- 第三次スパロボキャラバトルロワイアル4
540 :それも名無しだ[sage]:2010/02/14(日) 12:03:51 ID:WkJwmlZG - ああああああDさーん!
ほんと、どこまでも不幸になる男だ……ミユキを自分の手にかけるとかそれどんな絶望 思考欄???だが、悪い方向に転ばなきゃいいが……これは怖えええ
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542 : ◆a0GtFyP19w [sage]:2010/02/14(日) 20:19:18 ID:WkJwmlZG - ロム、カノン、ティンプ、ウンブラを投下します。その後、避難所の方のも続けて投下します。
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543 : ◆8nmVsszo/6 [sage]:2010/02/14(日) 20:21:14 ID:WkJwmlZG - F−4に存在する、荒涼とした荒野。
乾き熱気を孕んだ風も、十二時を超えて日が陰り始めると同時に引き始めている。 迫るのは、殺し合いに一区切りをつける言葉。最初の定時放送。 そして、それを超えて迫る逢魔が時と、見通せない闇を与える夜。 補給だけでは足りない。備えは、いくらあっても足りることはない。 荒野の高台。 そこに点在する巨大な亀裂。 周囲から姿を隠してくれる場所で、二つの影が何度となくぶつかり合う。 眼で追うこともできず、拳が左肩に突き出される。 相手はその場から動いていないにも関わらず、走って勢いをつけたかの衝撃。 肩から伝播した衝撃が、カノンの肺から空気を追い出し、思考能力を奪う。 「うぐっ……!」 咄嗟に腰を落とし、後ろ足をついて身体が倒れないように支える。 しかし、それでもなお重心が後ろに引き倒されていることに変わりはなく。 上半身を引き戻すまでの、瞬きする間程度の時間。 それすら、許してくれない。生易しいものでありはしない。 相手の追撃が飛ぶ前に、牽制のため苦し紛れに繰り出されるカノンの拳。 「甘いぞ! 魂の籠もらない拳は相手に届くことはないと知れ!」 拳の先に無機質で硬い感触。 相手に受け止められたことだけは理解できた。 そして、カノンがそう理解した次には、カノンの身体が宙に浮き上がる。 投げられた感触もなく、いつ腕をひねられたかも痛みがなく不明。 それでもカノンの身体が相手の頭上高くまで投げられていた。 一瞬の浮遊感とともに始まる自由落下。 自由の利かない空中でも身体を丸め、受け身の姿勢を取る。 地面に叩きつけられる感触も、殴られたときに比べればはるかに軽い衝撃だった。 人類軍の任務に就いていた頃なら日常茶飯事の痛み。 起き上がるのを相手は待ってくれない。 顔をあげて前を向くより早く、背筋に走る冷たさに従いさらに姿勢を低く。 カノンの頭上を、丸太すら圧し折りそうな回し蹴りが通りすぎる。 風切り音の域を超えた暴風の音を、初めて間近でカノンは聞いた。 「気を抜くのが早い。かわされることを前提とするなら、二撃目を入れること考える。 逆に、相手の攻撃をかわした時こそ気を引き締めろ!」 蹴りの生み出した風が巻き、身体の下に流れ込む。 風はカノンの体の両側を通り、地面にまで流れ、真下でぶつかり合い上昇気流へ変化。 まきあがる砂が目や口に入るだけではすまず、無理やり上半身を起こされた。 「天空宙心拳、風昇連脚……!」 一回転し、鉄槌の如き蹴りが、カノンのテンプル目掛けて続けざまに放たれる。 しかし、それはピタリとカノンの頭に到達する直前に停止。 相手がゆっくりと足を下ろす間にカノンは立ちあがり、姿勢を立て直す。 これは組み手だ。 殺されることはない。 しかし、相手のロムが殺す気であったなら、この短いやり取りでも三回カノンは絶命している。 姿勢が崩れた時、追撃の抜き手で腹を貫かれる自分。 投げられた時、そのまま空へ駆けあがったロムの放つ手刀に真っ二つになる自分。 そして蹴りの時、そのまま頭を粉砕される自分。 ロムから放たれる気配は本物だ。 ロム曰く、闘気と言うらしいそれは、戦いに関して鮮明なイメージをカノンの脳内に投影する。 半身を前に出すロムの独特のかまえは拳を打ち込む面積が極端に少ない。 どうやって攻めるべきか。
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544 : ◆8nmVsszo/6 [sage]:2010/02/14(日) 20:22:06 ID:WkJwmlZG - カノンは“考える”。
“考えて”竜宮島とその人々を守ることを決めた。 ならば次は、どう守ればいいかを“考え”なくてはいけない。 受け身で行動するのではなく、受け身で指示を待って戦うのではなく、たった一人で。 皆城総士も、一騎たちもこの世界のどこかで分断されても戦っている。 自分もそうでなくてはいけない。 カノンが選択したのは、回し蹴り。 正面からの面積は少ないことは、側面の面積は広いことを意味している。 生半可なことでは打ち砕けないロム相手には、威力もいる。脚の筋肉は腕の三倍とも言われる通り、威力も高い。 少し前から一気に勢いをつけて、少女のものとは思えない鋭さで回し蹴りが伸びる。 確かに全体重に勢いを乗せた一撃。 「力だけに頼れば、より大きな力に押しつぶされる……大切なのは、流れだ。 流れにどれだけ力を乗せられるかは心の強さにかかっている!」 その、確かな一撃が防がれる。 ロムは、指三本でカノンの足首を抑えている。 微動だに、しない。 ただ単にロムは抑えているようにしか見えない。 どういう理屈かは知らないが、力を受け流した。 結果、カノンの全力の一撃はロムの指三本に劣るまで威力を削がれ、受け流された。 ロムの身体能力には驚かされ続けているが、それでもまだ驚きに慣れることはない。 十分に勢いづけて打ち出した人一人分の重量を、刹那の見切りで受け止めるのは、もはや人間の技ではない。 驚きは止まらない。 均衡がとれたように微動だにしなかったのは僅か一瞬だけのこと、 直後に、動き出す。カノンの身体が。受け止めてからロムは動いていない。 なのに、胸の中心を強打されたかのように数メートルは吹っ飛ばされる。 「力を受け流すと言うのは、ある程度修練すればこういうこともできる。 ほとんどは地面に流したが、一部なら相手の身体に反射させることも可能だ」 ロムの言葉を聞き、地面に直立する脚を見やる。 地面がくぼみ、ひび割れている。身体に走る痺れを無視し立ち上がるカノン。 ロムはカノンの瞳を一度見詰めたのち、大きく頷くともう一度かまえる。 全重量を用いた攻撃がまったく通用しない。 どうやってこの相手からただ一本でも攻撃を通すか。 迷っている暇は無い。 迷えば、ロムはそれを見透かしたように攻めてくる。 今回は、こちらの動き出しが早かった。 相手に距離を詰められないよう、掴まれないように拳を出す。 通常の戦闘でもよくある行動だ。 おそらく、ロムが本気なら一瞬で全て叩き落とし、こちらを昏倒させるくらい出来るはずだ。 それをしないのは、今のところカノンの戦い方を評価してくれているということか。 ロムが、動いた。 さっきよりも遅い。 カノンの目にもギリギリ映る。 咄嗟に腰を落とし、全体重を利かせ、両腕を顔の横へ。 遮蔽物はない。かわすことはできない。全て力を込めて、ロムの右足を受け止める。 骨が軋む鈍い音が響く。 噛みしめた奥歯が砕けるほどの衝撃。 正確に心身の芯に通る攻撃。 が、
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545 : ◆8nmVsszo/6 [sage]:2010/02/14(日) 20:23:30 ID:WkJwmlZG - 身体が浮き上がることはない。
機体の中で思い切りシェイクされたのと同等の衝撃が全身に走るが、それでも耐え切った。 だが、耐え切ったとしてもたったの一度が限界。 この気を逃せば、ロムの連撃にあっさり倒れ伏すだろう。 耐え切った一瞬で、何かしらの行動を起こさなければならない。 これが、はたしてロムの言う流れを断つことかは分からない。 だが、やらないよりは遥かにいい。 「はああああああ!!」 ロムの、顔の横にある足を土台に滑るように、前に出る。 身体ごと、無様ではあったが突撃。 垂直に立っていた腕を平行へ。 僅かな時間で盾から矛へ。 肘を突き出し、ロムの胸の中心へ。 乾いた音が、場に響いた。 「今のは良かった。だが、俺に一撃を入れるにはまだまだだな」 ロムの片手が、はやりカノンの肘を抑えていた。 差し出した脚を降ろし、ロムは両腕を下ろす。 落胆を感じながらも、距離を取り再び攻め手を考えようとする。 しかし、先程のうまくいくと半ば思うところまでいって失敗したことで身体が重い。 ロムはカノンのコンディションを見透かし、かまえを解き、緊張をほぐすためか小さな笑みを作った。 その言葉で、カノンもその場に座り込んだ。 まだやれると息を吐こうとしたが、身体がそれに追いつかなかった。 その場に身体を投げ出せば、真上にはまだ青空が広がっていた。 暗黒大将軍と戦っていたときよりも、身体が温まる感覚がロムを包む。 技の切れも、ゆっくり確実にカノンとの組み手の最中に確認させてもらったおかげで良くなっている。 やはり人と向き合い、熱意を合わせ、事を成すことは珠玉の行為。 カノンがいなかった時のことを考えれば、この状態は最良と言えた。 身を起こし、自分の手を見つめるカノン。 「動きの基本が出来ている分だけ、飲み込みはいいが……まだ動くことと考えることが分かれているな」 「動くことと……考えること?」 「そうだ。獣のように何も考えず反射で戦うのではなく、かといって考えてから動くのでもない。 考えること、動くことを同時に行うことが大切だ。心持つ存在だけができる戦い方こそ、全ての剣、拳に通じている」 左右を見てからロムはたまたまあった岩壁へ歩いていく。 いや、それは本来岩なのだろう。ただ、あまりにも大きすぎるため壁に見えるだけで。 高さ四十メートルはある大岩を前にして、ロムがトントンとその場でステップを踏む。 そして、振りかぶり拳を岩に叩きつける! 「天空宙心拳奥義、ゴッドハンドスマッシュ――――!!」 叩きつけられた拳から電光が溢れ、空に立ち昇っていく。 内側から自壊するように、岩が崩れ、ロムとカノンの姿を周囲から隠していた岩壁は消えてなくなった。 魔法でも見たかのように目を丸くするカノンを見て、ロムは頬を掻く。 「今のは、俺の力だけではない。天と地、火と水、万物には力が宿っている。 それらが生み出す力も、全てたゆたっている。故に、どんなものにも弱い一点は存在するんだ。 万物の流れを掴み、己の力として一撃に乗せ、その上で相手の流れの止まっている急所を突く。 これが―――ゴッドハンドスマッシュだ」 カノンはまだロムの言葉を飲み込めていないのか難しい顔を作っていた。 ロムは何も言わず、カノンに考える時間を与える。
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547 : ◆8nmVsszo/6 [sage]:2010/02/14(日) 20:24:43 ID:WkJwmlZG - ただ激流に身を任せるのではなく、
考え激流を乗ることを知り、初めて力を借りることが出来るのだから。 「私でも……」 それは、迷っているように見えた。 それは、躊躇しているように見えた。 けれど。 「私でも……できるようになるのか?」 ロムの答えは一つしかない。 「もちろんだとも。慈愛の心が生み出す力を、人の持つ可能性を信じられる限り」 天空宙心拳は一子相伝の拳法ではない。 少しでも多くの人を救うため、勇気ある人々に授けられてきた。 無論、それが時としてバグのような悪しき使い手を生んだ悲しい歴史もある。 それでも正義の道は潰えることなく受け継がれていく。 (そうだ……俺の代で天空宙心拳を、正義の系譜を、閉ざすわけにはいかない) まだレイナとドリルは天空宙心拳の使い手として未熟だ。 ジェットは、もうこの世にいない。二度と会うことのできない彼方へ旅立った。 ガルディ兄さんは、自分がこの手で貫いた。 禁じ手すら習得した兄弟子のバグも、ねじくれた性根故に息を引き取った。 自分が死ねば、天空宙心拳は途絶えてしまう。 そんなことは、到底許せなかった。 少しでも、後世の平和のために勤める義務が自分にはある。 カノンの瞳には、何かを守らんとする強き意思の炎があった。 彼女のような人間たちに天空宙心拳を教えることが、まだ自分の役目として残っているのだ。 「――――――っ!」 ロムの意識が、優しきものから一瞬で戦いの激しいものへと変わる。 背筋に感じた悪意の視線から守るため、カノンと視線の間に本能的に立つ。 ロムは瞬時にかまえを取る。 カノンの時のような訓練や型の確認を兼ねたものではない。 正真正銘、本気のロム・ストールの闘気が蜃気楼を起こす。 直後、不可視に近い真空波がカノンへ。 ロムは、全力の手刀を持って叩き落とす。 真空波は形を失い、そよ風となって空気に溶け込んでいく。 「何者だ! 名を名乗れ!」 天空宙心拳、暗黒指弾。 かつて兄弟子が使っていた技で、闘気で包んだ小石を飛ばす。 まっすぐ狙った岩に着弾し、姿を隠していたそれを粉砕。 岩陰から現れたのは、すっぽりと頭どころか全身を包むフードを纏った小柄な何か。 フードの奥には、奇数個の金色の瞳が腐爛し輝いている。 「我はウンブラ……あれで殺せないか……おぞましき戦士よ……」 ウンブラはくるりと背を向けると、逃げるように走り出した。 到底、人間が追いつける速度ではない。しかし、ロムもまた常人を遥か超越したもの。 追うために走り出す。 ウンブラが剣狼を振るたび背後に向けて、真空波が放たれる。 ロムは瞬く間に撃ち落とす。 速度を緩める理由にもならない。
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548 : ◆8nmVsszo/6 [sage]:2010/02/14(日) 20:26:20 ID:WkJwmlZG - はずだった。
ロムは進む方向を変え、追うことを諦める。 「――カノンッ!」 真空波が、カノンに向けても飛ばされていた。 闘気を正確に察知できない人間では、不可視のものをかわすことは難しい。 カノンを庇う位置に移動し、真空波を落とすことを優先した間に、ウンブラの姿は岩の隙間へと飛び込んだ。 「よく気付く……もう少しで脆い人間がコワれるところだったのに……」 改めて追うが、まるでウンブラは影に溶け込んだように気配ごと消えている。 魔術のようなものを使われたかとロムは握った拳を震わせながらも、 「馬鹿な……」 呆然と呟いた。 最後の真空波を飛ばすとき、ウンブラの服の影から見えたのだ。 ロムの視線を何よりも視線を引き寄せたのは服の隙間から覗く剣。 それは間違いなくロムが父より受け継いだ、伝説の名剣………剣狼。 歪な機械を柄から鍔にかけてつけられてはいるが、ロムが剣狼を見誤ることはない。 「逃げたのか……!?」 「……見つからない。……剣狼の一撃は、ゴッドガンダムでも耐えられるか分からない。 小ささから不意を打たれやすい。それに―――バイカンフーがあるとすれば……!」 地上全ての流れるエネルギーとシンクロし生み出される最強の化身、バイカンフー。 それと戦って勝つ自信はないとは言わない。 バイカンフーを取り戻せるとは限らず、だが、確実に暗黒大将軍以上の死闘になる。 そうなれば、暗黒大将軍を倒すことも、そして誰かを救うこともできないだろう。 呼んでも来なかった理由は、シャドウミラーの機械によりその能力を抑制されていたからだったのだ。 父からの遺産を汚されたことに、ロムはさらに激しい怒りをシャドウミラーに覚えた。 「必ずこの殺し合いを止める。そして……剣狼も取り返させてもらうぞ……!」 ロム・ストールの声が、荒野に溶けていく。 必ず、打ち倒すことを誓って。 【ロム・ストール 搭乗機体:ゴッドガンダム】 パイロット状況:良好 機体状況:装甲表面に多少ダメージがありますがその程度です。 現在位置:F-4 荒野 第1行動方針:カノンと行動しつつ、決闘の場所を目指す 第2行動方針:悪を挫き弱きを助ける 第3行動方針:真壁一騎、皆城総士、遠見真矢、春日井甲洋の保護 第3行動方針:19時の暗黒大将軍との再戦に備える(上と同じくらいの重要度なので3を並べてます) 最終行動方針:剣狼を取り戻しシャドウミラーに正義の鉄槌を与える】 ※羽佐間翔子は同姓同名の別人だと考えています。 【カノン・メンフィス 搭乗機体:クストウェル・ブラキウム(スーパーロボット大戦J)】 パイロット状況:良好。 機体状況:装甲がへこんでいる以外良好 現在位置:F−4 荒野 第1行動方針:ロムと行動を共にし、強くなる。 第2行動方針:竜宮島の仲間と合流する 最終行動方針:仲間と一緒に竜宮島に帰還する】 ※羽佐間翔子は同姓同名の別人だと考えています。
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549 : ◆8nmVsszo/6 [sage]:2010/02/14(日) 20:27:16 ID:WkJwmlZG - 恐ろしき使い手がいるものだ。
遠くからでも聞こえる轟音とともに崩れ去る岩壁を見てそう思った。 だから素直にロム・ストールの強さを認め、憎しみを得るのではなく直接命を狩ることを選んだ。 だが、それも失敗。 まったく負の心、濁りを持たない魂の輝きに、あれほど恐ろしい力。 ウンブラにとって、ロムは天敵とも言える存在だった。 「だが……ワタシは消さなければならない……光を……闇の慟哭の中に……」 しばし悩んだのち、ウンブラは邪悪な笑みを浮かべた。 「そうだ……ワタシが倒せないのなら……他のものに倒してもらえばいい……」 自分が倒す必要はない。 ここでは、あのような正義の徒達が集い、死から逃れようとしているのだろう。 それを潰し合わせればいい。 殺し合いに乗るものとは極力戦わず。 強き力を持つ者には螺子曲がった情報を。 使えぬ弱者は恐怖と憎しみの糧に。 あの最初の場で目立ったロムを覚えており、いい印象を抱いているものも多いだろう。 だが、その良き印象は、小さな亀裂さえ入れておけば、一度何かあれば裏返る。 すぐに信じてくれることも、全員がそうなることも期待しない。 ただ、そのうち何名かが、疑いを抱いてくれればいい。 「ロム・ストール……そしてあの女は……カノンと呼ばれた……カノン・メンフィスか……」 さらに、名簿で選んだ適当な人間を数名。 虚と実、あることとないことを混ぜて騙る。 もし適当にあげた人間が殺し合いに乗っていれば、自分の情報に信憑性も出る。 そうでなくても、かき回せればいい。 やらなければゼロだが、やれば何かの結果も出る。 人間は弱い。小さいことでも疑い出すと止まらなくなる。 だから、それでいい。 基地も目の前だ。宇宙へ上がるのももうすぐ――― 「基地に行くのか? 嬢ちゃんや坊ちゃんか知らないが、やめときな。 あそこにゃ人殺し二人がいるだけだぜ」 基地に、殺し合いに乗っている人間がいる。 ならば、行かないほうがいい。 宇宙へ向かうには、別の移動手段を考えよう。 そこまで考えて、かけられた声に気付く。 横からの声。 ウンブラがそちらを向く。 「中々悪くない情報だろ? お礼と言っちゃなんだが……持ちあげてくれねぇか?」 下半身が大地に埋まり、下半身だけがガニ股で空にそびえ立っている。 ウンブラの美的センスでも、そのオブジェはシュールとしか言いようがない。 しかし、剣狼についた機械の通信から聞こえるのは、 そんな恥ずかしさを持ち合わせていないのか、飄々とした男の声。 なぁにこれぇ
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550 : ◆8nmVsszo/6 [sage]:2010/02/14(日) 20:29:01 ID:WkJwmlZG -
【ティンプ・シャローン 搭乗機体:テキサスマック(PK)(真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ) パイロット状況:良好 機体状況:良好 ハイパワーライフルの弾を三発消費 上半身が埋まって下半身が露出中 現在地:F−3平原 第1行動方針:他の参加者の情報を集める 第2行動方針:特にジロン・アモスの動向には注意する 第3行動方針:可能な限り優勝は目指す 最終行動方針:生き残る 【ウンブラ 搭乗機体:ケンリュウwith剣狼(マシンロボ クロノスの大逆襲) パイロット状況:良好 うきうき。 なぁにこれぇ 機体状況:良好 現在位置:F-3 平原 第1行動方針:人間の性質に合わせ利用し負の感情を狩り集める(※) 第2行動方針:宇宙に上がり地上の負の感情の流れを観察する。 基地に殺し合いに乗る人間がいるなら別ルートを探す。 最終行動方針:狩り集めた負の感情を破滅の王に捧げる (※)について 殺し合いに乗った人間→接触を避ける 強い人間→疑心暗鬼を撒くため、カノン、ロム、その他数人が危険であると情報を流す それ以外→負の心を絞って殺す】 【一日目 13:59】
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551 : ◆8nmVsszo/6 [sage]:2010/02/14(日) 20:31:40 ID:WkJwmlZG - 続いて、借り投下の物を投下します。
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552 :代理投下 獣達の挽歌 ◇06elPxNp8E[sage]:2010/02/14(日) 20:33:05 ID:WkJwmlZG -
「うぇ、えええええええええええ!?」 少女の絶叫がガイアガンダムのコクピット内に響き渡る。 そのガイアガンダムを押す。アクエリオンから放たれる無限拳がガイアガンダムを宙へと押しあげる。 やがて宇宙が見え始める、こともなく数秒で重力に引きずられ地上へと落下していく。 このまま落下してしまえば大地へと激突しプルの体はガイアガンダムごとバラバラになってしまうことだろう。 しかし、そんなことなどプルとて承知している。それはとても嫌なことだ。故に各部スラスターを操作し、重力に逆らおうとする。 「地球の重力なんて嫌いだああああああああああああ! いつもいつも私を苦しめる!!」 思い浮かべるはキュベレイマークUを駆りZガンダムと共に大気圏を突破した記憶。 あのときほど高くは無いが、それでも重力に体を引っ張られる感覚は不快だった。 とはいえそんなことを言っている場合でもない。ただでさえ可変機構が不調なのだ。このまま大地に叩きつけられてしまえば死んでしまう。 プルがコンソールを操作すると、スラスターから青白い光が噴射され重力に逆らう力となり落下速度が弱まる。 ガイアガンダムは殴りつけられた体勢から腹を下にして着陸態勢に移り、ゆっくりと大地へと滑空していった。 これで大地に叩きつけられることはないだろう。 「……酷い目にあった」 仏頂面でプルは呟いた。地面に激突する心配は避けられたとはいえ、彼女はいまだ不機嫌なままである。 「ふんだ。ガイなんて知らないから」 彼女が恨むは自分をここまで吹き飛ばしたアクエリオンのパイロットであるダイゴウジガイ。助けてくれたとはいえ、もう少しましな方法が あってもいいだろうに。いや、変形機構さえ故障させなければもっとましな動きだってできたはずだ。だいたいあの暑苦しさはなんだ。 やる気があるのは分かるが正直いっしょにいて楽しいとも思えない。あれじゃあ…… 滑空の操作をしつつプルはヤマダジロウへの恨みを募らせる。しかし、エルピー・プルにはそんな恨みを募らせる余裕などはなかった。 コクピット内にレッドアラームが鳴り、機体への異常を訴え始めたからだ。 「えっ? 何!?」 プルは赤く点滅する光に驚く。また変形システムが故障したとでもいうのか。 「ええ!? パワーダウン!!??」 コンソールに表示されるゲージを見たプルは驚いた。 エネルギー残量を示すラインが1本しか残っていない。 朝見たときはフルだったというのに早すぎる。 おまけにフェイズシフトダウンなどという訳の分からない表示までされていた。 「あーもう!! ダウンしちゃ駄目ぇぇぇぇぇ!!!」 プルはヴァリアブルフェイズシフトを再起動させ、機体の制御に集中し始める。しかしそれでもパワーダウンは一向に治まる気配がない。 彼女はまったく理解していなかった。バッテリー駆動のMSの継続戦闘能力の低さを、何も知らずに展開していた相転移装甲は維持するだけでも 激しくENを浪費してしまうことなど、何も知らなかったのだ。 「んもう! ガイの馬鹿アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 ガイアガンダムはそんなプルの叫びなど無視し、西へ西へと滑空し流されてゆく。 ◆◇◆◇◆
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553 ::代理投下 獣達の挽歌 ◇06elPxNp8E[sage]:2010/02/14(日) 21:00:45 ID:WkJwmlZG -
「何処に行ったヴィレッタとかいう女は!?」 シンは探す。レイの行方を知っている女を。 名前はたしかヴィレッタと僚機に乗っていた男が言っていたので間違いなかろう。 が、薄情なことに戦場からどこぞへと逃げ出してしまったため見つけ出す苦労をかけなければならなかった。 北の方角に逃げたと思われるので海岸沿いにスレードゲルミルを移動させてはいるが、今だ影も形も見えやしない。 とはいえここから北上したところで行き場などない以上は発見は難しくは無い。 見たところ水中戦が得意には見えぬ以上は海中に隠れるという選択肢は取れやしないのだから。 「ん? 後方に機影なのか?」 シンがヴィレッタ探索を開始してから数十分後のことだった。レーダーに後ろから来る機体の反応が移ったのは。 反応から察するにヴィレッタの機体よりは一周りほど小さい。しかし、レイかそれともレイのことを知っている相手かもしれない。 そうでなくともそいつからヴィレッタのことを聞ける可能性だってあるのだ。なんにしても接触する価値はあるだろう。 背後から接近してくる機体に対し、シンはスレードゲルミルを振り向かせそちらの方へと向かっていく、もっとも大して期待はしてはいなかったが。 やがて、黒い機体がこちらに向かって進んできているのが見えた。やはり、ヴィレッタではない。 「お前! レイか、それともヴィレッタとかいう女を知っているか!?」 とりあえずはその二人の行方を聞きだすことにする。多少なりとも知っているそぶりを見せれば先ほどのように… 「ん? レイかベレッタ? ああレイか。あいつのことならよく知ってるぜ」 知っていた。それも大当たりらしい。ならば逃げ出される前に力技で抑えてやればいい。 「なら機体から引きずりだしてから聞き出してやる!」 スレードゲルミルの両肩にあるドリルを掴み、相手に向ける。 「喰らえ! ドリルブーストナックル!!」 両腕を相手に向けて発射。ドリルは二機共に轟音を立てながら勢いよく回転しつつ敵機に向かって突撃していく。 「フン! 真直ぐ飛んでくる物を打ち落とすなど造作もない。ってか!」 黒い機体はビームサーベルのように剣を取り出し実体化させると、その剣でドリルを二機共弾き飛ばす。しかし、 「まだまだだ!」 コントロールはまだ通じている。どれだけ弾き飛ばされようとも追いかけてみせるだけだ。ドリルを操作し再度アタックをかける。 「うお! しつけぇ!?」 相手はさらにブーストナックルを切り払う。しかし無駄だ。どれだけ切り払おうともマシンセルにより傷は修復され、自分が操作するかぎりは絶対に 逃がさない。レイのことを知るためにも逃がすつもりはない。徹底的にやってやる。
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554 ::代理投下 獣達の挽歌 ◇06elPxNp8E[sage]:2010/02/14(日) 21:01:45 ID:WkJwmlZG - その決意の元に何度も何度も何度も何度もアタックをかける。一度二度はじきはするが三度目以降は切り払えずに機体の各部に十数の傷を付けていく。
黒い機体の装甲はそれなりには頑丈ならしく、多少の損傷では致命的なダメージとはならないがそれも時間の問題だ。いずれは自重に耐えかねて装甲が 折れてしまい動けなくなる。それから聴きだしてしまえばいい。 「クッ! この!! まどろこしいんだよ!!」 無論敵とてそんな狙いなどこの状況から判断できぬほど馬鹿ではないらしい。しかし問題はない。接近戦を仕掛けてくるならば斬艦刀の錆に してやればいい。敵機はそんなシンの考えなど知ってか知らずか背中から大砲を取り出し、 「断空砲! 発射だ!!」 地面に向けてビームを打ち出した。周囲を爆炎と土煙が満たし何も見えなくなった。 「悪あがきを!」 所詮はいたちの最後っ屁にも満たない行動だ。各センサーだって完全に死なず、適切な威力で放たれなかった砲撃を両者の姿を隠せるほどの眼くらましには なりえなかった。十分に止めをさせる状況であることになんら変わりはない。 「これで止めだ!!」 止めのドリルブーストナックルを位置を変えただけで隠れたつもりになっている動きもしない敵機に向ける。 後は発射スイッチを押すだけで終わりとなる、時に熱センサーが何かを捕らえた。 その反応はMSやMAの反応にしては非常に小さなものであった。 シンは機影にしては小さい反応をライフルかビームサーベルか何かを使ったフェイントか何かだと判断すると同時にアタックを仕掛ける。 両のドリルは敵機を貫きシンアスカに勝利をもたらす。 「グァ!?」 はずではあったが、スレードゲルミルを突然襲った揺れにより狙いが明後日の方向へとずれてしまう。 シンは周囲を見渡そうとして、スレードゲルミルと共に再び弾き飛ばされる。 いったい何が起こっているのか? 訳の分からぬままシンは周囲を警戒するが、また不意の衝撃を受けた。 「この! 不意打ちなんて!!」 戻した両手で斬艦刀を持ち、周囲をしっちゃかめっちゃかと切り付け、敵らしき存在から身を守る斬撃の結界を作り上げる。 とたんに謎の攻撃は止んだ。しかし、これは一時的なものでしかないということはシンも理解していた。いつ斬撃を掻い潜り再び攻撃を再開されるか 分かりやしない。ならば殺られるまえに殺れ。手近な目標である黒の機体が攻撃をしてきている機体だと当りを付けた彼の行動は速かった。 大地を踏み込み、斬艦刀を大きく振り被って黒い機体に突撃する。その様は彼の得意とするソードインパルスによる一撃と同じモーションであり、 数多くの連合軍を屠ってきた一撃である。受ければひとたまりもない。
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555 :代理投下 獣達の挽歌 ◇06elPxNp8E[sage]:2010/02/14(日) 21:02:27 ID:WkJwmlZG - しかし、そんなスレードゲルミルの一撃をさえぎるが如く黒い機体との間に小さな影が割り込む。
おそらくこの小さな影が先ほどから自分を攻撃してきた敵なのだ。ならば目の前に来た以上は叩き切ってやる。 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 影に向かって斬艦刀を振り下ろす。寸分違わず放たれた強撃はしかし小さな影が僅かに軌道を変えたことにより仕損じてしまう。 そしてその影はこともあろうに蒼い光を身に纏いながら自機の顔面へと突っ込み、跳ね除ける。 「うぉ!?」 ゲルミルは背後へと転倒し、寸でのところでバーニアを吹かして尻餅を付くことだけは免れた。 「あいつはいったいなんなんだ!?」 シンは視線を廻らし、ようやっと土煙が完全に晴れた視界の中でそれを見た。 蒼い尾を引くコアファイターほどの大きさの鳥のようなマシンが空を駆ける姿を。 「戦闘機!? 戦闘機だって!!」 まさかコアファイターなのか? しかしそれにしては分離の兆候などは見られなかった。ならば増援なのか? 「チッ! フリーダムのキラヤマトじゃあるまいし、どっから沸いて出た!?」 コアファイターが宙を駆け続け、黒い機体と戦闘機とシンの目線のラインが一直線になる瞬間に彼は全てを悟った。 頭だ。黒い機体の頭がない。鷲を象ったかのように乗っかっていたヘルメットの部分が失われている。 そしてそれに似た黒い戦闘機が飛んでいる。それらの事象が指す意味は一つだけだった。 「この! 遊びでやってんじゃないんだよ!!」 怒りに駆られシード因子が覚醒したシンは、左腕のドリルを発射した。絶対に叩き落してやる。 「ハッ! そんなんじゃ猫一匹捕まえられ…!?」 空中へと逃れようと上昇していた敵機の姿勢が途端に崩れた。 よくは分からなかったが今がチャンスだ。 シンはドリルブーストナックルをさらに加速させる。 ――――――――ドリルブーストナックルが灰色の機体のどてっぱらを貫く!! ◆◇◆◇◆
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556 :代理投下 獣達の挽歌 ◇06elPxNp8E[sage]:2010/02/14(日) 21:03:16 ID:WkJwmlZG -
最初に出会った直後は向こうが高圧的な態度であったため多少イラッとはきたが、心覚えがある名前を出されて怒りに一時的なブレーキが掛かる。 「ん? レイカ、ベレッタ?」 バレッタなどという名前には聞き覚えなどない。しかしもう一つの名前には聞き覚えがある。 「ああ麗花。あいつのことならよく知ってるぜ。で、それがお前にど……」 どう関係あるのか? そう尋ねようとする前に。答えはやってきた。 「なら機体から引きずりだしてから聞き出してやる!」 相手はドリルを付けた両腕をこちらに飛ばしてきた。 「チッ! 癇癪持ちって奴か」 舌打ちしつつも断空剣を構え二機共に叩き落す。 しかし、ドリルは叩き落としたにも関わらず、飛行を続けダンクーガから離れていく。 「まだまだああああああああああああああ!」 しつこい。まるで蛇のように執念深く迫るドリルを再び弾く。しかし、2,3度弾こうともドリルはあきらめもせず何度も何度も迫ってくる。 やがてドリルを何度か弾きそこない。ダンクーガの装甲を、腕を、足を、間接部分を削りとってゆく。 まずい。このまままでは鉛筆のように削られてしまう。 なんとか隙を見て、パルスレーザーで反撃を試みてみるものの装甲が厚いためか相手はまったく意に介してはいない。 どうやら攻撃力の高い武器で反撃しなければいけないらしい。 しかし、下手に殴りかかれば後ろからドリルで串刺しになってしまうだろうし。それほど大規模な威力を出せるほどのエネルギーも残されてはいない。 「クッ! この!! まどろこしいんだよ!!」 それぐらいのことはアポロにだって理解できてはいた。しかし堪え性のない彼はだんだんと苛立ちがつのり、どうせなら一か八かで殴りつけてやろう という短絡的な思考に落ちいろうとする。 「クソッ! アクエリオンなら! せめてベクターマシンなら!!」 それらのダンクーガよりもスピードに優れた機体であれば突撃できるというのに。そう、機動力にさえ優れていれば殴りつけてやるのに。 「そうか!!」 必要なのは機動力であった。ならばなんとかなる。なんとかしてみせる。 下準備のために断空砲を大地へと撃ち、土ぼこりを巻き上げ、 「このレバーか!?」 機動力を得るためにダンクーガから自分のいるユニットを分離させる。 そのユニットであるダンクーガの頭部は空中に浮上し、戦闘機へと変形する。 コクピット内でイーグルファイターが戦闘機形態へと可変したことをアポロは確認するとスロットルを一気に踏み込んで、巨人へと突撃する。 さきほどの仕返しだ。このままぶん殴ってやる。 その決意を表すかのようにイーグルファイターAは蒼白い光を纏い、さらに加速していく。 「こいつはご機嫌だぜ!!」 敵機の側面へと機首を向け激突、いや、戦闘機で殴りつける。さらにUターンして殴りつける殴りつける殴りつける殴りつける殴りつける殴りつける! 一撃一撃はアクエリオンやダンクーガには及ばぬが、そのスピードは両者の比ではなく砂煙も手伝って敵機を翻弄する。 肩を削り、腕を削り、腹を削り、胸を削り、ダメージを与えていく。
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557 :代理投下 獣達の挽歌 ◇06elPxNp8E[sage]:2010/02/14(日) 21:04:06 ID:WkJwmlZG - ちまちま削っていくのは性には合わなかったが喧嘩ともなれば卑怯もへったくれもない以上はこのまま押し切ってやるのみだ。
十数回ほど削っていくと、やがて反撃か防御のためか大剣をしっちゃかめっちゃかに振り回す。 あれほど巨大な大剣が掠ればイーグルファイターなどでは一撃でおじゃんだ。避けるにしてもああも振り回されれば近づきがたい。 どうするべきか、とアポロには考える必要はなかった。敵はすぐに別の行動を起こしたからだ。 「チッ! この、やらせるか!!」 敵はイーグルファイターを捉えるのを諦め、ダンクーガを直接攻撃しようと突進していく。 ダンクーガをむざむざと破壊させるつもりはない。だからアポロは二機の巨人の間へと割り込んで防ぐために、真正面から突撃する。 巨大な顔面が目の前にそびえ立ち、ぐんぐんと距離が近づいてくる。通常の人間ならば恐怖で失神してしまうだろう。 しかし彼はアクエリオンのパイロットとして戦い続ける戦士である。ベクターマシンを駆りケルビム兵に挑むこととてあるのだ。この程度問題はない。 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 大刀が勢いよく自分に向かって振り下ろされる。だが男は度胸。攻撃のタイミングさえ分かれば何とでもできる。 「そおりゃあ!!」 レバーを捻りこみ、強引に機体を刃に対し平行に立てる。 刃がコクピットの風防を掠めて後方へと流れていくのがアポロの眼に映った。その回避した体勢のままイーグルファイターで敵機の頭部へと突撃する。 激突の衝撃に体が揺さぶられる。しかし、エネルギーフィールドにより機体自体のダメージは少ない。むしろ揺れにより酔いそうになるぐらいだ。 機体を再度加速させ、敵機から離脱させつつ後方を見る。巨人は今だ健在であり多少ふらついていたが、剣を杖代わりにしつつ大地に立っていた。 そのふらつき具合を見るに、後もう少しで倒れそうだ。 「この! 遊びでやってんじゃないんだよ!!」 悪あがきとばかりに左腕を飛ばして、ドリルで串刺しにしようとしてきた。 だが遅い。このまま加速して引き剥がしてやる。 「ハッ! そんなんじゃ猫一匹捕まえられ…!?」 スロットルを踏み込みレバーを引き上昇し正面を見据えると、目の前に黒い物体が宙に浮いていた。 「う! おぉおぉおおおおぉおおおおぉおおおおぉ!?」 慌ててレバーを捻り激突を回避する。 「止まれええええええええええええええええええ! ステラアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああ!」
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558 :代理投下 獣達の挽歌 ◇06elPxNp8E[sage]:2010/02/14(日) 21:04:48 ID:WkJwmlZG -
回避した途端に後から、何かが衝突するような貫くような鈍い音が聞こえてきた。 背後へと振り向くと、灰色の獣の背中からドリルが生えている光景が見える。 「ステラああああアアああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアア!!」 どうやらどてっぱらにドリルが突き刺さった犬らしき物体はステラとかいう名前らしい。 体勢を立て直し、どういう行動を取れば良いかを考えてしまう。巨人からは先ほどまでの威勢が嘘のように掻き消えてしまい、正直毒気が抜かれてしまう。 アポロは何かのタイミングが得られないかと機体を旋回させる。旋回させて様子を伺う。伺ってみるが、僅か数分ばかりで沈黙に耐え切れなくなり、 「あ〜、えっと?」 声をかけてみる。すると、相手は地獄から響いてくるような叫びを上げた。 「なに落ち着いてるんだ! ステラが死んだんだぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 シルヴィアが怪我したさいのシリウスが上げた叫びにも負けず劣らずの咆哮である。 「その……なんか悪かった」 「ふざけるな! ステラがなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 叫びながら。こちらに向けて突進してくる。その体当たりを寸でのところでかわしつつ、文句を言う。 「分かった分かった落ち着けって」 「ステラを殺した貴様は生きていちゃいけないんだああああああああああああああああああああああ!!」 しかし聞く耳など持っちゃいない。しかも何か自分の所為にされてしまっている。 「悪には悪の報いが! ステラを殺した罪に報うために死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 ここまで言われて誰が落ち着いてやるものか。 「ステラステラと! うるせぇ! ステラばなれができない変態やろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 機体を反転させて決着のために低空飛行で敵機へと突撃する。 「俺はキラヤマトだって倒したんだぞ! お前なんてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「だからうるせぇと言った!」 自機と敵機との距離が縮まりお互いの射程範囲内へと両方ともたどり着く。 先に仕掛けたのは敵機である。大刀を斜めに振り下ろしてきた。その一撃による結果を直感で悟る。マズイ、このままでは負ける。 ならばこのままでなければいい。 「堕ちろ! カトンボ!!」 「うらっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 このままでなくなるためにレバーを引き、変化を起こす。その変化が完全に終わる前に刃は到達するだろう。 しかし、そんなものを待つつもりもない。だから変形を終える前の体勢のまま右腕で大刀を殴りつける。 機体は斬撃の軌道から逃れ、そのままの勢いで突撃する。
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559 :代理投下 獣達の挽歌 ◇06elPxNp8E[sage]:2010/02/14(日) 21:06:19 ID:WkJwmlZG - 「なっ!? 変形し――――――!?」
「だから遅えと言った!!」 イーグルファイターAからHへと変形を終える前には敵の面が鼻先三寸まで迫っていた。 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 だから左ストレートをヘッドへと叩きつける。自身の野生とプラーナを全てのせた特大の一撃を。 「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 立ち上がる力を、立て直す力を、立ち上がろうとする力を刈り取る勢いで放った一撃は巨人を100mほど弾き飛ばし轟音をたてつつ、 地面へと数回バウンドさせた。やがてバウンドは収まり、静かになると同時に巨人の動きは止まる。 静かになって身じろぎすらしない。動く気配すらない。起き上がる気配すらも立ち上がる様子すら見せない。 「へん。俺様の勝ちだ」 アポロは己の勝利を確信し、破顔する。ようやく終わった。が、まだ終わりではない。 次の戦いに赴くためにダンクーガと再度合体させる。 が、エネルギーのゲージを見て愕然とした。もう1/5も残ってやいやしない。 流石にダンクーガも補給なしではこれ以上は戦えそうにもない。なにより自分な腹の虫もうるさいぐらいになっている。 「よしゃあ! メシだメシ!!」 アポロは補給をすることにし、歩き始めた。そうしようと思ったところで灰色の獣が眼に入った。 「ん〜これどっかで見たような?」 アポロは灰色の犬型メカを見つめながらしばらく考える。そう犬だ。とても大きな犬だ。 アクエリオンやダンクーガのようなロボットにも見えなければ、ケルビム兵や神話獣のような堕天翅共の兵器には見えない。 なんとなく人間が乗る兵器にも見えない。馬ならともかく犬は人間を乗せて走りもしないし、空も飛ばないだろう。 そうして13年の生の中からその答えを見つけ出す。 「ああ! こいつアイボって奴か! ジュンが持ってたから間違いねぇ!」 そう。灰色の筐体といいプラスチックかガラスで出来たような黒い瞳のようなアイマスクのような訳の分からない部分といいまさしくアイボである。 「ってことはこいつもジュンの野郎みたいに人形とかに名前をつけてるのか」 どうやら目前に居座る機体のパイロットも自分の仲間と同じような趣味を持っているのかとアポロは納得しつつ、とあることを決意する。 ジュンにカステラとかいう名前の巨大アイボを直させようと。自分が壊したわけでもないがこのままでは何となく後味が悪い。 ひっくり返してみると腹から背中にかけてドリルが突き刺さっているがジュンとつぐみなら何とか修理してしまうだろうたぶん。 「そんじゃあ、お前のペット、えーと確か、カステラだったけ? まあそいつを直してやるよ。戦いが終わった後でな」 アポロはそう言いつつ巨人から大刀をふんだくると、どこかへとダンクーガを進ませていった。 彼が目指すは自身とダンクーガが食事をできる場所である。
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560 :代理投下 獣達の挽歌 ◇06elPxNp8E[sage]:2010/02/14(日) 21:07:14 ID:WkJwmlZG - 【1日目 13:30】
【アポロ 搭乗機体:ダンクーガ(超獣機神ダンクーガ) パイロット状況:疲労(大)、空腹 機体状況:機体各部位に損傷 戦闘に支障あり EN残り15% 斬艦刀装備 現在位置:D-2 北部 第一行動方針:食料と補給ポイント探し 第二行動方針:この戦いが終わった後にカステラという名前のアイボをジュンに直させる 最終行動方針:ぜんぶ倒して、最終的にはヴィンデルって野郎もぶっ倒す! 備考:地図、名簿共に確認していません。そもそも気づいてもいません】 【シン・アスカ 搭乗機体:スレードゲルミル(スーパーロボット大戦OGシリーズ) パイロット状況:疲労(大)、気絶 機体状況:機体各部位に損傷 戦闘に支障あり マシンセル正常機能中、EN30%、左腕が分離した状態でガイアガンダムに刺さっている 現在位置:D-2 北部 第一行動方針:ステラの仇を討つために黒い機体を倒す 第二行動方針:レイを探す 第三行動方針:シ―ブックとドモンには会いたくない 最終行動方針:優勝し、ミネルバに帰還する】 【備考】 ※ヴィレッタの位置は見失っています。 【エルピー・プル 搭乗機体:ガイアガンダム(機動戦士ガンダムSEED DESTINY) パイロット状態:死亡 機体状態:MA形態 コクピット部分にドリルブーストナックルが突き刺さっている EN0% ヴァリアブルフェイズシフトダウン 現在地:D-2 北部】
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561 : ◆8nmVsszo/6 [sage]:2010/02/14(日) 21:10:05 ID:WkJwmlZG - 代理投下も、投下も終了
472 : ◆06elPxNp8E:2010/02/14(日) 11:35:14 ID:H1DPkXag 投下終了。規制に巻き込まれたので現行スレに誰かお願いできないでしょうか? >>「ブレードのランサーが唸る時、また家族が死ぬ!」 投下乙 おお、Dさんがまた不幸になっておられる。 ― ― 自分のSSのほうのタイトルは「不穏な予感」で。 誤字に関してですが、>>549の × >下半身が大地に埋まり、下半身だけがガニ股で空にそびえ立っている。 を ○ >上半身が大地に埋まり、下半身だけがガニ股で空にそびえ立っている。 にお願いします。
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