- シュタインズゲートの牧瀬紅莉栖はヽ(*゚д゚)ノカイバーカワイイ 69
599 :SS[sage]:2011/12/31(土) 10:00:19.05 ID:a5h55m+f0 - 『オサケは二十歳になってから』
どうしてこうなった。 いくら疑問をぶつけても、答えてくれる者はいない。 今日は忘年会だった。ダルやまゆりをはじめ、ラボメン全員でパーティーを開いたのが四時間前。 「クーニャン以外はお帰りの時間ニャン♪」 などとフェイリスがのたまってくれ、それに習って皆がぞろぞろニヤニヤ帰ったのが三十分前。 残された俺達は気恥ずかしさもあり互いに目も合わせられず、ただグラスに集中し続けた。 このままではいけないと、意を決し何か声を掛けようと紅莉栖に視線を移しーーー俺はようやく異変に気付いた。 紅莉栖の雰囲気が、何時もと違っている。何も話さない俺に腹を立てたのかと、恐る恐る顔を覗き込もうとしてーーー 「…おーかーべっ♪」 「ぅおおっっ!?」 およそ紅莉栖に似つかわしくないひどく甘ったるい声で、急に俺に抱き付いてきた。 何だ何だ何だ!? 白昼夢? いや今は夜か。 ってそうじゃなくて。 どうしてこうなった??こうなる要素、何かあったか!? いくら疑問をぶつけても、答えてくれる者はいない。一体、何がーーー? 「…ねぇ、岡部ってばぁ…」 「っ!?」 紅莉栖が俺にしなだれかかるように、増々密着してきた。 「くっくくくくくクリスティーナっ!?い、一体どうしたのだ急に!?って言うか、ちょっと近ーー」 言いかけて、紅莉栖の足元に転がる空き缶が目に留まった。一見するとただのジュースに見える「それ」を見て、ようやく俺は解を得た。 「まさか…これを飲んだのか?」 紅莉栖が飲んでいたのは、お酒だった。いわゆる酎ハイという奴で、たまには良いだろうとダルが買って来たものだ。 ラベルも普通のジュースに似ているので間違えるのも無理はないとは思うが…。 「何故缶酎ハイ一本でこうもベロンベロンになれるのだ、お前は!」 アルコールは五%しか入っていないのだぞ! 「んもう。さっきからうるさいぞー、岡部ェ」 「だっ、誰のせいだ誰の!いいから離r」 「やぁよ」 「なっ…!?」 柑橘系の香りと酒の匂い、そして紅莉栖の甘い匂いが俺の理性を剥がそうとする。 このまま陥落してしまいたい誘惑に駆られるが、どうにかこらえた。 (鎮まれ…我が邪神よ…!) そんな事の抑制を嘲笑するかの如く、紅莉栖はぴたりと吸い付くように離れない。そればかりか、双丘をぐいぐいと押し付けてきなさる。…って、おい! 「あ、あの…だな。その、何だ。む、むむむ胸が、当たって…」 「当ててんのよ」 …さらりと言いなすった。 「どう?ちゃんとあるでしょ?」
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602 :SS[sage]:2011/12/31(土) 10:40:39.46 ID:a5h55m+f0 - そう言って熱を孕んだ瞳を向ける。その瞳にはいつもの凛とした鋭さは無く、抗い難い妖艶さを秘めていた。
ときめくな、俺の心。 このままでは、出る杭を見せつけてしまう。いやそれ以前に、出る杭などあってはならぬ。 たまらず俺は携帯を取り出し、耳に添えた。 「俺だ!我が助手クリスティーナが、機関の工作によりエロスティーナへと改造されてしまった…!ーーああ、分かっている。これは機関の俺に対するーー」 「こらぁ…岡部ェ。ちゃんと私を見なさいよぉ…」 「ひゃいっ!?」 耳に熱っぽい吐息がかかり、妙な声があがってしまう。鳳凰院凶真の仮面すら被らせて貰えなかった。 「岡部っていつもそうやって逃げてばっかり。本当は、私の事なんか嫌いなんだ」 「ち、違う!アインシュタインに誓ってそんな事はない!」 「じゃあ、もっと私を見て。嫌いじゃないって、証明して」 頷き、真っ直ぐにすみれ色の瞳を見る。 「…紅莉栖…」 「うん。…倫太郎」 ほんのりと桜色に染まった紅莉栖の頬。 思わず見とれてしまう。 …不意に紅莉栖が、そのしなやかな肢体を俺に預けてきた。 「く、紅莉栖…?」 前髪に隠れてその表情は見えない。ただ、先程よりも顔が紅くなっている…気がする。 …いいのか?こんな酔った勢いで…みたいな。 いや、きっかけはきっかけでしかなくて、要は互いの気持ちが大切なわけで…。 ーーー大切。 自分の言葉に思わずハッとする。そうだ、俺はーーー 「紅莉栖。俺は…お前が好きだ」 はっきりと口にした。 「だからこそ、こういう事は、その…もっとちゃんとしたい」 お前が大切だから。大切にしたいから。 酒の力など、借りたくはないから。 「明日も、明後日も、一か月後も、一年後も、十年後も。ずっと傍に居るのが、紅莉栖…お前であって欲しいから。だからーーー?」 ふと気が付くと、何やら規則正しい息遣いが聞こえてくる。 もしかしなくても、紅莉栖はいつも間にか微かな寝息と共に、すやすやと眠っていた。 「〜〜〜〜〜っっ!!」 おのれ、せっかく勇気を出して告白したのに! 思わず叫び出しそうになるのをどうにかこらえ、深呼吸する。 「全く、世話の焼ける助手だ…」 安心感と疲労感がドッと押し寄せてきた俺は、そのまま寝る事にした。 ソファで紅莉栖と抱き合うような形ではあるが、暖かいのでこれでいい。…別に、もうちょっとだけ紅莉栖と触れ合っていたいという訳ではないぞ。 微睡む意識の中で、紅莉栖に囁きかける。 お酒は二十歳になってから。 …それと、今後は俺以外の奴の前では決して酒は飲まないように、と。
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603 :SS[sage]:2011/12/31(土) 10:43:37.34 ID:a5h55m+f0 - 以上。
オカリンの誕生日、クリスマスと延びに延びたネタだが、無かった事にしたくは無かった。ギリギリ今年中に間に合ったぜ。
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