トップページ > 同人ゲーム > 2009年05月19日 > twPDDXqT

書き込み順位&時間帯一覧

81 位/1377 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数0000000000000000000032005



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE
【ひぐらし】こちらスネーク雛見沢村に潜入した4

書き込みレス一覧

【ひぐらし】こちらスネーク雛見沢村に潜入した4
729 :通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE [sage]:2009/05/19(火) 20:58:05 ID:twPDDXqT

 和室に蛇とお魎が居た。お魎の事をよく知るものがいたら、珍しい光景だ、と思うことだろう。
 彼女は、極端に余所者を嫌っていたからだ。
 園崎お魎は頭首として、威厳ある態度を取り、雛見沢をつねに導いてきた。
 しかし、時代は古めかしい風習を必要としなくなった。
 彼女はそれを察知した。園崎家の土地を売り、「新しい風」を招こうとしたのはその為だった。
 前原圭一。彼という「新しい風」の存在によって、ここ数日で劇的な変化があった。
 北条家に対する冷遇という、ダム戦争時からずっと続いていた因習を打ち破ったのだ。
 彼の熱弁で、ずっと辛かった沙都子が、因習からも、北条鉄平からも解放されたのだ。
 レナは、圭一達に詰め寄られたお魎が「どこかほっとして見えた」と語った。
 事実、そうであったのかは、彼女の胸中を知るものでないと分からない。
 だが。余所者――しかも外国人であるスネークを、部屋に招いて話している姿を見ると。
 彼女が、変わったという事だけははっきりと理解できる。それだけでも十分だった。



 対面する、スネークとお魎。
 どちらも多弁という訳ではないので、和室には沈黙が降りている。だが息苦しくはない。
 蛇は招かれた側なので、お魎がこちらに対して話があるのだろうと判断し、お魎が話し出すのを待っている。
 ――そして、こちら側の「本題」を切り出すつもりでいるのだ。
 お魎がようやく口を開いた。

「先生には本当に感謝しとるんよ」

 いきなり言われ蛇は少し驚き、何の話だ、と言った。
 あの噂に聞くお魎が、自ら感謝の言葉を口にするとは思わなかったからだ。
 それも、余所者でしかないスネークに対して。蛇は戸惑いを隠せなかった。

「私ゃな。ずっとこの村の換気をしようと思ってたんね」
「……村の換気?」

 お魎は頷いた。

「……雛見沢に漂う悪い空気。私らみたいな悪い空気は追い出されるべきなんよ。この村には、勢いがある若者のような新しい風が必要さね」

 「悪い空気」はオヤシロさまの祟りや村八分の事を示しているのだろう、と蛇は推測した。
 そして、勢いがある若者のような新しい風とは――。
 北条鉄平が帰還した件に、圭一が園崎家に怒鳴り込んだという、あの時の事を話しているのか、とも考えた。
【ひぐらし】こちらスネーク雛見沢村に潜入した4
730 :通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE [sage]:2009/05/19(火) 20:58:47 ID:twPDDXqT
「大した若い衆が来たんね。あんなのが居てくれたら、わしゃあ安心できるわ。先生の教育の賜物と言った所さね」
「……いや、あれは」

 子供たちが勝手にやったことであって、自分は関知していない。
 そう伝えたが、お魎の気持ちは変わらなかったようだ。
 魅音も詩音もスネークが来てからより騒がしくなったらしい。その様子を想像して蛇は苦笑した。
 大方、どう罠に陥れるか考えているのだろう。
 ふと、お魎がぽつりと呟いた。

「……先生。孫たちのこと、頼むんね」

 ああ、と快諾の返事を返す。
 噂に聞いていた「園崎天皇」とはうって変わった様子に、蛇は戸惑っていた。
 ――彼女は、老いを感じているのだろうか。
 全ての人間に等しく訪れるそれは逃れられない。だからこそ、「新しい風」に全てを託そうとしているのか。

「昔は私も元気やったん、何だか若い衆に押されてしおらしくなってしまったんわ」

 お魎も自覚しているのか、からからと笑った。

「……その。聞きたい事があるんだが」

 「昔」というワードに、蛇は本来の目的を思い出す。
 なんね、と返されたが、蛇は何となく罪悪感のようなものを感じた。
 今から出す話題は、シビアな物だ。少なくとも、戦争を体験した者にとっては。
 思い出すのも嫌な者もいるし、或いは家族を失った悲しみに暮れ、口を閉ざす者もいる。
 蛇自身も、兵士という立場に身を置いているのでよく分かる。――家族を失うこと以外については。
 ――仕方が無い。これは任務だ。と彼は自分自身に言い聞かせた。
 まず、自分が歴史に興味がある事を切り出す。入江の時にも、詩音の時もついた嘘だ。
 そして、昭和史、とりわけ第二次世界大戦中の歴史を研究している、と蛇は言った。
 お魎の眉が、僅かに動く。

「……風の噂で聞いた話だが、…………俺は、この国、この地域に存在する、風土病について知っている」

 表情は変わらない。

「……その風土病に関する、大戦中に存在したという、旧帝国陸軍の施設。その場所を知りたい」

 尚も、表情は変わらない。
 怒っているのか、悲しんでいるのか、はたまた呆れているのか。その表情からは、判別がつかなかった。
 突然ですまない、と付け加えた謝罪をする。聞き苦しい言い訳だ、と蛇自身も感じていた。
 今まで得られた手がかりは少ないから、どうしてもお魎から聞き出さなければならなかった。――大佐達の言う通りに。

 そこでふと、思考を中断する。目の前のお魎が、

 肩を震わせて、笑っていたからだ。

【ひぐらし】こちらスネーク雛見沢村に潜入した4
731 :通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE [sage]:2009/05/19(火) 20:59:32 ID:twPDDXqT
 からからと陽気に笑うお魎を見て、スネークは呆気にとられた。
 何か可笑しい事でも言ったのか。そんな事も知らないのか、とあざ笑ったのか。
 答えは。

「……そんなもの、聞いた事もなか」

 そのどちらでも無かった。ただ聞いた事がない、と。
 そんなはずは無い、と言おうとしたが遮られた。

「風土病? 大戦中にあった研究施設? 何を言っちょるんね。こん雛見沢に風土病があると?
ずっとこの地に住んでるんが一度もそんな話は聞いたことがなぎゃあ」

 風土病については、以外にも全く知らないらしい。
 それどころか、そんな事を言ったのは誰だ、風土病など穢らわしいと言い出した。
 お魎の反応は「全く知らない」という反応だった。これは蛇にとって予想外だ。
 市民には分からないようにカモフラージュされていたのかもしれない、と考えて質問を変えた。 

「……なら、軍のそれらしき施設の場所は分からないか?」
「なぁんど同じ事を言わせるんね。戦争中は皆生きるのに必死で、軍の事など気にしとらんわ。
誰に聞いたか知らんが、冗談でも言われたんね。そんなのある訳がない」

 そうして、また少しだけ笑った。
 大方、「お前は騙された」とでも言いたいのだろう。風土病の施設など、雛見沢に無いと。
 その後も、いくつか質問をぶつけてみた。
 曰く、園崎家は戦時中、さほど栄えていなかった、と。
 曰く、戦後に栄えた家だから、それ以前の事は余り詳しくない、と。
 たとえ軍の施設があったとしても、今は跡形も無いだろうし、誰にも分からないだろう、と。
 仮に風土病があったとしても、そんなものは誰も知らない、と。
【ひぐらし】こちらスネーク雛見沢村に潜入した4
732 :通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE [sage]:2009/05/19(火) 21:00:49 ID:twPDDXqT
 

 蛇は入江の顔を思い出す。
 おそらく、こうなることは分かっていたのだろう。
 彼は、ただ沙都子を守りたかったのだろうか。未知なる男の好奇心から。
 その結果、もっともそうな「嘘」で騙した。あるいは、お魎なら知っているかもしれない、と思ったのか。
 ――どちらにせよ、一杯食わされた、という訳か。
 蛇は自嘲気味に笑った。
 まさか、あの善良で嘘がつけないような医者に騙されるとは思っていなかった。
 これ以上は無駄だと判断し、適当に礼を言い、お魎と別れた。


 メタルギアに関する情報は、何も得られなかった。
 そして、別件で梨花、沙都子、羽入が危険な状況下にある。
 謎の兵士たちの襲撃にあい、フォックスに助けられた。


 事態は動き始めている。
 蛇は、次にどんな行動を取るべきなのか。


【ひぐらし】こちらスネーク雛見沢村に潜入した4
733 :通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE [sage]:2009/05/19(火) 21:05:11 ID:twPDDXqT
帰還報告
・使っているプロパイダの規制が酷いのでp2を導入しました。
これで一年間は規制の憂き目にあう心配はありません。
・連絡が途絶えたことは言い訳出来ません…

約一ヶ月間も、本当にお待たせ致しました。
しょっちゅう待たせてばかりですが申し訳ありません。
保守して下さった皆さん、本当にありがとうございます。
こんな頼りない本編書きですが、これからもどうぞ宜しくお願いします。


p.s.>>726 オリスクも気分転換に進めました。そのうちうp出来ると思います


※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。