- 【遊戯王OCG】女性モンスターに萌えスレ 39霊術目
476 :名無したんはエロカワイイ[sage]:2011/02/14(月) 21:56:51 ID:SoHFfWd+0 - とりあえずせっかくリハビリのためにバレンタインSS書いたから投下してみよう
出来は保証しない 「……うーん」 目が覚めた。オレは体を起こし、今の時間を確認しながら、まだ誰が寝てるかを── 「って、誰もいない?」 おかしいな。だいたい、オレが起きるのはみんなより早い。朝食の当番はオレより早く起きるけど。 それに、たいてい最後に起きるはずのウィンがいないのもおかしい。 ってことはもしかして、寝過ごしたのか? いやでも、置いてかれるってことはないだろうし。 というか、今日は確か学校も無いはずだしなぁ。そう思いつつ、時間を確認すると、 「あれ?」 むしろいつもオレが起きる時間より少し早い。どうなってるんだ? オレは少し考え── 「ああ、そういえば……」 昨日、みんないつもより早く寝てたんだった。何かあったっけ……? オレはそんな事を考えながら、寝室を後にして、みんながいると思う1階へと向かう。 1階に降りても、テーブルには誰もいない。その代わり、キッチンからにぎやかな声が聞こえてくる。 あれ……もしかして、今日は…… キッチンに顔を出すと、みんながいた。 「あ、おはよう、ダルク」 オレに気付いて何かを作り終えたらしいアウスが声をかけてくる。 「おはよう」 テーブルへ向かうアウスに返事を返しつつ奥を見ると、半分が黒で塗られているクッキーとか、底が白で塗られているイチゴが見えた。 ……そうか。今日はバレンタインデーだった。みんな早めに寝て、朝早く作る準備をしてたんだ。 「おはよう、ダルク。ちょうど今、作り終わったところだよ」 エリアが、ニコニコしながらやって来た。いつの間にリビングに行っていたみたいだ。 「おはようエリア。チョコレートだよね?」 「うん。あ、ちょっとやりたい事があるから、ダルクはちょっと離れたところで待っててくれる?」 「やりたい事? うん、わかった」 何か仕掛けでもするんだろうか。
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477 :名無したんはエロカワイイ[sage]:2011/02/14(月) 21:58:47 ID:SoHFfWd+0 - とりあえずトイレに行って戻ってくると、ちょうど用意が済んだらしかった。
テーブルには、色々なチョコを使った食べ物が並んでいた。 「へえ、いっぱいあるね」 「みんなチョコレート作ったから、朝ごはんも全部チョコレート系統だけどね」 アウスが言う。 「そ、そうなんだ……ちょっと大変かな」 いくらなんでも、チョコレートだらけの食事はキツい。 「わたしはしあわせだよ〜」 「そりゃあんただけだって」 満面の笑みを浮かべているウィン。呆れるアウス。 「ウィンは甘いもの大大大好きだからいいかもしれないけど……」 「ちょっとライナ達にはキツいかな」 ヒータとライナも、それぞれの椅子にもう座っていた。 「……うーん、やっぱりこれはおやつに回して、朝はあまったチョコをパンに塗って食べようかなぁ」 「えーっ、ボウルに残ってるチョコを全部飲もうと思ってたのに」 「やめなさい」 アウスとウィンのやり取りを聞きつつ、オレも自分の椅子に座る。 「色々あるね。どれを誰が作ったの?」 「えーと、それはダルクにチョコを渡すときに……それぞれ一番、で、出来のよかったものを……」 言いかけながらどんどん顔を赤くして、ついにエリアは黙ってしまった。 「あ、そうなんだ。ごめん」 つまり、出来上がってここに並べた後に、にオレを起こしてそれぞれが渡す予定だったのかな。 それじゃあ、もう少し寝てたほうがよかったのかも。でも幸い、誰がどれを作ったかは見てないから、一応大丈夫かな。 「でもダルくんは、聞かなくても分かるでしょ?」 まあ、それぞれ特徴があるから分かると思うけど…… 「いやでも、もし間違えたらダメだろうし」 「いいから、言ってみて。まずはわたしの」 ウィンに押し切られて、まずはウィンの作ったものを当てることになった。 えーと、この中でウィンが作りそうなものは……
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478 :名無したんはエロカワイイ[sage]:2011/02/14(月) 22:03:39 ID:SoHFfWd+0 - 「……このダークボm……じゃなくてストロベリートリュフかな」
「あたりだよ〜」 やっぱり、この見るからに甘そうなお菓子はウィンのものだったみたいだ。 「はい、食べてみて」 これがいちばんできがよかったんだよ、と付け加えて、ストロベリートリュフを1つ渡してきた。 「って、ウィンのだけチョコじゃないの?」 見た目赤いし。爆d……いやいや、違う。 「中にホワイトチョコが入ってるんだよ」 ああそういえば、さっき底が白かったな。忘れてた。とりあえず口にそのまま入れる。 いったんかじると、中のストロベリーが口の中に広がって…… 「うん、おいし……って甘っっっっっっっ!!!」 強烈な甘みがオレの口の中を襲った。やっぱり爆弾だったのか……オレは咳き込む。 「の、飲み物!」 慌ててヒータがブルー・ポーションを探して、オレの口に注いでくれた。 それと一緒に、そのまま一気にトリュフを飲み込む。 「はあ、はあ……はあ……」 「だ、ダルくんだいじょうぶ?」 「う、うん……?」 「ウィン、大丈夫じゃなさそうだけど」 「お、おいしくなかった……?」 悲しそうな顔をするウィン。 「いや、おいしかったけど……甘すぎるっていうか……」 ウィンの一番出来がよかったものって、そういう意味か……。いやでも、逆に考えれば…… 「と、とりあえず、『ウィンが』一番出来が悪かったと思うものをくれない?」 「う、うん……」 ウィンは別のトリュフを手にとって、もう1度オレに渡してくる。 今度はとりあえず、半分だけかじってみる。 「……ど、どう?」 これは…… 「凄くおいしい」 「ほんと?」 「うん。ちょうどいい甘さでおいしいよ」 もう半分も口に放り込む。さっきのと違って甘すぎず、チョコレートの味もする。 「そうなんだ……とりあえず良かったよ〜」 ウィンの顔が元の笑顔に戻った。良かった。 正直強烈な甘みがまだ残ってるけど、とにかく良かった。
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479 :名無したんはエロカワイイ[sage]:2011/02/14(月) 22:07:58 ID:SoHFfWd+0 - 「次は?」
3回目となるとオレもノってきた。このまま全部正解しよう。 「じゃあ、私かな……」 気分を落ち着けたらしいエリアが名乗りを上げる。 残りは3つだけど、エリアのはかなり分かりやすい。 「エリアのは……このチョコクッキーだよね?」 「うん、そうだよ。当たり」 やっぱりだ。エリアはこういう普通(パウンドケーキも普通だけど)のものをよく作る。 残りの2人を考えると、エリアはクッキーという、少女がよく作りそうなお菓子を選んだんだろう。 「はい、これっ」 エリアからクッキーを受け取って、口に入れる。 「うまい」 さわやかな味。アウスのとはまた違った意味で、食べやすい。 「もう一個」 「え、う、うん」 ぱくっ。 「もう一個」 「う、うん……」 ぱくっ。 「もう一k」 「ダルクー?」 「はっ、しまった!」 アウスに止められた。 「こ、このクッキーには人を引き寄せる魔力が!」 「ないよっ」 エリアにもツッコまれた。 「いや、あまりにもサクサクしてて食べやすかったからつい……」 「ふーん、僕のは食べやすくてもそんなことなかったのにね」 そう言いながら、アウスはお皿からクッキーを取って口に入れる。 「僕のよりエリアのお菓子のほうが……って、あれ?」 文句を言いかけながらも、1つ、2つ、3つとどんどんクッキーを食べていくアウス。 「ちょ、ちょっとアウス、全部なくなっちゃうよ!」 今度はライナが止めた。 「ごめん、ダルクの言ったとおりだった。このクッキーのチョコレートは全てを飲み込むブラックホール」 「だから違うってばっ」 「エリアのクッキーはすごいね……」 「そ、そうかなぁ?」 また赤くなるエリア。 「うん」 「そうそう、エリアのは僕達のより凄いよぱくっ」 「ああーっ、わたしのぶんーっ」 これ以上食べられないように、ウィンはアウスに羽交い絞めを仕掛けている。
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480 :名無したんはエロカワイイ[sage]:2011/02/14(月) 22:12:01 ID:SoHFfWd+0 - とりあえず放っておいて、あと2つ……
「あと2つだし、それぞれどっちか当ててよ」 ヒータが言う。 「うん。ダル君ならきっと分かるよね」 ライナも言う。 チョコは残り二つ。 残っているのは、ハートの形をしたチョコにオレの顔が書かれたデコレーションチョコと、星の形をしたチョコ。 このうちのどっちかがヒータ、もう片方がライナが作ったことになる。 あまりオレたちのことを知らない人が見れば、ライナとオレは他の4人以上にくっ付いているし一緒にいるから、 ハート型のチョコで、(オレからしたら不思議だけど)ヒータはあまり料理が上手くなさそうな印象があるから、 消去法で星の形を選ぶかもしれない。ただ、オレは5人の特徴を良く知っている。 「もちろん、ハート型のチョコがヒータで、星型のチョコがライナだよね」 「せ、正解」 「やっぱりダル君は分かったんだね!」 自分で作ったにも関わらず、形を言われて恥ずかしそうにしているヒータと、はしゃいでいるライナ。 二人からそれぞれチョコを受け取って、それぞれをつまむ。 ヒータはオレたちの中で群を抜いて料理の腕が高く、その料理の腕を知っている者からは、将来は料理店を開業して欲しいと言われているほどだ。 それはお菓子作りにおいても例外じゃない。だからかなり似ている顔を書いたいわゆる『デコチョコ』なんてのはお手の物だ。 そして、ライナが作ったのは星型のチョコ。 こっちは、オレの一番好きな味付けが成された、まさにライナだけができる味のチョコだ。 「やっぱり、二人には負けちゃうね」 わかってるよ、という顔で言うエリア。 「……じゃあ僕はさらに負けてることになるね。まあ、最下位じゃないけど」 仕方ないかな、という顔でアウスも言う。 でも…… 「みんなの個性がそれぞれでたチョコに、順位つけても意味ないよ。オレはどれも大好きだよ」 そう。ウィンの電撃稲妻スーパーサンダー甘いチョコも、アウスの安定したチョコも、エリアのさわやかなチョコも、 ヒータの職人技のチョコも、ライナのオレ好みのチョコも。 「そっ……か」 アウスもエリアも納得してくれた。そう。これがオレの正直な気持ちだ。 ……って、あれ、ウィンは? 「おいしいよ〜」 ……手当たり次第にお菓子を頬張っていた。 「って、食事の挨拶の前に食べるな!」 「でも、アーちゃんだってさっき食べてたじゃん!」 「あれはブラックホールに吸い込まれたから仕方ないの! ウィンはダメだ!」 「だからブラックホールじゃないってばっ!」 「ちょっと3人とも落ち着いて!」 しみじみとした空間がウィンにより一転してしまった。 「な、なんだかなー」 「でも、ダル君の言ったことはウィンにも届いてるよ、きっと」 「……たぶんね」 でもウィンは食欲に負けてしまっている気がする。 「えへへ」 「ん?」 「私はダル君の一番になりたいけど、皆で一番になるのがやっぱりいいなって」 「ちょっと、難しいけどね」 「頑張ってね、ダル君」 「やれるだけ、ね」 5人の想いにそれぞれ応えて、5人をそれぞれ想うのは難しいかもしれないけど。 でもその5人と一緒なら、その運命も簡単なような気がした。
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