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名無しさん@お腹いっぱい。
【May】雷神 第十五艦隊【天制覇・ベロニカ】

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【May】雷神 第十五艦隊【天制覇・ベロニカ】
324 :書いている内に小説化した[sage]:2010/12/16(木) 15:07:41 ID:utl1Rvp4

リヨンヒ

ルアンシア覇王カイリの娘
SC68年同惑星出身。
当時「くだらない噂」「狂者の戯言」と誰も信じていなかったルアンシアの
解放を望み他の勢力へ積極的に働きかけていた。
その為、銀河各地で彼女の目撃報告があるが、
最も有力視されているのが、アイネの覇王アベルの下への来訪である。
当時、ロゴの猛攻に晒され下野を考えていたアベルは
「ルアンシアへ行きたい」と言う彼女の望みをかなえるべく共に惑星を脱出。
しかし、運悪くロゴの艦隊に見つかり集中砲火の結果
アベル旗艦はは被弾
「いずれ、この銀河に覇を唱える覇王が現れよう。その時まで必ずや生き抜くのだ」
そう言ってアベルはリヨンヒを脱出ポットへ乗せ逃がすと
自らは艦と命運を共にした。その後のリヨンヒの消息は不明である。
だが、近年パグン領であったゼファーでその存在を確認されている
詳細は不明だが、パグンに捕らわれ辱めを受けたとも、
自ら来るべき時に備えあえてホスエンの動向を探る為に入り込んだという説もあるが、
真相は不明である(この時期の資料には一貫性が無くこれと言った定説が無い)
やがて、ラーがゼファーを攻略するとリヨンヒは再び行方をくらます。
しかし、ここで運命のめぐり合わせがあった

時はSC116年ブラウン領土星衛星。ここに一人の若き王子が居た
名をプロベット。ブラウンの第1子にして現在の地球ア族の正統王位継承者
だが、粗暴で狭量な父と違い温和で民想いの慈悲深い良き王子であった。
そしてこの時、全銀河を震撼させる大いなる野望を秘めていた。
この日も執務室で執務を行っていたプロベットだが、あわただしい足音が
部屋に迫ってきた
「申し上げます!!」
勢いよくドアが開き息を切らした士官が駆け込んできた。
「何事か!?」
「ど…土星衛星軌道上に所属不明艦が出現」
「何を寝ぼけておる。前線からココまでどれくらい離れていると思うのだ」
当時、前線はイーズ恒星系コスタル。戦況はブラウン軍不利であり
バースを奪われバニモでも押されていた。
だが、ソースへ向かう航路は完全にブラウン軍が抑えており、
他国の船が入り込む余地など無かった。
「しかし、あれは我が軍の艦ではありません。それに…」
士官は言葉を詰まらせた…
「いかが致した、申してみよ」
プロベットが促すと士官は重い口を開いた
「あれはホスエンの船です」
「ホスエンだと!?間違いないか?」
「間違いありません。あのマークはAntel社の艦。営業用ではなく軍用艦です」
「すぐに行く。予が向かうまで手出しをするな」
プロベットは慌しく部屋を後に司令部へと向かった
【May】雷神 第十五艦隊【天制覇・ベロニカ】
325 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/12/16(木) 15:10:03 ID:utl1Rvp4
土星衛星司令部では突如現れたホスエンの戦艦に右往左往していた
「しずまれ!!状況は?」
プロベットが到着すると兵士たちは冷静さを取り戻した。
「はい、目的を尋ねますと『我々はゼファーからの避難者である救援』求むと
返答がありました。しかし、商業惑星の船ですし何所まで信じればよいかわからず…」
オペレーターは続けようとしたが、プロベットはそれを遮り命令を下した
「護衛艦で包囲しつつ司令部へ移送してまいれ」
「し…しかし、我々を油断させる罠かも…」
だは、プロベットは異に返さず
「聞こえんのか。救助しろといっているのだ。何かあれば責任は予が持つ」
「ですが…」
なおも反対する士官にプロベットは
「2度言っても解らんのか。同じ事を3度言わせる気か?」
「は…ただちに」
そのプロベットの表情に、その場に居た全員の背筋が思わず凍りついた

司令部の格納庫に移送されてきた艦をプロベットと憲兵たちが取り囲んでいた
ハッチが開き出てきたのは金髪に緑色の眼をした女性だった。
「その方、何者か?」
そう問うプロベットに女も負けていない
「見た所、高価な身分の方とお見受け致します。人に名を尋ねる時は
まず御自分からお名乗りになるのが礼儀でございましょう」
「無礼者!!この御方は…」
食って掛かる憲兵を制止するプロベット
「そうであった。無礼を許されよ。我が名はプロベット。この国の王子だ」
「私はルアンシア覇王カイリの娘リヨンヒ」
ルアンシアという単語に一瞬周りがざわめき出す。
この時代「噂」とされていた7つ目の恒星系、
そしてそこにある惑星の名を出したのだ。当然である
「ルアンシア?聞きなれない惑星だが?」
「ルアンシアはホスエンによって存在を消され圧制を布かれております」
ホスエンの名にプロベットは思わず目尻をピクッと動かす
この戦乱を裏で操る悪魔の惑星。それの制圧こそ最終目的であった。
「ここは、何所の惑星ですか?」
「ソース恒星系・土星衛星・首都タイタンだ」
「ソース… 地球…」
自分が地球連邦に飛ばされた事を知ったリヨンヒはそう呟いた…
「聞きたい事がある。その方は何故、ホスエンの船に乗って
我が惑星に現れたのだ。現在は各地で戦が相次いでいる
下手をすれば有無を言わさず撃墜され宇宙の塵になっていたかも
知れないのだぞ」
「私は放浪の末、商業惑星の手のものに捕まり、ゼファーに軟禁されておりました
同惑星がラーの手により制圧されたました。そこで協力者を求め脱出を致しました。」
「協力者?」
「ホスエンを倒し、我が故郷ルアンシアを解放してくれる者です」
これを聞いた士官からは「デタラメを言うな」と野次が飛ぶ。
だが、プロベットは考え込んでいた…
「(神は予にホスエンを奪れと言うか…。)
【May】雷神 第十五艦隊【天制覇・ベロニカ】
326 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/12/16(木) 15:11:17 ID:utl1Rvp4
合い判った。ではご自分の身分を示す物をお見せ願いたい」
その問いにリヨンヒは思わず眼をそむけた
「…出来ません」
「何故だ?」
「それは…」
「未知の惑星の王族とは言え身分証はお持ちでしょう。
それを見せて頂けなければ、我々としても貴女を信頼しかねる」
その後もプロベットとの押し問答が続いたがリヨンヒは頑なに拒否。
「致し方ない…。この者を応接室に案内せよ。丁重に扱うのだ」
応接室といえば聞こえがいいが、実際は部屋に閉じ込めておけと言う命令で
独房かそうではないかの違いしかなかった
「お願いです。私はルアンシアの王女… 信じてください」
リヨンヒは涙ながらに訴えるも連行されていった。

「そうか… そのような作戦は命令されておらぬか」
モニター越しで話し合うのは八掛衆前長チョーと現長のヒップ。
チョーはプロベットの養育係として土星衛星に赴任。
ヒップはブラウン一派の監視のためデクレアに滞在していた
「はい、王妃アム様にも確認を取りましたが、
そのような命令は出されておりません。こちらは戦線の維持で精一杯
それ所ではありませんよ」
リヨンヒを敵のスパイと考えたチョーが、ヒップに捜査を命じたのだった。
「となると、ホスエンのドブネズミどもめ我々の計画に気が付いたか?」
「間者の報告では、ホスエンもバルゴも我々より寧ろラーへ眼が言っている様子
可能性は低いかと…」
「だが、ゼロではない。今後も監視を続けよヒップ」
「承知しておりますチョー隊長。
…それよりも殿下は、あれから毎日通っておられるのですか?
その、ルアンシアの王女なる女の下に?」
「あぁ… 今日で1週間になる」
「あの御方は、いずれ地球ばかりか全銀河の上に立つべき御人、
骨抜きになってしまいませぬか?酒と女は優れた男もダメにすると言います」
「女に篭絡させられるようなクズなら私も教育を引き受けんよ。
寧ろ逆だ… 女に不器用所か興味が無い」
ヒップはヒューと口笛を吹き笑った
「聞いた所かなりの美人だとか?英雄色を好むというのに勿体無い」
ヒップの冗談交じりの軽口にもチョーは笑いを見せずに
「幼少期の事がトラウマに成っているのかも知れん。
ブラウンがアム様を奴隷の様に扱っていたのが相当応えているのだろう…」
と答えた
【May】雷神 第十五艦隊【天制覇・ベロニカ】
327 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/12/16(木) 15:13:08 ID:utl1Rvp4
チョーとヒップに心配を他所にプロベットは毎日リヨンヒの元へ通っていた。
「余り食べていないではないか。体に毒だぞ…」
「…」
プロベットの気遣いにもリヨンヒは答えない。
「その様子だと、自らの身分を証明するものを持って折るのだろう?
そうすれば貴公の話も信頼できるのだ」
「…」
「うーむ…」
暫く考えたプロベットは徐に自らの事を話し始めた
「予の母は現在デクレアに居るのだ。もう10年以上あったことも無い」
その話に同じく苦しむ母を持つリヨンヒも答えた
「…どうして?」
「精神を病んでおられるのだ。予には父親が違う兄上が居たらしいのだが」
「その兄君様は今もご健在に?」
「いや… 亡くなられた。我が実父の手によって」
「そんな…」
「それだけではない。我が父は気に入らない家臣や領民を投獄し、殺し
家を焼き払い、重税を課し、女を攫って大奥に連れ込んで犯し…
傍若無人に振舞っておる。
ゆえに… ゆえに予は父王を殺し王位に着こうとしている」
「どうして?父王様は既にご老体と伺っております。殺さなくても貴方には王位が」
プロベットはリヨンヒを見つめると答えた
「だがそれでは『暴君ブラウンの息子』の謗りは免れない。
民を助け、国を再建し、商業惑星を滅ぼすには自らの手で
暴虐な父を引きずり落とし、王位を手にしなければならない」
「でもそれでは、貴方様も父君と同じ『父殺しの王子』と言われましょう」
「もし、予を父殺しの愚君と言うのなら、それは甘んじて受けよう。
結果的に多くの人が救われ全銀河に安定をもたらせるのなら、
予は甘んじて歴史に悪名を残す」
この人は何と重いものを背負っているのだろう。
リヨンヒには彼が6つも年下とは思えなかった。
そして彼女も覚悟を決めた
そして胸元から家紋の刻まれたネックレスを取り出した
「こ…これは!?」
プロベットは思わず驚いた。
「これは、ア族宗家・正統王位継承者の紋章!!貴女はいったい…」
「私の父親はアスランの第1子アーグマン。私も貴方様と同じアスランの孫です」
「しかし、アーグマンは戦乱が始まる直前、セントラルで戦死したと聞いているが?」
「いえ、アグデッパと貴方様の父君ブラウンに謀殺されると知った父は、その死を偽装し
野に降ったのです。
その際、何らかの弾みでセブンス星系に飛ばされ、ルアンシアへたどり着いたのです」
「なんと…」
「この紋章を見せられなかったのは、見せて私がアーグマンの落胤と知って
殺されるかもしれないから
それと、この事で貴方様の正統性が疑われるのを防ぐ為です」
「そこまで考えていたのか…」
「落胤とは言え、現在の継承者は貴方様です。私が王位を請求する事は致しません
これを見せたのも、あなたが信頼置ける方とお見受けしたからです」
「何故そう思うのだ?」
「王位簒奪など、信頼出来ぬ者にお話しするはずがございません。
ですが、貴方は私に全てをお話くださいました。ですから私も全てお見せしたのです」
これを聞いたプロベットは笑いながら答えた
「いや、まずものを聞く時は自分からと貴女から言われていた。
申し訳ないが、さっきまで貴殿の眼には少量の敵意があった。
故に全てをさらけ出し、予は貴女に敵意がない事を示したのだ」
「そうでしたか。数々のご無礼お許しください」
「いや、予の方こそこの様な所に軟禁して申し訳ない
家臣の中には貴女を父かホスエンの手先と疑っている者も居る
貴女を危険に晒すわけには行かなかったのだ」
今まで男は野蛮な生き物だと思っていた。この時リヨンヒは始めて男性の優しさに触れた
【May】雷神 第十五艦隊【天制覇・ベロニカ】
328 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/12/16(木) 15:15:16 ID:utl1Rvp4
それから半年が経ち、リヨンヒは軟禁を解かれ
表向きは『王子首席秘書官』として仕官した。
周りの面々とも打ち解けたリヨンヒを突如胸苦しさが襲う
口元を押さえてトイレに駆け込んだリヨンヒは
胃に溜まっていた朝食を全て吐き出した。
朝食と言っても、スープをスプーンで2杯ほど飲んだだけであり
吐くような物は無い
最近は食欲も無く、ここ2ヶ月女の生理現象も来ない。
調子が悪いのだろうか…
だが、病院の先生は笑顔でこう答えた
「おめでとうございます。御懐妊です」
「…!? まさか… 殿下の?」

「なに!!それは真か?」
「はい、妊娠2ヶ月目だそうです」
リヨンヒ懐妊を知ったプロベットの喜びようは凄かった様である
「して、男か?女か?」
「それは、まだ解りません。もう少し経ってみないと…」
この時、プロベットはあることに気が付いた。
まだリヨンヒにプロポーズなり婚約を申し込んでいない。
つまり俗に言う出来ちゃった婚である。
「殿下?どうなさいました」
突然ゴニョゴニョ言い出したプロベットをリヨンヒは覗き込む。
「リ…リヨンヒ!!」
リヨンヒの肩を抑えプロベットは彼女に向かい合う
この時、プロベットの心臓は周りが見えなくなるほど高鳴りをしていた
「はい?」
「予と… 予と… け… けけけけけけ…」
「け?」
「結婚してくれ!!」
お茶を運んできた侍従は思わず食器を落とした。
だが緊張したプロベットは、それに気が付かない。
「命令とか、無理やりとか、そういうことは無い
予は… 予はその方といつまでも一緒に居たいのだ」
「殿下、私は今まで酷い目にあってまいりました。
私は、殿下の思っているほど綺麗な女ではありません
私の様な汚れた女でもよろしいのですか?」
「そ… それは、どう言う?」
リヨンヒはOKを出したつもりなのだが、プロベットは全然気が付かない
思わず笑ってしまった。こんなに初心で心優しい人間が
人々の上に立とうとしていることが可笑しかった。
そして自らの恋した男の慌てる顔がとにかく面白かった
「私の様な女で良いのかと聞いております」
「もちろんだ。その方は汚れておらん!!」
「不束者ですが、末永くよろしくお願いいたします」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
歓喜の大声を上げ部屋を走り出していくプロベット。
その声に驚いた侍従はかたしていた食器を再び落とした。
後に多くの将兵を魅了させた男とは思えないほどの醜態だった。
後にリヨンヒ本人も『この時ほど陛下の緊張した顔を、わらわは見た事が無い』と笑い
プロベット本人も『穴があったら入りたい』と自笑したほど緊張していたと言う。
その夜、この醜態(宮殿内を大声で走り回った)をチョーに怒られたのは言うまでも無い
【May】雷神 第十五艦隊【天制覇・ベロニカ】
329 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/12/16(木) 15:18:01 ID:utl1Rvp4
『プロベット皇太子殿下婚約!!』
土星衛星は祝賀ムードに包まれ、各地でパレードが行われた
だが、これを恨めしく見ていた人物が居た
「リヨンヒめ… 生きていたのか。
てっきり転送に失敗して、次元の狭間を彷徨っていると思っていたのだが…」
「しかも皇太子妃。たいした出世でござりますな。
相手は金髪のガキでござるか…」
「その名を言うな反吐が出る!!」
通信の相手パグンは34ロウに吐き捨てた
『金髪のガキ』とは主にプロベットに批判的なものが使った陰口であり、
後世の歴史家中でも、プロベットに批判的なものはこの名称を用いた
「ブラウンの様な俗物から生まれたからと安心していたが…
奴め、リヨンヒと言う大義名分が出来たのだ。いずれセントラルにも攻めてこようぞ。」
「では、早速始末致しましょうか?」
「まて、どうせならガキにとって最も悲惨な死に様を与えてやろう
リヨンヒの出産予定はいつだ?」
「8ヵ月後の7月17日にございます」
「よし、ではその前月の6月にリヨンヒを殺せ。
その後、絶望したプロベットを返す刀で血祭りに挙げるのだ
もし、出産が早まるようなら計画を早めろ」
「御意のままに…」

だが、予想外の結果が訪れる。
半年後のの5月。ドーラ討伐にブラウンが前兵力を率いてコスタルへ出兵したのだ。
これは、王位簒奪を狙うプロベットにとって最大の好機であった。
「準備は出来ましたかチョー先生」
プロベットが敬語を使う数少ない歴戦の将は笑いながら答える
「準備は万全です。殿下の号令があり次第、銀河の全チャンネルをジャックし
演説を生中継いたします」
「うむ」
そしてオペレーターより、ブラウン軍がデクレアを離れバニモに向かうと
連絡が入るとプロベットは全兵に命令を下した
「チャンネルをジャックせよ。これより全銀河に予の演説を中継する」
「ははっ」
そして、既にお腹の大きいリヨンヒを見つめプロベットは
「もうすぐだぞ。その方の夢を… そして予の夢をかなえる時が…」
「はい。私も準備は出来ています」
「これからは、予は覇王。その方は王妃だ。共に国を支えていこう」
プロベットの言葉にリヨンヒは笑みを返した
【May】雷神 第十五艦隊【天制覇・ベロニカ】
330 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/12/16(木) 15:20:25 ID:utl1Rvp4
『全銀河の皆様。私は銀河帝国の将チョーです。
本日は身様に紹介したい人物をお呼び致しました
銀河帝国の正統なる主君プロベット覇王皇帝陛下であらせられます』
演説の為に祭壇を登るプロベット、その後姿はとても頼もしかった
『我、覇王プロベット!!我々は愚かなる愚君ブラウンを誅し
全銀河に王道を引くべく立ち上がった
我が愚父ブラウンは、兄と慕った我が従兄ララウィンを殺害し
王位を奪い取った…』
演説は続く。だが背後では怪しい影が動いていた。
「プロベットめ、拙者の計画を台無しにしおって。
この償いは、お前の大事な王妃の命であがなって貰う…」
周囲の拍手が沸く中、マイクの電源を切ったプロベットはリヨンヒに語りかける
「リヨンヒは準備は良いか?」
「はい、陛下。わらわの準備も出来ております」
「よし…」
『我が同志諸君にもう一人あわせたい人物が居る。我妻王妃リヨンヒ。
リヨンヒはアスランの第1子アーグマンの娘。ア族の正統王位継承者なり
これが、その証!!』
ア族の紋章が刻まれた勲を高々と挙げるプロベット。周囲にどよめきが走る
『我は正統王位継承者リヨンヒより王位の禅譲を受けた。
よって我こそ正統なり。国賊ブラウンを誅すべし!!』
人々の喝采が木霊す。そして今度はリヨンヒが演台に上る
『わらわは王妃リヨンヒ。わらわの故郷ルアンシアは、ホスエンの植民地化にある
肥沃なわらわの故郷で何をしたか!何をしようとしているのか知って欲しい!!』
リヨンヒがホスエンの所業を断罪している時、
「危ない!!」
その声と共に周囲が真っ白になったかと思うと轟音がとどろいた。
音が鳴り止みリヨンヒが目を開けると、
そこには自らを守るように覆いかぶさるプロベットの姿があった
「へ… 陛下!?」
「大丈夫か?」
「わらわは大丈夫です。しかし、陛下は…」
「この程度の傷… 家族を守れないものが
家臣をその家族たちを守れるわけがない。」
プロベットの背中には火傷の跡が見受けられた。
幸い酷くは無いようだが、それでもかなりの激痛を伴うだろう。
【May】雷神 第十五艦隊【天制覇・ベロニカ】
331 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/12/16(木) 15:21:56 ID:utl1Rvp4
だが、夫の無事に安堵したリヨンヒの体に異変が起こる
「へ… 陛下…」
激痛に顔をゆがめ夫を呼ぶ
「いかが致したリヨンヒ」
「う… 産まれそう…」
「だ… 誰か医者を!!」
これを聞いたプロベットは取り乱し、周囲に助けを求める
プロベットを静止したのはリヨンヒだった。
「陛下。演説を… わらわは大丈夫です…
それよりも陛下の無事な姿を皆様に…」
「だ… だが、それではお前が…」
オロオロするプロベットをリヨンヒの気高い目が見つめた
「しっかりなさい!!全銀河に覇を唱え、全ての人々の上に君臨する覇王が
そんな無様な姿でどうするのです。わらわの夫となった男は
こんな情けない男ではございませぬ」
「…わかった。予が無様であった。お前にも要らぬ心配を掛けてしまった…」
「陛下… 気高く強く生きてください。わらわ一人の為に道を誤る必要は…」
「お前も、お腹の子も… 皆も死なせはしない。障害は全て予が取り除く!!」
プロベットは、バッと後ろへ振り返り演説台へと向かって歩き出した。
そして、握りこぶしを硬く握り演説を続けた
『諸君。今の蛮行をごらん頂いたかな。自らの非を鳴らされた
愚父なり商業惑星が仕掛けたテロ攻撃である
だが、私はテロ如きに屈しない!!このような蛮行が明るみになった以上
両者を放って置くわけには行かない。
これより、地球帝国は廃され銀河帝国と改め、我が国は賊軍と
商業惑星に対し武装解除と無条件降服を要求する。
これが受け入れられない場合、武力をもってこれを排除、解体する!!』
「陛下… ご… ご立派ですわ…」
産気の脂汗に気を失いかけながらもリヨンヒは気高い夫の背中を見続けていた
【May】雷神 第十五艦隊【天制覇・ベロニカ】
332 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/12/16(木) 15:23:30 ID:utl1Rvp4
「えぇい!!何をしている早く演説を止めろ!!」
自らを賊軍とこき下ろされたブラウンは回線を切ろうと試みるも
何重にもプロテクトを掛けられ切ることが出来なかった
「おのれ、もはや我が息子とて構わぬ!!全軍直ちに土星衛星へ出陣せよ!!」
この命令を幸いと見た人物が居た。ララウィンの姉ジュリア、八掛衆ら反ブラウン派である
「これより我が艦は軍の指揮下を離れる。前艦、直ちに土星衛星に向かい同軍と合流する」

「しくじったな34ロウ!!」
この上なく不機嫌なパグンの罵声が34ロウに降りかかる
「あの忌々しい糞ガキに絶望を味あわせてやろうと思っておったのに…
プロベットも重症どころか軽い火傷、リヨンヒ共々無事と言うではないか」
「しかし、死産と言うことも…」
「希望的観測を言うなヘボ忍者が!!万が一、死産でリヨンヒが生き残ってみろ。
奴等は、我が子の敵討ちとばかりにこちらに来るわ!!」
「まさか、独立を早めようとは思いもよらず。準備に遅れが…」
「言い訳はもう良い!!これで、シナリオは最悪の方向へと向かう…
あの2人のせいで我々の計画は台無しだ!!」
パグンとの通信を終えた34ロウの元に今度はプロベット軍の憲兵が現れる
「そこまでだ34ロウ!!貴様が商業惑星の手先だという事はわかっている。
主君暗殺未遂で逮捕する」
「な… なにゆえ、ここが変わった!!」
「貴様の供のバイオノイドの指をへし折ったらベラベラ話してくれたよ
プロテクトが甘かったようだな」
「ちぃ!!」
追い詰められた34ロウは憲兵を切り殺し逃走を開始した。
「おのれ逃がすな!追え!!」
「お前らに捕まる拙者ではない!!さらばだ」
「この惑星から生きて出すな。捕縛が無理なら殺せぇ!!」
【May】雷神 第十五艦隊【天制覇・ベロニカ】
333 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2010/12/16(木) 15:24:26 ID:utl1Rvp4
反ブラウン派の人間が続々土星衛星に集結する中
プロベットは落ち着きが無かった。
リヨンヒが産気付いてから6時間。1分が1時間、1時間が1日の様に感じた。
長い静寂の時が流れたが、その静寂を破るけたたましい泣き声が聞こえてきた。
「オギャー!!」
「おぉ!う… 産まれたか!!」
出てきた医師にプロベットは問いかける
「おめでとうございます。元気な姫殿下にございます」
「女の子か?さぞ母に似て可愛らしいであろう。して2人は?」
「王妃様も元気でござります。陛下も早くお二人の下へ…」
「うむ」

病室のベッドの上でリヨンヒは思いに深けていた。
隣には生まれたばかりの姫が眠っていた。
自分はカイリの娘リヨンヒのままだと思っていた。それが今日、母となったのだ。
「リヨンヒ!!」
「陛下…」
静寂を破り、プロベットが病室へと入ってきた
「どれ、我が娘の顔を見せてくれ…
おぉおぉ… お前にそっくりな綺麗な目だ」
その光景を見たリヨンヒは思わず笑ってしまった。
「何が可笑しいのだ?」
「いえ、天下布武を目指しておいでの陛下が、親ばかをしている姿がまるで可笑しくて…」
「何を言う。予とて普通の人間だ。我が子の誕生を喜びたい」
ふと、リヨンヒの頭に幼い自分を抱く、母カイリのと父アーグマンの姿が思い浮かんだ。
2人もきっとこうだったのだろう…
「それで、陛下。この子の名は?」
「うむ…」
暫く考えたプロベットは
「我が名『プ』ロベットの頭文字と、『リ』ヨンヒの頭文字を一時ずつ着けて…」
そして我が子を抱き上げ、こう命名した。
「今日よりその方の名はプリアだ。プロベットとリヨンヒが娘プリンセス・プリア」
「まぁ、プリア。よい名前ですこと…」
そして窓を見たリヨンヒは心の中でこう思った。
「母上は… わらわを生んだ時、同じ気持ちだったのだろうか?」

SC118年5月12日、覇王プロベット即位。銀河帝国独立す…


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