25 ID:v0WAzHr1
目の前に映る作り物の世界。
それは現実の世界に限りなく近く作られた箱庭の世界。
真壁一騎はその中でただ我武者羅に戦っていた。

岩陰から現れるナイフを持った一機の機影。
その機体に向かい迷わず一騎は突撃をかける。
バーニアやスラスターによって爆発的な推進力を生み出し数瞬で加速していく。
それに敵機は対応出来る事が出来ず、見る見る内に距離が縮まっていき。

「今だっ……!」

敵が有効射程に入るのを確認してリボルビング・ステークを打ち込もうとする。
打ち出された杭はそのまま敵機のコクピットに向かっていこうとし……

「……っ」

だが、一騎の咄嗟の行動によりそれは何も無い空間に方向を変えそこに打ち込まれてしまった。
敵機がその一騎の大きな隙を逃す訳が無い。
そのまま、敵機が左手に持つナイフによって一騎のコクピットを突き刺し、それで終わり。


「ぐっ……くそ……!」

その途端一騎が見ていた作り物の世界は真っ赤に染まり、一騎の敗北を告げた。
一騎はその画面を茫然と見ながら、呆れるように大きく溜息を吐く。
少しでも強くなろうとシュミレーターで特訓しようと思ったがこれだ。
動きはもう慣れてきたものの、精神的な要因が一騎を迷わせてしまう。
それは先程、意図的にステークを外した事と直結していて。

「人を………………殺す………………か」

一騎が真っ赤に染まった画面を見ながら重く呟く言葉。
それは戦えばどうしても起きてしまう必然。
だけど、一騎にとってそれは未知の経験だった。

「俺は………………」

虚空を見つめ思い出す。
少し前の事、イネスに言われた言葉を。







◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇








第三次スパロボキャラバトルロワイアル5
104 :やがて来たる日々 未来を両手に掴め ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/18(木) 21:38:54 ID:v0WAzHr1
太陽の光が殆ど通らない、漆黒の海の中で巨艦が辺りを照らしながらゆっくりと進行していた。
暗い海をただつき進む巨艦、クロガネに乗っているのは戦艦というものに似合わずたった三人しかいない。
その三人、真壁一騎、遠見真矢、イネス・フレサンジュは操舵室から、灯りで照らされていた海をじっと見ていた。

「ギリアムさんは大丈夫でしょうか……」
「さあ……でも無事を祈るしかないわね」

一騎が先の見えない海を見ながら不安そうに呟く。
イネスはそんな一騎を横目で見ながらも、特に感情も籠めずそう答えた
先程の襲撃に対応し、出撃したギリアムをどうやら一騎は心配しているらしい。

イネスが見た所、ギリアムが相当の手馴れである事は何となく理解できていた。
しかし、ここは戦場と変わりなく、何時どんな時に何が起こるかは解らないのだ。
襲ってきたウォーダンと名乗った男がどれだけの力も持つかもわからない。
だから、ギリアムが不意に命を落とす……そんな可能性は否定できる訳でもない。
一騎は子供ながらもそんな戦場の危うさを理解しているのだろう。
それだから何処か不安でたまらないのだろう。
イネスはそんな一騎の心境を理解する事ができた。

だからといって一騎に何か気のきいた言葉を言うなんて事をイネスは思いつかなかった。
あくまで、彼は便宜上の仲間である事はかわらないのだから。
彼を励ます役目は一騎の後ろで一歩退いて彼を見ている真矢の役目だろう。
そんな事を思いながら、イネスはふと一騎に疑問を投げかけてみる。

「ねえ、一騎君?」
「はい?」
「貴方、人を殺した事ある?」
「……っ!? な、何でそんな事を?」

一騎の表情が驚愕に染まっていくのがイネスからも見て取れる。
それよりも、その後ろでイネスをじっと睨んでいる真矢が印象的ではあったが。
だが、気にする事も無くイネスは言葉を続ける。

「どうなの?」
「…………いや、無いです」
「そう」

何処か警戒しながらも一騎は無いと答えた。
この殺し合いの場所ではやや不謹慎だったかとは思いつつも、イネスはそれも気に留める事は無かった。
どちらにせよ、この質問は殺し合いの場において重要なモノになるのだから。
イネスの中で一騎は殺した事は無いだろうというのを何となく理解はしていた。

「……その質問にどんな意味が?」

真矢が睨みながらイネスに聞く。
イネスはまたしてもその視線を受け流しながら静かに答える。

「一騎君、貴方の戦っているもの……フェストムと言ったわよね?」
「……はい」
「それは人間じゃないわよね?」
「ええ……何かはわかんない……けど」

少し言いよどみながらもきっちりと戦ってきたモノを答える一騎。
確認した通り、彼が戦っていたモノは人間では無い。
最もイネスもフェストムというモノがさっぱり理解できなかったが。
兎も角彼が戦ったものが人間で無い事、それ故に次の質問が大きな意味を持つのだ。

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109 :やがて来たる日々 未来を両手に掴め ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/18(木) 21:41:12 ID:v0WAzHr1
「ねえ、一騎君、貴方は護る為に戦うと言ったわよね」
「……はい」
「だけど、この戦場に居るのはフェストムじゃない。人間よ」
「……っ!?」

一騎の表情が強張り、緊張が増していくのが感じられる。
ようやく気付いたのだろうか、戦うという意味に、その言葉の重さを。
イネスは今も戦っているだろう男が居る海を振り返ってみながら言葉を発する。

「今、この場で戦えるのは貴方と真矢ちゃんしかいないわ」
「……」
「貴方はもし襲撃してきた者が居たとするなら、戦える? その結果、相手が死ぬ事になっても」
「……そ、それは」
「いえ、戦わなければならない。そうでなければ護れず死ぬだけだから」
「………………」

一騎は沈黙し、下を向く。
我ながら凄く意地悪いの事を言ったとイネスは思う。
お陰で真矢に凄い形相で睨まれている。
でも、これはとても大切な事だ。
一騎がこれから戦う上で、どうしても向き合わなければいけない命題。

これに、何時までも迷っていたら戦えないまま死ぬだけだ。
だから、一騎が一騎自身でその命題に決着をつけなければならない。

「俺は………………」

呻るように呟く一騎。
いまだ、迷っているのだろう。
当たり前だ、その質問に直ぐ答えが出せる訳がないのだから。

「すいません……ちょっと出て行きます……一人で考えさせてください」
「ええ、解ったわ」

迷いながら、そう一騎は言って操舵室から退室していった。
そんな背中を見ながら、イネスはふぅと溜息を吐く。
今しばらく時間がかかるだろう。
だから、今は一人にさせた方がいい。
そんな事を思いながら、部屋に残るもう一人、真矢の事を見る。

「……どうしてあんな事を?」
「別に。いずれ、必要になる事でしょう」

真矢は凄い剣幕でイネスを見ている。
そんなに一騎に質問した事が癪に障ったのだろうか。
まあ、そんな質問をすれば一騎が揺れるのは決まっている。
真矢はそれを理解していたからこそ、イネスを睨んだのだろう。
そういえば、この子は戦闘の時、何の躊躇いも無く撃っていたという事をイネスはふと思い出す。
真矢だって同じくフェストムしか戦っていなかったはずだ。
なのに、真矢は躊躇いも無く戦えていた。
それに少し疑問に思いながらイネスは聞く。

「貴方は案外直ぐ適応していたわね」
「……それは……でも護りたかったから」
「そう、仲間をね」
「はい」

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113 :やがて来たる日々 未来を両手に掴め ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/18(木) 21:42:05 ID:v0WAzHr1

「…………貴方も少し休んだら?」
「……はい?」
「シャワーでも浴びてきたらどう? 基地まで辿り着くまでまだもう少しあるわ」
「……」
「まあ、何かあったらすぐ伝えるわ。どう?」
「……解りました」

休憩をする事を提案した。
何となくだが彼女も疲れているだろうと思ったから。
彼女だって自分の世界とは違う一騎が連れてこられて今、目の前に居る。
その事戸惑いを持っているのは確かなのだ。
彼女も一人で休んで考えた方がいいだろう。
そんなイネスの心を真矢も察したのか、素直に提案を受けたのだ。
真矢はイネスを一瞥し、ゆっくりと部屋を出て行ってた。

残されたのはイネス、ただ一人。

「…………やっぱり、私は甘いわね」

ふと、先程思っていた事を口に出してしまう。
何だか調子が狂ってしまう。
一騎や真矢に問いかけ、ましてや気を使ってしまうなど思ってもいなかった。

(でも……まあ……いいか)

それも、また、いいかと思い、クロガネのオート操縦を鈍行に変更する。
少し、到着が遅れるがそれもまたいいだろう。
まだ、時間はある。
できるなら、少年少女にほんの少しでも時間与えたかった。

「ふぅ…………」

イネスは大きな溜息を吐き、そして海をただ、見続ける。


願わくば


少年少女が自分が納得できる答えを得られるように。


そして自身が望んだ未来を掴み取る事ができるように。



そんな事を、ただ漠然に思いながら。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







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116 :やがて来たる日々 未来を両手に掴め ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/18(木) 21:43:26 ID:v0WAzHr1


(私は……)

真矢はゆっくりと歩きながらシャワー室を向かっていた。
漠然に取りとめも無く何かを考えながら。
自分の事、戦いの事、仲間の事、初めて知った事、そして再会した一騎の事。
どれも、答えなど出る事が無く、あくまで考え思うだけ。
何か、思考がごちゃごちゃしていた。
自分でも、この状況は参っているのだろうかと少し思いながらも、目的地に着いたことを確認する。

簡素にシャワールームと書かれた扉を潜ると、簡易ながらも清潔そうなシャワーが存在していた。
イネスに言われるまま、着てみたがあながち悪い案ではないなと真矢は思う。
最初は何か裏があると思っていた。多少は信頼したとは言えど、あくまで仮初の仲間であるから。
でも、イネスの様子から何か思惑があるとは思えず、気遣って言ったことだと何となくだが理解できたのだ。
食えない人だなとは思いつつも、今はその提案通りにシャワーを浴びる事にする。
兎も角、シャワーを浴びるという事は真矢にとっても魅力的だった。
グダグダしている思考を熱いお湯で洗い流してくれるから。
そして、また新たに思いなおせるから。

真矢はそんな事を思いながら着ていた服を脱ぎ始める。
纏っているピンクの色をしたアルヴイスの制服を手早く脱ぎ、それを脱衣ボックスの中に入れた。
ふと目の前にあった鏡を見て、一瞬顔を歪めるもそそくさと飾り気の無い白いブラのホックをとり、それも箱に入れる。
そのまま同じく白の下着を手早く脱いで、箱にいれシャワーがある場所まで駆けていく。
監視カメラなどある訳が無く見られているなんて事は無いのだろうが、何処か気恥ずかしかった。

真矢は少し顔を朱に染めながら、シャワーのある所までいき、そのままシャワーカーテンを一気に閉めた。
ふうと溜息つき、目の前の鏡を見て、そのまま首元を触ってみる。
そこには無骨の首輪がぴっちりと絞められていて、改めてそれを確認する何処か息苦しい。
鏡には一糸纏わぬ姿に似合う訳が無い首輪をしめた自分の姿。
その姿は何処か人間に見えず、飼われてる獣の様で、真矢は不快に感じ顔を顰めた。

真矢は不快な気持ちを切り替える為にも、素早くシャワーの蛇口を捻る。
瞬く間にシャワーヘッドからお湯が流れ、真矢の茶色がかった髪の毛を濡らしていく。
熱過ぎもぬるすぎもしないほどよい温度のお湯が真矢にとって心地よかった。

「ふぅ…………」

思わず、溜息が出てしまう。
こんな人間らしい時間は久し振りだなと思って、不意に笑ってしまう。
温かい雫が未成熟な胸を伝った時、ふと思う事があった。

(一騎君……)

それはやはり、真壁一騎の事。
まさか、こんなに早く会えるとは思ってもいなかった。
会えた事は嬉しい。嬉しいはずなのに何処か心に闇を落としてしまう。
それは一騎が『自分を知る一騎』では無い事で。
真矢にとって過去のから着た事だった。
蘇るのはイネスとギリアムの言葉。
盲目的な男の御伽話と浦島太郎の話。
その話は真矢にとっても印象的で心に残っている。

(ここにいる一騎君は『一騎君』じゃない)

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119 :やがて来たる日々 未来を両手に掴め ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/18(木) 21:44:52 ID:v0WAzHr1
石鹸をしなやかな肢体につけながらその言葉を心の中で呟く。
そう、ここにいる一騎は自分の世界とは違う所から着ている一騎だ。
もし、自分が元の世界に帰ればまた一騎が居るかもしれない。

例えここの一騎が死んでしまっても。


(でも……けど)

でも。
あの時自分に過去を聞いた一騎は間違いなく一騎だった。
殺す事を問われ、凄く切ない顔をした一騎は間違いなく自分の知る一騎だった。
自分を否定しそうになる一騎は自分が知る一騎と何も変わりはしない。
そしてあの不器用そうな一騎の笑顔は間違いなく自分が好きな一騎の笑顔だった。

だから

「一騎君は一騎君だ」

真壁一騎は結局の所真壁一騎でしかないのだ。
そんな事を考え、真矢は思う。
護ろう、此処に居る真壁一騎を。
イネスとギリアムが語った事、それについてはまだよく解らない。
きっと色々後悔するかもしれない。
でも、それでも、一騎を護りたい。
その気持ちに偽りなど無いのだから。
だから迷いながらも、それだけは思ってよう。

そんな事を考えながら真矢は身体についた石鹸の泡をシャワーで流していく。
お湯は鎖骨に当たり、まだ起伏が少ない胸を通って、お腹の周りを流れ、泡と共に地面に落ちた。
身体と一緒に何処か、さっぱりとした気分になれた、そんな気がした。


(でも……)

お湯を止め、もう一つ思う事がある。
それは大切な親友の事。
死んでしまった、死んだはずの友達――――羽佐間翔子。
恐らくきっと彼女も真矢にとっての『過去』から連れてこられたのだろう。
あの優しそうな笑みは今でも思い出す事ができる。
けど

(もし……会ったら)

もし会えたなら自分は彼女に対してどう反応していいのだろう。
『死んでしまった』彼女に対して。
生きている一騎とは違うのだ。
真矢にとってその『死』は忘れられないものだ。
今も真矢の心に傷や楔を残している。
どうすればいいか……わからない、わからなかった。

今でも思い出せる翔子との思い出。
でもそれはあくまで『思い出』なのだから。
翔子が死んで真矢は変わった、いや真矢だけじゃない皆が。
戦って、色んな人を失って。


あの頃には……戻れなかった。


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122 :やがて来たる日々 未来を両手に掴め ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/18(木) 21:45:43 ID:v0WAzHr1
無邪気に笑っているだけでよかった子供には。


もう、戻れない。


「翔子……」

大切な大切な親友の名前を呼ぶ。
もし会えたなら、どう反応するのか、すればいいのか全く解らなかった。

ふと、自分のてのひらを眺める。
思い出すのはイネスの先程の言葉。
自分はすんなり人間に向かって銃を撃っていた。
護りたかったから。その気持ちに偽りは無い。
でも、余りにも普通に人に対して撃てていた事に戸惑ってしまう。
もし、次に人に対して銃口を向けたら自分はどうなるのだろうか。
よく解らなかった、でも一つだけ解った事がある。

変わっていく。

自分も。

一騎も。

全てが変わっていく。

自分も変わってしまった。

この先……どう変わっていくのだろうか。


そんな事を考えて、その先など考えたくもなくて。


真矢はすっかり冷め切った肢体にもう一度温かいお湯をかけ始めたのだった。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇








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123 :やがて来たる日々 未来を両手に掴め ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/18(木) 21:46:37 ID:v0WAzHr1
「はぁ……」

一つ、溜息をつきながら一騎は長椅子に座っていた。
結局訓練にもならないのを一騎は自覚したら、休憩がてら飲み物を飲む事を決めた。
無料で飲める自販機の中から、竜宮島には見る事ができなかった種類の炭酸飲料の一つを選ぶ。
コップに注がれたのを確認し、一騎は椅子に座って飲み始める。
喉を通る炭酸が何処か心地よかった。

(護る為には…………でも)

一騎はじっと自分の掌を見つめる。
戦わなければならない。護る為には。
でも、それは同時に誰かの命を奪ってしまう事でもあり。
一騎自身の手で誰かの命を終わらせてしまうという事であった。
殺人者になる自分、その覚悟は出来てるのだろうか。
それすらも一騎は解らなかった。

(俺に…………誰かの命を奪う資格なんて……)

それに自分に命を奪う資格なんてあるのだろうかとさえ思ってしまう。
総士の目を傷つけてしまった時、堪らない程苦しんでしまった。
それなのに、こんな自分が誰かの命を奪うなんて事……できるのだろうか。
……答えは出なかった。

「俺は……」

くしゃと自分の髪を触る。
大切な人達を護る為には誰かを殺さなければならないという矛盾。
たとえ、それが自分と同じような年齢の子だったとしても。
襲われたらきっと殺さなければならない。
一騎はその事が、どうしようもなく堪らなく感じてしまった。

「解んないな……」

よく、解らなかった。
もし、敵と戦う時、自分は敵を打ち倒す事が出来るのだろうか。
それすらもよく解らずおもわず溜息をついてしまう。


「あれ……一騎君?」
「遠見?」

その時だった、真矢が声をかけてきたのは。
一騎が顔を上げると何処かさっぱりした様子の真矢が傍に居たのだ。
真矢は自販機から飲み物を取ると、一騎が座っている長椅子の端にちょこんと座った。
一騎の隣に座る事は……できなかった。

「…………迷ってるの?」
「え…………あ……うん」

少し互いに無言ではあったが切り出したのは真矢だった。
一騎の様子から可笑しい事は直ぐに理解できたから。
恐らくは先程のイネスの言葉の事だろう。
一騎だからこそ迷ってるんだろうなと真矢はそんな事を思いながら。

「…………俺は皆を護りたい」

一騎を優しく見つめる真矢の瞳に、一騎はポツリポツリと思いを言っていく。
一騎は皆を護りたい。
それだけは変わらない。
第三次スパロボキャラバトルロワイアル5
125 :やがて来たる日々 未来を両手に掴め ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/18(木) 21:47:21 ID:v0WAzHr1

「でも、それが結果的に誰かの命を奪う事になるって事が……なんか苦しくて」

だけど、護る為に誰かを殺してしまう。
それが何処か苦しく感じてしまう。

「……何か可笑しいよな」

そんな矛盾に一騎は哀しく笑う。
命を奪う覚悟、資格すらもないと言いたげそうに。
一騎は哀しそうに笑った。

「可笑しくなんかないよ、きっと」

でも真矢は真面目に一騎に言葉を返す。
その瞳は一騎を射抜いてて。

「人の命をしっかり考えて、一生懸命迷ってるもん。それはきっと可笑しくないよ」
「……そうかな?」
「そうだよ………………私より凄いよ」

最後の真矢の呟きは一騎には聞き取れなかった。
でも、真矢は一騎の迷いを肯定してくれている。
誰かが一騎の背を押してくれていた。
それが何となく嬉しかった。

この迷いが、思いがもしかしたら一騎を止めるかも知れない。

でも

それでも。


「そうだな……うん」


この迷いが、思いが一騎を強くしようとしてくれている。

だから、今は迷っていよう。

そして、命の重みを考えていよう。


そう、思う事ができたから。


「俺はまだ解らないけど……でも、護ろう……そして戦おう」


まだ答えは出ない。

けど、戦おう。

誰かを護る為に。
誰かの命を護る為に。


迷いながらも、進んでいこう。


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126 :やがて来たる日々 未来を両手に掴め ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/18(木) 21:48:12 ID:v0WAzHr1
「うん……」


そんな一騎を見て、真矢は優しそうに笑った。


「未来を……掴むんだ」


やがて来る未来を。


両手で掴む為に。



【イネス・フレサンジュ 搭乗機体:クロガネ(スーパーロボット大戦OGシリーズ)
 パイロット状況:良好
 機体状況:良好 格納庫にヴァイスの左腕あり
 現在位置:F-7
 第1行動方針:甘いわね、私も……
 第2行動方針:一応、真矢への対抗策を用意
 第3行動方針:ルリと合流、ガイもついでに
 最終行動方針:願いを叶える「力」の奪取。手段は要検討。
 備考1:地中に潜れるのは最大一時間まで。それ以上は地上で一時間の間を開けなければ首輪が爆発
 備考2:クロガネは改造され一人でも操艦可能】


【真壁一騎 搭乗機体:搭乗機体:アルトアイゼン・リーゼ(スーパーロボット大戦OGシリーズ))
 パイロット状況:良好
 機体状況:良好 クロガネの格納庫に収容 反応速度上昇
 現在位置:F-7
 第1行動方針:仲間を守る。
 第2行動方針:G-7施設でギリアムと合流
 第3行動方針:人を殺す事に対して……?
 最終行動方針:バトルロワイアルからの脱出】


【遠見真矢 搭乗機体:ヴァイスリッター(スーパーロボット大戦OGシリーズ)
 パイロット状況:身体的には良好
 機体状況:左腕欠落、ミサイル半分ほど消費、EN消費(小) 精神的な同調ができないと不快感を覚える模様。
      もしかしたら何かのきっかけでラインヴァイスリッターになるかも……? 反応速度上昇
 現在位置:F-7
 第1行動方針:一騎を守る
 第2行動方針:総士、翔子、甲洋、カノンと合流し、守る
 第3行動方針:仲間を傷つける可能性のある者(他の参加者全て)を率先して排除する
 第4行動方針:翔子に対して……?
 最終行動方針:仲間を生き残らせる。誰かが欠けた場合は優勝も視野に入れる】



【13:00】
第三次スパロボキャラバトルロワイアル5
128 :やがて来たる日々 未来を両手に掴め ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/18(木) 21:49:09 ID:v0WAzHr1
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