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俺より強い名無しに会いにいく
【XBOX360/PS3】バーチャファイター2 Part12【VF2】

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【XBOX360/PS3】バーチャファイター2 Part12【VF2】
567 :俺より強い名無しに会いにいく[sage]:2013/04/08(月) 10:26:06.50 ID:SP8I2z5O0
キングの朝は早い。今朝もいつもと同様5時には起床し身支度を整える。
彼が代表を務める会社は、今や業界では知らない者がいない規模に成長していた。
若い優秀な従業員達は仕事への熱意に溢れ、それを眺めるだけで今後の成長も十分に期待できると分かる。
キングは、ビジネスの一線から退いていた。
彼が20代前半の頃に興した会社は、半ば彼の手から離れたと言ってもいいだろう。
彼の指示を待つまでもなく、従業員達はビジネスシーンの先を読み、的確な動きをしてくれている。
小屋のような社屋で始めた仕事だったが、キングは馬車馬のように働き、また時流も彼に味方した。
家族は妻と娘が2人。
起業して一番苦しかった時期に結婚し、子供も授かった。
何もかもが必死だったあの頃。
ビジネスでは顧客先での小さなトラブルでも全力でフォローし、子育ても妻に任せきりにはせず、積極低に関わった。
充実してはいたが、消耗してゆく肉体と精神。
自分が自分でいられる時間など、ほとんど無かった。

その頃に、唯一キングを癒してくれたのが、バーチャファイター2だった。
鮮明なグラフィックと迫力ある音声。
仕事からの帰り道、ふと立ち寄ったゲームセンターでバーチャ2を見たキングは、一瞬で魅せられた。
それからは、週に何日かゲームセンターに立ち寄るのが彼の楽しみになった。
ほんのわずかな時間だが、時間を自分だけのために使える瞬間。
対戦台の向こうには、自分とは全く違う人生を歩む者達がいて、画面越しに対決する・・・
彼らとの接点は、バーチャ2に魅せられたという一点のみ。
それ以外では関わらないであろう者達。
その刹那的な人と人との繋がりも、キングには心地よかったのだ。
消耗しきった心に、何かが満たされたゆくのを感じる。
キングは、バーチャ2に救われたのだ。

あれから20年。
会社は彼の手を離れつつあり、娘も大きく成長し、もう彼の手助けはいらない。
そんな時に、バーチャファイター2が家庭用で復活すると風のうわさで聞く。
脳裏にあの頃の日々が蘇る。
人生の中で最も充実し、また最も過酷だったあの日々。
その頃に出会ったバーチャファイター2。

キングは、今日もPSの電源を入れる。
もちろん、あの宝物のような日々を汚すような戦い方をする者達とは、戦わない。
また、情けない戦いをする者には、激励の死体蹴りも忘れない。
当然のようにPSの中でトップの成績を残すキング。
ダントツで、だ。

キングの脳裏に囁きかけるジャッキーの言葉は空耳だろうか?
「キング、お前はまだ終わっちゃいないよ」

そうか。そうだな。俺もお前も、まだこれからだ。
万感の思いを込め、キングはkouichiに死体蹴りを叩き込んだ。
【XBOX360/PS3】バーチャファイター2 Part12【VF2】
585 :俺より強い名無しに会いにいく[sage]:2013/04/08(月) 21:58:19.94 ID:SP8I2z5O0
富山は夕暮れ迫る町中を、ひたすらに歩いていた。
目に止まった店に入り、目当ての物があるか物色する。
しかし今回の店も外れだったようだ。肩を落とし、また歩き始める。

富山は、20年前の風景を思い浮かべながら歩いている。
当時35歳だった彼は、ひと通りの仕事も覚え、そして2人の男の子にも恵まれた。
それほど大きな会社ではなかったが、仕事内容は充実していたし、
家族の仲も良い方だったろう。

時代は、バブルが崩壊したとはいえ、地方はまだその余韻が多少は残っていた頃だ。
今のようにインターネットも発達していなければ、娯楽の種類もそれほど多くはなかったが、
だからこそ、休日になれば、妻と子供2人を連れドライブに出掛けるのが大きな楽しみだ。

今はすっかり消えてしまったドライブインがそこら中にあった時代。
きらびやかなネオンサインがドライブ途中の家族らを迎える。
普段はあまり食卓に上らない洋食に子供達は喜び、それを幸せそうに眺める富山と妻。
富山自身、子供時代にあまり娯楽を知らないで育ったせいか、いつも適当に近くの
山をドライブして、そしてドライブインで休憩、というのが定番のコースだ。
子供達もそれを喜んでくれたし、今回のドライブもそうなるはずだった。
だが、今回は少し違っていた。あるセガの新しいゲームタイトルがそのドライブインに入荷していたのだ。
子供たちが、そのゲームに走り寄る。
ドライブインのゲームコーナーの一番深いところに設置してあったゲーム名は、バーチャファイター2。
大きなテレビ画面に、2人が座れる長さの椅子がセットになっている。

TVゲームなどまるで無縁だった富山だが、このゲームはひと目見ただけで、これは凄いものが現れたものだと思った。
子供達は、画面に流れるデモ画面を見ているだけで目を輝かせている。
どうやら、1回遊ぶだけで200円もかかるようだ。
普段ならそんな無駄遣いは許さないのだが、あまりに美しいグラフィックと、
それをキラキラした目で眺める子供達を見て、富山は百円玉を用意した。

子供が選んだキャラクターはどうやら忍者のようだ。
青い忍装束に身を包んだキャラクターが、まるで生きているように画面を動きまわる。
どうやら一人目の敵は倒したようだが、二人目でやられてしまったようだ。
時間にして、2分もかかっていないのではないだろうか。
これで200円か・・・・と思う富山に、子供は「すごく面白かったよ!」と言った。
そうか。面白かったか。たまにはこういう遊びも悪くないのかな・・・富山は思った。

それからは、定番のドライブを終えた後に、ドライブインで食事をした際に一回だけ
バーチャファイター2を子供たちに遊ばせるのが彼の家族の習慣になる。
週に一度、たった一回だけのバーチャファイター2。それでも子供達は喜んでくれた。
どうやらこのゲームは奥が深いらしく、色々な戦術があるらしいが、週に一回のプレイではそれは望むべくもない。
ただ、当てると相手が倒れる「旋蹴り」という技と、相手の技を効果的に避けてくれる「バックダッシュ」を
子供たちがよく使っていたのだけは、富山はよく覚えていた。
限られたプレイ回数の中、少しでも長く遊ぼうという子供なりのやり方だったのだろう。

・・・あれから20年・・・・富山の子供達は大きく成長した。
高校を卒業した後に家を出てからは、盆暮れ正月くらいしか顔を合わせなくなってしまったが。
「あいつらこの話を聞いたらどんな顔をするだろう。
父さんが、バーチャファイター2を家庭用ゲームでやっている、なんて話を聞いたなら」
子供達へのプレゼントを探すために歩いている富山だったが、そんなことを思うと自然と顔がにやけてくる。

20年という時代の流れそのものに思いを巡らせ、富山はpesoに旋蹴りを放つ。
スカされて三段を貰うが、それは些細なことなのだ。


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