- テクモの板垣氏が7月1日付で退社、また同社と安田社長を提訴 Part2
51 :名前は開発中のものです[sage]:2009/01/05(月) 23:36:48 ID:kmnkLOIA - 事件の分類: セクシュアルハラスメント
(その他) 事件名: 損害賠償等請求事件 いわゆる事件名: 「夕刊F」セクハラ報道名誉毀損事件 事件番号: 東京地裁―平成18年(ワ)25914号 当事者: 原告 個人1名 被告 個人1名 その他 被告補助参加人 S新聞社 業種: サービス業 判決・決定: 判決 判決決定年月日: 2007年12月05日 判決決定区分: 棄却(確定) 事件の概要: 原告はA社の執行役員であり、被告は同社の元女性社員であるところ、 被告は平成18年9月11日、原告からセクハラを受けたとして、原告及びA社を被告として、 連帯して1000万円の損害賠償を請求する訴え(別件訴訟)を提起した。
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52 :名前は開発中のものです[sage]:2009/01/05(月) 23:37:58 ID:kmnkLOIA - 新聞社である補助参加人は、日刊紙「夕刊F」平成18年11月8日号紙面上に、「「DOA」より
過激だったセクハラ技」との大見出しを付し、原告が被告に抱きついたり、キスをしたり、強引に ホテルに連れ込もうとしたりしたセクハラ行為についての本件記事を掲載・発行した。 これに対し原告は、本件記事は、一般読者に対し、原告が被告の意に反して自己の優位な 地位を利用して性的な行為を強要したと原告の社会的評価を低下させる事実を記載して その名誉を毀損したこと、被告は興味本位の事実を娯楽として提供する夕刊Fに本件記事が 掲載されることを認識しながら、補助参加人に対し情報を提供したこととして、被告に対し 不法行為に基づき慰謝料500万円の支払いを請求するとともに、夕刊Fへの謝罪広告の掲載を請求した。 主文: 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 判決要旨: 1 本件記事の名誉毀損性 新聞記事の見出しは、まず読者の目を引く部分であり、読者に本文記事の内容を推知させるものと いうことができるところ、確かに本件記事には「セクハラ技」との部分が特に大きな活字ポイントで 記載された大見出しがあり、本件記事中には「タクシー車内で強引キス、出張先では関係迫り」、 「口の中に舌まで」、「不適切な行為」、「被害者は逆に解雇迫られ」との小見出しがあるなど、 セクハラ行為を特に示した記載がある。更に本件記事中には「元社員から1000万円請求された 超人気ゲーム開発責任者」との小見出しなど、セクハラ行為と原告を結びつける見出しがある。 上記大見出し及び各小見出しのみに着目すれば、本件記事が一般読者に対し、 「超人気ゲーム開発責任者」(原告)が、「元社員」(被告)に対し、「タクシー車内で強引キス、 出張先では関係迫り」、「口の中に舌まで」との、「「DOA」より過激なセクハラ技」を行い、 その後「被害者」(被告)が「逆に解雇を迫られ」た一方、「超人気ゲーム開発責任者」(原告)が 「不適切な行為」により「降格」させられた、との印象を与えるといえないわけではない。
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53 :名前は開発中のものです[sage]:2009/01/05(月) 23:39:20 ID:kmnkLOIA - しかしながら、他方で、本件記事には、「東京地裁で裁判中」との小見出しも記載されており、
本件記事の見出しのみを捉えても、被告がセクハラ行為を受けたことを原因として損害賠償訴訟を 提起し訴訟係属中であるとの印象を与えるものということができるのであって、本件記事の見出しのみから、 本件記事の名誉毀損性を判別することはできない。また、読者は見出しのみならず本文記事を全体として 通読するのが通常であるから、新聞記事の名誉毀損性を判断するに当たっては、原則として見出しのみならず 記事全体から受ける印象をもって判断すべきである。 本件記事の冒頭には、「原告(39)が、被告(31)から「セクハラされた」と東京地裁に1000万円の 損害賠償請求訴訟を起こされていることが分かった。」と、セクハラ行為に関し訴訟が提起されたことを示す 記載があるほか、「彼女は9月8日に同社を退職すると、10日に原告と同社を提訴」と、訴訟が係属中で あることを示す記載がある。そして、これに続いてセクハラ行為に関する記載がされているが、それらは 「訴状や本人の話によれば」と断って記載されており、あるいは「という。」との表現によって、事実としてではなく、 被告の別件訴訟における主張であることが明示されている。また、本件記事には、「社内調査に原告はキスなどは 認めながら、「同意の上の恋愛だった」と主張。」として、A社内の調査段階における原告の主張や、補助参加人の 取材に応じたA社担当者のコメントが記載されている。これらの記載と前記訴訟係属の記載を併せ読むと、 本件記事には、本件セクハラ行為の有無について、訴訟において原告及びA社が争っていることが示されており、 別件訴訟における本件被告の主張が正当なものであるか否かは裁判所の判断を待って初めて判明するものであるから、 一般読者が、直ちに、被告の主張する本件セクハラ行為が真実であると受け取るということはできない。 以上によれば、一般読者の普通の注意と読み方を基準として本件記事全体を見た場合、本件記事は、被告が、 原告から本件セクハラ行為を受けたことを原因として、原告に対し損害賠償請求訴訟を提起したこと及び同訴訟に おける本件被告の主張を摘示したものということができる。
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54 :名前は開発中のものです[sage]:2009/01/05(月) 23:40:31 ID:kmnkLOIA - 2 被告の補助参加人に対する情報提供行為の違法性
被取材者が、故意又は過失により、新聞社に第三者の社会的評価を低下させる情報を提供し、その結果、 第三者の名誉を毀損する新聞記事が報道され、これにより第三者の社会的評価が低下した場合、当該第三者が その情報提供行為について被取材者に対し不法行為責任を問うためには、被取材者の情報提供と第三者の 社会的評価の低下との間に相当因果関係が必要である。もっとも、一般に新聞記事は、新聞社の取材と編集の 過程を経て作成されるものであるから、被取材者が提供した情報又は発言内容等がそのままの形で記事内容と なるということはできず、被取材者としてもそのような事態を予見していないのが通常である。したがって、被取材者の 情報提供を原因として第三者の名誉を毀損する新聞記事が報道され、これにより第三者の社会的評価が低下したとしても、 通常は被取材者の情報提供と第三者の社会的評価の低下との間に相当因果関係を認めることは困難である。 他方、被取材者が、第三者の社会的評価を低下させる情報をそのままの形で記事内容とすることを新聞社と予め 意思を通じた上で取材を受けた等の特段の事情が認められる場合には、被取材者が提供した情報又は発言内容等が、 そのままの形で記事内容になったということができ、また被取材者としてもそのような事態を予見していたということができるから、 上記相当因果関係を認めることができるというべきである。 平成18年10月中旬頃、夕刊F報道部に、フリーライターから原告のセクハラ行為についての情報提供があり、同報道部の 記者が被告と面談して取材し、@被告が原告のセクハラ行為を理由として、原告及びA社を訴えたこと、Aセクハラ行為に関する 事実関係及び原告と被告との関係、Bセクハラ行為についての被告の申入れに対するA社の対応、C被告がA社を退職するに 至った経緯について取材し、同記者はその後補充取材を行った上、本件記事を執筆したと認められる。 この事実によれば、本件記事は、補助参加人の被告に対する取材を契機に、補助参加人の補充取材及び編集を経て、補助参加人の 判断で掲載されたものであって、被告の補助参加人に対する情報提供行為と原告の社会的評価の低下との間に、相当因果関係を 肯定すべき特段の事情を認めることはできない。したがって、仮に本件記事が原告の名誉を毀損するものであるとしても、被告の 補助参加人に対する情報提供行為が、補助参加人との共同不法行為又は独立の不法行為に当たるということはできない。 適用法規・条文: 収録文献(出典): 判例時報2003号62頁 その他特記事項:
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