- 作ってきた弁当をゴミ箱に叩き込みたい東方キャラ7
528 :名無したんはエロカワイイ[sage]:2011/10/01(土) 04:30:58.59 ID:WiHJo/xx0 - …………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………。
こいし「う…う〜ん……」 俺「気がついたか?」 こいし「え…俺君?ここ、は…わたしの部屋?」 俺「ああ、驚いたぞ。俺に手渡すものの話の最中に、いきなり倒れるんだものな」 こいし「手渡す?そう言えば俺君に何かを手渡そうと思ってたかも。何だったかしら?」 俺「それならそこの…ホラ寝台の傍にある…」 こいし「ベッドのそ…な、何これっ!?お弁当?この床に散乱しているのは」 俺「本当に何も覚えてないのか?」 こいし「何のこと?」 俺「俺だよ。それ捨てたの」 こいし「エエッ!?私のお弁当を俺君が捨てた!?ど、どうしてそんなひどいことするの?」 俺「…胎児の夢だよ」 こいし「胎児の夢…」 俺「そう、人の胎児は生まれてくるまで母の胎内に居る十箇月の間に一つの夢を見ているんだ」 俺「それは数億年規模の長尺の映画のようなもので、その映画は胎児自身が主役になって、生物の進化を演じる。 すなわち、原始の単細胞生物から初まって、現在の胎児の両親に至るまでの代々の先祖たちの深刻、痛烈な生存競争や 欲望に駆られてつつ犯してきた、無量無辺の罪業の数々まで描き現した"大悪夢"なのだ」 こいし「そ、それがお弁当を捨てる事と何の関係が…」 俺「マア最後まで聞きたまえ。 これは太古の先祖たちだけでなく、人間の姿になってからの悪夢もそうだ。 先祖の人間たちが犯してきた数々の罪業、その悪夢をその直接の親の代まで見ると、今度はそれら悪夢を引き継いで 自分自身で胎児の夢の続きをを創作するべく生まれてくるのだ この悪夢は、生まれた後でもまだ続くんだ。」
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529 :名無したんはエロカワイイ[sage]:2011/10/01(土) 04:31:59.31 ID:WiHJo/xx0 - こいし「……」
俺「さあ話が核心に近づいてきたぞ。 この先祖たちの心理は人間の皮の下に未だある。ふとした折にソンナ先祖の記憶が表層に出てくるのだ。 つまり先祖の心理遺伝というわけで、何かの拍子にすっかり先祖の心理状態に立ち返ってしまうということが起こるのだよ。 例えば弁当というキッカケが、何らかの先祖の心理の覚醒の機会となって、それがこれまた何らかの理由で弁当を捨てさせると言う心理の発作が起こり…」 こいし「それじゃあ、俺君はその心理の発作で弁当を捨てたというの!?そのご先祖からの心理遺伝で?」 俺「…何か誤解しているな。その心理遺伝は俺のものじゃない、君のものだよ」 こいし「えっ!?どういうこと!?弁当を捨てたのは俺君でしょ?それに胎児の夢を見るのは人間だけなんじゃ…」 俺「心理遺伝はなにも人間だけの話じゃない。妖怪にも起こりうるのだ。しかもある種の妖怪にはより強く。 こんな昔話がある。あるさとり妖怪の話だ。 そのさとり妖怪の女性は、とある人間の男に恋をした。 恋心は日を追うごとに強くなっていったが、思いは打ち明けられない。今と違って人間と妖怪の溝は深かったし、 さとり妖怪といったらその妖怪の中でも嫌われ者だ。」 こいし「……」 俺「しかし募る恋心を終に我慢しきれなくなったのだろう、彼女は弁当を拵えて、昼の休憩をしている男の元へ行った。 …しかし結果は残酷なものだった。男は女に侮蔑の目をくれただけで、受け取った弁当をその場で投げ捨てた」 こいし「……」 俺「ただでさえ辛いであろう彼女に追い討ちをかけたのは、さとり妖怪の能力だ。 彼女の頭の中に男の心が流れ込んでくる、妖怪への憎悪、さとり妖怪への嫌悪、女への侮蔑…」 こいし「…やめて」 俺「若く純粋な彼女の心は耐えられなかったのだろう…彼女はその第三の目を閉じた。自らの心を永久に閉ざしたのだ。」
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530 :名無したんはエロカワイイ[sage]:2011/10/01(土) 04:32:56.07 ID:WiHJo/xx0 - こいし「…俺君、もうやめて」
俺「その後彼女は同種族のさとり妖怪と結婚し子を成したとある。君のご先祖だろうね。 ここで疑問なのは、彼女のドンナ心理が子孫にまで伝わる遺伝になってしまったのか、だ。 だがこれもその時の彼女の心理状態を解剖して見れば難しい問題ではない。おそらくこうだと俺は思う。 まず彼女の男への深い愛情が浮かんでくる。これは種族の違い、通常叶わぬ恋ということから一層燃え上がったろう。 次いで失恋による想像し難いほどの絶望、落胆、悲しみが表れる。 その次には男の心から流れ込んできた、自分への蔑視、嫌悪、憎悪といったものだ。 最後にそれらのさらに下の深層心理に、彼女の変態性欲が浮かんでくる。 一種のマゾヒズム的変態心理とでも言うもので、自らの恋心の結晶とも言える弁当が一瞬にして踏みにじられ、蔑視の感情を流し込まれる、 その言いようのない絶望、心をナイフでクサリとやられるような激痛が、同時に彼女に極度の興奮を催させた。 この強く刻み込まれた彼女の変態性欲はその子々孫々にまで受け継がれることになる。 これは俺の予想だが、君たち子孫は無意識に、そのような人間の男性、すなわち自分に対する蔑視や嫌悪を持ち、 かつ目の前で造作もなく弁当を捨てられるようなサディズムを備えあげた男に恋心を抱きやすいのではないか、と思う。 とりわけご先祖のような脆い心、人の心を読むことに耐えられないような心を持つ君は、より強くその心理が表れるのだ。 そして、奇蹟中の奇蹟とでも考えられようか、俺の姿もまた先祖そっくりだった。 君が俺に弁当を渡したときの記憶がないのも無理はない、あの時古明地こいしは完全ににあの女、あのさとり妖怪の心理がそっくりそのまま…」 こいし「もう嫌!!!やめて!!!!お願い、聞きたくない!!!!!私はそのさとり妖怪じゃない、 私はこいしよ!古明地こいしよ!!!!」 (なんだよこの妖怪…)(…気持ち悪い)(俺に弁当?ふざけるな!)(お前が好きな人妖なんていないだろ…)(…どうせこの心も読んでんだろ) こいし「やめて!!!何で!?私に心が読めるはずない!!!目は閉じたはずなのに!やめて!!嫌わないで!!!! いや…いや、いやあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
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531 :名無したんはエロカワイイ[sage]:2011/10/01(土) 04:33:44.05 ID:WiHJo/xx0 - :
: こいし「…ハッ!?ここは…私の部屋だ。俺君は?…いない」 こいし「どういうことなの?夢、だったの?あら?……これは、お弁当…」 …ガサゴソ (まだ温かい、作ったばかり?誰が作ったの…わたし?) (お弁当があるということは、さっきのは夢?本当に夢だったの?… そう、あれは悪夢だったのね…良かった!そうよ、私はあの人のためにこのお弁当を作ったのよ) (…あの人って誰?誰って私の……わたしって誰?いつから私はお弁当を作っているの?) (私はあの人にお弁当を作って、渡して、そして捨てられて……違うわ!私は今日はじめてあの人にお弁当を渡すのよ) (じゃあ捨てられたのは私じゃない?これから捨てられる?い、いや、嫌!! 私はもう捨てられたの?それともこれから捨てられるの?どちらも嫌だ!どちらも!! 私はどちらなの?誰なの?……そうだわ、私は胎児なのね!私はまだ母親の胎内にいるのね! こんなに恐ろしい胎児の夢を見て藻掻き苦しんでいるのよ!…これから生まれ出でて、恋する人に捨てられるために…) 私は気が遠くなった…眼の前がパっと明るくなった。……と思うと忽ち真暗になった …暗闇の中に顔が浮かんできた……私とソックリの顔が、灰のような緑のような髪色で瞳をギラギラと輝かしながら 眼の前の暗の中に浮き出した。そうして私と顔を合わせると、忽ち朱い大きな口を開いて、カラカラと笑った……が…… 私が何か叫ぶ間もなく、掻き消すように見えなくなってしまった。 ……ブウウウ…………ンン…………ンンン…………。
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