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SOUND TEST :774
【聞き専】FM音源の曲データ倉庫【PMD/FMP、MDX】5

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【聞き専】FM音源の曲データ倉庫【PMD/FMP、MDX】5
516 :SOUND TEST :774[sage]:2018/11/22(木) 10:59:44.44 ID:htP8zJBk
咆哮が森の静寂をつんざいた。……それは粉砕機の爪に握り潰される金属が発するような甲高い叫び声だ。驚いた鳥が一斉に飛び上
がり、私は目を覚ました。
だが、この森は何だ。ねじ曲がった椰子のような巨大な木々が密生し、太陽の光を締め出している。そして、森の底にようやくたどり着い
たわずかな光をむさぼ るように歯を広げた巨大なシダ類。飛び去る鳥も不格好だ。翼はずんぐりと短く、尾は異様に太く長い。歯の生え
たクチバシ、爬虫類のような冷たい目。
それよりも、なぜ私はここにいるのだろうか。こんな奇妙な土地へ自ら出かけてきた記憶はまったくない。
私は即座に体を起こし、自分の置かれた状況を検討した。
私はなぜか、この場に合った服装をしていた。丈夫な乗馬ズボン、ごついサファリシャツ、それに、過酷なフィールドワークにも耐えられ
そうなロングブーツ。ベルトには昔から愛用し、頼りにしている大型のボウイナイフが鞘に入って下がっていた。そして私は……私は……。
体が凍りついた。私は自分が誰なのかすら分からなくなっていたのだ。私の名前も、ここへ来た理由も、完全に抜け落ちている。私の記
憶は深い真空の空洞に吸い込まれてしまったようだ。
またあの咆哮が遠くから響いてきた。私は我に返り、声のする方向へ歩き始めた。何かが起こっているその場所へ行けば、私の中から
追い出された記憶をたぐる鍵が見つかるかもしれない。
夢かもしれないと、私は頬をつねった。期待に反して痛みを感じた。周囲に意識を集中したが、私が知覚する物事はあまりにも詳細で、
夢とは思えないほどだ。 頭上をおおっている緑の屋根を貫いて数百本の銀色の光線が降り注いでいる。のしかかるような重い湿気を
含んだ空気、ジャングルの生命感に溢れた種種雑多な 臭い。これが夢だとしたら、危険なほどに現実的だ。
歩いていくうちにジャングルの中の小さな空き地に出た。頭の上には、木の枝やシダの葉が長いひさしを作って太陽を遮っていたが、
一ヶ所だけ、目映いばかり の黄金の陽光が空き地の中央を照らしていた。私はさらに歩を進め、身の安全を確保しながら、あの恐ろし
い叫び声の原因を見極めようと体の位置を動かした。
空き地の緑まで来たとき、私は動くものを確認した。スピアを構えて空き地の上に優雅に動く柔らかいシルエット。それが光の筋をか
すめたとき、私は照らし出された姿を見た。
若い女性だ。
彼女はこの土地の人間だ。私のようなよそ者ではない。彼女の小さな衣装は、斑点のある豹の毛皮の切れ端のようだ。手にしている
スピアの穂先は石器だ。その淡褐色の肌はアメリカ原住民を思わせる。そして彼女の顔だちは…。
彼女は決してモデルクラブが理想とするような整った生意気そうな顔立ちではないが、なかなかどうして、美しい。茶色の目は鋭く、知
性と集中力にみなぎって いる。わずかに開いた唇には何の感情も表れていないが、男心を惹きつける愛らしい微笑みを浮かべるよう
にできている。振り乱された豊かな黒髪は自然のまま で、手入れを拒んでいるように見えるが、1000人の美容師が束になっても、この
スタイルを真似ることはできないだろう。彼女の動きにはバランスと自信が 感じられる。まるで人間の女に生まれ変わったジャングルの猫族だ。
私は音を立ててしまったようだ。彼女は警戒してこちらを振り向いた。光の筋が彼女に当たった。彼女は私に顔を向けている。私には
気付いていないようだが、死線はこちらにじっと固定したままだ。豹に睨まれた小動物のように、私の体は硬直した。
またあの金属的な叫び声が響いた。ちょうど空き地の向こう側から聞こえてくる。彼女は咄嗟に振り返った。そして彼女と私は同時に、
その声の主を目撃したのだ。
地響きを立てて暗がりから躍り出たそのシルエットは、2階建ての家ほどもあっただろうか。巨大な爬虫類だ。太い2本の足で歩いてく
る。体全体が影におおわれていたが、2列に並んだ鋸のような牙だけが、木漏れ陽を反射して輝いていた。
それは、血に飢えた急行列車のように彼女に突進していく。考える間もなく、私も彼女に向かって突進した。だが、何のために…?歩く
人喰いマシンから彼女を 救って逃げるためか?それとも、あの爬虫類を倒して粉々に切り刻むためか、この貧弱なナイフ1本で…?そ
のときは何もわからなかった。何も考えなかった。 行動があっただけだ。
ところがその瞬間、私が立っている場所を残して、周囲の光が消えた。音も、湿気も…まるで誰かが電気を消して一瞬にしてセットを壊し
てしまったようだ。私は立ち止まった。周囲を警戒し、すでにアドレナリンが全身に回っていたが、なんとか落ち着こうと試みた。


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