- 第三次スパロボキャラバトルロワイアル2
422 : ◆ZbL7QonnV. [sage]:2010/01/07(木) 11:12:34 ID:yiQLTKI6 - アルベルト投下します。
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423 :バッドラックは突然に ◆ZbL7QonnV. [sage]:2010/01/07(木) 11:13:37 ID:yiQLTKI6 - 「……無人、か」
D-6エリア南部の町に、男の声が響き渡る。 眼帯と銜え葉巻が特徴的なその男は、誇り高きBF団十傑集の一人、衝撃のアルベルトに他ならない。 彼はC-7エリアにて戦闘を行った後、比較的近辺に存在していた施設を目指していた。 シャドウミラーと名乗った組織が何者であるのかは知らない。 だが、衝撃のアルベルトは、あくまでBF団に忠誠を捧げた戦士である。 自分の命が握られているからとはいえ、偉大なるビッグ・ファイア以外の命令に従うような真似は、彼のプライドを逆撫でする結果となっ ていた。 だが、現状のアルベルトに打つ手は無い。自分の身に生じている異常事態を、BF団に伝える手段が無いからだ。 たとえ通信機が無かったとしても、アルベルトは愛娘であるサニー・ザ・マジシャンと精神的な繋がりを持っている。 彼女を通じて事態の報告を行う事さえ出来れば、こんな下らない殺し合いを続ける必要は無くなる。 シャドウミラーと言う組織が如何ほどの力を持っているのかは知らないが、無名の組織如きがBF団に勝ると言う道理はあるまい。 BF団との連絡を付けさえ出来れば、後はもうシャドウミラーとやらの命令に従う必要も無くなる。 あのヴィンデルとか言う男を抹殺して、組織を壊滅状態に追い込む事は余裕で可能なはずであるからだ。 そうする事が出来ないのは、どうやったのかサニーとの精神的な繋がりを絶ち切られているが故の事であった。 (テレパシーのジャミングか? まったく、姑息な真似をする連中よ) ……おそらくは、サニーを通じて混世魔王・樊瑞にも、アルベルトの身に異常が生じた事は伝わっている事だろう。 詳しい事情はわからずとも、何らかの異常事態が生じた事はBF団側も理解しているはずだ。 通信装置の一つでも調達して、自分の状況を外部に知らせる事が出来れば、あの気に入らない連中を即刻片付る事が出来る。 そう思って、アルベルトは雪原を突っ切り町に向かった訳だが―― 「……それにしても、えらく前時代的な街並みよ。今時、発電施設とは。シズマドライブが全く見当たらん」
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424 :バッドラックは突然に ◆ZbL7QonnV. [sage]:2010/01/07(木) 11:14:53 ID:yiQLTKI6 - 無人の町を調べた結果は、アルベルトの頭に疑問を植え付けるだけであった。
シズマドライブ。アルベルトが元居た世界で使われている、完全リサイクル可能で無公害なエネルギー。 全世界で標準的に使われているはずのそれが、この町では全く見当たらない。 いや、それだけではない。 BF団と連絡を行うべく探し求めていた通信機は見当たらず、これまた時代遅れの電話機があるばかり。 その電話にしても回線は途絶えており、全く使い物にならない状態となっていた。 そもそも、これだけ大きな町がゴーストタウン化している事がおかしい。 生活の痕跡自体は存在するのだ。 まるで住人だけが一瞬で消えてしまったかのように、生き物の姿だけが見当たらなくなっている。 ……戦士としての経験と直感が告げている。 この町は……いや、この“世界”は、どこかおかしい……。 「……ちっ」 苛立たしげに舌打ちを鳴らして、アルベルトは考えを止める。 どうでもいい、詮無き事だ。 道路の真ん中に立ちながら、アルベルトは名簿を広げて目を通す。 名簿に記された参加者の名前を確認するが、この殺し合いに招かれたBF団の人間は自分だけ。 おまけに参加者の中には国際警察機構の九大天王である、静かなる中条も招かれているらしい。 生涯の宿敵である神行太保・戴宗でない事だけは残念だが、九大天王の一人を仕留める機会が訪れたと考えるなら、今の状況は悪くない。 つまらない思索に時間を取られるくらいなら、この強敵を倒す為に全力を注ぎ込むべきだ。 それでこそ、BF団十傑集! それでこそ、衝撃のアルベルト! 「ご期待下さい、我等が偉大なるビッグ・ファイア。目障りな国際警察機構の九大天王は、この私が必ず始末してご覧に入れましょう」 得体の知れない不安を振り切って、アルベルトは雪原の町を後にする。 だが――
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425 :バッドラックは突然に ◆ZbL7QonnV. [sage]:2010/01/07(木) 11:15:52 ID:yiQLTKI6 -
「ん……?」 ……町を抜けて、しばらくの事である。 雪原を走り続ける彼の耳は、不気味な轟きを感じ取っていた。 ひどく、嫌な予感がする。 このままでは、なにか拙い事が起こってしまいそうな。 命の危険は感じない。 だが、これは……いったい、何の予感だ? ……アルベルトは知らない事だが、今と時を同じくしてD-6エリアでは激しい戦いが繰り広げられていた。 カナード・パルスと、アナベル・ガトーの戦いが、大きな山を隔てた向こう側で行われていたのだ。 両者の戦いは熾烈を極めて、そして攻撃の余波によって雪崩が引き起こされるに至った。 もう、お分かりの事だろう。 アルベルトの感じた不安が、何を感じ取っての事だったのかは。 ズズ、ン…………! 轟き渡る、低い音。 ゆっくりと山の上に視線を向けてみると、なにか真っ白い奔流が勢いを付けて落ちて来る様子が目に見えた。 ……いや、持って回った言い方は止めよう。 雪崩、だ。 大量の雪が山頂から滑り落ちて来ている……! 「なぁ…………!?」 運悪く山の麓を走っていたアルベルトにとっては、不運の極みと言うしかなかった。 大量の雪が―― 轟音と共に押し寄せて――――!
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426 :バッドラックは突然に ◆ZbL7QonnV. [sage]:2010/01/07(木) 11:17:17 ID:yiQLTKI6 -
……まあ結論から言うと、アルベルトは生きていた。 自然の猛威は恐るべきものだが、十傑集たる者、雪如きに押し潰されて死んだとあっては末代までの恥だ。 超人的な身体能力と、衝撃波を自在に操る力によって、アルベルトは無事に雪崩をやり過ごしていた。 ああ、いや……無事と言ったら、少し語弊があるかもしれない……。 「……………………ぶあーーーーーーーっくしょい!!!!!」 ……びしょ濡れであった。 雪解けの水が凍り付き、アルベルトの身体を凍えさせていた。 BF団十傑集であるアルベルトは、雪崩に殺されると言う事は無かった。 それどころか、怪我を負う事すら全く無かった。 それは、確かに驚くべき事である。 だが、この状況を見ては決して無事に済んだとは言えまい。 いくら超人的な身体能力を持つとはいえ、アルベルトも人の子である。 極寒の雪原で氷漬けになっていたら、まず間違い無く凍死してしまう事だろう。 「さ……寒い! 寒いぞ! 何故だ……何故急に雪崩など……!? い、いや、今は暖を取る事が先決……! そ、そうだ……! さっきの町になら風呂が……!」 ガチガチと凍えた身体を震わせながら、アルベルトは元来た道を引き返して行く。 ……風呂だ。 今はとにかく、熱い風呂に入りたい。 【衝撃のアルベルト 搭乗機体:なし パイロット状態:めっちゃ寒い……! 現在地:D-6 山麓(南側) 第一行動方針:風呂だ、風呂! 第二行動方針:静かなる中条を抹殺する 最終行動方針:参加者、次いで主催者を狩る 備考:サニーとのテレパシーは途絶えています】 【一日目 8:30】
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427 : ◆ZbL7QonnV. [sage]:2010/01/07(木) 11:18:05 ID:yiQLTKI6 - 以上、投下終了。
次回お色気シーンの予感……!
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