トップページ > ロボットゲー > 2010年02月04日 > BpZ29xhq

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◆UcWYLVG7BA
未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA
第三次スパロボキャラバトルロワイアル4

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第三次スパロボキャラバトルロワイアル4
154 : ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 03:51:02 ID:BpZ29xhq
お待たせしました投下します
第三次スパロボキャラバトルロワイアル4
157 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 03:52:52 ID:BpZ29xhq
「ヴァンさん」
「……あん?」

ルリの先導を元にヴァン達は真っ直ぐ北を目指していた。
街で見つけた他の参加者の足取り、それをルリは結局頼りにする事に決めたのだ。
お互いここまで来るまで終始何かを喋る事はなく、ひたすら向かっている。
最もヴァン自体は喋る事は無いし、ルリは話かけてもよくて返事が返ってくるだけで会話が続かなく、殆どは無反応のヴァンの態度に会話を諦めていた。
そんな理由で暫くの間無言で進んでいた時、突然ルリはヴァンに向かって呼びかける。
気だるそうな返事が聞こえてきて、どうやら今回はよいパターンだったらしい。

「二時の方向に二つの機影です。どうします?」
「……めんどくせぇな」

ルリが操る機体のレーダーに二つの機影が北西の方向に移っていた。
もしかしたら、街でティータイムをしていた人達かもしれない。
それとも、レーベンのような襲撃者の可能性もあるかもしれなかった。
どちらにしろ警戒はしなければとルリは思いながらもヴァンに聞いてみる。
だが、相変わらずヴァンはけだるそうな返事を返すだけ。
はぁとヴァンに聞こえない所でルリは溜息をついて、気を取り直しながらも言葉を続けた。

「かぎ爪さんの事……知ってるかもしれませんよ?」
「……本当か!?」

ルリはまるで定型句のようにその台詞を当然の様に言う。
途端にヴァンの声に少しだけ、覇気が篭るのを感じた。
ルリは、少し呆れた様に溜息を吐く。
御しやすい……という訳ではないと思う。
ただ、ひたすらに純粋に物事に真っ直ぐなだけ。
それを少しルリは羨ましいとは思い。
でも、やっぱりちょっと馬鹿だなとも思ってクスリと笑った。

(……何か都合よく扱われてるな)

そのルリの傍でぼんやりとヴァンはそんな事を思っていた。
かぎ爪の情報はほしいが、そもそもその二人が持っている可能性自体は少ないだろう。
オウムの様にルリの言葉に返事を返してしまったが冷静に考えるとそう思えたのだ。
ルリに都合よく扱われているとは思うも、まあいいかともヴァンは思う。
究極的にはかぎ爪に辿り着けばいいのだ。手段は問わず。
例え、この殺し合いの場所でもだ。
だから、まあルリに使われてもまあいいかと思ったのだ、余り気にくわないが。
ルリを助けてしまったのが運の尽きかとも思ってヴァンも溜息をついてしまう。

そういえばルリ自体が何故、こんなに積極的に話しかけてきたのかヴァンにとっていまいち謎だった。
ヴァン自身のかぎ爪の復讐に対して何故こんなにルリ自体が積極的に動くかも謎である。
何か理解する事があるのだろうか?
そう一瞬思ったが、ヴァンはさっぱり解らなかった。
どちらにせよ、これはヴァン自身の復讐だ。
それは確かで、確実に自分自身で遂げないといけない。
ヴァンはそう思い何度も固めた決意をまた更に固め直す。

その時だった。

「すいません! こちらシーブックといいます! そちらは……」
「大丈夫です、襲撃したりはしませんよ」
「そうですか……すいません、負傷者がいるんです……できれば」
「解りました、今そちらに向かいますね」

二機の内一機、翼が生えている機体が此方に接触してきた。
シーブックと名乗った少年はルリと会話をしてヴァンがぼさっとしている間にファーストコンタクトを終わらせたらしい。
ヴァンはめんどくせぇと内心思いながらもそのまま、渋々とルリにつき従った。
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163 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 03:55:02 ID:BpZ29xhq
大きな溜息を残しながら。








◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







「……う、ううん?」
「…………ダイヤ。大丈夫?」
「目を覚ましたか、ダイヤ君」

少年、ツワブキ・ダイヤが目を覚ましたのはジャイアントロボの掌の上だった。
目を開けると心配そうにダイヤを見つめる二人の少女。
ダイヤと同じかそれより年下に見える、イルイ。
ダイヤよりも年上で長い銀髪が特徴的なテレサ・テスタロッサ、通称テッサだった。
節々に痛む身体を気にしながらダイヤは起き上がり二人に気丈に声をかける。

「……ああ、ちょっと痛いけど大丈夫だよ」
「そうですか……大きな怪我が無くてよかったです」
「…………うん」

安心したように息を吐く二人の少女。
その姿は少し微笑ましくて、ダイヤの表情も柔らかくなっていく。
だが、それも束の間、先程の事をダイヤは思い出していく。
あの大きな斧を持つ機体と戦って自分達はピンチに陥った。
その中で現れた者。
そいつは……

「そうだ……あいつはっ!? 剣児さんを殺したあいつは!?」

草薙剣児を殺したと言ったんだ。
ダイヤは拳を血が滲むが如く強く握り締める。
悔しかった、ただ悔しかった。
自分は怒りに任せてぶつかって、そのまま気を失った。
その後はどうなったんだろうと辺りを見回すが平地で其処にはジャイアントロボの他には何も無かった。
ダイヤは頭を傾げながら疑問思っていた時

「……そうですね。私が話しましょう」

テッサが表情を変え、一転して気を引き締め真面目な表情を浮かべる。
これは自分が伝えないといけない。
それが年長者の自分がやるべき事であり務めなのだから。
そして、伝える事かダイヤにとってどれだけの衝撃を与えるか解っていても。
テッサは伝えないといけない。
またイルイが預かっていた伝言に関しては今伝える事を避けるように言っておいた。
今告げるのは危険と判断したから。

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166 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 03:55:49 ID:BpZ29xhq
「一旦その人……暗黒大将軍に助けられ、その後私達は…………」
「…………その後は?」
「……解りませんか?……周りを見て何か気付きませんか?」
「……えっ?」

テッサの神妙の言葉にダイヤは周りを見渡す。
だけど周りには誰も居ない。
ダイヤ、イルイ、テッサを載せたジャイアントロボだけ。
そうダイヤが思った時、気付いた、気付いてしまった。
ジャイアントロボ「しか」いないのだ。

「……五飛さんがいない?……五飛さんは?」

そう、あの厳しい言葉をかけながらも自分達を護った張五飛が居ないのだ。
あの威風と雷光を纏った機体、大雷凰と共に類稀なる体術を魅せた張五飛が居ない。
少なくとも基地までは付き添ってやるといったはずなのに。
そうダイヤが疑問を持った時、テッサは重く口を開いた。

「五飛さんは私達を先に逃して、一人戦場に残りました」
「…………え? つまり一人であの三機と? 無茶だ!」
「無茶ですね。とっても無茶です」

そういうテッサの顔は表情が無かった。
でも、それは冷徹ではなく、辛い事実を子供に伝えなければならない重みからの苦しさから。
本当は辛いけど、それを表には出してはいけなかったから。
そんなテッサをイルイは黙ってじっと見て、そして何処か哀しい表情をテッサに向けていた。

「…………じゃあ」
「ええ、見殺しにしたともいえる……んでしょうか。兎も角私達で逃げました」
「そんな……じゃあ五飛さんは…………」
「どうでしょうか……助かってるかは……正直解りません」

あくまで淡々に事実だけを言うテッサ。
そのあんまりな言い草にダイヤはかっとなり、テッサに詰め寄る。
ダイヤはどうしてテッサがそんなにも簡単言うのか信じられなくて、怒気を籠めて言葉を発する。

「なんで……そんな簡単に言えるんだ!……五飛さんがどうなってるか解らないのに……」
「……じゃあ、どう言えばいいんですか……?」

そう言うテッサの声には感情が篭っていて。
それは何かに耐えているような声で。
その変化がダイヤにも解ってダイヤはつい下がってしまう。

「私だって逃げたくなかったです。だけどあの状況では私達は力にもならない。いえ、それ所か単なる足手纏いでしかならない……違いますか?」
「……っ」
「私達は……無力です」

我慢が出来なくって本当に悔しそうに放ったテッサの一言にダイヤは退かざるおえなかった。
ダイヤは、もうテッサを責める事をせず、ただ無遠慮にテッサに詰め寄った自分が恥ずかしくて仕方が無い。
だから素直に

「……御免」

テッサに向かって頭を下げた。
そんなダイヤを見ながらテッサも

「いえ、此方こそ……厳しい事いってすいません」

一歩身を引きながら謝った。
そうやって顔を見合わせ、
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171 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 03:56:45 ID:BpZ29xhq

「……うん」
「……はい」

二人は少し微笑んで和解をした。
だけどダイヤの心に代わりに現れるもの。

(俺は……くそっ……)

それは後悔であり無力を感じるものだった。
自分に力が無いせいで剣児が死んだ。
自分があの時、無茶をしなかったら五飛は危険にさらされることは無かったのだろうか。
そう思うと、悔しくて悔しくてたまらない。

拳は血が滲みぐらいに強く握って。
歯は砕けそうなぐらい強く食いしばって。

ただ、悔しかった。

それと同時にある思いも湧いて来る。
仇をとりたいと。
それは憎しみか怒りかどちらかから湧いて来るものかはわからないけど。
ただ、それだけは純粋に思ったから。
失った仲間の仇を。

そう、思ってダイヤは再び強く拳を握り、口を真一文字にしめたのだった。


(やっぱり……辛いですね)

その脇で密かに一人で辛さを感じている者、テッサ。
自分が最年長者としてダイヤに事実を伝えた。
五飛の事は暗喩的に伝えたが、テッサは知っている。
五飛が戦っていた戦場から一筋の迅雷が見えた事を。
それは恐らく五飛の最後の一撃。
だから、きっと五飛は生きてはいないだろう。
そう、考えたら自然と唇を噛んでいた。
そしてそんな過酷な事実を少年に伝えないといけない事。
きっとそれは彼に大きな影響与えるだろう。
そう、思うとなんて酷い事を辛い事をしてるんだろうと思ってしまう。

でも、仕方ないのだ。
これも生き残る為で、これからも戦っていくにはどうしても教えなくてはならない。
そんな理性的に考える事が出来る自分自身にテッサは少しうんざりとした。
そして、思う。

(私はやっぱり……無力です。私も誰かに支えられていたのだから)

無力だと。
テッサ自身も頼れる部下達の力によって支えられていたのだから。
そうやって今まで立っていた。立つ事ができた。
その時、ふと思う。
今度は自分が誰かを支えるべきなんじゃないかと。
そう思った時、テッサは何処か希望が開けたような気がした。


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177 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 03:58:24 ID:BpZ29xhq
(……ゼンガー)

またその脇でただ、ジャイアントロボが進む先を見つめるもの、イルイ。
心に秘めるのはこの殺し合いに居ない自分を護ってくれたもの。
度重なる危険に彼の事をずっと考えていた。
この場に居ないのは理解している。
でも、きっと何処かで頼りたいのだ。
そう思って心で彼の名前を呼ぶ。

その時だった。

「…………あれはっ!」

見つめる先にかすかに見えたもの。
忘れる訳が無いあの威風堂々とした機体。
その機体が持つ一振りの刀で護りきったのを今でも鮮明に覚えている。

その機体は。


「ダイゼンガー!」






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「…………っ、俺は」
「大丈夫ですか? ドモンさん?」
「……シーブックか」

キング・オブ・ハート、ドモンカッシュが目覚めた時には彼は機体から出され、地に横になっていた。
一体誰がと思った時、気が着いたのを知ったのか、シーブックが話しかけてきたのだ。
彼は先程の戦闘で出あった仲間である。
だが、彼一人では自分を運ぶのは無理なはず。
そう思って辺りを見回すと見知らぬ二人組みがいる。

「……どうも」
「大丈夫ですか?」
「あ、あの二人が助けてくれたんです」

ドモンの視線に気づいたのか軽く声をかける二人。
一人は幼いながらも聡明そうな少女。
もう一人は……

「…………あん? なんだ?」
「いや、何でもない。すまない」

黒いタキシードとテンガロンハットを纏った男がドモンの視線に気が着いて、そちらに視線を向けている。
どうやら、思いのほか見つめていたらしい。
そう、ドモンは思いながらも彼の目がどうしても気になったのだ。
深く全てを吸い込みそうな瞳。
だけど、その奥にあるのは深い悲しみとそして。

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182 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 03:59:46 ID:BpZ29xhq
(……何だ? あの憎しみは?)

耐え切れない深い憎悪。
そう、まるで昔の自分のような。
底知れないモノをその男を持っていた。

「えっと、ホシノルリといいます。こちらはヴァンさんです。北上中シーブックさんから救援を頼まれ、現在に至ります」
「……そうか、すまない」
「いえ、困った時はお互い様ですから」

ルリと名乗った少女はその後、わかり易くこれまでの経緯をドモンに話していてくれた。
まず、ルリ達は一度獅子に乗ったレーベンという殺し合いに乗ったものと交戦したという事。
そしてその後街角にて誰か居た形跡を発見したという事。
次に、ドモンが気絶した後の事でその中で

「そうかジャミルは……」
「はい……無事だといいんですけど……」

ジャミルが自分達を逃し一人戦場に残っている事を知った。
後事を自分に託して。
それを知った時、ドモンはジャミルがシンを救おうとしている事を知ったのだ。
そして、未来をシーブックに懸けている事も。
だからこそ、ドモンは気持ちを新たにする。
今度は自分の番だと。
シーブックを育て、未来を繋げるのは今度はドモンの番だと思ったのだ。
ジャミルがどうなっているかは解らない。
しかし、託したというのならばそこで命を散らす覚悟もあったのだろう。
だからこそ、ジャミルの意志はつがないといけない。何としてでも。

「俺たちの事は……」
「あ、はいもう粗方シーブックさんから聞いたので大丈夫です。粗方の情報交換は既に終えました」

そういいながらもルリは名簿欄の所に要注意人物と新たに書き込まれたシンの名前を見る。
ヴァンと同じく復讐に身を焦がす者。
もしかしたらヴァンもそうなってしまうのだろうか?
復讐者の末路はそうなってしまうというのだろうか?
違うと即座に否定した。
そんな悲しい事はなって欲しくない。
アキトさんだってきっと……

「おい……ちょっといいか?」
「何だ?」
「かぎ爪の男知っているか?」
「いえ……」
「知らないな」

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185 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 04:00:49 ID:BpZ29xhq
ルリの思考と断ち切るように今まで黙っていたヴァンが口を開く。
それはやはり復讐の事で。
ドモン達に自分の復讐したいものの事を聞いていた。
知らないという二人の問いに別に残念そうにする事もなく

「そうか」

と短く返事をしただけ。
それで、その話は終わるはずだったのだが……

「待て、ヴァン」

そこで、話を続けさせようとする者が一人。
ガンダムファイター、ドモンカッシュだった。

「お前、その男を見つけてどうする?」
「……」
「言わなくても……解る。復讐だろう?」
「……!? 何でそれを?」

己が真意を当てられ若干驚くヴァン。
ドモンの表情は真剣そのもので。

「俺もお前と同じだったからだ」
「……何?」
「同じく復讐に心を焦がしていた時期があったからわかる。お前の目は昔の俺と一緒だ」

昔と同じヴァンをただ見据えていた。
ヴァンは何も言わず、ただ、その目でドモンを見つめるだけ。
しかしやがて口を開き

「……で? 止めろとかぬかすのか?」

そう、短く言い放った。
ヴァンに会ったものが多くいうように。
無意味だから止めろなどとこの男も言うのだろうかと。

「いや、そうとは言わん」
「何?」
「だが憎しみだけで戦ってどうするというんだ? お前は」
「……」
「その先にあるのは空っぽしかないんだぞ……憎しみで心を染めて何になる?」

先刻戦ったシンの時のように言葉を続ける。
憎しみで戦ったってどうするのか?と。
その先にはあるのは空っぽだと。
ヴァンはただ、ドモンを見据えて。

そして


「知らねぇよ。それに憎しみの何が悪いんだよ」


そう、言い切った。
憎しみの何が悪いと。
心の底から、そう思ったから。
ただ、ドモンを見据えて。
強く、強く、そう言い切った。

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189 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 04:01:43 ID:BpZ29xhq
ドモンはその返事にただ黙ってヴァンを見据えている。


その時間がずっと続くかと思われたその時



「ダイゼンガー!」


響く爆音。
そちらの方向を向くと巨大な機体が全速力で現れたのである。
ヴァン達は即座に臨戦態勢にはいろうとする。

「ロボ、降ろして!」

その少女の言葉と共に大きな機体は進軍を止め地に跪き、パイロットを下ろした。
その少女は全速力でヴァン……もとい、機体に向かって走ってくる。
ドモン達はその様子に殺し合いに乗っているというより、誰かを見つけて必死に走ってきているという事を察した。

「ゼンガー! ゼン………………違う…………こんな黒衣を纏ってない」

そして、少女がダイゼンガーの元、ヴァンの元に駆け寄っていくがヴァンの姿を確認した同時にその顔は落胆に染まる。
その少女――イルイは逆にそのヴァンの表情を見て、驚く。
その目は憎しみに染まってる……けどその中に何かを失った悲しみがあるような気がして。
イルイはそのまま立ちすくんでしまう。

「あん……?…………黒衣か…………よし、次から『黒衣のヴァン』だ」

ヴァンはその少女の姿に若干驚きながらもその少女の言葉にヴァンは何となく呼び名を代えてしまう。
そして次に聞こえてきた声の方向に向く。

「イルイちゃーん! 待ってー!」
「おーい! 大丈夫かー!?」

現れたのはまた少年少女達。
その中の銀髪の少女がヴァン達を確認して

「…………はぁはぁ……すいません私達は殺し合いに乗ってません……よければ少し話したいのです……が……」

息も絶え絶えの様子で伝える少女。
ルリは安全だろうと判断し少し溜息をつきながらも

「了解です。とりあえず、そちらの機体をこちらに寄せてください」
「……あ、はい……分かりました」


そしてここに七人の殺し合いを打倒しようとするものが集まったのである。







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192 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 04:02:41 ID:BpZ29xhq

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇








ルリにとって三回目の情報交換は極めてスムーズに行われたといっていいものだった。
何故ならテッサ自体が艦長であり、またそういった人や情報を纏めるのに適した人物であった為簡単にいったのである。

そこでルリ側が得た情報は危険人物の情報とテッサ達のこれまでの行動。
それは暗黒将軍と呼ばれる者。
次は紫色の機体操るレイ・ザ・バレル。
そして、ドモンの話でも出てきた大斧を操る機体の事だった。
またその三体とダイヤ達で戦闘が行われた事。
そして、ダイヤの仲間と五飛の生存が絶望視されてる事も伝えたのだ。
後、テッサが最初に乗っていたガンバスターという大きな機体の事も手に入れる事が出来た。

大斧を使う機体というのにヴァンが僅かに反応し、なんとも言えない表情を浮かべたのだが其処までだった。
その後は何の表情を浮かべず話を聞いていた。
ちなみに、テッサたちもかぎ爪の男の情報知ってはいなかった。

テッサ側が得た情報はシーブックとルリたちが事前に情報交換で得た情報と同じで。
それはテッサ達にとっても有益だった。

また、その中でお互いが異世界から連れてこられたという推論を確認しあった。
お互いにすむ場所も組織もバラバラなのである。
半信半疑のものも居たが受け入れざる終えなかったのだ。

そして、情報交換が終わり

「じゃあ、これからどうしましょう?」

今後についての打ち合わせをしようとし始めた。
その時、ダイヤがふと呟く。

「俺は……仇をとりたい。剣児さんの。もしかしたら……五飛さんのも。暗黒大将軍や、あの殺し合いに乗った奴に仇討ちをしたい」

胸に秘めた敵討ちを。
ただ、悔しかった。
二回も護られてそして仲間を失った。
しかも、同じ相手に殺されてる可能性もあるのだ。
それが悔しくて、自分の無力が嫌で。
ダイヤはただ、無念を果たしたかった。
そこに憎しみはあるかどうかはわからなかったけれども。
他の皆がそれを聞いて押し黙っている時

「ダイヤ。お前にはまだ早い」

そう口を出したのはドモンだった。
ダイヤはそのドモンの意見に驚き、突っかかる。

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197 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 04:04:19 ID:BpZ29xhq
「何で!?」
「お前はまだ若い……そして、まだ非力だ」
「……っ」
「ダイヤ、お前が前の戦闘で無茶をして、テッサやイルイを危険にさらしたのを忘れた訳では無いだろう?」
「…………」

そう、ダイヤはまだ未熟すぎるのだ。
軽率の行動でテッサやイルイを危険をさらしたのは事実。
そして、力が無い上で仲間を失ってしまった。
敵討ちを否定する訳ではない。
しかし、まだ力が足りない。
そして、ドモンはまだ未来ある子供を此処でつぶしたくなかったのだ。
だからこそ

「お前の怒りは俺が代わりに果たす」
「え?」
「元はといえば俺が最初アマンダラを取り逃がしたのも原因だ。ならばこの見の不手際は自分で果たす」
「だけど……」
「ダイヤ。お前は強くなれ。そして皆を護れる力をつけるんだ」
「…………はい」

ドモンの力強い言葉。
ダイヤは頷くしかなかった。
ドモンは代わりにアマンダラ達を討とうといったのだ。
その意志にダイヤは同意し、強くなる事を誓う。

「よし、ならば、一旦街により、補給の後、俺はお前達が戦った戦場に向かう」

そして、ドモンが提案したのは戦場に向かうという事。
そこで殺し合いに乗った者たちがまだ居るというのなら討つ。
それがドモンの考えだった。

「……仕方有りませんね。解りました」
「すまない……そしてシーブック。お前も来るか?」
「えっ……?」
「ジャミルに託された事をはたしたい。どうだ?」
「…………はい。俺もついていきます」

ジャミルが託した事をそれを果たす。
ドモンはその意志の元にシーブックを誘い、そしてシーブックもそれに乗った。
テッサはそれを仕方ないと見ながら

「じゃあ、中央でおちあいませんか?……そうですね。Dー4で4〜5時の間に」
「わかった。それでいい」
「解りました……では私達は……」

テッサが何かを言おうとしたその時だった。
ヴァンが急に立ち上がって

「……あー、もういいか?」
「……え?」

すたすたと機体の方向に向かって去ろうとする。
ルリとテッサは驚いてヴァンに声をかけた。

「どうしてですか!?」
「俺はかぎ爪を殺せればそれでいい。馴れ合ったりするのは御免だ」

そう、短くテッサに告げる。
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201 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 04:05:21 ID:BpZ29xhq
ヴァンは復讐さえできればいいのだ。
その為に馴れ合うなど必要ないと考えたから。
もう、必要な情報は集まった。それ故に去ろうとする。

「……仕方ないですね。テッサさん」
「はい?」
「私はヴァンさんについていきますので。北に向かいハッキングを仕掛けようと思っていますのでもし中央に戻れたらその時情報をまたあげますね」
「…………しょうがないですね。わかりました」
「もしヴァンさんが戻る時が無かったら信頼出来る者が出来たらその人に託そうと思います」
「わかりました。ではこちらは首輪について調べようと思います」
「了解しました」

ルリは元々の約束通り、また個人的にもヴァンには着いていきたい。
そのためにもルリは短くテッサと目的と今後の方針を伝え納得させる。
テッサとしてもルリを縛る権利など無いから、ルリの意見を飲んだ。
そして、ヴァンは機体に乗り込んで、出発しようとする。
その時だった。

「ヴァン。お前は復讐を成した後、どうする?」

ドモンがヴァンに対してそう問いかける。
復讐を成した時、ヴァンはどうするつもりなのだろうか?
空っぽにはならないのだろうかと。
だが、ヴァンは

「しらねぇよ、先に復讐を終わらしてからだ」

そう短く言った。
そんな先のことなど知らない。
今はただ、目の前の事に突き進むのみ。
それがヴァンだから。

「おい、坊主」

ヴァンは最後にダイヤに対して言葉を残す。
それはヴァンが考えている事で。
何事にも変えられない信念。


「もし、仇をとるんだったら自分自身の手で行え。それにこそ意味があるんだ。他人に任せるのは意味がねぇんだよ」

そう、仇を自分自身の手をとる事を告げ。

「じゃあな」

そのまま、加速し去っていく。
ルリは軽く会釈をし、ヴァンについていった。


(俺は……)

そして、ダイヤに残る二人の男の言葉。
ドモンとヴァンの言葉。
その意味を反芻しながら、強く誓う。
強くなる事を。





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206 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 04:06:47 ID:BpZ29xhq

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「ヴァンさん」
「……ああ、何だ着いてきたのか………………ええと、どちらさ……」
「ルリです。いい加減憶えてください」
「……すいません」

覇気の無い言葉で謝るヴァン。
ルリは溜息をつきながらもヴァンの前に立つ。

「第一、ハッキングすると言ったじゃないですか? そういう条件でしたけど?」
「ああ……そうだったな」
「忘れてもらっては困ります。いきますよ」

そう言ってまた進むヴァン達。
ルリは進みながらも思う。
ドモンの言葉を受けてからのヴァンの言葉。
それをアキトに重ねて。

(アキトさんなら……どう返したんでしょうか?)

そう、心の中で呟く。
戯言でしょうかと思いながら、後ろを振り返る。

そこには同じく復讐者の黒衣の男がゆっくりと進んでいた。


その姿を確認して、ルリは短く溜息をついたのだった。


【ヴァン 搭乗機体:ダイゼンガー(バンプレストオリジナル)
パイロット状況:良好
機体状況:斬艦刀verダンの太刀装備、ガーディアンソード所持 胸部にダメージ中 全身に軽い焦げとダメージ小
現在位置:B-4 北部
第一行動方針:北進してカギ爪の情報を集める。中央に集まるかは未定。
第二行動方針:エレナの仇、カギ爪野郎をぶっ殺す!あん、未参加?まだ決まったわけじゃねぇ!
第三行動方針:ダンを取り戻す。
第四行動方針:ルリと共に施設を目指し、カギ爪の男の情報を集める。
最終行動方針:エレナ……。カギ爪えええええええええええッ!
備考:斬艦刀を使い慣れたダンの太刀、ヴァンの蛮刀に変形できます】


【ホシノルリ(劇場版) 搭乗機体:フェアリオンGシャイン王女機(バンプレストオリジナル)
パイロット状況:良好
機体状況:アサルトブレード装備、中破、EN消費(中)
現在位置:B-4 北部
第一行動方針:北に向かう。できれば中央に戻りたいが、出来なかったら次に遭遇した信頼出来る者に託す。
第二行動方針:街でハッキングに役立つ道具や施設を探す。
第三行動方針:ヴァンと共に行動する。
第四行動方針:自身のハッキング能力を活かせれる機体を見つけたい
最終行動方針:シャドウミラーを打倒する
備考:ヤマダ・ジロウ(ガイ)は同姓同名の別人だと思っています】


【一日目 12:30】
第三次スパロボキャラバトルロワイアル4
211 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 04:08:13 ID:BpZ29xhq


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「ドモンさん」
「なんだ?」

ドモン達はダイヤ達から先行して、街に向かっていた。
恐らくあるであろう補給ポイントにて手早く補給して、戦場に向かわなければならないのだ。
もう街を見えてきた頃、不意にシーブックは口を開く。

「ジャミルさんは僕に未来を託し、強くなれといいました」
「ああ」
「……強くなれるんでしょうか?」

そのシーブックの不安にドモンは力強く返す。

「なれるさ、お前が強くなろうし続ける限り」
「……はい、そうですね」

そのドモンの言葉にシーブックは頷き思う。

強くなろうと。
そして、未来を繋ぎ、元の世界に返ろう。

そう心に誓い、前を見る。

空は蒼く、太陽は輝いていた。


【ドモン・カッシュ 搭乗機体:ボン太くん(フルメタル・パニック? ふもっふ)+キングゲイナー(OVERMANキングゲイナー )
 パイロット状況:健康
 機体状況1(ボン太くん):良好、超強化改造済み、ガーベラ・ストレート装備
 機体状況2(キングゲイナー):小破、全身の装甲に軽い損傷、EN60%
 現在位置:B-4 街前
 第零行動方針:まず補給し、その後東に向かう。4〜5時にはD-4に向かう。
 第一行動方針:他の参加者と協力して主催者打倒の手段を探す
 第二行動方針:シンを助けたい
 第参行動方針:ダイヤとシーブックに期待。ヴァンには複雑な思い。
 最終行動方針:シャドウミラーを討つ
 備考:ボン太くんを着たままキングゲイナーを操縦しています】

【シーブック・アノー 搭乗機体:デスティニーガンダム+ミーティア(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 パイロット状況:健康
 機体状況:EN50%、ミーティア接続中
 現在位置:B-4 街前
 第一行動方針:まず補給し、その後東に向かう。4〜5時にはD-4に向かう。
 第二行動方針:仲間と情報を集める
 第参行動方針:ジャミルの遺志を継ぐ。ジャミルの生存は絶望視
 最終行動方針:リィズやセシリー、みんなのところに帰る
 備考:謎のビデオテープを所持】

【ミーティア(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 機体状況:残弾60%、右アーム切断
 備考:核以上の出力があり20m前後のモビルスーツ程度の大きさならば、どんな機体でも着脱可能に改造されています】


【一日目 12:00】
第三次スパロボキャラバトルロワイアル4
215 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 04:09:32 ID:BpZ29xhq



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「さて、そろそろ行きましょうか」
「うん」

少し、その平原にて休憩を取った後、テッサ達は最後に七人が集まった平原から立ち去る事にした。
ジャイアントロボに乗り街を目指す中、ふとイルイが呟く。

「……ゼンガー」

それはやはりこの殺し合いに居ない男の事で。
それほどまでにイルイはゼンガーを信頼していた。
ダイヤをその様子を見てこう言う。

「大丈夫、俺がイルイを護ってみせる。もっともっと強くなって……今度こそ……絶対!」

そのダイヤの宣言はとても力強くて。
ダイヤとしても、もう二度と誰も失いたくないから。
その言葉には確かな遺志と心が篭っていた。

「……………………うん」

そんな眩しい様なダイヤをみて、イルイはかすかに、それでも確かに笑ったのだった。


【一日目 12:30】

【ツワブキ・ダイヤ 搭乗機体:なし(ジャイアント・ロボに同乗中)
 パイロット状態:良好
 機体状況:なし
 現在位置:B-4 平原
 第一行動指針:とりあえず街に向かい情報を集める。4〜5時にはD-4に向かう。
 第二行動方針:仇をとる? ヴァンとドモンの言葉にたいしては……?
 第三行動方針:イルイ、テッサをもっと強くなって護る。もう誰も失いたくない
 最終行動方針:皆で帰る】

【イルイ(イルイ・ガンエデン) 搭乗機体:なし(ジャイアント・ロボに同乗中)
 パイロット状態:良好、
 機体状況:なし
 現在位置:B-4 平原
 第一行動指針:ダイヤ、テッサと一緒にいる
 最終行動方針:ゼンガーの元に帰りたい
 備考:第2次αゼンガールート終了後から参加】

【テレサ・テスタロッサ 搭乗機体:ジャイアント・ロボ(ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日)
 パイロット状況:良好
 機体状況:全武装の残弾50%、全身の装甲に軽い損傷
 現在位置:B-4 平原
 第一行動方針:とりあえず街に向かい情報を集める。4〜5時にはD-4に向かう。
 第二行動方針:仲間を探し、部隊を形成する
 第三行動方針:首輪を外す
 最終行動方針:バトルロワイアルからの脱出】
第三次スパロボキャラバトルロワイアル4
218 :未来を繋げる為に、強く生きる為に ◆UcWYLVG7BA [sage]:2010/02/04(木) 04:10:31 ID:BpZ29xhq
投下終了しました。
此度は延期してしまい申し訳有りません。
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